ここでは、以下の事項に従い、『「小規模企業共済等掛金」に係る「保険料控除申告書」の記載方法 』をご紹介させて頂きます。
▶「小規模企業共済等掛金」の「保険料控除申告書」への記載概要
「小規模企業共済等掛金」につきましては、
『その暦年度に本人が支払った「小規模企業共済等掛金の全額」』を保険料控除の対象とすることができ、 |
また、『「保険料控除申告書」に記載することができる「小規模企業共済等掛金」』は、
「(保険料控除申告書を提出される)本人」が共済契約等の契約者・加入者となっているものに限られます。 |
このため、「小規模企業共済等掛金」の「保険料控除申告書」への記載につきましては、
「契約内容の記載」などは不要であり(「契約者・加入者」等の記載は不要であり)、 単に、「共済契約」等ごとに「その暦年度に支払った小規模企業共済等掛金の金額」を記載するのみで完了する とてもシンプルな記載となります。 |
※:『「生命保険料」や「地震保険料」に係る「保険料控除申告書」への記載 』との比較
※:『「公的な社会保険料」に係る「保険料控除申告書」への記載 』との比較
Ⅰ:「保険料控除申告書」への具体的な記載内容
上記でご紹介させて頂きましたように『「小規模企業共済等掛金」の「保険料控除申告書」への記載 』につきましては、
「共済契約」等ごとに「その暦年度に支払った小規模企業共済等掛金の金額」を記載するのみとなります。 |
例示1 : 「小規模企業共済掛金」360,000円を支払っている場合の記載例示
例示2 : 「企業型年金加入者掛金(企業型DCの掛金)」40,000円を支払っている場合の記載例示
例示3 : 「個人型年金加入者掛金(iDeCoの掛金)」300,000円を支払っている場合の記載例示
例示4 : 「心身障害者扶養共済掛金」200,000円を支払っている場合の記載例示
Ⅱ:「掛金等の支払金額」の具体的な把握方法
「小規模企業共済等掛金等」につきましては、
「小規模企業共済等掛金払込証明書」が発行されることから、 |
「その暦年度に支払った小規模企業共済等掛金の金額 」を把握するためには、
当該「小規模企業共済等掛金払込証明書」に基づいて把握することとなります。 |
このため、ここでは「小規模企業共済等掛金払込証明書」に基づく『「当暦年度の小規模企業共済等掛金支払額」の把握方法 』をご紹介させて頂きます。
なお、『「小規模企業共済掛金」の払込証明書 』と『「それ以外の掛金」の払込証明書 』とでは、払込証明書のフォームが若干異なることから、
以下におきましては『「小規模企業共済掛金の支払金額」の把握方法 』と『「個人型確定拠出年金(iDeCo)掛金等の支払金額」の把握方法 』とに分けて、それぞれにおける「支払金額の把握方法」をご紹介させて頂きます。
1、「小規模企業共済掛金の支払金額」の把握方法
基本的な「小規模企業共済掛金の支払額の把握方法」
中小企業基盤整備機構から送付されてくる「小規模企業共済掛金払込証明書」には、
その暦年度における「支払合計金額」が記載されているのではなく、
毎月の「掛金月額」のみが記載されています。 |
このため、「小規模企業共済掛金の年間支払額」を把握するためには、ご自身で、
「掛金月額」 × その暦年度における「払込月数」 |
などの計算を行い、その計算結果を「保険料控除申告書」に記載することが必要となります。
「前納支払」「前納減額」などがある場合の把握方法
◆ 前納支払がある場合 ◆
「小規模企業共済」には「前納制度」があるため、「翌暦年度分の小規模企業共済掛金」を前納することができますが、
「小規模企業共済掛金」を前納している場合には、
原則、下記計算式で計算した「当暦年度分の小規模企業共済掛金額」のみを「保険料控除申告書」に記載することとなりますが、 前納掛金合計額 × 当該暦年度分の支払回数 ÷ 前納期間分の支払回数 |
他方で、「前納した小規模企業共済掛金」のうち「1年以内分の前納掛金」につきましては、 『前納した年度の「保険料控除申告書」』に記載することもできます。 |
このため、「1年以内分の前納掛金(翌暦年度分の掛金の支払)」がある場合には、その「前納分の掛金」を、
- 「前納した年度の保険料控除申告書に記載するか」※
- 「翌年度の保険料控除申告書に記載するか」
をご本人で選択して申告することができます。
※ なお、当然のことですが、「前納掛金」を「前納した年度の保険料控除申告書」に記載した場合には、
この『前納した年度の保険料控除申告書に記載した「翌年度分の前納掛金」』は、「翌年度の保険料控除申告書」に記載することはできませんので、この点につきましてはご留意頂ますようお願い致します。
◆ 前納減額金がある場合 ◆
「掛金」を前納した場合には、「掛金」が減額される(「前納減額」といいます。)特典が付く場合があり、
この場合には『「年間の掛金総額」から「前納減額金」を「差引いた金額」』が「実際に支払われた掛金」となります。
このため、「小規模企業共済掛金払込証明書」に「前納減額金」の記載がある場合には、
『「年間の小規模企業共済掛金総額」から「前納減額金額」を「差引いた金額」』を「保険料控除申告書」に記載することが必要となります。 |
「未払」「過年度分の支払」がある場合の把握方法
◆ 「未払の金額」がある場合の把握方法 ◆
(年末調整において)その暦年度の所得から控除することができる「小規模企業共済掛金の金額」は、
『その暦年度中に支払われた「小規模企業共済掛金の金額」』のみとなります。 |
このため、
『 当暦年度に「支払期日」が到来している掛金 』であっても、「実際に掛金の支払がなされていない掛金」につきましては、 「保険料控除申告書」に記載するはできませんので、この点につきましてはご留意下さい。 |
◆ 当暦年度に「過年度分の小規模企業共済掛金の支払金額」がある場合の把握方法 ◆
(年末調整において)その暦年度の所得から控除することができる「小規模企業共済掛金の金額」は、
『その暦年度中に支払われた「小規模企業共済掛金の金額」』となります。 |
このため、
「その小規模企業共済掛金」を当暦年度の所得から控除することができます。 |
従いまして、
『「当暦年度分の小規模企業共済掛金の支払金額」に「過年度分の小規模企業共済掛金の支払金額」を「加えた金額」』を「保険料控除申告書」に記載することとなります。 |
2、「個人型確定拠出年金(iDeCo)掛金等の支払金額」の把握につきまして
基本的な「個人型確定拠出年金掛金等の支払額の把握方法」
「個人型確定拠出年金掛金払込証明書」などには、
① 国民年金基金連合会等が「払込証明書」を作成した時点で「納付済である金額」 ② 「払込証明書」を作成した時点から年末までに「納付が見込まれる金額」 ③ 上記「①と②の合計金額」 の「3種類の金額」が記載されてきますが、 |
(年末調整において)その暦年度の所得から控除することができる「個人型確定拠出年金掛金等の金額」は、
『その暦年度中に支払われた「個人型確定拠出年金掛金等の金額」』となるため、 |
基本的に、「②欄の納付見込額」が12月末日までに納付される見込みである場合には、
「上記③の金額」を「保険料控除申告書」に記載することとなります。 |
ただし、「個人型確定拠出年金掛金」に「未払がある場合」「過年度分の支払がある場合」には、
『「保険料控除申告書」に記載すべき「個人型確定拠出年金掛金等の支払金額」』は「上記③の金額」とはなりませんので、
このような場合には「以下でご紹介させて頂きますような把握方法」で把握して頂くことが必要となります。
「個人型確定拠出年金掛金等」に「未払」「過年度分の支払」がある場合の把握方法
◆ 「個人型確定拠出年金掛金等」に「未払の金額」がある場合の把握方法 ◆
(年末調整において)その暦年度の所得から控除することができる「個人型確定拠出年金掛金等の金額」は、
『その暦年度中に支払われた「個人型確定拠出年金掛金等の金額」』のみとなります。 |
このため、「上記②欄の納付見込額」のうち、その年度の12月末日までに支払われないものがある場合には、
『「上記③の金額」から「未払分」を「控除した金額」』を「保険料控除申告書」に記載することが必要となります。 |
◆ 当暦年度に「過年度分の個人型確定拠出年金掛金等の支払金額」がある場合の把握方法 ◆
(年末調整において)その暦年度の所得から控除することができる「個人型確定拠出年金掛金等の金額」は、
『その暦年度中に支払われた「個人型確定拠出年金掛金等の金額」』となります。 |
このため、
「その個人型確定拠出年金掛金等」を当暦年度の所得から控除することができます。 |
従いまして、
『「上記③の金額」に「過年度分の個人型確定拠出年金掛金等の支払金額」を「加えた金額」』を「保険料控除申告書」に記載することとなります。 |
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、『「小規模企業共済等掛金」に係る「保険料控除申告書」の記載方法 』をご紹介させて頂いておりますが、
『「小規模企業共済等掛金」に係る「保険料控除申告書」の記載 』につきましては、
「その暦年度に支払った小規模企業共済等掛金の金額」を記載するのみで完了するため、とてもシンプルなものとなります。
さらに、「その暦年度に支払った小規模企業共済等掛金額」の把握も、
「小規模企業共済等掛金払込証明書」に基づいて把握することができるため、比較的簡単に行うことができると考えます。
ただし、「小規模企業共済等掛金」につきましては、
- 一般的に「保険料控除申告書」に記載される金額が多額になり(所得控除金額が大きくなり)、
- かつ、『「保険料控除申告書」に記載される当暦年度支払金額 』が「全て保険料控除金額」となることから、
「保険料控除申告書」に「誤った小規模企業共済等掛金額」を記載してしまいますと、「(年末調整で行われる)ご自身の所得税額計算」に大きな影響が生じてしまいます。
このため「その暦年度に支払った小規模企業共済等掛金の金額」を把握する場合には、
・『「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載されている証明金額 』を十分ご確認頂くとともに、
・上記本文Ⅱでご紹介させて頂きました「内容」等をご確認頂き、適切に記載して頂ますようお願い致します。
なお、「当暦年度の小規模企業共済等掛金支払金額」に、「未払金額」「過年度掛金の支払金額」「前納金額」などがある場合には、
『「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載されている証明金額 』と『「保険料控除申告書」に記載される支払金額 』とが一致しない場合も生じてきますが、
このような場合におきましては、
『 会社に提出する「小規模企業共済等掛金払込証明書」』に「不一致となった原因」を記載しておくことで、(会社における)年末調整の確認作業過程で、「(会社から)不一致理由の問い合わせ」を受けなくても済むのではないかと考えます。
従いまして、
「保険料控除申告書」に『「小規模企業共済等掛金払込証明書に記載されている証明金額」と異なる金額 』を記載されるような場合には、
『「小規模企業共済等掛金払込証明書に記載されている証明金額 」と「保険料控除申告書に記載される支払金額 」との「差異内容」』を、
予め『「小規模企業共済等掛金払込証明書」の「余白」』に記載されておくことをおすすめ致します。