『「後払購買取引」における「購入取引」』を『「請求書」等から「振替伝票」に入力する方法』及び「入力後における確認方法」等を、下記項目に従って、ご紹介させて頂きます。

 

 

なお、ここでの内容を理解して頂くためには、

  • 『「後払購買取引」における「購入取引」』の「仕訳」に対する理解が必要となります。

もし、上記につきましてよくわからないという場合には、後払購買取引(購入取引)の概要を先にご覧ください。

 

 

Ⅰ:「振替伝票」への入力方法

1、会計ソフトの「振替伝票(新規作成)」画面へのアクセス

会計ソフトの「振替伝票(新規作成)」画面へアクセスします。

弥生会計の「振替伝票(新規作成)」画面へのアクセス方法は、⇒コチラをご覧ください。

 

2、入力単位及び入力基書類

1)入力単位

「振替伝票」への入力は、

請求書」等からの入力であるために、「購入取引単位での入力になります。

 

2)入力基書類

「振替伝票」への入力は、

「購入取引」において入手される「請求書」を入力基書類として入力を行います。

 

3、「振替伝票」への入力

1)日付の入力

「振替伝票」の日付は、「請求書記載された日付」を入力します。

 

Point ! 決算月に購入した物品・サービス(請求書未入手のもの)の日付入力

通常の購買取引では、購入先から「請求書」を受領するのは、『「物品・サービスを購入した日」の翌月以降』となります。

このため、『「決算月受領した物品・サービス」に係る「請求書」』は、「決算月の翌月以降」に入手することになり、「請求書の日付」につきましても、「決算月の翌月以降」のものとなる場合が多くあります。

ただし、決算月までに、実際に「引渡を受けた物品」や「提供を受けたサービス」は、費用仕入経費)や固定資産計上することができます

このため、「決算月までに引渡・提供が完了している物品・サービス」で、請求書が決算日までに未入手であり、請求書日付が決算日以降である場合には、

  • 決算日以降に送付される請求書」に基づいて
  • 決算月末の日付」にて(請求書に付された日付ではなく)、振替伝票に入力する

ことが必要となります。

 

2)仕訳の入力

「振替伝票」には、以下の「仕訳」を入力します。

なお、「仕訳」内容につきましての詳しいご説明は、後払購買取引(購入取引)の概要をご覧下さい。

①仕入取引の場合
【借方】勘定 補助科目 金額 【貸方】勘定 補助科目 金額
仕入高※1 掛仕入※2 xxxx円※3 買掛金 購入先(支払先)名称※4 xxxx円※3

※1:「仕入取引」につきましては、「仕入高」という勘定科目を選択入力します。

※2:現金仕入取引と区別するために「仕入高」という勘定科目に対して「掛仕入」という補助科目を設定し入力します。

※3:「請求書」に記載されている「請求額」を記載します。
⇒「請求書」に「値引き金額」等が記載されている場合には、「最終的な請求金額」を「振替伝票」に入力して下さい。
(「仕入として計上すべき金額」は、「最終的な請求金額」であるため、「振替伝票」にはこの金額を計上します。)

※4:「請求書」に記載されている「支払先の名称」を記載します。

 

②経費取引の場合
【借方】勘定 補助科目 金額 【貸方】勘定 補助科目 金額
経費勘定科目※1 内訳補助科目※2 xxxx円※3 未払金 支払先名称※4 xxxx円※3

※1:会社が行った「経費取引の内容」を適切に反映するような「勘定科目」を選択入力します。

※2:上記※1に対する「補助科目」を付す場合には、「各経費取引の勘定科目」に対して「その取引の詳細内容等」を表現するような補助科目を設定し入力します。

※3:「請求書」に記載されている「請求額」を記載します。
⇒「請求書」に「値引き金額」等が記載されている場合には、「最終的な請求金額」を「振替伝票」に入力して下さい。

※4:「請求書」に記載されている「支払先の名称」を記載します。

 

③固定資産購入取引の場合
【借方】勘定 補助科目 金額 【貸方】勘定 補助科目 金額
固定資産勘定科目※1 内訳補助科目※2 xxxx円※3 未払金 支払先名称※4 xxxx円※3

※1:「購入した固定資産の種類」に適合するように「勘定科目」を選択入力します。

※2:勘定科目の内訳として「補助科目」を付す場合には、適切な補助科目を設定し入力します。

※3:「請求書」に記載されている「請求額」を記載します。
⇒「請求書」に「値引き金額」等が記載されている場合には、「最終的な請求金額」を「振替伝票」に入力して下さい。

※3:「請求書」に記載されている「支払先の名称」を記載します。

 

3)摘要欄の入力

請求書日付等」を備考として記入しておくと、入力後の確認が効率的に行えます。

 

4)仕訳の「登録」

入力後に画面右上の「登録ボタンを押します。

「振替伝票」におきましては、「登録」ボタンを押さないと入力内容が会計帳簿に反映されないため、必ず「登録」ボタンを押して下さい

 

5)「請求書」への「入力済み」記入

「請求書」から「振替伝票」への入力漏れ二重入力を防止するために、

「振替伝票」への入力が完了したものにつきましては、「請求書」に「入力済み」の記入を行います。

 

 

Ⅱ:「振替伝票」への入力例示

「振替伝票」への入力方法を、下記の「例示①:仕入取引」「例示②:経費取引(消耗品費)」「例示③:固定資産購入取引(工具器具備品)」を使い、具体的にご紹介させて頂きます。

 

1、例示①:仕入取引

1)例示

4月中A商店から以下の販売目的の商品の購入を行い、5月にこれらに係る「請求書」を入手した。請求書の日付5月10日である。(なお会社の会計期間は「4/1~3/31」とします。)

  • 4月1日に「11,000円の商品」(通常購入額11,000円、運賃1,000円、値引▲1,000円)を購入した。
  • 4月10日に「21,000円の商品」を購入した。(通常購入額20,000円、運賃1,000円)
  • 4月25日に「21,000円の商品」(通常販売額20,000円、運賃1,000円)を購入した。

入手した「請求書」は、以下のものである。

後払購買取引(購入取引)の振替伝票入力例示(請求書)

 

2)振替伝票への入力例示

振替伝票への入力は、以下のようになります。

後払購買取引(購入取引)の取引例示①(振替伝票入力)

①日付の入力

「振替伝票」の日付は、「請求書の日付」である「5月10日(0510)」を入力します。

②借方(左側)の入力

「振替伝票」の「借方(左側)」には、「請求書」から以下のものを入力します。

  • 勘定科目「仕入高」、補助科目「掛仕入」、金額「53,000円(値引き後における「請求金額」となります。)」
③借方(右側)の入力

「振替伝票」の「貸方(右側)」には、「請求書」から以下のものを入力します。

  • 勘定科目「買掛金」、補助科目「㈱A商店」、金額「53,000円(値引き後における「請求金額」となります。)」
④摘要の入力

5月10日の請求書」に基づいて入力したことを備考として記入しておきます。

振替伝票入力時の留意点

振替伝票では、「借方(左側)の合計金額」と「貸方(右側)の合計金額」とが一致しないと登録することができません。

 上記が一致することを「貸借バランスゼロ」となるといいます。

振替伝票を登録する際に、「貸借バランスが合っていません」という表示が出てきた場合には、
「振替伝票(新規作成)」画面の下部に表示されている「借方合計」と「貸方合計」が一致しているか(「貸借バランス」=)となっているかをご確認下さい。

後払購買取引(購入取引)の取引例示①(貸借バランス一致確認)

⑤「登録」ボタン

上記の①~④の入力が完了したら、「振替伝票」画面右上の「登録ボタンを押します。

 

3)「請求書」への「入力済み」の記入

「振替伝票」の登録が完了した時点で、「請求書」に「入力済み」を手書記入します。

後払購買取引(購入取引)の振替伝票入力例示(入力済み)

 

2、例示②:経費取引(消耗品費)

1)例示

9月中B商店から以下の事務机の購入を行い、10月にこれらに係る「請求書」を入手した。請求書の日付10月10日である。(なお会社の会計期間は「4/1~3/31」とします。)

  • 9月18日に「44,280円の物品(事務机)」(通常購入額40,000円、運賃1,000円、消費税:3,280円)を購入した。

入手した「請求書」は、以下のものである。

後払購買取引(購入取引)の振替伝票入力例示②(請求書)

 

2)振替伝票への入力例示

振替伝票への入力は、以下のようになります。

後払購買取引(購入取引)の取引例示②(振替伝票入力)

①日付の入力

「振替伝票」の日付は、「請求書の日付」である「10月10日(1010)」を入力します。

②借方(左側)の入力

「振替伝票」の「借方(左側)」には、「請求書」から以下のものを入力します。

  • 勘定科目:「10万円未満(44,280円)の物品(事務机)の購入」であることから「消耗品費」という勘定科目を選択入力します。
  • 補助科目:事務机は「備品」であることから「消耗品・備品」という補助科目を選択入力します。
  • 金額:「請求の金額」である「44,280円」を入力します。
③借方(右側)の入力

「振替伝票」の「貸方(右側)」には、「請求書」から以下のものを入力します。

  • 勘定科目「未払金」、補助科目「㈱B商店」、金額「44,280円(購入に係る運送費も含めた「請求金額」となります。)」
④摘要の入力

10月10日の請求書」に基づいて入力したことを備考として記入しておきます。

振替伝票入力時の留意点

上記例示①と同様に、「借方合計金額」と「貸方合計金額」が一致しており、「貸借バランス」がゼロとなっていることを確認します。

⑤「登録」ボタン

上記の①~④の入力が完了したら、「振替伝票」画面右上の「登録ボタンを押します。

 

3)「請求書」への「入力済み」の記入

「振替伝票」の登録が完了した時点で、「請求書」に「入力済み」を手書記入します。

後払購買取引(購入取引)の振替伝票入力例示②(入力済み)

 

3、例示③:固定資産購入取引(工具器具備品)

1)例示

3月中C商店から以下のキャビネットの購入を行い、4月にこれらに係る「請求書」を入手した。請求書の日付4月10日である。
なお、会社の会計期間は4/1~3/31であり、当該購入は、決算末日までに引渡が完了している。

  • 3月15日に「140,400円の物品(キャビネット)」(通常購入額120,000円、運賃・設置費10,000円、消費税:10,400円)を購入した。

入手した「請求書」は、以下のものである。

後払購買取引(購入取引)の振替伝票入力例示③(請求書)

 

2)振替伝票への入力例示

振替伝票への入力は、以下のようになります。

後払購買取引(購入取引)の取引例示③(振替伝票入力)

①日付の入力

「振替伝票」の日付は、「決算期末日日付である「3月31日0331)」を入力します。

 「請求書の日付」では「4月10日」という「翌会計年度の日付」となってしまうことから、「当会計年度の決算期末日の日付」を入力します。

②借方(左側)の入力

「振替伝票」の「借方(左側)」には、「請求書」から以下のものを入力します。

  • 勘定科目:「10万円以上(140,400円)の物品(キャビネット)」であり、「キャビネット」は「備品」であることから「工具器具備品」という勘定科目を選択入力します。
  • 補助科目:取得価額が「10万円以上20万円未満」であることから「20万円未満」という補助科目を選択入力します。
  • 金額:「請求の金額」である「140,400円」を入力します。
③借方(右側)の入力

「振替伝票」の「貸方(右側)」には、「請求書」から以下のものを入力します。

  • 勘定科目「未払金」、補助科目「㈱C商店」、金額「140,400円(購入に係る運送費・据付費も含めた「請求金額」となります。)」
④摘要の入力

4月10日の請求書」に基づいて入力したことを備考として記入しておきます。

振替伝票入力時の留意点

上記例示①と同様に、「借方合計金額」と「貸方合計金額」が一致しており、「貸借バランス」がゼロとなっていることを確認します。

⑤「登録」ボタン

上記の①~④の入力が完了したら、「振替伝票」画面右上の「登録ボタンを押します。

 

3)「請求書」への「入力済み」の記入

「振替伝票」の登録が完了した時点で、「請求書」に「入力済み」を手書記入します。

後払購買取引(購入取引)の振替伝票入力例示③(入力済み)

 

 

Ⅲ:伝票辞書機能の利用

会計ソフト(弥生会計)におきましては、「伝票辞書機能」という振替伝票入力の効率化を図ることができる機能があります。

例えば「掛仕入取引(後払仕入取引)」が毎月経常的に発生し、かつ多くの仕入先があるような場合には、この「伝票辞書機能」を利用することにより、効率的に「振替伝票入力」を行うことが可能となります。

伝票辞書機能につきましての詳細は、⇒「弥生会計:伝票辞書機能」をご覧ください。

以下では、この「伝票辞書機能」を利用して、『「掛仕入取引(後払仕入取引)」における「購入取引」』を「振替伝票」に入力する方法をご紹介させて頂きます。

 

1、伝票辞書への登録

「伝票辞書機能」を利用して振替伝票入力を行うためには、まず『「掛仕入取引」における「購入取引」』のうち「定型的部分」を伝票辞書に登録することが必要となります。

この伝票辞書への具体的な登録手順につきましては、

弥生会計:伝票辞書機能」の「Ⅱ:振替伝票の新規登録の仕方」をご覧ください。

 

伝票辞書登録方法の例示

上記Ⅱでご紹介致しました「㈱A商店」に対する「掛仕入取引」を「伝票辞書」に登録する場合には、以下のような「伝票」を登録します。

なお、「すべての支払先」に共通して利用できる「振替伝票」として登録するためには、「買掛金に対する補助科目」に「㈱A商店」を記入せず「空欄」にして登録して下さい。

掛仕入取引(購入取引)の伝票登録

 

2、伝票辞書の呼出入力

『「掛仕入取引」における「購入取引」』を「振替伝票」に入力する場合には、上記で「登録した振替伝票」を呼び出すことによって入力します。

この振替伝票入力時における伝票呼出入力手順につきましては、

弥生会計:伝票辞書機能」の「Ⅲ:「伝票辞書」の呼出による「振替伝票」への入力」をご覧ください。

 

登録した「振替伝票」の呼出入力の例示

「振替伝票」入力では、

  • 登録した「振替伝票」を呼び出すとともに
  • 「登録している部分以外の入力」を行います。
    ⇒具体的には、「日付」「金額」「摘要欄の月」の入力を行います。
    (なお、「買掛金に対する補助科目を「空欄」で登録している場合には、「補助科目」の入力も行います。)

掛仕入取引(購入取引)の登録伝票呼出入力

 

 

Ⅳ:「購入取引」の入力後確認

「請求書」から「振替伝票」に入力する場合に、

  • 「請求書」の入力漏れがある場合には、仕入、経費、固定資産の過少計上となることから「費用の過少計上」「減価償却費の過少計上」が生じ、本来支払う必要のない法人税、消費税等を支払うことになります。
  • 他方、「納品書」を二重計上してしまった場合には、仕入、経費、固定資産の過大計上となることから「費用の過大計上」「減価償却費の過大計上」が生じ、税務調査等で指摘を受けた場合には、ペナルティが課せられます。

このため、「請求書」から「振替伝票」に入力を行う場合には、入力漏れがないか二重計上がないかを確認することが必須となります。

従いまして、「請求書」から「振替伝票」への入力が完了した時点において、以下の確認を行うことにより、適切に入力がなされていることをご確認下さい。

 

1、すべての「請求書」が「振替伝票」に入力されていることの確認

すべての「請求書」が漏れなく「振替伝票」に入力されていることを確認するために、

すべての「請求書」に「入力済み」の記入がなされていることを確認します。

 

2、「仕訳日記帳」の確認

現金の入金・出金」や「預金の預入・引出」を伴わない取引を「振替伝票」から入力した場合には、「現金出納帳」や「預金出納帳」には記載されません

このような取引の「振替伝票からの入力内容」を確認するためには、

  • 「総勘定元帳(仕入高、各経費勘定科目、各固定資産勘定科目)」又は「総勘定元帳(買掛金、未払金)」
  • 「補助元帳(仕入高、各経費勘定科目、各固定資産勘定科目)」又は「補助元帳(買掛金、未払金)」
  • 仕訳日記帳

のいずれかで確認することが必要となります。

仕訳日記帳

「仕訳日記帳」とは、会計ソフトに入力したすべての入力内容が、仕訳の形で表示される「会計帳簿」となります。

振替伝票」を通じて会計ソフトに入力されたものを確認する場合には、この「仕訳日記帳」により確認することができます。

以下では、「仕訳日記帳」で入力内容を確認する方法をご紹介させて頂きます。

 

1)仕訳日記帳の確認

「仕訳日記帳」にアクセスし、「納品書日付の該当月」を選択します。

該当月に会計帳簿に入力された取引が、すべて「仕訳」の形で一覧表示されますので、このうち、

「請求書」から入力された「購入取引」が、「仕訳日記帳」に「漏れることなく」かつ「重複することなく」計上されていることを確認して下さい。

後払購買取引(購入取引)の仕訳日記帳確認

 

2)「請求書」と「仕訳日記帳」との照合確認

請求書」と「仕訳日記帳における仕訳」の記載内容一致を確認して下さい。

後払購買(購入取引)入力内の確認(請求書と仕訳日記帳との照合)

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

『「後払購買取引」における「購入取引(仕入計上取引、経費計上取引、固定資産計上取引)」』の「会計帳簿」への入力につきましては、「振替伝票」によって行うことが必要となることから、会計帳簿への入力に不慣れな段階では、少し戸惑うこともあると思います。

ただし、「振替伝票」への入力自体は、一旦「仕訳内容」や「振替伝票への入力方法等」を理解して頂ければ、それ程難しいものではなくなると思います。

 

『「後払購買取引」における「購入取引」』の「会計帳簿(振替伝票)」への入力におきましても、やはり最大のkeyPointとなるのは、「勘定科目の選択入力」や「補助科目の選択入力」になると思います。

この点「後払購買取引」は、代金支払が後日となることから、
継続的、定型的に行われる「仕入取引」や「一部の経費取引」以外では、頻繁に行われるものではないために、
「勘定科目の選択入力」や「補助科目の選択入力」もある程度定型的なものとなると思います。
また、「振替伝票の入力」にあたり「伝票辞書機能」を利用すると、ある程度効率的な入力も可能となると思います。

ただし、会計帳簿への入力が初めての場合等では、簿記等で定められている『購買取引に係る「勘定科目」』は多く存在しますので、どのような「勘定科目」を使えばよいのか戸惑う場合が多いと思います。
このような場合には、必要がある都度、上記Ⅰの3(2)でご紹介させて頂いておりますリンクページを参考にして頂く等により、少しづつ馴れて頂きますようお願い致します。