ここでは『法定手当の計算基礎となる「給与支給額の範囲」』につき、以下の項目に従い、ご紹介させて頂きます。

 

 

 

Ⅰ:『法定手当の計算基礎となる「賃金の範囲」』の理解の必要性

1、「法定手当」の計算概要 と 「1時間あたりの賃金額」の計算方法

見出(見出矢印:背景水色)会社におきましては、従業員が「法定労働時間外の労働を行った場合」「深夜時間帯に労働を行った場合」「法定休日に労働を行った場合」には、
労働基準法」に基づいて「法定手当(「時間外労働手当」「深夜労働手当」「法定休日労働手当」)」を計算することが必要となります。

 

見出(見出矢印:背景水色)そして、この「法定手当」につきましは、「労働基準法」に基づき、

 「1時間あたりの賃金額」  ×  「割増賃金率」  ×  「各種労働時間

という計算式により算定することが必要となりますが、

 

見出(見出矢印:背景水色)上記の「1時間あたりの賃金額」を計算する場合には、さらに、

【月給制の場合】

月給」  ÷  「1ヶ月の平均所定労働時間

【日給制の場合】

日給」  ÷  「1日の所定労働時間

【時給制の場合】

時給

という計算を行うことが必要となります。

 

2、『法定手当の計算基礎となる「賃金」の範囲』の理解の必要性

上記1でご紹介させて頂きました「1時間あたりの賃金額」を計算する場合には、
その前提として「月給」「日給」「時給」を把握することが必要となりますが、

労働基準法」等には、この『「月給」「日給」「時給」に含めなければならない「給与支給額の範囲」』についても規定されています。

このため、「法定手当」を適切に計算するためには(「1時間あたりの賃金額」を適切に計算するためには)、まずその前提として、

『「1時間あたりの賃金額の計算基礎としなければならない給与支給額の範囲」』を適切に理解しておくことが必要となります。

 

当該ページにおきましては、

この『「1時間あたりの賃金額」の計算基礎としなければならない「給与支給額」』にはどのようなものが含まれるのか?をご紹介させて頂きます。

 

 

Ⅱ:「1時間あたりの賃金額」の算定対象となる「給与支給額の範囲」の概要

見出三角(小) 『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額」』に含めることが必要となる「給与支給額の範囲」につきましては、労働基準法37条1項にその規定があり、

『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額」』を算定する場合には、

原則、「通常の労働時間又は労働日賃金」に基づいて計算することが必要となる。

と規定されています。

 

このため、『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額」』を算定する場合には、
『「通常労働時間又は労働日賃金」として支給される「給与支給額のすべて 」』を含めて計算することが原則的本来的)な取り扱いとなります。

 

見出三角(小) 他方、

「通常の労働時間又は労働日の賃金」として支給される給与支給額の中には、労働との直接的な関係が薄く、従業員の個人的な事情等に基づいて支給されるものがあることから、

労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」では、別途

「給与支給額」の中に

 家族手当扶養手当)  ②  通勤手当  ③  別居手当単身赴任手当)  ④  子女教育手当    住宅手当

⑥  臨時に支払われた賃金  ⑦  一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

がある場合には、

例外的に、この「7項目に限り、『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から除外することができる

という規定を設けています。

 

見出三角(小)従いまして、労働基準法等に沿って、『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額」』を算定する場合には、

見出(見出矢印:背景水色)まず、

『「通常労働時間又は労働日賃金」として支給される給与支給額』をベースとして

見出(見出矢印:背景水色)会社の判断により

給与支給額に含まれている ①  家族手当扶養手当) ②  通勤手当 ③  別居手当単身赴任手当) ④  子女教育手当 ⑤  住宅手当 ⑥  臨時に支払われた賃金 ⑦  一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

すべて又は一部を除外して計算することができる

こととなります。

 

法定手当の算定基礎金額①

 

なお、実務上、『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額」』を算定する場合には、

  • まず算定基礎金額のベースとなる「通常の労働時間又は労働日の賃金」にはどのようなものが含まれるのか
  • 除外項目である7つの項目」とはどのようなものであることが必要なのか

をさらに理解しておくことが必要となります。

 

見出(見出矢印:背景水色)このため、以下Ⅲにおきまして、

『「通常の労働時間又は労働日の賃金の範囲 』をご紹介させて頂くとともに、

見出(見出矢印:背景水色)以下Ⅳにおきまして、

除外項目である7つの項目に対する注意事項 』をご紹介させて頂きます。

 

Ⅲ:「通常の労働時間又は労働日の賃金」の範囲

上記のⅡでご紹介させて頂きましたように、『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額」』を算定するためには、そのベースとなる通常の労働時間又は労働日賃金」の範囲』を理解することが必要となります。

このため、ここでは、

見出(見出矢印:背景水色)以下1において、
・「通常の労働時間又は労働日の賃金」とはどのような内容のものであるか
・『「通常の労働時間又は労働日の賃金とならない給与支給額』にはどのようなものがあるのか
をご紹介させて頂くとともに、

見出(見出矢印:背景水色)以下2において、
『「通常の労働時間又は労働日の賃金とならない支給額』についての注意点
をご紹介させて頂きます。

 

1、「通常の労働時間又は労働日の賃金」とは

見出三角(小)「給与支給額」が「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当するためには、

まず、従業員に支払われる「給与支給額」が、

賃金」として支給されたものであることが要件となります。

すなわち、「給与支給額」が「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当するためには、

「給与支給額」が『労働の対償労働の対価)として支払われる「賃金」』に該当するものであることが必要となります。

 

従いまして、この点から、

見出丸(小:背景ハダ色) 旅費交通費の実費精算的な意味合いで支給されている「出張手当」や、

見出丸(小:背景ハダ色) 従業員が立替払した会社経費(交際費、旅費交通費等)を実費精算するため支給される「立替経費実費精算額」は、

・「会社の経費」を実費精算するために支給されたものであり、
・『「労働の対価」である「賃金」』として支給されたものでないことから、
通常の労働時間又は労働日の賃金」には該当しないものとなると考えられます。

すなわち、

「給与支給額」に「出張手当」や「立替経費の実費精算額」が含まれている場合には、

これらの「出張手当」や「立替経費の実費精算額」は、
・「賃金に該当しないという観点から、
・「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当せず、『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から除外することとなります

 

見出三角(小)また、「給与支給額」が通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当するためには、

従業員に支払われる「給与支給額」が、

通常の労働時間又は労働日に係る労働」に対して支給されるものであることが要件となります。

すなわち、「給与支給額」が「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当するためには、

「給与支給額」が『「所定労働時間内各種労働・作業」に対して支給されるもの 』に該当するものであることが必要となります。

 

従いまして、この点から、

見出丸(小:背景ハダ色)通常の所定時間外」に「監視または断続的な軽微労働」に従事したことにより支給される「宿直手当日直手当」や

見出丸(小:背景ハダ色)所定時間外の労働」に対して支給される「時間外労働手当(ex. 法定手当自体、 みなし残業代法定内残業手当等)」は、

「所定労働時間内の各種労働・作業」に対して支給されるものではないことから、
通常の労働時間又は労働日の賃金」には該当しないものとなると考えられます。

すなわち、

「給与支給額」に「宿直手当日直手当」や「時間外労働手当」が含まれている場合には、

これらの「宿直手当・日直手当」や「時間外労働手当」は、
・「通常の所定労働時間内の各種労働・作業に対して支給されるものでないという観点から、
・「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当せず、『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から除外することとなります

 

法定手当の算定基礎金額②

 

2、『「通常の労働時間又は労働日の賃金」とならない支給額』の注意点

1)「出張手当」の注意点

上記1におきまして「出張手当」は、『 法定手当の計算要素である「1時間あたりの賃金額計算」から除外されるもの』としてご紹介させて頂きましたが、

「出張手当」を「1時間あたりの賃金額計算」から除外するのは、

「出張手当」が、
出張に伴う「宿泊料」「少額交通費」を実費精算等する代わりに支給されるものである

ということを根拠としています。

 

このため、

出張手当」が、

見出(見出矢印:背景水色)出張の事実に無関係に支給されている(ex.毎月固定的に支給されている)場合や、

見出(見出矢印:背景水色)『出張に伴う「宿泊費」「少額交通費」「現地での諸経費」に対する実費精算金額』等を大きく超えて多額に支給されている場合には、

当該「出張手当」は、

・「実費精算的な給与支給額」であるという性格が薄れ
・「労働の対価賃金)」としての性格を強く持つものとなってしまいます。

従いまして、「出張手当」がこのような支給実態を伴って支給されている場合には、
・たとえ「出張手当」という名目で支給されていても
・その支給実態から判断すると「労働の対価賃金)」と看做され
「1時間あたりの賃金額」の算定ベースとなる通常の労働時間又は労働日の賃金」から除外することができなくなる可能性が高くなると考えますので、この点ご注意頂ますようお願い致します。

 

2)「宿直・日直手当」「時間外労働手当」の注意点

上記1におきまして「宿直・日直手当」「時間外労働手当」は、『 法定手当の計算要素である「1時間あたりの賃金額計算」から除外されるもの』としてご紹介させて頂きましたが、

「宿直・日直手当」「時間外労働手当」を「1時間あたりの賃金額計算」から除外するのは、

「宿直・日直手当」「時間外労働手当」が、
所定時間外の労働・作業」に対して支給される賃金である

ということを根拠としています。

 

このため、

見出(見出矢印:背景水色)「宿直・日直手当」が、
宿日直の事実に無関係に支給されている(ex.毎月固定的に支給されている)場合や、

見出(見出矢印:背景水色)「時間外手当」が、
基本給等の一部を「残業手当等の名目で支給しているものに過ぎない場合には、

当該「宿直・日直手当」や「時間外手当」は、

・「所定時間外の労働・作業に対して支給される賃金」であるという性格が薄れ
・「所定時間内の労働・作業に対して支給される賃金」であるという性格を強く持つものとなってしまいます。

従いまして、「宿直・日直手当」や「時間外手当」がこのような支給実態を伴って支給されている場合には、
・たとえ「宿直・日直手当」「時間外労働手当」という名目で支給されていても
・その支給実態から判断すると「所定時間内の労働に対して支給される賃金」と看做され
「1時間あたりの賃金額」の算定ベースとなる通常の労働時間又は労働日の賃金」から除外することができなくなる可能性が高くなると考えますので、この点ご注意頂ますようお願い致します。

 

 

Ⅳ:「除外項目」についての注意点

上記Ⅱでご紹介させて頂きましたように、『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額」』を計算する場合には、『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」に規定されている「7つの項目」』を除外して計算することができますが、

これら「7つの項目」を実務上除外して計算するためには、より詳細な要件クリアしておくことが必要となります。

 

このため、ここでは、

見出(見出矢印:背景水色)以下1におきまして、『「7つの項目」を「1時間あたりの賃金額計算」から除外する』ためにご注意頂きたい点(全般的注意点)をご紹介させて頂きますとともに、

見出(見出矢印:背景水色)以下2におきまして、「各項目ごと」に『それぞれを「1時間あたりの賃金額計算」から除外する』ためにご注意頂きたい点をご紹介させて頂きます。

 

1、「除外項目」についての全般的な注意点

『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」に規定されている「7つの項目」』を「1時間あたりの賃金額計算」において除外する場合には、まず以下の2点にご留意頂くことが必要となります。

 

1)注意点1 (7項目以外の項目は除外できない点)

『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」で規定されている「7つの除外項目」』は、

「1時間あたりの賃金額計算」において除外する項目を「例示的に規定したもの」ではなく

「1時間あたりの賃金額計算」において控除する項目を「限定的に規定したもの」となります。

このため、「1時間あたりの賃金額計算」において「除外できる項目」は、

『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」で規定されている「7つの項目」』のみとなります。

 

2)注意点2 (支給実態の必要性)

「1時間あたりの賃金額計算」において、『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」で規定されている「7つの項目」』を除外する場合には、

「それぞれの項目」が「それぞれの支給目的に適合する実態」を伴って支給されていることが必要となります。

 

従いまして、「給与支給額」が、
名目上は「除外項目に該当する手当の名称」で支給されていたとしても、
・「除外項目が持つの支給目的に適合するような実態」を伴って支給されていない場合には、
当該「給与支給金額」は、「1時間あたりの賃金額計算」から除外することはできないものとなります。

 

2、各除外項目の注意点

上記1(2)で『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」で規定されている「7つの項目」』を「1時間あたりの賃金額計算」から除外する場合には、
「それぞれの除外項目がもつ支給目的に適合する実態」を伴って支給されていることが必要となることをご紹介させて頂きましたが、

ここでは、この点につき、さらに各項目ごとに「1時間あたりの賃金計算」から除外するための要件 』についてご紹介させて頂きます。

 

1)家族手当(扶養手当)

『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から「家族手当(扶養手当)」を除外するためには、

「家族手当(扶養手当)」がそれが持つ目的に適合する実態を伴って支給されていることが必要となります。

すなわち、『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から「家族手当(扶養手当)」を除外するためには、

「家族手当(扶養手当)」が、扶養家族数又はこれを基礎とする家族手当額基準として支給されていることが必要となります。
厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?」

 

見出三角(小) 従いまして、「家族手当(扶養手当)」が、
「扶養義務のある家族1人につき、1ヶ月あたり配偶者1万円、その他の家族5千円を支給する」等のように、
扶養家族のある労働者に対し、家族の人数に応じて支給されている場合には、

当該「家族手当(扶養手当)」は、「1時間あたりの賃金額計算」から控除することはできますが、

 

見出三角(小) 他方、「家族手当(扶養手当)」が、
「扶養家族の人数に関係なく、一律 1 か月1 万5 千円を支給する」等のように、
扶養家族の有無家族の人数に関係なく一律に支給されている場合には、

当該「家族手当(扶養手当)」は、「1時間あたりの賃金額計算」から控除することはできません

 

2)通勤手当

『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から「通勤手当」を除外するためには、

「通勤手当」がそれが持つ目的に適合する実態を伴って支給されていることが必要となります。

すなわち、『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から「通勤手当」を除外するためには、

「通勤手当」が、労働者の通勤距離又は通勤に要する実際費用に応じて支給されていることが必要となります。
厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?」

 

見出三角(小) 従いまして、「通勤手当」が、
「6 か月定期券の金額に応じた費用を支給する場合」等のように、
通勤に要した費用に応じて支給されている場合には、

当該「通勤手当」は、「1時間あたりの賃金額計算」から控除することはできますが、

 

見出三角(小) 他方、「通勤手当」が、
「実際の通勤距離にかかわらず 1日300円を支給する」等のように、
通勤に要した費用通勤距離関係なく一律に支給されている場合には、

当該「家族手当(扶養手当)」は、「1時間あたりの賃金額計算」から控除することはできません

 

3)別居手当(単身赴任手当)

一般的に「別居手当(単身赴任手当)」とは、

会社都合により転勤等する場合で、通勤・勤務の都合により同一世帯の扶養家族と別居を余儀なくされる従業員に対して、
世帯二分されることにより増加する従業員個人の生活費を補う目的で支給される手当のことをいいますが、

 

見出三角(小) 「別居手当(単身赴任手当)」につきましては、
上記「家族手当」「通勤手当」のように厚生労働省が公表する割増賃金の基礎となる賃金とは?」に、「その定義」や『「1時間あたりの賃金額」から除外することができる要件』が明示されていません

このため、あくまで「私見」となりますが、

「別居手当(単身赴任手当)」を『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から除外するためには、

「別居手当(単身赴任手当)」が

会社都合の転勤命令等に伴う従業員自身の転居により、世帯が2分された者に対して支給されており、
・かつ、別居等により増加した生活費用等に応じて支給されている等

支給目的に適合する実態を伴って「別居手当(単身赴任手当)」が支給されていることが必要となると考えます。

 

4)子女教育手当

一般的に「子女教育手当」とは、

子どもを扶養する従業員に対して、「子どもの教育費支援する目的」等で支給されるもので、
教育費負担が重くなる一定の期間を定め、その間重点的に支給される手当のことをいいますが、

 

見出三角(小) 「子女教育手当」につきましても、
上記の「別居手当」と同様、厚生労働省が公表する割増賃金の基礎となる賃金とは?」に、「その定義」や『「1時間あたりの賃金額」から除外することができる要件』が明示されていません

このため、これにつきましてもあくまで「私見」となりますが、

「子女教育手当」を『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から除外するためには、

・支給対象となる子女の年齢学校種別等の支給対象範囲を明確にし、
・「対象となる子供の人数」や「実際の教育費」等を基準として支給されている等

支給目的に適合する実態を伴って「子女教育手当」が支給されていることが必要となると考えます。

 

5)住宅手当

『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から「家族手当(扶養手当)」を除外するためには、

「家族手当(扶養手当)」がそれが持つ目的に適合する実態を伴って支給されていることが必要となります。

すなわち、『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から「住宅手当」を除外するためには、

「住宅手当」が、住宅に要する費用家賃住宅購入・管理費用)」に応じて支給されていることが必要となります。
厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?」

 

見出三角(小) 従いまして、「住宅手当」が、
『賃貸住宅居住者には「家賃の●●%」、持家居住者には「ローン月額の●●%」を支給する』
「家賃月額5~10万円の者には2万円、家賃月額10万円を超える者には3万円を支給する」等のように、
住宅に要する費用に応じて支給されている場合には、

当該「住宅手当」は、「1時間あたりの賃金額計算」から控除することはできますが、

 

見出三角(小) 他方、「住宅手当」が、
「賃貸住宅居住者には  2万円、持家居住者には1万円を支給する場」等のように、
単に、住宅の形態ごとに一律定額で支給されているのみである場合には、

当該「住宅手当」は、「1時間あたりの賃金額計算」から控除することはできません

 

6)臨時に支払われた賃金

『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から除外することができる「臨時に支払われた賃金」とは、

見出丸(小:背景ハダ色) 臨時的突発的事由に基づいて支払われたもの

見出丸(小:背景ハダ色) 結婚手当支給条件は予め確定されているが、支給事由の発生不確定であり、且つ非常に稀に発生するもの

をいうとされています。(S22.9.13 基発第17号

 

このため、「1時間あたりの賃金額計算」から除外することができる「臨時に支払われた賃金」は、

具体的には「結婚手当」「私傷病手当」「加療見舞金」「退職金」等に限られるとされています。

 

7)一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額計算」』から除外することができる「一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは、

見出丸(小:背景ハダ色) 一箇月を超える期間の出勤成績によつて支給される「精勤手当
 
見出丸(小:背景ハダ色) 一箇月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される「勤続手当
 
見出丸(小:背景ハダ色) 一箇月を超える期間にわたる事由によつて算定される「奨励加給」又は「能率手当

とされています。(労働基準法施行規則8条

 

見出三角(小) 従いまして、「精勤手当」「勤続手当」「奨励加給」「能率手当」が、
1ヶ月間を超える期間判定期間として支給されている場合には、
当該「精勤手当」「勤続手当」「奨励加給」「能率手当」は、「1時間あたりの賃金額計算」から控除することはできますが、

 

見出三角(小) 他方、同じ「精勤手当」「勤続手当」「奨励加給」「能率手当」であっても、
1ヶ月以内の期間判定期間として支給されている場合には、
当該「精勤手当」「勤続手当」「奨励加給」「能率手当」は、「一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」には該当せず、「1時間あたりの賃金額計算」から控除することはできません

 

 

Ⅴ:まとめ

上記Ⅱ~Ⅳでご紹介させて頂きました内容をまとめると、以下のようなものとなります。

 

  通常の労働時間又は労働日の賃金 「通常の労働時間又は労働日の賃金」ではないもの
法定手当の算定基礎
含まれるもの
法定手当の算定基礎
から除外できるもの※1
法定手当の算定基礎
含まれないもの※2


・基本手当



・役職手当

・技能手当、資格手当

・地域手当

・特定作業手当

 etc.

・家族手当、扶養手当

・通勤手当

・別居手当、単身赴任手当

・子女教育手当

・住宅手当

・臨時に支払われた賃金

・一箇月を超える期間
ごとに支払われる賃金

・出張手当

・立替経費の実費精算金額

・宿直手当、日直手当

・法定内時間外手当




・法定手当

・みなし残業代

 

◆ 「除外項目」の支給要件(※1)

『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」に規定されている「7つの項目」』を「1時間あたりの賃金額計算」において除外する場合には、
以下のような実態を伴って支給されていることが必要となります。

 

除外項目 除外するための支給要件
家族手当(扶養手当) 扶養家族数又はこれを基礎とする家族手当額を基準として支給されていること
通勤手当 通勤距離又は通勤に要する実際費用に応じて支給されていること
別居手当(単身赴任手当) ・会社都合の転勤命令等に伴う従業員自身の転居により、世帯が2分された者に支給されており、
・かつ、別居等により増加した生活費用等に応じて支給されているものであること
子女教育手当 ・支給対象となる子女の年齢学校種別等の支給対象範囲明確にし
・「対象となる子供の人数」や「実際の教育費」等を基準として支給されていること
住宅手当 住宅に要する費用家賃住宅購入・管理費用)」に応じて支給されていること
臨時に支払われた賃金 結婚手当」「私傷病手当」「加療見舞金」「退職金」等であること
一箇月を超える期間
ごとに支払われる賃金
精勤手当」「勤続手当」「奨励加給」「能率手当」が、
1ヶ月間を超える期間判定期間として支給されていること

 

◆ 「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当しないための要件(※2)

「出張手当」、「宿日直手当」「時間外手当」を「1時間あたりの賃金額計算」において除外する場合には、
以下のような実態を伴って支給されていることが必要となります。

 

項目 「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当しないための要件
出張手当 実費精算的に支給されていること
宿直手当、日直手当 所定労働時間外の宿直・日直業務に対して支給されていること
法定内時間外手当
法定手当
所定労働時間外の労働に対して支給されていること

 

法定手当の算定基礎金額③

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

ここでは『法定手当の計算基礎となる「賃金の範囲」』、すなわち『 法定手当の計算要素となる「1時間あたりの賃金額」の対象となる「給与支給額の範囲」』をご紹介させて頂いております。

 

『「1時間あたりの賃金額」の算定対象となる「給与支給額の範囲」』の理解の重要性

「労働基準法」におきましては、『「法定手当」の計算基礎となる「給与支給額の範囲 」』についても規定されているため、
適切・適法に「法定手当」を計算するためには、まず『その計算基礎となる「給与支給額の範囲」 』を適切に把握することが必要となります。

この点、仮に『「法定手当」の計算基礎となる「給与支給額」の算定 』に誤りがある場合には、
いくらその後の「法定手当」計算がすべて適切になされた場合であっても、
結果として『「残業代金」の計算誤り』が発生してしまい、会社にとって「未払い残業代」等の潜在的なリスクを生んでしまうこととなります。

このため、「法定手当」を計算する場合には、その前提として、
『「法定手当」の計算基礎とすべき「給与支給額」の算定 』に誤りがないか?等のご確認をして頂くことは最も重要なものとなると考えます。

 

また、近年におきましては、会社と従業員との間において「未払い残業代」等に関する争いが多発していることから、

  • 会社の「法定手当の計算」は、適切に計算されているのか?
  • 『「法定手当」の計算基礎としている「給与支給範囲」』は適切に算定・計算されているか?

につきましては、今一度、十分ご確認して頂くことが重要であると考えます。

 

『「1時間あたりの賃金額」の算定対象となる「給与支給額の範囲」』の周知性につきまして

上記Ⅱ~Ⅳでは『「1時間あたりの賃金額」の算定対象となる「給与支給額の範囲」』についてご紹介させて頂いておりますが、

「労働基準法」においては、『「1時間あたりの賃金額」の算定対象となる「給与支給額の範囲」』は、
あくまで『「通常の労働時間又は労働日の賃金」すべて 』を対象とすることを原則としていますので、

実務上「法定手当」を計算する場合に、
「通常の労働時間又は労働日の賃金」から『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」で規定されている「7つの項目」』を除外する場合には、

  • 予め「賃金計算規定」「就業規則」等において『「法定手当」の計算基礎から除外する項目」』を明示し、
  • 従業員等に『「法定手当」の計算要素となる「給与支給額の範囲」』を周知しておくことが必要であると考えます。

 

最後に

「給与支給額」につきましては、それぞれの会社におきまして『「多様な名称のもの」が「多様な目的」で支給されている 』ことがあり、

法律や厚生労働省の通達文書・公表文書等からのみでは、会社で支給する給与支給額を『「法定手当」の計算基礎となる「給与支給額」から除外できるのか否か 』の判断に悩むこともあると思います。

このため、
会社で支給する「給与支給額」が『「法定手当」の計算基礎となる「給与支給額の範囲」に含めなければならないか否か? 』等に疑問が生じる場合には、弁護士等の法律の専門家へ事前又は適時にご相談していただき、
「未払い残業代」等の「潜在的なリスク」は、放置せずできるだけ早い段階で解消しておいて頂ますようお願い致します。