ここでは『 法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』につき、以下の項目に従い、ご紹介させて頂きます。

 

 

 

▶ 『法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』の理解の必要性

◆ 「法定手当」の計算概要  と 「1時間あたりの賃金額」の計算方法 ◆

アクセント矢印(背景透明)会社におきましては、従業員が「法定労働時間外の労働を行った場合」「深夜時間帯に労働を行った場合」「法定休日に労働を行った場合」には、
労働基準法」に基づいて「法定手当(「時間外労働手当」「深夜労働手当」「法定休日労働手当」)」を計算することが必要となります。

 

アクセント矢印(背景透明)そして、この「法定手当」につきましは、「労働基準法」に基づき、

 「1時間あたりの賃金額」  ×  「割増賃金率」  ×  「各種労働時間

という計算式により算定することが必要となりますが、

 

アクセント矢印(背景透明)上記の計算式における「1時間あたりの賃金額」を算定するためには、さらに、

【年俸制の場合】

『 法定手当の計算対象となる「年俸額」』  ÷  「1年間の所定労働時間

【月給制の場合】

『 法定手当の計算対象となる「月給額」』  ÷  「1ヶ月の(平均所定労働時間

【週給制の場合】

『 法定手当の計算対象となる「週給額」』  ÷  「1週間の(平均所定労働時間

【日給制の場合】

『 法定手当の計算対象となる「日給」』   ÷  「1日の所定労働時間

【時給制の場合】

『 法定手当の計算対象となる「時給」』

【歩合給制の場合】

『 法定手当の計算対象となる「歩合給額」』  ÷  「歩合労働に係る労働時間

という計算を行い算定することが必要となります。

 

◆ 『法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』の理解の必要性 ◆

アクセント矢印(背景透明)上記でご紹介させて頂きましたように、『 法定手当の計算基礎となる「1時間あたりの賃金額」』を計算する場合には、

その前提として、『 法定手当の計算対象となる年俸」「月給」「週給」「日給」「時給」「歩合給」』を把握することが必要となりますが、

この『 法定手当の計算対象となる「年俸」「月給」「週休」「日給」「時給」「歩合給」』につきましては、

『 それらに含めなければならない給与支給額の範囲」』が「労働基準法」等に規定されているため、

 

アクセント矢印(背景透明)「1時間あたりの賃金額」を適切に計算するためには、まずその前提として、

労働基準法等規定されている法定手当の計算対象としなければならない給与支給額の範囲」』を適切に理解しておくことが必要となります。

 

◆ 当該ページでご紹介させて頂く内容 ◆

従いまして、当該ページにおきましては、

この『 法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』にはどのような給与支給額が含まれるのか?を具体的にご紹介させて頂きます。

 

 

Ⅰ:『 法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』の概要

◆ 『 法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』に係る規定① ◆

アクセント三角(小:背景透明)『 法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』につきましては、まず、労働基準法37条1項にその規定があり、

「法定手当」を算定する場合には、「通常の労働時間又は労働日賃金」に基づいて計算することが必要となる。

と規定されています。

 

アクセント三角(小:背景透明) このため、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』を考える場合には、

その「給与支給額」が『「通常労働時間又は労働日賃金」として支給される「給与支給額 」』であるか否かを判断することが必要となり、

アクセント矢印(背景透明)『「通常の労働時間又は労働日の賃金」として支給されてる給与支給額」』は、

原則、『法定手当の計算対象となる「給与支給額」』に含まれるものとなり、

アクセント矢印(背景透明)『「通常の労働時間又は労働日の賃金」として支給されてない給与支給額等」』は、

この観点から、『法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』から除外されることとなります。

 

◆ 『 法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』に係る規定② ◆

アクセント三角(小:背景透明) また、上記の規定①とともに、「 労働基準法37条5項 」及び「 労働基準法施行規則21条 」には、

「給与支給額」の中に

 家族手当扶養手当)  ②  通勤手当  ③  別居手当単身赴任手当)  ④  子女教育手当    住宅手当

⑥  臨時に支払われた賃金  ⑦  一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

がある場合には、

例外的に、この「7つの項目に限っては『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』には算入しない

という規定も設けられています。

 

アクセント三角(小:背景透明) このため、

「給与支給額」の中に、

 家族手当扶養手当)  ②  通勤手当  ③  別居手当単身赴任手当)  ④  子女教育手当    住宅手当
⑥  臨時に支払われた賃金  ⑦  一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金  がある場合には、

これら「7つの項目」を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外して計算することができます

 

▶  参考:上記規定の制度趣旨       

 

◆ 『 法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』の概要 ◆

以上の規定①及び規定②の内容から、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』を算定する場合には、

『「通常労働時間又は労働日賃金」として支給される給与支給額』から

 ①  家族手当扶養手当) ②  通勤手当 ③  別居手当単身赴任手当) ④  子女教育手当 ⑤  住宅手当 ⑥  臨時に支払われた賃金 ⑦  一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

除外して計算することとなります。

 

法定手当の算定基礎金額①

 

◆ 「Ⅱ~Ⅲでご紹介させて頂く内容」につきまして ◆

なお実務上、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』を把握する場合には、

  • 通常の労働時間又は労働日の賃金という観点から『  法定手当の計算対象となる「給与支給額」から除外される給与支給額等 』にはどのようなものがあるのか
  • 『「労働基準法37条5項」や「 労働基準法施行規則21条 」で規定されている「7つの項目」はのようなものであることが必要なのか

をさらに理解しておくことが必要となります。

 

アクセント矢印(背景透明)このため、以下Ⅱにおきましては、

『「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当しない給与支給額等 』の具体的な内容及びそれらについての注意事項をご紹介させて頂くとともに、

アクセント矢印(背景透明)以下Ⅲにおきましては、

除外項目である7つの項目」』の具体的な内容及びそれらについての注意事項をご紹介させて頂きます。

 

 

Ⅱ:「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当しない給与支給額等

上記Ⅰでご紹介させて頂きましたように、

『「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当しない給与支給額等 』は、

『法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』から除外されることとなります。

 

このため、ここでは、

アクセント矢印(背景透明)以下1において、
『「通常の労働時間又は労働日の賃金に該当しない給与支給額等 』にはどのようなものがあるのか
をご紹介させて頂くとともに、

アクセント矢印(背景透明)以下2において、
『「通常の労働時間又は労働日の賃金に該当しない給与支給額等 』であると認められるために注意しておかなければならない事項をご紹介させて頂きます。

 

1、「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当しない給与支給額等

◆ 「賃金」に該当しない給与支給額等 ◆

アクセント三角(小:背景透明)「給与支給額」が「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当するためには、

まず、従業員に支払われる「給与支給額」が、

賃金」として支給されたものであること
すなわち、「労働の対償労働の対価)として支払われたもの」であることが必要となりますが、

 

アクセント三角(小:背景透明)この点、

 

アクセント丸(小:背景透明) 旅費交通費の実費精算的な意味合いで支給されている「出張手当」や、

アクセント丸(小:背景透明) 従業員が立替払した会社経費(交際費、旅費交通費等)を実費精算するため支給される「立替経費実費精算額」など

『「最終的会社の経費となるもの」を「実費精算する目的で支給されている給与支給額等」』につきましては、

『「労働の対価」である「賃金」』として支給されたものでないことから、

通常の労働時間又は労働日の賃金」には該当しないものとなると考えられます。

 

このため、「出張手当」や「立替経費の実費精算額」などの「実費精算目的の給与支給額等」が支給されている場合には、

これらの「出張手当」や「立替経費の実費精算額」などの「実費精算のための支給額等」は、

・「賃金に該当しないという観点から、
・「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当せず

『 法定手当の計算対象となる「給与支給額等」』から除外することとなります

 

◆ 「通常の労働時間又は労働日に係る賃金」ではないもの ◆

アクセント三角(小:背景透明)また、「給与支給額」が通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当するためには、

従業員に支払われる「給与支給額」が、

通常の労働時間又は労働日に係る労働」に対して支給されるものであること、
すなわち『「所定労働時間内各種労働・作業」に対して支給されるもの 』であることが必要となりますが、

 

アクセント三角(小:背景透明)この点、

アクセント丸(小:背景透明)通常の所定時間外」に「監視または断続的な軽微労働」に従事したことにより支給される「宿直手当日直手当」や

アクセント丸(小:背景透明)所定時間外の労働」に対して支給される「時間外労働手当(ex. 法定手当自体、 みなし残業代法定内残業手当等)」は、

「所定労働時間内の各種労働・作業」に対して支給されるものではないことから、
通常の労働時間又は労働日の賃金」には該当しないものとなると考えられます。

 

このため、「宿直手当日直手当」や「時間外労働手当」が支給されている場合には、

これらの「宿直手当・日直手当」や「時間外労働手当」は、

・「通常の所定労働時間内の各種労働・作業に対して支給されるものでないという観点から、
・「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当せず

『 法定手当の計算対象となる「給与支給額等」』から除外することとなります

 

◆ 『「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当しない給与支給額等 』のまとめ ◆

上記のことから、

出張手当」「立替経費の実費精算額」などの「実費精算目的で支給される給与支給額等」は、

労働の対価である「賃金」』に該当しないという観点から、

日直手当・宿直手当」「時間外労働手当(ex. 法定手当自体、 みなし残業代、法定内残業手当等)」は、

『「通常の労働時間又は労働日」における賃金 』に該当しないという観点から、

『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外されるものとなります。

 

法定手当の算定基礎金額②

 

2、『「通常の労働時間又は労働日の賃金」とならない給与支給額等』の注意点

1)「出張手当」の注意点

上記1におきまして「出張手当」は、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」から除外されるもの』としてご紹介させて頂きましたが、

アクセント三角(小:背景透明)「出張手当」を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外するのは、

「出張手当」が、出張に伴う「宿泊料」「少額交通費」を実費精算等する代わりに支給されるものである

ということを根拠としています。

 

アクセント三角(小:背景透明)このため、

出張手当」が、

アクセント矢印(背景透明)出張の事実に無関係に支給されている(ex.毎月固定的に支給されている)場合や、

アクセント矢印(背景透明)『出張に伴う「宿泊費」「少額交通費」「現地での諸経費」に対する実費精算金額』等を大きく超えて多額に支給されている場合には、

当該「出張手当」は、

・「実費精算的な給与支給額等」であるという性格が薄れ
・「労働の対価賃金)」としての性格を強く持つものとなってしまいます。

 

従いまして、

「出張手当」が上記ような支給実態を伴って支給されている場合には、

・たとえ「出張手当」という名目で支給されていても
・当該「出張手当」は、その支給実態から判断すると「労働の対価賃金)」と看做され

当該「出張手当」を、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することができなくなる可能性が高くなると考えますので、この点につきましては十分ご注意頂ますようお願い致します。

 

2)「宿直・日直手当」「時間外労働手当」の注意点

上記1におきまして「宿直・日直手当」「時間外労働手当」は、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」から除外されるもの』としてご紹介させて頂きましたが、

アクセント三角(小:背景透明)「宿直・日直手当」「時間外労働手当」を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外するのは、

「宿直・日直手当」「時間外労働手当」が、「所定時間外の労働・作業」に対して支給される賃金である

ということを根拠としています。

 

アクセント三角(小:背景透明)このため、

アクセント矢印(背景透明)「宿直・日直手当」が、
宿日直の事実に無関係に支給されている(ex.毎月固定的に支給されている)場合や、

アクセント矢印(背景透明)「時間外手当」が、
基本給等の一部を「残業手当等の名目で支給しているものに過ぎない場合には、

当該「宿直・日直手当」や「時間外手当」は、

・「所定時間外の労働・作業に対して支給される賃金」であるという性格が薄れ
・「所定時間内の労働・作業に対して支給される賃金」であるという性格を強く持つものとなってしまいます。

 

従いまして、

「宿直・日直手当」や「時間外手当」が上記のような支給実態を伴って支給されている場合には、

・たとえ「宿直・日直手当」「時間外労働手当」という名目で支給されていても
・当該「宿直・日直手当」や「時間外手当」は、その支給実態から判断すると「所定時間内の労働に対して支給される賃金」と看做され

「宿直・日直手当」や「時間外手当」を、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することができなくなる可能性が高くなると考えますので、この点につきましては十分ご注意頂ますようお願い致します。

 

 

Ⅲ:法定手当の計算対象外とすることができる「7つの項目」

上記Ⅰでご紹介させて頂きましたように、

『 法定手当の計算対象となる「1時間あたりの賃金額」の範囲 』を把握する場合には、

『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」に規定されている「7つの項目」』を除外して計算することができますが、

実務上、これら「7つの項目」を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外するためには、より詳細な要件クリアしておくことが必要となります。

 

このため、ここでは、

アクセント矢印(背景透明)以下1におきまして、「7つの項目」を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外する場合に、全般的にご注意頂きたい点をご紹介させて頂きますとともに、

アクセント矢印(背景透明)以下2におきまして、「各項目」を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外する場合に、それぞれの項目ごとにご注意頂きたい点をご紹介させて頂きます。

 

1、「7つの除外項目」についての全般的な注意点

『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」に規定されている「7つの項目」』を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』において除外する場合には、まず以下の2点にご留意頂くことが必要となります。

 

1)注意点1 (7項目以外の項目は除外できない点)

『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」で規定されている「7つの除外項目」』は、

『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することができる項目を「例示的に規定したもの」ではなく

『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することができる項目を「限定的に規定したもの」となります。

 

このため、

アクセント矢印(背景透明)『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』において「除外できる項目」は、
『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」で規定されている「7つの項目」』のみとなり、

アクセント矢印(背景透明)当該「7つの項目以外の手当」につきましては、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』に含めて計算することが必要となりますので、

この点につきましては、十分ご注意頂ますようお願い致します。

 

2)注意点2 (支給実態の必要性)

「1時間あたりの賃金額計算」において、『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」で規定されている「7つの項目」』を除外する場合には、

「それぞれの項目」が「それぞれの支給目的に適合する実態」を伴って支給されていることが必要となります。

 

このため、

・「給与支給額」が、名目上は「除外項目に該当する手当名称」で支給されていたとしても、
・当該「給与支給額」が、「除外項目が持つの支給目的に適合するような実態を伴って支給されていない場合には、

当該「給与支給金額」は、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することはできないものとなりますので、

この点につきましては、十分ご注意頂ますようお願い致します。

 

2、各除外項目の注意点

上記1(2)で『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」で規定されている「7つの項目」』を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外する場合には、

「それぞれの除外項目がもつ支給目的に適合する実態」を伴って支給されていることが必要となる

ということをご紹介させて頂きましたが、

ここでは、この点につき、さらに各項目ごとに『「 法定手当の計算対象となる給与支給額 」から除外するための要件 』についてご紹介させて頂きます。

 

1)家族手当(扶養手当)

「家族手当(扶養手当)」を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外するためには、

「家族手当(扶養手当)」がそれが持つ目的に適合する実態を伴って支給されていることが必要となり、

具体的には、

「家族手当(扶養手当)」が、扶養家族数又はこれを基礎とする家族手当額基準として支給されていることが必要となります。
厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?」

 

◆ 『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外できる例示 ◆

このため、「家族手当(扶養手当)」が、

「扶養義務のある家族1人につき、1ヶ月あたり配偶者1万円、その他の家族5千円を支給する」などのように、
扶養家族のある労働者に対し、家族の人数に応じて支給されているような場合には、

当該「家族手当(扶養手当)」を、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することはできますが、

 

◆ 『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外できない例示 ◆

他方、「家族手当(扶養手当)」が、

「扶養家族の人数に関係なく、一律 1ヶ月 1 万5千円が支給されている」などのように、
扶養家族の有無家族の人数に関係なく一律に支給されているような場合には、

当該「家族手当(扶養手当)」を、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することはできませんので、この点につきましては十分ご注意頂ますようお願い致します。

 

2)通勤手当

「通勤手当」を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外するためには、

「通勤手当」がそれが持つ目的に適合する実態を伴って支給されていることが必要となり、

具体的には、

「通勤手当」が、労働者の通勤距離又は通勤に要する実際費用に応じて支給されていることが必要となります。
厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?」

 

◆ 『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外できる例示 ◆

このため、「通勤手当」が、

「6 か月定期券の金額に応じた費用として支給されている」などのように、
通勤に要した費用に応じて支給されている場合には、

当該「通勤手当」を、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することはできますが、

 

◆ 『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外できない例示 ◆

アクセント三角(小:背景透明) 他方、「通勤手当」が、

「実際の通勤距離にかかわらず 1日300円が支給されている」などのように、
通勤に要した費用通勤距離関係なく一律に支給されている場合には、

当該「家族手当(扶養手当)」を、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することはできませんので、この点につきましては十分ご注意頂ますようお願い致します。

 

3)別居手当(単身赴任手当)

一般的に「別居手当(単身赴任手当)」とは、

会社都合により転勤等する場合で、通勤・勤務の都合により同一世帯の扶養家族と別居を余儀なくされる従業員に対して、
世帯二分されることにより増加する従業員個人の生活費を補う目的で支給される手当のことをいいますが、

 

アクセント三角(小:背景透明) この「別居手当(単身赴任手当)」につきましては、
上記「家族手当」「通勤手当」のように厚生労働省が公表する割増賃金の基礎となる賃金とは?」に、「その定義」や『「1時間あたりの賃金額」から除外することができる要件』が明示されていません

 

アクセント三角(小:背景透明)このため、あくまで「私見」となりますが、

「別居手当(単身赴任手当)」を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外するためには、

「別居手当(単身赴任手当)」が

会社都合の転勤命令等に伴う従業員自身の転居により、世帯が2分された者に対して支給されており、
・かつ、別居等により増加した生活費用等に応じて支給されている等

支給目的に適合する実態を伴って支給されていることが必要となると考えます。

 

4)子女教育手当

一般的に「子女教育手当」とは、

子どもを扶養する従業員に対して、「子どもの教育費支援する目的」等で支給されるもので、
教育費負担が重くなる一定の期間を定め、その間重点的に支給される手当のことをいいますが、

 

アクセント三角(小:背景透明) この「子女教育手当」につきましても、
上記の「別居手当」と同様、厚生労働省が公表する割増賃金の基礎となる賃金とは?」に、「その定義」や『「1時間あたりの賃金額」から除外することができる要件』が明示されていません

 

アクセント三角(小:背景透明)このため、これにつきましてもあくまで「私見」となりますが、

「子女教育手当」を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外するためには、

・支給対象となる子女の年齢学校種別等の支給対象範囲を明確にし、
・「対象となる子供の人数」や「実際の教育費」等を基準として支給されている等

支給目的に適合する実態を伴って支給されていることが必要となると考えます。

 

5)住宅手当

「住宅手当」を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外するためには、

「住宅手当」がそれが持つ目的に適合する実態を伴って支給されていることが必要となり、

具体的には、

「住宅手当」が、住宅に要する費用家賃住宅購入・管理費用)」に応じて支給されていることが必要となります。
厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?」

 

◆ 『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外できる例示 ◆

このため、「住宅手当」が、

・『賃貸住宅居住者には「家賃の●●%」、持家居住者には「ローン月額の●●%」を支給する』
・「家賃月額5~10万円の者には2万円、家賃月額10万円を超える者には3万円を支給する」などのように、
住宅に要する費用に応じて支給されている場合には、

当該「住宅手当」を、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することはできますが、

 

◆ 『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外できない例示 ◆

アクセント三角(小:背景透明) 他方、「住宅手当」が、

「賃貸住宅居住者には  2万円、持家居住者には1万円を支給する」などのように、
単に、住宅の形態ごとに一律定額で支給されているのみである場合には、

当該「住宅手当」を、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することはできませんので、この点につきましては十分ご注意頂ますようお願い致します。

 

6)臨時に支払われた賃金

『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することができる「臨時に支払われた賃金」とは、

アクセント丸(小:背景透明) 臨時的突発的事由に基づいて支払われたもの

アクセント丸(小:背景透明) 結婚手当支給条件は予め確定されているが、支給事由の発生不確定であり、且つ非常に稀に発生するもの

をいうとされています。(S22.9.13 基発第17号

 

アクセント三角(小:背景透明)このため、『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することができる「臨時に支払われた賃金」とは、

具体的には「結婚手当」「私傷病手当」「加療見舞金」「退職金など限られるとされています。

 

アクセント三角(小:背景透明)従いまして、原則、「これら以外の給与支給額」につきましては、

臨時に支払われた賃金として『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することができませんので、この点につきましては十分ご注意頂ますようお願い致します。

 

7)一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することができる「一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは、

アクセント丸(小:背景透明) 一箇月を超える期間の出勤成績によつて支給される「精勤手当
 
アクセント丸(小:背景透明) 一箇月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される「勤続手当
 
アクセント丸(小:背景透明) 一箇月を超える期間にわたる事由によつて算定される「奨励加給」又は「能率手当

とされています。(労働基準法施行規則8条

 

◆ 『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外できる例示 ◆

このため、「精勤手当」「勤続手当」「奨励加給」「能率手当」が、

1ヶ月間を超える期間判定期間として支給されている場合には、

当該「精勤手当」「勤続手当」「奨励加給」「能率手当」を、「一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金として『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することはできますが、

 

◆ 『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外できない例示 ◆

アクセント三角(小:背景透明) 他方、同じ「精勤手当」「勤続手当」「奨励加給」「能率手当」であっても、

1ヶ月以内の期間判定期間として支給されている場合には、

当該「精勤手当」「勤続手当」「奨励加給」「能率手当」を、「一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金として『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外することはできませんので、この点につきましては十分ご注意頂ますようお願い致します。

 

 

Ⅳ:まとめ

上記Ⅰ~Ⅲでご紹介させて頂きました内容をまとめると、以下のようなものとなります。

 

  通常の労働時間又は労働日の賃金 「通常の労働時間又は労働日の賃金」ではないもの
法定手当の計算対象
含まれるもの
法定手当の計算対象
から除外できるもの※1
法定手当の計算対象
含まれないもの※2


・基本手当



・役職手当

・技能手当、資格手当

・地域手当

・特定作業手当

 etc.

・家族手当、扶養手当

・通勤手当

・別居手当、単身赴任手当

・子女教育手当

・住宅手当

・臨時に支払われた賃金

・一箇月を超える期間
ごとに支払われる賃金

・出張手当

・立替経費の実費精算金額

・宿直手当、日直手当

・法定内時間外手当




・法定手当

・みなし残業代

 

◆ 「除外項目」の支給要件(※1) ◆

『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」に規定されている「7つの項目」』を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外する場合には、
「これらの給与支給額等」が以下のような実態を伴って支給されていることが必要となります。

 

除外項目 除外するための支給要件
家族手当(扶養手当) 扶養家族数又はこれを基礎とする家族手当額を基準として支給されていること
通勤手当 通勤距離又は通勤に要する実際費用に応じて支給されていること
別居手当(単身赴任手当) ・会社都合の転勤命令等に伴う従業員自身の転居により、世帯が2分された者に支給されており、
・かつ、別居等により増加した生活費用等に応じて支給されているものであること
子女教育手当 ・支給対象となる子女の年齢学校種別等の支給対象範囲明確にし
・「対象となる子供の人数」や「実際の教育費」等を基準として支給されていること
住宅手当 住宅に要する費用家賃住宅購入・管理費用)」に応じて支給されていること
臨時に支払われた賃金 結婚手当」「私傷病手当」「加療見舞金」「退職金」等であること
一箇月を超える期間
ごとに支払われる賃金
精勤手当」「勤続手当」「奨励加給」「能率手当」が、
1ヶ月間を超える期間判定期間として支給されていること

 

◆ 「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当しないための要件(※2) ◆

「出張手当」「立替経費の実費精算支給額」、「宿日直手当」「時間外手当」を『 法定手当の計算対象となる「給与支給額」』から除外する場合には、
「これらの給与支給額等」が以下のような実態を伴って支給されていることが必要となります。

 

項目 「通常の労働時間又は労働日の賃金」に該当しないための要件
出張手当 実費精算的に支給されていること
立替経費の精算支給 実費精算として支給されていること
宿直手当、日直手当 所定労働時間外の宿直・日直業務に対して支給されていること
法定内時間外手当
法定手当
所定労働時間外の労働に対して支給されていること

 

法定手当の算定基礎金額③

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

ここでは『 法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』をご紹介させて頂いております。

 

『 法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』の理解の重要性

「労働基準法」におきましては、『法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』についても規定されているため、
適切・適法に「法定手当」を計算するためには、まず『その計算対象となる「給与支給額の範囲」 』を適切に把握することが必要となります。

この点、仮に『「法定手当」の計算対象となる「給与支給額」 』の算定に誤りがある場合には、
いくらその後の「法定手当」計算がすべて適切になされた場合であっても、
結果として『「残業代金」の計算誤り』が発生してしまい、会社にとって「未払い残業代」等の潜在的なリスクを生んでしまうこととなります。

このため、「法定手当」を計算する場合には、その前提として、
『法定手当の計算対象とすべき「給与支給額」』の算定に誤りがないか?のご確認をして頂くことは最も重要な確認の一つとなると考えます。

 

また、近年におきましては、会社と従業員との間において「未払い残業代」等に関する争いが多発していることから、

  • 会社の「法定手当の計算」は、適切に計算されているのか?
  • 『法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』は適切に算定・計算されているか?

につきましては、今一度、十分ご確認して頂くことが重要であると考えます。

 

『法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』の周知性につきまして

上記Ⅰ~Ⅲでは『法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』についてご紹介させて頂いておりますが、

上記Ⅲでご紹介させて頂いております『「労働基準法37条5項」及び「労働基準法施行規則21条」で規定されている「7つの項目」』につきましては、
会社の判断により「この7つの項目」を『法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』に含めることも可能となります。

従いまして、『法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』につきましては、会社により異なるものとなることも考えられますので、

「これら7つの項目」を『法定手当の計算対象となる「給与支給額の範囲」』から除外するような場合には、

  • 予め『 法定手当の計算対象から除外する項目」』を「賃金計算規定」「就業規則」等において明示し、
  • 従業員等に『「法定手当」の計算対象となる「給与支給額の範囲」』を周知しておくことが必要であると考えます。

 

最後に

「給与支給額」につきましては、それぞれの会社におきまして『「多様な名称のもの」が「多様な目的」で支給されている 』ことがあり、

法律や厚生労働省の通達文書・公表文書等からのみでは、
「会社で支給する給与支給額」が『「法定手当」の計算対象となる「給与支給額」 』に該当するのか?につき判断に悩むこともあると思います。

このため、このような判断に悩むような場面がある場合には、それを放置せず、
(少々のコストは掛かると思いますが、)弁護士等の法律の専門家へ事前又は適時にご相談していただき、
「未払い残業代」等の「潜在的なリスク」は、できるだけ早い段階で解消しておいて頂くことが重要であると考えます。