ここでは、『「通勤手当」を「非課税支給額とできる要件」』『「通勤手当」に対して設けられている「非課税限度額」』等につきまして、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。

 

 

 

Ⅰ:「通勤手当」が税務上「非課税支給」として取り扱われる理由

「通勤手当」につきましては、一定の要件一定の限度額の下、税務上「非課税支給」として取扱うことができるものとされていますが、

ここでは、この「通勤手当」を『「非課税支給」とすることができる理由』をご紹介させて頂きます。

 

見出(見出矢印) 「通勤手当」の経済的利益の提供」という側面

『「通勤手当」の支給』は、「課税支給額」と同様、会社から従業員・役員への「経済的利益の提供」であり、

本来的には、「課税支給額」と同様に、従業員・役員個人の所得税・住民税の計算上「課税支給額」として取り扱われるべきものとなります。

 

見出(見出矢印) 「通勤手当」の「実費補填支給」という側面

他方、従業員・役員が会社に通勤するために「通勤費用」が発生する場合には、

この「通勤費用」は、当該従業員・役員にとっては「会社で働くためには不可避的に発生する費用」となります。

この点、会社から従業員・役員に対して、この「通勤費の実費に相当する金額」が支給されている場合には、

この『「通勤費用の実費」に相当する部分の支給額』は、

見出丸(小) 従業員・役員が自由に使用できる経済的利益」の支給ではなく、

見出丸(小) 従業員・役員が「会社で働くために不可避的に発生する費用」を会社が補填している支給である

という側面を持ちます。

 

見出(見出矢印) 「実費補填支給」への課税配慮

会社から従業員・役員に対して支給される「通勤手当」につきましては、
従業員・役員が支払った通勤費用実費補填を目的として支給されるもの」であるという性質を持つことから、

このような「実費補填のために支給されている支給額」に対しても、所得税住民税が課税されてしまうと、

所得税や住民税分だけ「会社から支給された実費補填目的が損なわれてしまうことが想定されます。

このため、税務上(所得税・住民税)では、「通勤費を負担している給与所得者」の税負担に配慮し、

通勤手当」として支給されるものが、「通勤費用の実費補填」であると考えられる場合には、これを所得税・住民税の計算対象から除外し非課税支給額」として取り扱うこととしています。

 

見出(見出矢印) 「通勤手当」に対する税務上の課税政策

ただし、税務上では、

「通勤手当」が「会社から提供される従業員・役員に対する経済的利益である」という面も考慮して、

見出丸(小) 『「通勤手当」という名目で支給されたもの』を「当然」「無制限」に「非課税支給額」として取り扱うのではなく

見出丸(小) その支給が「通勤費用に対する実費補填支給である場合限ってのみ非課税支給額」として取り扱うこととしています。

このため、

見出(見出矢印:背景水色)税務上「通勤手当」を「非課税支給額」として取り扱うためには、

それが「一定の非課税要件」を満たして支給されていることを求めるとともに、

見出(見出矢印:背景水色)非課税支給額とすることのできる通勤手当」に

一定の限度額非課税限度額)」を設けています。

 

 

Ⅱ:「通勤手当」に対する「税務上の非課税規定」

上記Ⅰでご紹介させて頂きましたように、税務上「通勤手当」は「非課税支給額」として取り扱うことができますが、

ここでは、以下におきまして、

  • 「通勤手当」を「非課税支給額」として取扱うための「税務上要件

をご紹介させて頂くとともに、

以下2、3におきまして

  • 「通勤手当」を「非課税支給額」として取扱う場合に「必要となる確認事項
  • 及び「非課税支給限度額」を超えて「通勤手当」が支給された場合の取扱い

をご紹介させて頂きます。

 

1、「通勤手当」に対する「非課税要件」「非課税限度額」

「通勤手当」を「非課税支給額」として取扱うためには、以下1)~3)でご紹介させて頂きますような、

通勤方法ごとに定めれれている「要件及び「非課税限度額」を満たすことが必要となります。( 所得税法施行令20の2

 

1) 交通機関(電車・バス等)、有料道路(高速道路等)を利用する場合

『「交通機関電車バス等)」「有料道路高速道路等)」を利用して通勤する従業員・役員』に対して支給する「通勤手当」につきましては、

見出(見出矢印:背景水色)1ヶ月あたり15万円限度として、

見出(見出矢印:背景水色)『通勤のための運賃時間距離等の事情に照らして、「合理的な経路及び方法で通勤した場合」の「最も経済的な交通費等の金額」

が「非課税通勤手当」となります。

 

2) 車両・自転車等の交通用具を使用して通勤する場合

『「車両自転車等の交通用具」を使用して通勤する従業員・役員』に対して支給する「通勤手当」につきましては、
距離に応じて『「非課税」となる「通勤手当」の限度額』が以下のように規定されています。

片道の通勤距離 非課税とできる限度金額
2km未満である場合 0円(「通勤手当」を「非課税とはできません。)
2km以上10km未満である場合 4,200
10km以上15km未満である場合 7,100
15km以上25km未満である場合 12,900
25km以上35km未満である場合 18,700
35km以上45km未満である場合 24,400
45km以上55km未満である場合 28,000
55km以上である場合 31,600

 

3) 交通機関等を利用する他交通用具も利用して通勤する場合

交通機関等を利用する他交通用具も利用して通勤する「従業員」』に対して支給する「通勤手当」につきましては、

1ヶ月あたり15万円限度として、

・「上記1)と上記2)合計金額」の範囲内にある金額

が「非課税通勤手当」となります。

 

2、「通勤手当」に対する「非課税要件」「非課税限度額」の確認の必要性

「通勤手当」を「非課税支給額」として取り扱うためには、上記1でご紹介させて頂きましたような「非課税要件」「非課税限度額」をクリアすることが必要となることから、

見出三角(小) 『「交通機関」や「有料道路」を利用して通勤されている方』に「通勤手当」を支給する場合には、

必ず『「合理的経路・方法で通勤する」場合の「最も経済的」となる「通勤費用」』を確認し、

⇒「支給する通勤手当」が上記の範囲内である場合には、
「支給する通勤手当」を全額「非課税支給額」として取り扱い、

⇒他方、「支給する通勤手当」が「上記の通勤費用」を超えるような場合には、
・「上記の通勤費用」部分のみを「非課税支給額」として取り扱い、
・「上記の通勤費用」を超える部分を「課税支給額」として取り扱うことが必要となります。

 

見出三角(小) 「マイカー通勤等をされている方」に対して「通勤手当」を支給する場合には、

必ず、その方の「通勤距離を確認するとともに、その「非課税限度額を確認し、

⇒「支給する通勤手当」が「非課税限度額の範囲内」である場合には、
「支給する通勤手当」を全額「非課税支給額」として取り扱い、

⇒他方、「支給する通勤手当」が「非課税限度額を超える」ような場合には、
・「非課税限度額」部分のみを「非課税支給額」として取り扱い、
・「非課税限度額」を超える部分を「課税支給額」として取り扱うことが必要となります。

 

税務調査等での留意点

仮に「税務調査」等におきまして、

見出(見出矢印:背景水色)『「合理的な経路・方法」で通勤する場合にかかる「最も経済的な通勤費用」を超える部分』も「非課税支給額」として取り扱っていると認定された場合や

見出(見出矢印:背景水色)非課税限度額を超える部分」を「非課税支給額」として取り扱っていると認定された場合には、

見出丸(小) 「通勤手当」のうち、上記の「超過部分の金額」が、「課税通勤手当」として認定されてしまうため、『「源泉徴収漏れ」に係るペナルティー』を会社が負わなければならなくなるという不利益

見出丸(小) またそれが「役員に対する通勤手当」である場合には、上記の「超過部分の金額」が損金算入・課税仕入とできない役員報酬」と認定されてしまうという不利益

を生んでしまう可能性がありますので、

「通勤手当」を「非課税支給額」として扱う場合には、必ず、上記の確認は十分行って頂ますようお願い致します。

 

3、「非課税限度額」を超えて「通勤手当」を支給する場合の取り扱い

見出(見出矢印:背景水色)「通勤手当」は、会社の自由裁量で支給される「任意手当」となります。

このため、上記1の1)から3)でご紹介させて頂きました「税務上の非課税限度額」を超えて、会社が従業員に対して「通勤手当」を支給することはできます

 

見出(見出矢印:背景水色)ただし、『「税務上の非課税限度額を超えて支給された通勤手当」』につきましては、

課税支給額」として取り扱うことが必要となることから、

このような場合には、

給与支給明細書」の「課税支給に「(課税通勤手当」として記載し、

  • 「毎月の給与計算」時における「源泉所得税の計算対象含めること、
  • 「年度末の年末調整」時に、「年間給与所得税額の計算対象含めること、

が必要となります。

 

 例 示  

  • 「通勤手当」として毎月10,000円支給しているが、
  • この方の『「合理的な経路及び方法で通勤した場合」の「最も経済的な交通費等の金額」』は6,500円

である場合の「支給明細書」への記入方法は以下のようなものとなります。

 

通勤手当の課税・非課税取り扱い

 

 

Ⅲ:具体的な「通勤手当の支給」に対する考察

『「通勤手当」の非課税取扱い』につきましては、上記Ⅰ・Ⅱでご紹介させて頂きましたようなものとなりますが、

ここでは、

  • 「通勤手当」の代わりに「定期券」等の現物交通費が支給される場合の「非課税限度額」の取扱い、
  • 新幹線」等を利用して通勤する場合の「通勤手当」の非課税取扱い、
  • タクシーを利用して通勤する場合の「通勤手当」の非課税取扱い、

につきましての具体的な考察をご紹介させて頂きます。

 

1、「定期券の支給」に係る「非課税取り扱い」の考察

「交通機関を利用して通勤している方」に対して、金銭による「通勤手当」ではなく、現物である「通勤定期券」や「通勤回数券」を支給している場合には、

「非課税となる通勤手当」の「非課税限度額」がいくらになるか?につき、疑問を持たれる方もいらっしゃいますが、

この点、

税務上規定されている「通勤手当の非課税限度額」である15万円は、「1ヶ月あたり非課税限度額」となることから、
3ヶ月定期券等が支給されている場合には、「定期券等の非課税限度額」は45万円となり、
6ヶ月定期券等が支給されている場合には、「定期券等の限度額」は90万円となります。

 

 

2、「新幹線」等を利用して通勤する場合の「非課税取り扱い」の考察

近年におきましては、「従業員・役員のライフスタイル等を重視している会社」や「広範囲から従業員・役員を雇用している会社」も増えてきており、
このような会社等におきましては、「通勤手段」として「新幹線」等を利用して通勤することを認め、
「新幹線代金」を「通勤手当」として支給されている場合もあり得るのではないかと考えます。

この点、このような会社では、

  • 「新幹線等の特急料金」も「非課税通勤手当として取扱うことができるのか
  • 「新幹線等のグリーン車料金」も「非課税通勤費として取扱うことができるのか

が問題となりますが、

これにつきましては、「タックスアンサー:「源泉所得税」No.2582」に明文規定があり、

「新幹線等の特急電車」を利用して通勤する場合の「特急料金」は「非課税通勤手当」として取扱うことができ
他方、「新幹線等の特別座席」である「グリーン車料金」は、「非課税通勤手当」として取扱うことはできない

という記載がなされています。

 

1)新幹線等の特急鉄道の「特急料金」の「非課税取り扱い」

「自宅」から「職場」までの通勤距離長くその通勤時間等考慮した場合には、

「普通鉄道での通勤」よりも「新幹線通勤」の方が「合理的な通勤方法」となる場合もあると思います。

また、「新幹線」を利用するためには、「特急料金の支払が必須であることから、

この場合における「特急料金」は、
『「新幹線通勤」を行う上では「最も経済的な通勤費用」の中に含まれるもの』と考えることができます。

 

このため、

「新幹線通勤」が通勤時間・通勤距離等を考慮して「合理的な通勤方法に該当する場合には

会社から新幹線通勤者に対して支給される「特急料金」は、「非課税通勤手当」として取扱うことができます

 

2)新幹線等の「グリーン車両の利用料金」の「課税取り扱い」

他方、上記「新幹線通勤者」が「グリーン車を利用するか否か」は、

  • (快適に通勤を行うか否か等の)個人の判断によるものであり、
  • 『「合理的な通勤方法」に該当するか否かの判断』には関係のないものとなります。

 

従いまして、「グリーン車により新幹線通勤を行っている方」に対して『「グリーン車の利用料金」を含んだ「通勤手当」』を支給している場合には、

その「通勤手当」に含まれている「グリーン車利用料金」につきましては、

見出丸(小:背景ハダ色) 『「合理的な通勤方法」による「最も経済的な通勤費用」を超えるもの』であると考えられ、

見出丸(小:背景ハダ色) 「課税支給額」として取扱うことが必要となります。

 

比較: 『「旅費交通費」における「グリーン車の利用料金」の取扱い』との違い

「役員・従業員」が出張等でグリーン車を利用した場合には、

当該「グリーン車利用料金」を、

見出丸(小:背景ハダ色) 会社経費旅費交通費)として計上することができるか?

見出丸(小:背景ハダ色) それとも従業員・役員に対する課税給与課税役員報酬として取り扱わなければならないか?

が問題となる場面がありますが、

この場合には、別途所得税法基本通達9-3」という規定に基づいて判断し、

当該「グリーン車利用料金」を

見出丸(小:背景ハダ色)  従業員・役員に対する課税支給額(課税給与、課税役員報酬)とせず

見出丸(小:背景ハダ色)  会社の「旅費交通費として計上することができる場合があります。

 

この点、同じ「新幹線等におけるグリーン車の利用料金」に対する「考え方」や「取扱い」が、

見出(見出矢印:背景水色)通勤手当」の「課税・非課税」を判断する場合と、

見出(見出矢印:背景水色) 「旅費交通費」の「課税・非課税」を判断する場合とでは、

異なることとなりますので、

『「新幹線のグリーン車利用料」の「課税・非課税」』を考える場合には、

見出丸(小) それを「通勤手当の課税・非課税」という意味で判断するのか?

見出丸(小) それを「旅費交通費の課税・非課税」という意味で判断するのか?

明確に区別して、ご検討頂ますようお願い致します。

 

 

3、「タクシー」を利用して通勤する場合の「通勤手当」の考察

タクシーの乗車料」につきましては、「電車・バス等の交通機関の乗車料」と比較した場合には、一般的高くなると想定されます。

また、日常的な通勤において、
通勤距離通勤時間等を考慮した場合に「タクシーを利用して通勤すること」が「電車・バス等の交通機関を利用して通勤すること」に比べて「合理的な通勤方法」に該当するということは一般的には考えられません

従いまして、原則
その他の交通機関が存在するにも拘らずタクシーを利用して通勤されている方」に対して、「タクシー乗車料」等を「通勤手当」として支給する場合には、

・『その他の合理的な通勤方法で通勤した場合最も経済的な通勤費用部分』を
 ⇒「非課税支給額」として取扱い、

・『「上記の部分」を超える金額』を
 ⇒「課税支給額」として取扱うことが必要となると考えます。

 

  特 殊 的 な 事 情

・「その他の交通機関」が存在しない場合等の下では、「タクシー通勤」が「合理的な通勤方法」となり得る場合もあると考えます。

・また、「その他の交通機関」が存在するにも拘らず「タクシーで通勤されている」場合には、何らかの特殊事情等が存在するかとは思いますが、
この場合において、「通勤手当」を「非課税支給額」として取扱うためには、

  • 特殊的事情がどのようなものであるか?が直接問題となるのではなく、
  • あくまで、特殊的事情の下で通勤時間通勤距離運賃等を総合的に判断した場合に「タクシー通勤」が「合理的な通勤方法」となり得るか?」を考えることが必要となりますので、

この取扱いを判断される場合には、上記事項にご留意頂ますようお願い致します。

 

比較: 『「旅費交通費」における「タクシー乗車料金」の取扱い』との違い

「役員・従業員」が出張・業務上の移動等でタクシーを利用した場合には、

当該「タクシー乗車料」を、

見出丸(小:背景ハダ色) 会社経費旅費交通費)として計上することができるか?

見出丸(小:背景ハダ色) それとも従業員・役員に対する課税給与課税役員報酬として取り扱わなければならないか?

が問題となる場面がありますが、

この場合には、別途所得税法基本通達9-3」という規定に基づいて、

当該「タクシー乗車料金」は、

見出丸(小:背景ハダ色) 従業員・役員に対する課税支給額(課税給与、課税役員報酬)とはならず

見出丸(小:背景ハダ色) 会社の「旅費交通費として計上することができる場合が多くあります。

 

この点、上記2)と同様に、同じタクシー乗車料金に対する「考え方」や「取扱いが、

見出(見出矢印:背景水色)通勤手当」の「課税・非課税」を判断する場合と、

見出(見出矢印:背景水色)旅費交通費」の「課税・非課税」を判断する場合とでは、

異なることとなりますので、

『「タクシー乗車料金」の「課税・非課税」』を考える場合には、

見出丸(小) それを「通勤手当の課税・非課税」という意味で判断するのか?

見出丸(小) それを「旅費交通費の課税・非課税」という意味で判断するのか?

明確に区別して、ご検討頂ますようお願い致します。

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

ここでは、『「通勤手当」を「非課税支給額とできる要件」』『「通勤手当」に対して設けられている「非課税限度額」』等につきましてご紹介させて頂いておりますが、

 

見出(見出矢印)「通勤手当」につきましては、
名目上「通勤手当」として支給するのみでは、当然・無制限に「非課税支給額」として取扱うことはできず、

「通勤手当」を「非課税支給額」として取扱うためには、
『税務上規定されている「要件」「限度額」を満たすことが必要となる』ということを再確認して頂ますようお願い致します。

 

見出(見出矢印) また、「鉄道の特急を利用して通勤する方」や「タクシーを利用して通勤する方」に「通勤手当」を支給する場合には、

『どのような範囲のものを「非課税支給額」として取扱うことができるのか?』が問題となりますが、

この点につきましては、
・「通勤手当」の『「非課税支給額」の規定趣旨』をご理解頂きますとそれほど難しいものではないと思いますので、
・「上記Ⅲでご紹介させて頂きました内容等」をご参考にそれぞれご検討頂ければと考えます。