ここでは、「労働時間の内容」及び「労働時間の測定単位」である『「1日の労働時間」の測定単位 』『「1週間の労働時間」の測定単位 』について、以下の事項に従って、ご紹介させて頂きます。

 

 

 

Ⅰ:「労働時間」の内容

1、「労働時間の内容」の把握の必要性

見出(見出矢印:背景水色)会社におきましては、従業員が「法定労働時間外の労働を行った場合」「法定休日に労働を行った場合」「深夜時間帯に労働を行った場合」には、
労働基準法」に基づいて「法定手当(「時間外労働手当」「法定休日労働手当」「深夜労働手当」)」を計算することが必要となり、

この「法定手当」を適切に把握・計算するためには、「法定時間外の労働時間」「法定休日における労働時間」「深夜時間帯における労働時間」を把握することが必要となります。

 

見出(見出矢印:背景水色)そして、上記の「法定時間外の労働時間」「法定休日における労働時間」「深夜時間帯における労働時間」を把握するためには、

それらの前提となる「労働時間」というものは、どのような内容のものであるか?を適切に理解しておくことが必要となります。

 

このため、ここでは、まず最初に、「労働時間」とはどのような内容のものをいうのか?をご紹介させて頂きます。

 

2、「労働時間」の基本的な内容

「労働時間」とは、

基本的には、

見出(見出矢印:背景水色)始業時刻」から「終業時刻」までの「勤務時間」等から

見出(見出矢印:背景水色)休憩時間」等を差し引いて計算されるものとなります。

 

労働時間:労働時間の定義

 

 

Ⅱ:「労働時間」の把握に係る論点

見出三角(小)「労働時間」は、

基本的に、「勤務時間」から「休憩時間」等を控除して把握・計算されますが、

 

見出(見出矢印:背景水色)休憩時間中待機業務 」等がある場合

見出(見出矢印:背景水色) 勤務時間内に「 仮眠時間 」がある場合

見出(見出矢印:背景水色)始業時刻」や「 終業時刻」に「 付随的な業務・作業 」等がある場合には、

これらの「休憩・仮眠時間」や「業務・作業時間」は、「労働時間」としてカウントしなければならないか? が問題となります。

 

見出三角(小)この点、これらの「休憩・仮眠時間」や「業務・作業時間」が「労働時間に含まれるか否かを判断するためには、

『「労働時間」の「本質的な意義」』を把握した上で、それぞれの場合における検討を行うことが必要となります。

 

このため、以下におきましては、

  • 『「労働時間」の「本質的な意義」』をご紹介しつつ、
  • 個別の「休憩・仮眠時間」や「業務・作業時間」等が「労働時間に含まれるか否かについての一般的な見解をご紹介させて頂きます。

 

1、「労働時間」の本質的な意義

見出三角(小)「労働時間」とは、

明示的黙示的に労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間 をいうとされ、

 

見出三角(小)さらに、「使用者の指揮命令下にある」場合とは、

当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていないこと をいうと解釈されます。

 

このため、以下2から4におきましては、この観点から「それぞれの時間」が「労働時間」に該当するか否かを検討します。

 

2、「手待ち時間」につきまして

◆ 「手待ち時間」とは ◆

「手待ち時間」とは、

作業と作業の間の待機時間」や「客待ち時間」等をいい、

実作業に従事しているわけではないが、使用者からの指示来客等があれば、 直ちに就労することができるように待機している時間をいいます。

 

◆ 「労働時間」となるか否かの判断 ◆

「手待ち時間」につきましては、

使用者からの指示来客等があれば、 直ちに就労することが必要となることから、

実際に業務等の実作業は行われていなくても、「労働者が労働から離れることを保障されている時間」とは評価されません

このため、「手待ち時間」につきましては、原則、『「労働時間に含まれる 』と判断されます。

 

3、「休憩時間中における待機業務」につきまして

◆ 「休憩時間」につきまして ◆

休憩時間」は、

上記Ⅰ-2でご紹介させて頂きましたように、基本的に『「労働時間の把握・計算において控除される時間 』となりますが、

休憩時間」が『「労働時間」の把握・計算 』において控除される理由は、

「休憩時間」が、

『「労働者が労働から離れることを保障されている時間」であると評価できる 』ことを根拠としています。

 

◆ 「休憩時間中の待機業務」等につきまして ◆

このため、『 形式的には「休憩時間」』として指定されていたとしても、

「休憩時間中」に「電話対応電話当番)」「来客対応来客対応当番)」「文書の収受」等があれば、直ちに対応することを明示的・黙示的に指示されているような場合には、
(すなわち、「休憩時間」であっても上記2の『「手待ち時間」と同じような状況 』にある場合には、)

「休憩時間」として指定されていても、当該「休憩時間」において「労働者が労働から離れることは保障されていない」ため、

「これらの時間」は「労働時間として取り扱うことが必要となると解釈されます。

 

4、「仮眠時間」につきまして

見出三角(小)「仮眠時間中」におきましては、

自由に睡眠をとることができる」「自由に休憩を行うことができる」等

休憩時間と同様、基本的には、「労働者が労働から離れることが保障されている時間」となることから、

原則、「休憩時間」と同様に、『「労働時間には含まれない時間 』であると解釈されます。

 

見出三角(小)ただし、他方で、

「仮眠時間」であっても、

使用者からの指示来客文書収受等があれば直ちに対応することが明示的・黙示的に要求されている又は実際にそのような作業・業務が行われている

見出丸(小:背景透明) 行動居場所等につき、労働者が労働からの離脱することに対する過度な拘束がある

見出丸(小:背景透明) 仮眠休憩をとることができるような設備等が不十分である など、

客観的・総合的にみて「待機時間と変わらない状況にあるような場合には、

仮眠時間」であっても、「労働時間」として取り扱うことが必要となる場合も存在すると考えます。

 

◆ 「仮眠時間」の付与につきまして ◆

「仮眠時間」につきましては、上記のように「労働時間」として取り扱うことが必要な場合も潜在的に存在しておりますので、

「仮眠時間」を設けている会社で、「仮眠時間」を「労働時間」として取り扱わないこととしている場合には、

「仮眠時間」が

休憩時間と同様、「労働者が労働から開放されるような勤務体制ルール設備等」が整っているか

「待機時間」と見做されるような「明示・黙示の指示」「事実」が行われていなか?等

十分にご確認して頂くことが重要であると考えます。

 

5、就業時間外に行われる「付随業務・作業」につきまして

見出三角(小)朝礼終礼」「開店準備作業準備閉店整理清掃」「教育研修」等の「付随業務・作業」が、

見出(見出矢印:背景水色)明示的又は黙示的使用者の指揮下」において行われている場合や、

見出(見出矢印:背景水色)本来的業務に不可欠なもの」として行われているような場合には、

これらの「付随業務・作業」が「始業時刻前」や「就業時刻後」に行われている場合であっても、原則として、「労働時間」とすることが必要なものとなると考えます。

 

見出三角(小)他方、「ミーティング」「整理整頓・清掃」「教育研修」等が

見出(見出矢印:背景水色)不参加であっても制裁等の不利益取り扱いによる出席の強制が行われず労働者自主的意思自由参加によって行われているものである場合など、

使用者の指揮命令下で行われていない」と判断されるような場合までは、「労働時間」として取り扱う必要はないと解されます。

 

 

Ⅲ:「1日の労働時間」の測定単位

1、2暦日連続勤務の場合の「1日の労働時間の測定単位」の問題

「1日の労働時間」につきましては、

見出三角(小)終業時刻」が24:00を超えない場合には、

始業時刻から終業時刻までの労働時間 」を「1日の労働時間 」として測定・把握することとなりますが、

 

見出三角(小)他方、「終業時刻」が24:00を超える暦日を跨ぐ2暦日連続勤務の場合には、

1日の労働時間」を把握・測定する場合に、

  • 「労働時間」を「暦日によって区分して取り扱うのか
  • 「労働時間」を「暦日により区分することなく連続した一連の労働時間として取り扱うのか

が問題となります。

すなわち、

・「労働時間」を「暦日によって区分して取り扱い

「24:00以前の労働時間(当暦日の労働時間)」と「24:00以降の労働時間(翌暦日の労働時間)」を、「別々の労働時間」として取り扱うべきであるか

・「労働時間」を「暦日によって区分して取り扱うことはせず

「24:00以前の労働時間」と「24:00以降の労働時間」とを、「継続した一連の労働時間」であるとして取り扱うのか

が問題となります。

 

2、2暦日連続勤務の場合の「1日の労働時間の測定単位」の取り扱い

1)「厚生労働省労働基準局長通達(基発)」における規定

上記1の「取り扱いの問題」に対しては、

・「労働基準法」においては、明文の規定はありませんが、
厚生労働省から「通達」という形で、「その取り扱い方法」が以下のように示されています。

 

見出(見出矢印)厚生労働省労働基準局長通達1号(昭和63年1月1日)」では、

継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の「1日」とする。

と規定されています。

見出(見出矢印)また、「厚生労働省労働基準局長通達331号(平成6年5月31日)」では、

1日及び1週間労働時間の算定に当たっては、労働時間が2暦日にわたる勤務については勤務の開始時聞が属する日の勤務として取り扱う。

と規定されています。

 

2)2暦日連続勤務の場合の「1日の労働時間の測定単位」の取り扱い

上記の「通達」の規定が存在するために、

「2暦日連続勤務」における「労働時間」は、

「24:00以前の労働時間」と「24:00以降の労働時間」を「継続した一連の労働時間」として取り扱い、

 

見出(見出矢印:背景水色)「2暦日連続勤務」が「翌日の所定労働時間の始業時刻までに終了する場合には、

「2暦日連続勤務の始業時刻」から「2暦日連続勤務の終業時刻」までの「労働時間」を、
始業時刻が属する日当暦日)」の「労働時間」として取り扱い、

 

見出(見出矢印:背景水色)「2暦日連続勤務」が「翌日の所定労働時間の始業時刻以降に終了する場合には、

「2暦日連続勤務の始業時刻」から「翌日の所定労働時間の始業時刻」までの「労働時間」を、
始業時刻が属する日当暦日)」の「労働時間」として取り扱いうことが必要となります。

 

労働時間:1日の労働時間の測定

 

 

Ⅳ:「1週間の労働時間」の測定単位

「1週間単位の法定外労働時間」等を把握・計算するためには、
まずその前提として「1週間の労働時間」を把握・計算することが必要となりますが、

 

この「1週間の労働時間」を把握・計算するためには、

・まず「何曜日~何曜日」までを「1週間」とするか

・すなわち、「1週間の労働時間測定単位」をどのように取り扱うかを決定することが必要となります。

 

見出三角(小)この点、厚生労働省からの「通達」である「厚生労働省労働基準局長通達1号(昭和63年1月1日)」には、

1週間」とは、

就業規則その他に別段の定めがない限り

日曜日から土曜日までのいわゆる「暦週」をいう

という規定があることから、

 

見出(見出矢印:背景水色)就業規則その他で『「1週間」の「起算日 』を定めている場合には、

就業規則その他で定められた曜日」』が『「1週間」の「起算日」』となり、
就業規則等で定められた起算日」から「翌週起算日前日」までが「1週間の労働時間測定単位」となります。

 

見出(見出矢印:背景水色)他方、就業規則その他で『「1週間」の「起算日 』が定められていない場合には、

『「日曜日」から「土曜日」までの「暦週」』が「1週間の労働時間測定単位」となります。

 

労働時間:1週間の労働時間の測定

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

ここでは、「労働時間の内容」及び「労働時間の測定単位」である『「1日の労働時間」の測定単位 』『「1週間の労働時間」の測定単位 』について、ご紹介させて頂いております。

 

『「労働時間」の内容 』 及び 『「労働時間」の把握に係る論点 』につきまして

「労働時間」は、「法定外労働時間」「法定休日労働時間」「深夜労働時間」等の『「各種労働時間」を計算・把握するための基礎となる時間 』となります。

従いまして、『「労働時間」とされていない「勤務時間」』の中に、『「労働時間」とすべき時間 』がないか?今一度ご確認頂ますようお願い致します。

 

『「1日の労働時間」の測定単位 』につきまして

『「1日の労働時間」の測定単位 』につきましては、上記Ⅲでご紹介させて頂きましたように、

「1日の勤務」が「暦日(24:00)」を超えた場合であっても、『「出勤日」における「継続した一連の労働時間」』として測定することが必要となります。

この考え方につきましては、実務上では当然のことと思われる方も多いとは思いますが、

「1日の法定外労働時間」等を把握・計算するためには、「重要な考え方」となりますので、今一度ご確認頂ますようお願い致します。

 

『「1週間の労働時間」の測定単位 』につきまして

「1週間の労働時間」等を把握・計算するためには、まず最初に『 その測定単位となる「1週間」』を決定しておくことが必要となり、

「 この1週間 」を「 何曜日から何曜日 」にするかは、「就業規則」等に記載することにより、会社独自で決定することができます。

従いまして、「1週間の労働時間」を把握・計算する場合には、上記Ⅳでご紹介させて頂きました内容も今一度ご確認頂ますようお願い致します。