各社会保険には「年齢による加入要件」や「年齢による社会保険料の負担要件」があります。
このため、ここでは、以下の項目に従い、それぞれの社会保険についての「年齢による加入要件」や「年齢による社会保険料の負担要件」をご紹介するとともに、
『「従業員・役員の年齢」に関する「給与計算時の各社会保険料の控除の要否」』をそれぞれの社会保険ごとにご紹介させて頂きます。

 

 

 

「社会保険の年齢要件」と「給与計算における社会保険料控除」との関係

見出4 給与計算において「社会保険料の控除」が必要となる前提            

社会保険には、

見出丸(小:背景ハダ色) 健 康 保 険

見出丸(小:背景ハダ色) 介 護 保 険

見出丸(小:背景ハダ色) 厚 生 年 金 保 険 がありますが、

会社が給与計算において、これらの「社会保険に係る保険料」のうちの「従業員・役員負担部分」を控除するためには、

・「従業員・役員」がこれらの社会保険に加入しており、
・「社会保険料のうち従業員・役員が個人で負担する部分」を従業員・役員に代わって、会社保険者納付しなければならないことが前提となります。

 

見出4 社会保険の「一般的な加入要件」と「年齢による加入要件」           

一方、「従業員・役員」が、社会保険に加入するためには、

  • その会社の「役員」である
  • その会社の「正社員常時雇用者)」である
  • その会社の『1週間及び1ヶ月間所定労働時間正社員3/4以上である「パート社員等」(短時間就労者)』である等の

「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」に共通する加入要件である「社会保険の一般的な加入要件」を満たすことが必要となります。

 

また、「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」につきましては、
それぞれの保険において、「年齢による加入要件」等が存在することから、

「従業員・役員」が、それぞれの社会保険に加入するためには、

「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」のそれぞれの保険で定められている「従業員・役員の年齢による加入要件」を満たすことが必要となります。

 

見出4 従業員・役員の年齢」と『給与計算における「社会保険料の控除」』との関係  

「社会保険」につきましては、上記のような「社会保険の一般的な加入要件」以外にも別途年齢による加入要件」があることから、

従業員・役員の年齢によっては、
「従業員・役員」が「特定の社会保険の加入要件」を満たさないため(特定の社会保険の被保険者とならないため)、
給与計算において、「従業員・役員」から特定の社会保険保険料徴収控除する必要がない場合があります。

このため、会社が給与計算において「従業員給与・役員報酬から社会保険料の控除」を行う場合には、
その前提として、まず『それぞれの社会保険に規定されている「年齢に係る加入要件」等を理解し確認することが必要となります。

 

見出4 当該ページでのご紹介内容                          

ここでは、「社会保険料の控除計算」に必要な「基礎知識」として、

その大前提となる

  • 「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」における『「被保険者の年齢」に係る「加入要件」等の規定』及び
  • 「被保険者の年齢」と『給与計算時における「社会保険料の控除」の要否』の関係

につき、以下ご紹介させて頂きます。

 

 

Ⅰ:「健康保険」における「年齢に係る加入要件」&「社会保険料の控除要否」

「健康保険」における「年齢に係る加入要件」

健康保険制度(医療保険制度)では、

「会社で労働する従業員」「会社を経営する役員」は、例え「一般的な(社会保険の)加入要件」を満たしている場合であっても、

75歳以上となった場合には、「会社が加入する健康保険」から脱退し、別の医療保険制度である「後期高齢者医療」に加入することとなります。

そして、『「後期高齢者医療」に係る保険料』は、

75歳以上である従業員・役員個人が、全額負担することとなり、

75歳以上である従業員・役員個人が、居住する市町村に自ら納付することとなります。

 

このため、従業員・役員が75歳以上となった場合には、

会社が加入する健康保険での当該従業員・役員に係る保険料」は、「会社」及び「従業員・役員個人」で負担する必要はなく

・会社から、保険者への「当該従業員・役員に係る健康保険料の納付
・給与計算時における「当該従業員・役員からの健康保険料の徴収控除)」は、不要となります

 

「被保険者の年齢」と『給与計算における「健康保険料の控除」の要否』

上記でご紹介させて頂きましたように、従業員・役員の年齢が75歳以上となった場合には、当該従業員・役員は、「会社が加入する健康保険の被保険者でなくなる」ことから、

『給与計算時における「健康保険料の控除」』は、以下のように、
「従業員・役員の年齢が74歳以下である場合」と「従業員・役員の年齢が75歳以上である場合」に区分して考えることが必要となります。

 

見出三角(小) 従業員・役員の年齢が74歳以下である場合には                 

「従業員・役員」は、会社が加入する健康保険の「被保険者である」ことから、

給与計算時において「健康保険料の控除」を行うことが必要となり、

 

見出三角(小) 従業員・役員の年齢が75歳以上である場合には                 

「従業員・役員」は、会社が加入する健康保険の「被保険者でない」ことから、

給与計算時において「健康保険料の控除」を行うことは不要となります。

 

 

Ⅱ:「介護保険」における「年齢に係る加入要件」&「社会保険料の控除要否」

「介護保険」における「年齢に係る加入要件・保険料負担規定」

介護保険における「年齢に係る加入要件」

介護保険制度では、

「会社で労働する従業員」「会社を経営する役員」は、例え「一般的な(社会保険の)加入要件」を満たしている場合であっても、

40歳以上にならないと介護保険には加入できないという年齢要件があります。

 

見出三角(小) 従業員が40歳以下である場合の介護保険料の負担等               

このため、従業員・役員の年齢が39歳以下である場合には、

当該従業員・役員は、介護保険の被保険者とはならず

従いまして、

「当該従業員・役員に係る介護保険の保険料」につきましては、「会社」及び「従業員・役員個人」で負担する必要はなく

・会社から、保険者への「当該従業員・役員に係る介護保険料の納付
・給与計算時における「当該従業員・役員からの介護保険料の徴収控除)」は、不要となります

 

介護保険における「1号被保険者」と「2号被保険者」の規定

介護保険制度におきましては、「保険加入要件が40歳以上である」ため、

従業員・役員が、40歳以上である場合には「介護保険の被保険者」となります。

 

ただし介護保険制度におきましては、

この「被保険者」を、被保険者の年齢により、

  • 年齢が65歳以上である「1号被保険者」と
  • 年齢が40歳以上64歳以下の「2号被保険者」に区分し、

見出(見出矢印:背景水色)1号被保険者」につきましては、

・介護保険の被保険者である従業員・役員個人が、介護保険料全額個人で負担し

・介護保険の被保険者である従業員・役員個人が、年金給付からの天引現金納付等により居住する市町村に自ら納付することとし、

見出(見出矢印:背景水色)2号被保険者」につきましては、

・「当該従業員・役員に係る介護保険料」を「会社」及び「従業員・役員」で負担し

・保険者への介護保険料の納付につきましては、会社が「会社負担部分」及び「当該従業員・役員負担分」をあわせて納付することとしています。

 

見出三角(小) 従業員が40歳以上64歳以下である場合の介護保険料の負担等         

このため、従業員・役員の年齢が40歳以上64歳以下である場合には、

当該従業員・役員は、介護保険の2号被保険者なるため、

・「当該従業員・役員に係る介護保険の保険料」につきましては、「会社」及び「従業員・役員」で負担し、
・「従業員・役員負担部分の介護保険料」についても、会社が「会社負担部分の介護保険料」と合わせて保険者に納付することが必要となります。

従いまして、会社が給与計算を行う場合には、必然的に

当該従業員・役員から介護保険料徴収控除することが必要になります。

 

見出三角(小) 従業員が65歳以上である場合の介護保険料の負担等               

他方、従業員・役員の年齢が65歳以上である場合には、

当該従業員・役員は、介護保険の1号被保険者なるため、

会社では「当該従業員・役員に係る介護保険料」を保険者に納付する必要はありません

従いまして、この場合には、

給与計算時における「当該従業員・役員からの介護保険料の徴収控除)」は、不要となります

 

「被保険者の年齢」と『給与計算における「介護保険料の控除」の要否』

上記でご紹介させて頂きましたように、介護保険におきましては、
従業員・役員の年齢により、「介護保険の徴収が不要」となる場合、「介護保険料の徴収が必要」となる場合があることから、

給与計算時において「介護保険料の控除」を行う場合には、以下のように、
・「従業員・役員の年齢が39歳以下である場合」
・「従業員・役員の年齢が40歳以上64歳以下である場合」
・「従業員・役員の年齢が65歳以上である場合」に区分して考えることが必要となります。

 

見出三角(小) 従業員・役員の年齢が39歳以下である場合には                 

「従業員・役員」は、介護保険の「被保険者でない」ことから、

給与計算時において「介護保険料の控除」を行うことは不要となり、

 

見出三角(小) 従業員・役員の年齢が40歳以上64歳以下である場合には           

「従業員・役員」は、介護保険の「2号被保険者である」ことから、

給与計算時において「介護保険料の控除」を行うことが必要となります。

 

見出三角(小) 従業員・役員の年齢が65歳以上である場合には                 

「従業員・役員」は、介護保険の「1号被保険者である」ことから、

給与計算時において「介護保険料の控除」を行うことは不要となります。

 

 

Ⅲ:「厚生年金保険」における「年齢に係る加入要件」&「社会保険料の控除要否」

「厚生年金保険」における「年齢に係る加入要件」

厚生年金保険では、

「会社で労働する従業員」「会社を経営する役員」は、例え「一般的な(社会保険の)加入要件」を満たしている場合であっても、

70歳以上となった場合には、「厚生年金保険被保険者資格」を喪失することになります。

 

このため、従業員・役員が70歳以上となった場合には、

当該従業員・役員に係る厚生年金保険料」の「会社」及び「従業員・役員個人」の負担はなく

・会社から、保険者への「当該従業員・役員に係る厚生年金保険料の納付
・給与計算時における「当該従業員・役員からの厚生年金保険料の徴収控除)」は、不要となります

 

「被保険者の年齢」と『給与計算における「厚生年金保険料の控除」の要否』

上記でご紹介させて頂きましたように、従業員・役員の年齢が70歳以上となった場合には、当該従業員・役員は、「厚生年金保険の被保険者でなくなる」ことから、

『給与計算時における「厚生年金保険料の控除」』は、以下のように、
「従業員・役員の年齢が69歳以下である場合」と「従業員・役員の年齢が70歳以上である場合」に区分して考えることが必要となります。

 

見出三角(小) 従業員・役員の年齢が69歳以下である場合には                 

「従業員・役員」は、厚生年金保険の「被保険者である」ことから、

給与計算時において「厚生年金保険料の控除」を行うことが必要となり、

 

見出三角(小) 従業員・役員の年齢が70歳以上である場合には                 

「従業員・役員」は、会社が加入する厚生年金保険の「被保険者でない」ことから、

給与計算時において「厚生年金保険料の控除」を行うことは不要となります。

 

 

「年齢による社会保険の加入要件表」及び「年齢による社会保険料の控除表」

上記のⅠ~Ⅲでご紹介させて頂きました内容をまとめると、

  • 社会保険への年齢による加入状況
  • 給与計算における社会保険料の控除要否

は、以下のようなものとなります。

 

見出4 年齢による社会保険の加入状況表                       

「被保険者の年齢」と「各社会保険における加入状況」を表にすると、以下のようなものとなります。

 

年齢 会社が加入する社会保険への加入状況
健康保険 介護保険 厚生年金保険
39歳以下 非加入
40歳以上64歳以下
65歳以上69歳以下 1号被保険者
70歳以上74歳以下 1号被保険者 非加入
75歳以上 後期高齢者 1号被保険者 非加入

◯ :会社が加入する社会保険の被保険者となります。

 

見出4 年齢による社会保険料の控除表                        

「被保険者の年齢」と「給与計算時における社会保険料の控除の要否」を表にすると、以下のようなものとなります。

 

年齢 給与計算時における「社会保険料控除」の要否
健康保険 介護保険 厚生年金保険
39歳以下
40歳以上64歳以下
65歳以上69歳以下
70歳以上74歳以下
75歳以上

:給与計算時に社会保険料を控除することが必要となります。

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

上記でご紹介させて頂きましたように、
「給与計算時において控除する社会保険料」におきましては、従業員・役員の年齢により、「控除が必要となる社会保険料の種類」が異なります。

このため、給与計算において「社会保険料の控除」を行う場合には、まず、
ここでご紹介させて頂きました「年齢による加入要件」や「年齢による社会保険料の負担要件」を適切にご理解頂き、
「それぞれの従業員・役員の年齢」を事前にご確認頂きますようお願いいたします。

また特に、介護保険につきましては、
給与計算で介護保険料の控除が必要となる従業員・役員は、その年齢が「40歳以上64歳以下の場合のみ」となりますので、この点十分ご確認頂きますようお願い致します。