『「給与」「役員報酬」の「費用計上時期」』及び『「給与・役員報酬に係る2段階入力」の必要性』につき、下記の項目に従い、ご紹介させて頂きます。

 

 

 

Ⅰ:「給与・役員報酬に係る取引の流れ」と「費用計上時期」

1、給与・役員報酬に係る「取引の流れ」

「給与・役員報酬の計算」から「給与・役員報酬の支払」までは、以下のような段階を経て行われます。

  1. まず、会社で「給与・役員報酬の計算」が行われます。
  2. 次に、「給与・役員報酬の計算結果」に基づいて、「給与支給明細書」が作成されます。
  3. 更に、「給与支給明細書」が集計された「賃金台帳」が作成されます。
  4. その後、会社で定められた「給与・役員報酬支払日」に、
    「給与・役員報酬の支給額」から「各種控除項目」が差し引かれた「給与支払(予定)額」「役員報酬支払(予定)額」が従業員・役員に支払われます

 なお、この内容の詳細につきましては、『給与・役員報酬の「計算」から「支払」までの流れ』をご覧下さい。

 

給与・役員報酬の計上から支払までの流れ(内容記載)

 

2、「給与手当」「役員報酬」という『「費用」の計上時期』

会社は、「給与・役員報酬の計算対象期間」において、

  • 従業員から『「労働サービス」の提供』を、
  • 役員から『「会社経営サービス」の提供』を受けているため、

給与手当」「役員報酬」という「会社費用」が発生しています。

他方、「給与・役員報酬」では、上記Ⅰでご紹介したように、4つの段階を経て取引が完了するため、どの段階で「会社費用の発生」を会計帳簿に計上するかが問題となります。

この点につきましては、以下のように、税務上の「費用計上に関するルール」が存在していることから、このルールに従って会社費用を会計帳簿に計上ことが必要となります。

以下では、

  • この税務上の「費用計上に関するルール」をご紹介するとともに、
  • 「給与手当・役員報酬」に係る『「会社費用」の発生』を計上しなければならない段階』をご紹介させて頂きます。

 

 

Ⅱ:「費用計上ルール」と「給与手当・役員報酬に係る費用計上時期」

1、税務上の「費用計上に関するルール」

「費用計上のルール」として、税務上、以下のルールが存在しています。

費用は、

  • サービスの提供」を会社が受け、
  • 「そのサービス代金」に対する支払義務債務)が確定した

時点で会計帳簿に計上することが必要となります。

税務上では、上記の2要件充たした時点(段階)で、「会社費用」を会計帳簿に計上することを要求しています。
(なお、この計上ルールが「債務確定主義」「発生主義」と言われるものとなります。)

このため、「給与手当」「役員報酬」という「会社費用」につきましても、上記要件を充たした時点(段階)で「会計帳簿(会計ソフト)」に計上することが必要となります。

 

2、給与・役員報酬に係る「費用計上の段階」

上記1の「税務上の費用計上に関するルール」に従い「給与手当・役員報酬の計上」を行うためには、

「給与・役員報酬の計算」から「給与・役員報酬の支払」までの「取引の流れ」のうち、

  • 『「賃金台帳」の作成』が完了した段階で、「給与手当・役員報酬」を会計帳簿に計上することが必要となります。

 

給与・役員報酬の計上時期

 

見出三角(大) サービスの享受

「給与・役員報酬の計算」は、
「給与・役員報酬の計算対象期間」において、「従業員が労働した事実」「役員が会社経営を行った事実」に基づいて行われるものであるため、

給与・役員報酬の計算が行われる時点において、会社は、既に、

・従業員から「労働サービスの提供」、
・役員から「会社経営サービスの提供」を受けています

このため、「給与・役員報酬の計算」が行われる時点で、

上記の「税務上の費用計上に関するルール」の『「サービスの提供」を会社が受けている』という1つ目の要件は充たされています。

 

見出三角(大) 支払対価の確定

「給与・役員報酬の計算」が完了することにより、

給与支給額」「役員報酬支給額」が計算され、これらの金額が確定します

このことは、

・従業員から受けた「労働サービスの対価」
・役員から受けた「会社経営サービスの対価」が金額的に確定し、

会社において、従業員・従業員に対する『「労働サービス会社経営サービス」の支払義務』が確定したことを意味します。

このため、「給与・役員報酬の計算が完了した時点で、

上記の「税務上の費用計上に関するルール」の『「サービス代金」に対する支払義務(債務)が確定する』という2つ目の要件は充たされることになります。

 

見出三角(大) 「給与手当」「役員報酬」という会社費用の計上時期

上記でご紹介させて頂きましたように「税務上の費用計上に関するルールの2要件」は、
給与・役員報酬の計算が完了した時点で、充足されることになるために、

・従業員から「労働サービス」を受けたことによる「給与手当」という会社費用
・役員から「会社経営サービス」を受けたことによる「役員報酬」という会社費用は、

給与・役員報酬の計算が完了した時点計上することが必要となります。

 

なお、実務上、『「給与・役員報酬の計算」の完了時点』は、
『「給与・役員報酬の計算」の結果』が「賃金台帳に反映される時点となります。

このため、『「給与手当」「役員報酬」という会社費用』は、

賃金台帳が作成された時点で、「会計帳簿(会計ソフト)」に計上することが必要となります。

 

 

Ⅲ:給与・役員報酬に係る「2段階入力」の必要性

1、「賃金台帳が作成された段階」での会計帳簿への入力

「給与・役員報酬に係る会社費用給与手当役員報酬)」は、

上記Ⅱでご紹介させて頂きましたように、
・「税務上の費用計上ルール」が存在することから、

賃金台帳が作成された段階」で、「会計帳簿(会計ソフト)」に計上することが必要となります。

 

2、「給与・役員報酬が支払われた段階」での会計帳簿への入力

他方、給与・役員報酬につきましては、

・「賃金台帳」の作成が完了した後の「給与・役員報酬の支払日」に、
・『「給与・役員報酬の計算」において算定された「給与支払(予定)額」及び「役員報酬支払(予定)額」』が、会社から従業員・役員に支払われます

このため「給与・役員報酬の計算から支払までの一連の流れ」の中では、

・上記の『「賃金台帳が作成された段階」での「会計帳簿(会計ソフト)」入力』とは別に

給与・役員報酬の支払日」に、
給与・役員報酬の支払」を「会計帳簿(会計ソフト)」に入力することも必要となります。

 

「給与・役員報酬の支払」の会計帳簿入力の時期

 

3、給与・役員報酬に係る「2段階入力」

上記1、2の理由から、『給与・役員報酬に係る「会計帳簿(会計ソフト)への入力』は、

・「賃金台帳が作成された段階」での「会社費用給与手当役員報酬を計上する会計帳簿への入力」
・「給与・役員報酬が支払われた段階」での「給与・役員報酬の支払を計上する会計帳簿への入力」

という「2段階の会計帳簿への入力」が必要となります。

 

給与・役員報酬に係る会計帳簿への2段階の入力

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

このページでご理解頂きたい最大のPointは、

「給与・役員報酬に係る会計帳簿入力」は、

  • 「賃金台帳の作成が完了した段階」で、「会計帳簿(会計ソフト)」に入力する
  • 「給与・役員報酬を支払った段階」で、「会計帳簿(会計ソフト)」に入力する

という「2段階の入力」が必要となるということです。

 

「給与・役員報酬に係る会社費用(給与手当、役員報酬)」を、
「税務上の費用計上に関するルール」に合致するように「会計帳簿に入力する」ためには、

「給与・役員報酬に係る会社費用(給与手当、役員報酬)」を、
・「給与・役員報酬の支払」とは切り離して、
・「給与・役員報酬の計算対象月」に計上することが必要となります。

このため「給与・役員報酬に係る会計帳簿入力」は、必然的に、
・「賃金台帳の作成が完了した段階」
・「給与・役員報酬を支払った段階」
の「2段階での入力」が必要となります。

 

「給与・役員報酬の会計帳簿入力」につきましては、
「給与・役員報酬を支払った時点」で、一括して入力されていらっしゃる会社様も多いとは思いますが、
この入力では、支払日が会計期間を跨ぐ場合には、
・会計期末月に「給与・役員報酬の未払計上」が必要となったり、
・翌会計年度の「最初の給与・役員報酬の会計帳簿入力」で「前会計期末に計上した未払費用を取崩したりする」ことが必要となったり、
支払日により「給与・役員報酬の会計帳簿入力」を変化させることが必要となり、会計帳簿の入力をかえって複雑化させてしまいます。

このため、弊会計事務所におきましては、
このような「給与・役員報酬の会計帳簿入力」の複雑化を避けるため、
・支払日に関係なく、同じ入力ができる「2段階入力」をお勧めしております。
(また、この2段階入力は、支払日一括入力の方法と比較しても入力労力は増加しません。)

ここでは、是非、この点をご理解頂き、
「給与・役員報酬の会計帳簿入力」につきましては、

  • 「賃金台帳の作成が完了した段階」
  • 「給与・役員報酬を支払った段階」

に分けて入力して頂きますようお願いいたします。