ここでは、『「定時決定」における「報酬月額」の算定方法』につきまして、以下の項目に従い、ご紹介させて頂きます。
Ⅰ:『定時決定における「報酬月額の算定」』のため必要となる事項
’ 「被保険者報酬月額算定基礎届」の届出 ’
「定時決定」におきましては、
・社会保険の保険者が、最終的に社会保険料の計算基礎となる「標準報酬月額」を決定することとなりますが、
・この保険者の「標準報酬月額」の決定がなされる前に、
会社から保険者に「被保険者報酬月額算定基礎届」を提出することにより、届出ることが必要となります。 |
’ 「4・5・6月の支払額」を記載するために必要となる事項 ’
そして、上記の「被保険者報酬月額算定基礎届」に「4月、5月、6月の給与・役員報酬の支払額」を適切に記載するためには、
・「報酬月額」に含めなければならない報酬(給与・役員報酬)」の範囲 を適切に理解しておくことが必要となります。 |
’ 「報酬月額(平均支払額)」を記載するために必要となる事項 ’
また、上記の「被保険者報酬月額算定基礎届」に「4月、5月、6月の3ヶ月間における給与・役員報酬の平均支払額(報酬月額)」を適切に記載するためには、
・支払基礎日数(4月、5月、6月の給与・役員報酬の支払基礎となった日数) ・「報酬月額(平均支払額)」の算定対象とする月の範囲 を適切に理解しておくことが必要となります。 |
Ⅱ:「4・5・6月の支払額」に含める「報酬の範囲」
「被保険者報酬月額算定基礎届」には「4月、5月、6月の報酬(給与・役員報酬)の支払額」を記載することが必要となりますが、
会社から従業員・役員に対しては、様々なものが支給されます。
このため、「被保険者報酬月額算定基礎届」に記載しなければならない「報酬(給与・役員報酬)の範囲」を適切に理解・把握しておくことが必要となります。
この点、「被保険者報酬月額算定基礎届」に記載しなければならない「報酬(給与・役員報酬)」
すなわち、『「報酬月額」に含めることが必要となる「報酬」』は、
|
’ 具 体 的 項 目 ’
「日本年金機構」が公表する「算定基礎届の記入・提出ガイドブック」には、
社会保険制度において『「報酬月額」の対象に含めることが必要となるもの』『「報酬月額」に含める必要がないもの』が「金銭による支給」「現物による支給」に分けて、具体的に列挙されています。
「報酬月額」の対象となる報酬 | 「報酬月額」の対象とならない報酬 | |
金銭による支給 | ・基本給(月給・週給・日給など) ・早出残業手当 ・能率給 ・役付手当 ・職階手当 ・特別勤務手当 ・勤務地手当 ・物価手当 ・家族手当 ・扶養手当 ・休職手当 ・住宅手当 ・別居手当 ・奨励給 ・通勤手当 ・日直手当 ・宿直手当 ・継続支給する見舞金※2 ・年 4 回以上の賞与※3 |
・大入袋 ・見舞金※2 ・慶弔費 ・退職手当 ・出張旅費※4・交際費※5 ・解雇予告手当 ・傷病手当金 ・労災保険の休業補償給付 ・年 3 回以下の賞与※3 |
現物による支給※1 | ・通勤定期券、回数券 ・食事※6、食券 ・社宅、寮 ・被服(勤務服でないもの) ・自社製品 |
・制服 ・作業着 ・見舞品 ・食事※6など |
※ 「算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和元年) 」は、「日本年金機構のHP」からダウンロードできます。
Point ! 「税務上の課税対象となる給与・役員報酬」との違い
|
’ ※1: 現 物 支 給 ’
通 勤 定 期 券 、 回 数 券
・通勤手当を、金銭ではなく定期券や回数券で支給している場合は、現物給与として「報酬」に含めることが必要となります。
・なお、3 ヵ月や 6 ヵ月など1ヶ月を超える通勤定期券が支給されている場合には、1 ヵ月あたりの額を算出して各月の「報酬」に含めます。
食 事 、 食 券 の 現 物 支 給
・会社が従業員・役員に食事を支給している場合には、厚生労働省が公表する「全国現物給与価額一覧表」に基づいて、「食事の現物支給」を金銭評価して「報酬」に含めることが必要となります。
・なお、食事代金の一部を従業員・役員が負担している場合は、上記「評価額」から「本人負担金額」を差引いた「金額」を「報酬」に含めます。
・ただし、上記「評価額」の 2/3 以上を役員・従業員が負担する場合は「報酬」に含める必要はなくなります。
社 宅、 社 員 寮 の 現 物 支 給
・会社が従業員・役員に社宅や寮を提供している場合は、厚生労働省が公表する「全国現物給与価額一覧表」に基づいて、「社宅や寮の現物支給」を金銭評価して「報酬」に含めることが必要となります。
・なお、上記価額を計算する場合には、居間、茶の間、寝室、客間等の「居住用の室」のみが評価対象となります。
(玄関、台所、トイレ、浴室、営業用の室(店、事務室等)等は評価計算に含める必要はありません。)
・また、社宅・寮の賃料等の一部を従業員・役員が負担している場合は、上記「評価額」から「本人負担金額」を「差引いた金額」を「報酬」に含めます。
そ の 他 の 現 物 支 給
・食事および住宅以外の現物支給については、その「現物支給の時価」を「報酬」に含めることが必要となります。
・この場合、その価額が労働協約に定めがある場合は、その金額を「時価」として取り扱いますが、
労働協約に定めがない場合には「実際に現物支給にかかった費用」を「時価」として取り扱います。
’ ※2: 見 舞 金 ’
「見舞金」につきましては、
・会社から恩恵的に支払われる「見舞金」につきましては、原則「労働の対価」とは認められないために、「慶弔費(祝い金、弔慰金など)」と同様に、「報酬」に含める必要はありません。
・他方、「見舞金」が恩恵的に支払われるものであっても、「傷病手当と給与の差額を補填する目的等」で経常的又は定期的に支払われているものである場合には、「報酬」に含めることが必要となります。
’ ※3: 賞 与 ’
・「賞与」につきましては、「給与・役員報酬に係る社会保険料」とは別に、「賞与に係る社会保険料」を賞与が支給された都度保険者に納付することが必要となります。
・このため、「3ヶ月を超える期間ごとに支給されることが予定されている賞与(年間の支給回数が3回以下の賞与)」につきましては、『給与・役員報酬に係る「報酬月額」』の対象とはしません。
・ただし、「3ヶ月以内の期間ごとに支給されることが予定されている賞与(年間の支給回数が4回以上の賞与)」につきましては、臨時的に支給される賞与とは看做さず、「給与・役員報酬」の一部と看做し『給与・役員報酬に係る「報酬月額」』の対象とします。
’ ※4: 出 張 旅 費 ’
・「日本年金機構」が「報酬」に含めなくてもよいとしている「出張旅費」は、実費精算されることを前提とした「出張旅費」であると考えられます。
・このため、会社から従業員・役員に対して支給される「出張旅費」が実費精算金額と大きく乖離する場合等には、「報酬」に含めることが必要な場合があると考えます。
’ ※5: 交 際 費 ’
・「日本年金機構」が「報酬」に含めなくてもよいとしている「交際費」は、上記の「出張旅費」と同様に実費精算されることを前提とした「交際費」であると考えられます。
・このため、会社から従業員・役員に対して支給される「交際費」が実費精算金額と大きく乖離する場合等には、「報酬」に含めることが必要な場合があると考えます。
’ ※6: 食 事 の 提 供 ’
・会社が従業員・役員に食事の提供を行っている場合であっても、その食事の評価額(厚生労働省が公表する「全国現物給与価額一覧表」に基づいて計算された価額)の 2/3 以上を役員・従業員が負担している場合には、「食事の現物支給」を「報酬」に含める必要はなくなります。
上記のような『社会保険制度における「報酬」』に該当する給与・役員報酬が支払われている場合には、これらの支払額を含めて「4月、5月、6月の報酬(給与・役員報酬)の支払額」とすることが必要となります。 |
Ⅲ:「報酬月額」の算定方法
「被保険者報酬月額算定基礎届」には
- 「4月、5月、6月の報酬(給与・役員報酬)の支払額」を記載するとともに、
- 『「4月、5月、6月の報酬支払額」から算定した「1ヶ月の平均支払額」』を記載することが必要となります。
この『「4月、5月、6月の報酬支払額」から算定した「1ヶ月の平均報酬支払額」』のことを、
「報酬月額」といいますが、 |
この「報酬月額」は、
原則的には『「4月、5月、6月の3ヶ月間」の「平均報酬支払額」』として計算されますが、 |
この3ヶ月間において、「その支払の基礎となった日数(支払基礎日数)」が極端に少ない場合には、
例外的に「支払基礎日数が極端に少ない月の報酬支払額」を除いて「平均報酬支払額」を計算することが必要となります。 |
なお、「支払基礎日数」が極端に少ないか否かにつきましては、
従業員の雇用区分(正社員、パート、短時間労働者)によって違いがあることから、 |
「月額報酬」の算定においては、
|
このため、以下では、雇用区分(正社員、パート、短時間労働者)ごとに、「報酬月額の原則的な算定方法」と「例外的な算定方法」につきご紹介させて頂きます。
1、正社員等に係る「報酬月額」の算定方法
1)前提事項
「正 社 員」 と は
ここでの「正社員」とは、
その会社で「フルタイムの基幹的な働き方をしている労働者」のことを指します。 |
支払基礎日数
「支払基礎日数」は、
「その月に支払われた報酬(給与・役員報酬)」の「計算対象となった日数」のことをいいます。 |
Point!:「報酬支払額」に対する「支払基礎日数」
|
例 示 1 ( 当月計算、 当月支払の場合 )
4月に支払われた給与・役員報酬の計算対象期間が4月1日~4月30日の場合
⇒「支払基礎日数」のカウント対象期間は、4月1日~4月30日となります。
例 示 2 ( 当月計算、 翌月支払の場合 )
4月に支払われた給与・役員報酬の計算対象期間が3月1日~3月31日の場合
⇒「支払基礎日数」のカウント対象期間は、3月1日~3月31日となります。
支払基礎日数のカウント方法
・「完全月給制の正社員」「月給日給制で欠勤等による給与支給控除がなされなかった正社員」の場合は、
⇒その月に支払われた報酬の計算対象となった「暦日」が「支払基礎日数」となります。
・「月給日給制で、その月に欠勤等により給与支給額の減額がなされた正社員の場合」は、
⇒「給与計算対象期間における所定労働日数」から「欠勤日数」を「差し引いた日数」が「支払基礎日数」となります。
・「日給制の正社員」の場合には、「出勤日数」が「支払基礎日数」となります。
Point ! :「月給制」の場合の「報酬支払基礎日数」のカウント 「月給制」の場合には、 ただし、「月給制」であっても「欠勤等による支給控除」がなされている場合には、 |
Point ! : 有 給 休 暇 の 取 扱 「有給休暇」が取得された場合には、「有給休暇日」に対しても報酬の支払はなされているため、その日数も「支払基礎日数」に含めてカウントすることが必要となります。 |
2)「報酬月額」計算の対象となる「支払基礎日数」の要件
「正社員」に対しては、
・「支払われた報酬の計算対象期間における支払基礎日数」が、
「17日以上」ある場合には、「報酬月額」の計算対象とし、 |
・「支払われた報酬の計算対象期間における支払基礎日数」が、
「17日未満」の場合には、「その月に支払われた報酬」は「報酬月額」の計算対象から除外します。 |
Point ! 「正社員」に対する「報酬月額」の算定 フルタイムで労働する「正社員」に対しては、 「17日以上労働した月」が「標準的な労働月」として考えられ、 |
3)「正社員の報酬月額」の算定方法
「正社員の報酬月額」の「原則的な算定方法」
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」に対する「支払基礎日数」がいずれも「17日以上」ある場合には、 という計算式で「報酬月額」を算定します。 |
「正社員の報酬月額」の「例外的な算定方法」
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」のいずれか1ヶ月の「支払基礎日数」が「17日未満」である場合には、 という計算式で「報酬月額」を算定します。 |
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」のいずれか2ヶ月の「支払基礎日数」が「17日未満」である場合には、 が「報酬月額」となります。 |
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」のすべてに対する「支払基礎日数」が「17日未満」である場合には、 |
2、パート社員に係る「報酬月額」の算定方法
1)前提事項
「パート 社 員(短時間就労者)」 と は
ここでの「パート社員(短時間就労者)」とは、
|
支払基礎日数のカウント方法
・「完全月給制のパート社員」「月給日給制で欠勤等による給与支給控除がなされなかったパート社員」の場合は、
⇒その月に支払われた報酬の計算対象となった「暦日」が「支払基礎日数」となります。
・「月給日給制で、その月に欠勤等により給与支給額の減額がなされたパート社員の場合」は、
⇒「給与計算対象期間における所定労働日数」から「欠勤日数」を「差し引いた日数」が「支払基礎日数」となります。
・「日給制や時給制などのパート社員」の場合には、「出勤日数」が「支払基礎日数」となります。
2)「報酬月額」計算の対象となる「支払基礎日数」の要件
「パート社員」に対しては、以下のように2段階で『「報酬月額」の計算に含める月』が判断されます。
第 1 段 階 の 判 断 ( 支払基礎日数が17日以上の月がある場合 )
第1段階の判断としては、『「4月、5月、6月に支払われた報酬」に対する「支払基礎日数」が「17日以上ある月」』が1ヶ月以上ある場合には、 正社員と同様に『「支払基礎日数」が「17日以上ある月」』を対象として、「報酬月額」を計算します。 |
すなわち、
・「支払われた報酬の計算対象期間における支払基礎日数」が、
「17日以上」ある場合には、「報酬月額」の計算対象とし、 |
・「支払われた報酬の計算対象期間における支払基礎日数」が、
「17日未満」の場合には、「その月に支払われた報酬」は「報酬月額」の計算対象から除外します。 |
第 2 段 階 の 判 断 ( すべての月の支払基礎日数が17日未満の場合 )
第2段階の判断としては、
『「支払基礎日数」が「15日以上ある月」』を対象として、「報酬月額」を計算します。 |
すなわち、
・「支払われた報酬の計算対象期間における支払基礎日数」が、
「15日以上」ある場合には、「報酬月額」の計算対象とし、 |
・「支払われた報酬の計算対象期間における支払基礎日数」が、
「15日未満」の場合には、「その月に支払われた報酬」は「報酬月額」の計算対象から除外します。 |
Point ! 「パート社員」に対する「報酬月額」の算定 「パート社員」につきましては、 ・「正社員」と同様に「社会保険の被保険者」であることから、 ・ただし、その労働時間は「正社員」に比較して短いことが前提となっていることから、正社員と同様の要件では「報酬月額」の算定が困難となることが予想されるため、 |
3)「パート社員の報酬月額」の算定方法
第1段階における「パート社員の報酬月額の算定方法」
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」に対する「支払基礎日数」が「17日以上ある月」が1ヶ月以上ある場合には、
以下のような「原則的な算定方法」又は「例外的な算定方法」により「報酬月額」を計算します。
原 則 的 な 算 定 方 法
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」に対する「支払基礎日数」がいずれも「17日以上」ある場合には、 という計算式で「報酬月額」を算定します。 |
例 外 的 な 算 定 方 法
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」のいずれか1ヶ月の「支払基礎日数」が「17日未満」である場合には、 という計算式で「報酬月額」を算定します。 |
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」のいずれか2ヶ月の「支払基礎日数」が「17日未満」である場合には、 が「報酬月額」となります。 |
第2段階における「パート社員の報酬月額の算定方法」
・『「4月、5月、6月に支払われた報酬」に対する「支払基礎日数」がすべて「17日未満」』であるが、
・『「4月、5月、6月に支払われた報酬」に対する「支払基礎日数」が「15日以上ある月」』が1ヶ月以上ある場合には、
以下のような「原則的な算定方法」又は「例外的な算定方法」により「報酬月額」を計算します。
原 則 的 な 算 定 方 法
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」に対する「支払基礎日数」がいずれも「15日以上」ある場合には、 という計算式で「報酬月額」を算定します。 |
例 外 的 な 算 定 方 法
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」のいずれか1ヶ月の「支払基礎日数」が「15日未満」である場合には、 という計算式で「報酬月額」を算定します。 |
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」のいずれか2ヶ月の「支払基礎日数」が「15日未満」である場合には、 が「報酬月額」となります。 |
「4月、5月、6月の支払報酬」に対する「支払基礎日数」が「すべて15日未満」の場合
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」のすべてに対する「支払基礎日数」が「15日未満」である場合には、 |
3、(特定適用事業所等の)短時間労働者に係る「報酬月額」の算定方法
1)前提事項
「(特定適用事業所に勤務する)短 時 間 労 働 者 」 と は
ここでの「(特定適用事業所に勤務する)短時間労働者」とは、
|
Point ! 短時間労働者につきまして ここでご紹介させて頂く「(特定適用事業所に勤務する)短時間労働者」は、原則、その事業所に社会保険の被保険者が501人以上存在する大きな会社(特定適用事業所)で働く「短時間労働者」を指しております。 このため、「特定適用事業所」に該当しない場合には、以下でご紹介させて頂く事項の理解は必要ございません。 |
支払基礎日数のカウント方法
・「完全月給制の短時間労働者」「月給日給制で欠勤等による給与支給控除がなされなかった短時間労働者」の場合は、
⇒その月に支払われた報酬の計算対象となった「暦日」が「支払基礎日数」となります。
・「月給日給制で、その月に欠勤等により給与支給額の減額がなされた短時間労働者の場合」は、
⇒「給与計算対象期間における所定労働日数」から「欠勤日数」を「差し引いた日数」が「支払基礎日数」となります。
・「日給制や時給制などの短時間労働者」の場合には、「出勤日数」が「支払基礎日数」となります。
2)「報酬月額」計算の対象となる「支払基礎日数」の要件
「(特定適用事業所に勤務する)短時間労働者」に対しては、
・「支払われた報酬の計算対象期間における支払基礎日数」が、
「11日以上」ある場合には、「報酬月額」の計算対象とし、 |
・「支払われた報酬の計算対象期間における支払基礎日数」が、
「11日未満」の場合には、「その月に支払われた報酬」は「報酬月額」の計算対象から除外します。 |
Point ! 「(特定適用事業所の)短時間労働者」に対する「報酬月額」の算定 「(特定適用事業所に勤務する)短時間労働者」に対しては、 社会保険への加入要件が「1週間の所定労働時間が20時間以上」であることから、 「11日以上労働した月」が「標準的な労働月」として考えられ、 |
3)「(特定適用事業所に勤務する)短時間労働者の報酬月額」の算定方法
「(特定適用事業所に勤務する)短時間労働者の報酬月額」の「原則的な算定方法」
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」に対する「支払基礎日数」がいずれも「11日以上」ある場合には、 という計算式で「報酬月額」を算定します。 |
「(特定適用事業所に勤務する)短時間労働者の報酬月額」の「例外的な算定方法」
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」のいずれか1ヶ月の「支払基礎日数」が「11日未満」である場合には、 という計算式で「報酬月額」を算定します。 |
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」のいずれか2ヶ月の「支払基礎日数」が「11日未満」である場合には、 が「報酬月額」となります。 |
「4月に支払われた報酬」「5月に支払われた報酬」「6月に支払われた報酬」のすべてに対する「支払基礎日数」が「11日未満」である場合には、 |
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、『「定時決定」における「報酬月額」の算定方法』をご紹介させて頂いております。
「報酬」に含めることが必要な給与・役員報酬の範囲の確認
「報酬月額」を算定するためには、まず「4月、5月、6月に支払われた報酬」を集計・把握することが必要となりますが、
この点につきましては、上記Ⅱでご紹介させて頂きました内容をご確認頂き、「報酬」に含めなければならない給与・役員報酬を適切に集計・把握して頂きますようお願い致します。
「報酬支払基礎日数」のカウントにつきまして
「報酬支払基礎日数」は、『「報酬月額」の算定対象に含めるか否かの「判断基準」』となる重要なものとなります。
このため、上記Ⅲでご紹介させて頂きました内容をご確認頂き、適切に「報酬支払基礎日数」のカウントを行って頂ますようお願い致します。
なお、「パート社員」や「短時間労働者」の場合には、「日給制」「時給制」を採用されている場合も多いと思いますので、この場合の『「出勤日数」のカウント』につきましては慎重にカウントして頂きますようお願い致します。
『「報酬月額」の算定方法』につきまして
「報酬月額」の算定方法につきましては、その「平均計算に含めるか否か」は、それぞれの従業員の雇用区分(保険者区分)ごとに、「異なる基準」が設定されていますので、この点をご確認頂き、適切に算定して頂きますようお願い致します。
特に、「パート社員」につきましては、「2段階の判断」が必要となることから「報酬月額」の算定にあたっては、慎重に判断して頂きますようお願い致します。