「2暦日連続勤務」が行われた場合であって、その「2暦日連続勤務」が『「法定休日」と「(法定休日ではない)通常労働日」を跨ぐ 』ような場合には、「(1日単位の)法定時間外労働時間」を把握・計算するにあたっては「2種類の計算方法」が考えられますが、

ここでは、この「2種類の計算方法」を、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。

 

 

▶  なお、ここでご紹介させて頂きます内容につきましては、『 暦日を跨ぐ場合の「各種労働時間」の取り扱い 』の補足となる事項となります。

 

 

▶ 『「法定休日」と「通常労働日」に跨る「2暦日連続勤務」』の場合の論点

アクセント三角(小:背景透明)『「始業時刻」から「終業時刻」までが「暦日24:00)」を跨ぐ場合(2暦日連続勤務)』であって、

 アクセント矢印(背景透明) 当該2暦日における「出勤日の当日」が「法定休日」で、かつ
 アクセント矢印(背景透明) 当該2暦日における「出勤日の翌日」が「(法定休日でない通常の労働日」』である場合には、

『「2暦日」におけるすべての労働時間 』を、『「出勤日当日」の「労働時間」』とみなした上で、

アクセント矢印(背景透明)「出勤日当暦日24:00まで)の労働時間 」から「法定休日労働時間」が計算されるとともに、

アクセント矢印(背景透明)「出勤日翌暦日24:00以降)の労働時間 」から「(1日単位の法定時間外労働時間」が計算されることになりますが、

 

2暦日連続勤務の論点:基本取扱

 

アクセント三角(小:背景透明) 上記後者における

「出勤日翌暦日24:00以降)の労働時間 」から「(1日単位の法定時間外労働時間」を計算する場合の

 

『「(1日単位の法定時間外労働時間の計算基礎となる労働時間」』をどのように捉えるか?という点につきましては、

アクセント丸(小:背景透明)『 出勤日当暦日24:00までに発生している法定休日労働時間」』を、
   『「(1日単位の法定時間外労働時間の計算基礎となる労働時間 に含めるという「考え方(計算方法)」と

 

アクセント丸(小:背景透明)『 出勤日当暦日24:00までに発生している法定休日労働時間」』は、
   『「(1日単位の法定時間外労働時間の計算基礎となる労働時間 には含めないという「考え方(計算方法)」の

2種類の考え方論点)が存在します。

 

アクセント三角(小:背景透明) すなわち、「出勤日翌暦日24:00以降)の労働時間 」から「(1日単位の法定時間外労働時間」を計算する場合には、

 

  『「法定休日労働」を含めて計算する 』考え方

『「出勤日当暦日法定休日労働時間」と「出勤日翌暦日労働時間」を合計した2暦日全体の労働時間」』を基礎として

「(1日単位の法定時間外労働時間を計算するという考え方と、

    

 

  『「法定休日労働」を含めずに計算する 』考え方

「出勤日翌暦日24:00以降)の労働時間のみ基礎として

「(1日単位の法定時間外労働時間を計算するという考え方とがあります。

    

 

このため、以下におきましては、

アクセント丸(小:背景透明)前者の「考え方」』に係る『「考え方の根拠 』及び『「(1日単位の法定時間外労働時間の把握・計算方法 』を、

  下記Ⅰ   でご紹介させて頂くとともに、

アクセント丸(小:背景透明)後者の「考え方」』に係る『「考え方の根拠 』及び『「(1日単位の法定時間外労働時間の把握・計算方法 』を、

  下記Ⅱ   でご紹介させて頂き、

アクセント丸(小:背景透明) 最後に、当該「論点」に対しては『「いずれの考え方を採るべきであるか?についての「私見」』を、

  下記Ⅲ   でご紹介させて頂きます。

 

 

Ⅰ:『「法定休日労働」を含めて計算する 』考え方

アクセント三角(小:背景透明) まず最初にご紹介させて頂きます「考え方(計算方法)」は、

「 出勤日翌暦日24:00以降)の労働時間 」から「(1日単位の法定時間外労働時間」を把握・計算する場合には、

『「出勤日当暦日法定休日労働時間」と「出勤日翌暦日労働時間」を合計した2暦日全体の労働時間」』を基礎として

「(1日単位の法定時間外労働時間を計算するというものとなりますが、

 

アクセント三角(小:背景透明) ここでは、この「考え方(計算方法)」に関する事項として、

  • 当該「考え方の根拠  及び
  • 当該「考え方」の下での「(1日単位の法定時間外労働時間の計算方法」について、

以下ご紹介させて頂きます。

 

1、「考え方」の根拠

◆ 「通達」における根拠規定 ◆

アクセント三角(小:背景透明) 厚生労働省から公表されている「通達」である「昭和63.1.1 基発1号」や「平成6.5.31 基発331号」では、

労働者を保護するという観点」から

アクセント丸(小:背景透明)『「労働時間」が「2暦日」に跨る場合 』には、
 『2暦日を跨ぐ労働時間」』を「1つの継続した労働時間 」として取扱い、

 

アクセント丸(小:背景透明)  この「継続した2暦日全体の労働時間」から「法定労働時間(8時間)」を控除して、
 「(1日単位の法定時間外労働時間等を計算しなければならない

とされています。

 

◆ 当該「考え方」の根拠 ◆

このため、

『上記「基発」の趣旨 』となっている「労働者を保護するという点を重視すると、

 

たとえ「2暦日連続勤務」が『「法定休日」と「通常労働日」に跨る場合 』であっても、

アクセント丸(小:背景透明) 『「上記の規定」における取扱い 』が変更されることはなく

アクセント丸(小:背景透明) 上記のような場合であっても、

アクセント矢印(背景透明)「出勤日当暦日の労働」と「出勤日翌暦日の労働」を「1単位の労働時間」として捉え、

アクセント矢印(背景透明)『「出勤日当暦日法定休日労働時間」と「出勤日翌暦日労働時間」を合計した2暦日全体の労働時間」』が「法定労働時間(8時間)」を超えている場合には、「(1日単位の法定時間外労働時間」を認識しなければならない。

と考えることが、「この考え方」の根拠となっています。

 

2、「法定時間外労働時間の発生認識」と「法定時間外労働時間の計算方法」

◆ 「(1日単位の)法定時間外労働時間」の発生認識 ◆

上記1でもご紹介させて頂きましたように、「この考え方」の下では、

「出勤日翌暦日24:00以降)」に「法定時間外労働時間が発生しているか否かを判断する場合には、

アクセント矢印(背景透明)「出勤日翌暦日24:00以降)の労働時間」だけでなく、

アクセント矢印(背景透明)「出勤日当暦日24:00まで)の法定休日労働時間も含めた2暦日全体の労働時間」を対象として判断することが必要となり、

 

アクセント三角(小:背景透明) 具体的には、

アクセント矢印(背景透明)24:00以前の法定休日労働時間」が「法定労働時間8時間)」を超えている場合には、

24:00以降の労働時間」は、そのすべて「(1日単位の法定時間外労働時間」として認識することが必要となり、

 

アクセント矢印(背景透明)24:00以前の法定休日労働時間」が「法定労働時間8時間)」を超えていない場合であっても、

『「24:00以前の法定休日労働時間」と「24:00以降の労働時間」を合計した2暦日全体の労働時間 」』が「法定労働時間8時間)」を超えている場合には、

その超えた部分の労働時間」を「(1日単位の法定時間外労働時間」として認識することが必要となります。

 

サンプル勤怠管理簿(勤怠管理簿シート):当日が法定休日で翌日が法定休日でない場合の時間外労働時間の計算方法①

 

◆ 「(1日単位の)法定時間外労働時間」の計算方法 ◆

従いまして、「この考え方」の下では、

 

アクセント矢印(背景透明)24:00以前の法定休日労働時間」が「(1日単位の法定労働時間8時間)」を超えている場合には、

24:00以降の労働時間すべて」を「(1日単位の法定時間外労働時間」として把握・計算することが必要となり、

 

アクセント矢印(背景透明)24:00以前の法定休日労働時間」が「(1日単位の法定労働時間8時間)」超えていない場合には

2暦日連続の合計労働時間」から、

アクセント矢印(背景透明)「(1日単位の)法定労働時間(8時間)」を控除して、

「(1日単位の法定時間外労働時間」を把握・計算することが必要となります。

 

3、設例による計算例示

◆  設 例 1  ◆

アクセント丸(小:背景透明)0:00から31:00まで勤務した場合」で、

アクセント丸(小:背景透明)「出勤日当日」が「法定休日」で「出勤日の翌日」が「法定休日でない」場合で、

アクセント丸(小:背景透明)  当該勤務時間において、

0時から5時の間(早朝深夜時間帯)に30分の休憩
5時から22時の間1時間の休憩
22時から24時の間(当暦日深夜時間帯)に1時間の休憩
24時から29時の間(翌暦日深夜時間帯)に1時間の休憩
29時から31時の間1時間の休憩を取ったと仮定します。

 

 「(1日単位の)法定時間外労働時間」の計算 

上記の設例では、「労働時間」「法定休日労働時間」及び「(1日単位の)法定時間外労働時間」は以下のように計算されます。

アクセント矢印(背景透明)労働時間:31:00時 - 0:00時 - 休憩合計4時間30分)=26時間30分

アクセント矢印(背景透明)法定休日労働時間:24:00時 - 0:00時 - 休憩合計(2時間30分) =21時間30分 (    8時間 

アクセント矢印(背景透明)(1日単位の)法定時間外労働時間:31:00時 - 24:00時 - 休憩合計(2時間) =5時間

2暦日連続勤務の論点:法定休日労働時間を含む考え方(例1)

 

◆  設 例 2  ◆

アクセント丸(小:背景透明)20:00から31:00まで勤務した場合」で、

アクセント丸(小:背景透明)「出勤日当日」が「法定休日」で「出勤日の翌日」が「法定休日でない」場合で、

アクセント丸(小:背景透明)  当該勤務時間において、

24時から29時の間(翌暦日深夜時間帯)に1時間の休憩を取ったと仮定します。

 

 「(1日単位の)法定時間外労働時間」の計算 

上記の設例では、「労働時間」「法定休日労働時間」及び「(1日単位の)法定時間外労働時間」は以下のように計算されます。

アクセント矢印(背景透明)労働時間:31:00時 - 20:00時 - 休憩合計1時間)=10時間

アクセント矢印(背景透明)法定休日労働時間:24:00時 - 20:00時 =4時間 (  ≦  8時間 

アクセント矢印(背景透明)(1日単位の)法定時間外労働時間:10時間 -  法定労働時間(8時間) =2時間

2暦日連続勤務の論点:法定休日労働時間を含む考え方(例2)

 

◆  設 例 3  ◆

アクセント丸(小:背景透明)17:00から25:00まで勤務した場合」で、

アクセント丸(小:背景透明)「出勤日当日」が「法定休日」で「出勤日の翌日」が「法定休日でない」場合で、

アクセント丸(小:背景透明)  当該勤務時間において、

17時から22時の間1時間の休憩を取ったと仮定します。

 

 「(1日単位の)法定時間外労働時間」の計算 

上記の設例では、「労働時間」「法定休日労働時間」及び「(1日単位の)法定時間外労働時間」は以下のように計算されます。

アクセント矢印(背景透明)労働時間:25:00時 - 17:00時 - 休憩合計1時間)=7時間

アクセント矢印(背景透明)法定休日労働時間:24:00時 - 17:00時 - 休憩合計(1時間) =6時間 (  ≦  8時間  )

アクセント矢印(背景透明)(1日単位の)法定時間外労働時間:7時間 - 法定労働時間(8時間) =0時間

2暦日連続勤務の論点:法定休日労働時間を含む考え方(例3)

 

 

Ⅱ:『「法定休日労働」を含めずに計算する 』考え方

アクセント三角(小:背景透明) 次にご紹介させて頂きます「考え方(計算方法)」は、

「出勤日翌暦日24:00以降)の労働時間 」から「(1日単位の法定時間外労働時間」を把握・計算する場合には、

「 出勤日翌暦日24:00以降)の労働時間 のみ基礎として

「(1日単位の法定時間外労働時間を計算するというものとなりますが、

 

アクセント三角(小:背景透明) ここでは、この「考え方(計算方法)」に関する事項として、

  • 当該「考え方の根拠  及び
  • 当該「考え方」の下での「(1日単位の法定時間外労働時間の計算方法」について、

以下ご紹介させて頂きます。

 

1、「考え方」の根拠

◆ 「通達」における根拠規定 ◆

厚生労働省から公表されている「通達」である「平成6.5.31 基発331号」では、

『「法定時間外労働時間」に係る「割増賃金」』を計算する場合には、

法定時間外労働時間」は、『「法定休日労働」とされた時間 』を除いて計算する

と規定されています。

 

◆ 当該「考え方」の根拠 ◆

このため、

上記「基発」に規定されている『「法定時間外労働時間」は「法定休日労働とされた時間を除いて計算する 』という「計算式」を重視すると、

 

「2暦日連続勤務」が『「法定休日」と「通常労働日」に跨る場合 』におきましては、

アクセント丸(小:背景透明)「出勤日当暦日24:00まで)の労働時間 」は、「法定休日労働時間」であるため、

 

アクセント丸(小:背景透明)「出勤日翌暦日24:00以降)」における「(1日単位の法定時間外労働時間」 を把握・計算する場合には、

『「法定休日労働時間」である「出勤日当暦日24:00まで)の労働時間」』は、当該計算から除外して計算するべきである。

と考えることが、「この考え方」の根拠となっています。

 

2、「法定時間外労働時間の発生認識」と「法定時間外労働時間の計算方法」

◆ 「(1日単位の)法定時間外労働時間」の発生認識 ◆

上記1でもご紹介させて頂きましたように、「この考え方」の下では、

「出勤日翌暦日24:00以降)」に「(1日単位の法定時間外労働時間が発生しているか否かを判断する場合には、

アクセント矢印(背景透明)「 出勤日当暦日24:00まで)の法定休日労働時間は含まず

アクセント矢印(背景透明)「 出勤日翌暦日24:00以降)の労働時間 のみを対象として判断することが必要となり、

 

アクセント三角(小:背景透明) 具体的には、

24:00以降の労働時間」が「(1日単位の法定労働時間8時間)」を超えた場合にのみ、

その「超えた労働時間」を「(1日単位の法定時間外労働時間」として認識することとなります。

 

サンプル勤怠管理簿(勤怠管理簿シート):当日が法定休日で翌日が法定休日でない場合の時間外労働時間の計算方法②

 

◆ 「法定時間外労働時間」の計算方法 ◆

従いまして、「この考え方」の下では、

出勤日の翌暦日24:00以降の労働時間」が「法定労働時間8時間)」を超えている場合のみ

出勤日の翌暦日24:00以降の労働時間」から、

アクセント矢印(背景透明)「(1日単位の)法定労働時間(8時間)」を控除して、

「(1日単位の法定時間外労働時間」を把握・計算することとなります。

 

3、設例による計算例示

◆  設 例 1  ◆

アクセント丸(小:背景透明)0:00から31:00まで勤務した場合」で、

アクセント丸(小:背景透明)「出勤日当日」が「法定休日」で「出勤日の翌日」が「法定休日でない」場合で、

アクセント丸(小:背景透明)  当該勤務時間において、

0時から5時の間(早朝深夜時間帯)に30分の休憩
5時から22時の間1時間の休憩
22時から24時の間(当暦日深夜時間帯)に1時間の休憩
24時から29時の間(翌暦日深夜時間帯)に1時間の休憩
29時から31時の間1時間の休憩を取ったと仮定します。

 

 「(1日単位の)法定時間外労働時間」の計算 

上記の設例では、「労働時間」「法定休日労働時間」及び「(1日単位の)法定時間外労働時間」は以下のように計算されます。

アクセント矢印(背景透明)労働時間:31:00時 - 0:00時 - 休憩合計4時間30分)=26時間30分

アクセント矢印(背景透明)法定休日労働時間:24:00時 - 0:00時 - 休憩合計(2時間30分) =21時間30分

アクセント矢印(背景透明)(1日単位の)法定時間外労働時間:31:00時 - 24:00時 - 休憩合計(2時間) - 法定労働時間8時間)  ≦  0時間  
 ⇒「(1日単位の)法定時間外労働時間」は発生しない。

2暦日連続勤務の論点:法定休日労働時間を含まない考え方(例1)

 

◆  設 例 2  ◆

アクセント丸(小:背景透明)20:00から31:00まで勤務した場合」で、

アクセント丸(小:背景透明)「出勤日当日」が「法定休日」で「出勤日の翌日」が「法定休日でない」場合で、

アクセント丸(小:背景透明)  当該勤務時間において、

24時から29時の間(翌暦日深夜時間帯)に1時間の休憩を取ったと仮定します。

 

 「(1日単位の)法定時間外労働時間」の計算 

上記の設例では、「労働時間」「法定休日労働時間」及び「(1日単位の)法定時間外労働時間」は以下のように計算されます。

アクセント矢印(背景透明)労働時間:31:00時 - 20:00時 - 休憩合計1時間)=10時間

アクセント矢印(背景透明)法定休日労働時間:24:00時 - 20:00時 =4時間

アクセント矢印(背景透明)(1日単位の)法定時間外労働時間:31:00時 - 24:00時 - 休憩合計1時間)-  法定労働時間(8時間)   ≦  0時間
 ⇒「(1日単位の)法定時間外労働時間」は発生しない。

2暦日連続勤務の論点:法定休日労働時間を含まない考え方(例2)

 

◆  設 例 3  ◆

アクセント丸(小:背景透明)17:00から25:00まで勤務した場合」で、

アクセント丸(小:背景透明)「出勤日当日」が「法定休日」で「出勤日の翌日」が「法定休日でない」場合で、

アクセント丸(小:背景透明)  当該勤務時間において、

17時から22時の間1時間の休憩を取ったと仮定します。

 

 「(1日単位の)法定時間外労働時間」の計算 

上記の設例では、「労働時間」「法定休日労働時間」及び「(1日単位の)法定時間外労働時間」は以下のように計算されます。

アクセント矢印(背景透明)労働時間:25:00時 - 17:00時 - 休憩合計1時間)=7時間

アクセント矢印(背景透明)法定休日労働時間:24:00時 - 17:00時 - 休憩合計(1時間) =6時間

アクセント矢印(背景透明)(1日単位の)法定時間外労働時間:25:00時 - 24:00時 - 法定労働時間(8時間)   ≦  0時間
 ⇒「(1日単位の法定時間外労働時間」は発生しない。

2暦日連続勤務の論点:法定休日労働時間を含まない考え方(例3)

 

 

Ⅲ:「当該論点」に対する「私見」

1、「当該論点」に対する「私見」

上記におきましては、

  • 「2暦日連続勤務」が『「法定休日」と「通常労働日」に跨る場合 』における『「(1日単位の)法定時間外労働時間」の把握・計算に関する「論点」』
  • 及び、『 当該「論点」に係る「2種類の考え方」』をご紹介させて頂きましたが、

現状、

『 当該「論点に対して「(1日単位の法定時間外労働時間」をどのように把握・計算すべきであるか 』を明確に示唆しているような「法律」や「通達」は(残念ながら)存在しておりませんので、
当該「論点」に対して「いずれの考え方をも採用することは可能であると考えますが、

 

◆ 当該「論点」に係る「私見」 ◆

アクセント三角(小:背景透明) 個人的には、

労働者の感覚」と齟齬を生じさせないためには、(『「未払残業代」に関する争い 』を回避するためには、)
上記Ⅰでご紹介させて頂きました「考え方計算方法)」』を採用しておく方がより無難な把握・計算方法ではないかと考えます。

 

◆ 「実務上」での取扱い ◆

ただし、実務上法定時間外労働時間を把握・計算する場合には、

  • 「(1日単位の法定時間外労働時間」を把握・計算するだけではなく、
  • 「(1週間単位の法定時間外労働時間」も把握・計算することが必要となり、

 

「当該ページのようなケース」におきましては、

上記Ⅱでご紹介させて頂きました「考え方計算方法)」』を採用した場合であっても、

出勤日の翌暦日24:00以降の労働時間」は、
結果的に「(1週間単位の法定時間外労働時間としてカウントされることが殆どではないか?と考えます。

 

アクセント三角(小:背景透明) 従いまして、「当該ページのようなケース」におきましては、

アクセント矢印(背景透明)当該ページでご紹介させて頂いておりますような「論点が存在することにご留意頂いたうえで

アクセント矢印(背景透明)出勤日の翌暦日24:00以降の労働時間」が『「(1週間単位の法定時間外労働時間にならないか?』も検討して頂くことで、

実務上、『「(1日単位の)法定時間外労働時間」の把握・計算 』に拘る必要もなくなることが多くなるのではないか?とも考えます。

 

参考: 当該「論点」に関連すると思われる「通達」のご紹介

厚生労働省が公表している「通達」の中に、「昭23.11.9 基収2968号」「平6.3.31 基発181号」という「通達」があり、

アクセント三角(小:背景透明) 当該「通達」では、『 当該ページでご紹介させて頂いております「論点」』に関連すると思われる質問がなされていますので、
ここでは、当該「通達」を『当該「論点」に関連する「通達」』としてご紹介させて頂きます。

 

アクセント三角(小:背景透明) ただし、『 当該「通達」における「回答」』では、

アクセント矢印(背景透明)「法定休日の翌暦日(24:00以降)の労働時間」が『「三六協定に基づいて行われた「法定時間外労働時間」』に該当する場合には、

『「法定時間外労働時間」に対する「割増賃金」』を用いて「法定時間外労働手当」を計算し、

 

アクセント矢印(背景透明)「法定休日の翌暦日(24:00以降)の労働時間」が『「所定労働時間内」等に行われた「労働時間」』に該当する場合には、

法定時間外労働手当の計算は不要となる

という見解が示されているのみであり、

 

法定休日の翌暦日24:00以降)の労働時間」から生じる「法定時間外労働時間自体どのように認識べきであるか?

につきましての「見解」は示されていないため、ここでは、当該「通達」を「参考事項」としてご紹介させて頂きます。

 

「昭23.11.9 基収2968号」「平6.3.31 基発181号」の通達

厚生労働省の通達におきましては、以下のような「質問」に対して、以下のような「回答」が示されています。

◆ 質問 ◆

休日の起算は原則として暦日によるものとなっているが、労働時間についても起算を暦日によって計算してもよいか。

例えば、休日午後十時より翌日午前九時まで労働し(午前二時より休憩一時間)以後休務した場合の割増賃金は午後十時より二時間は六十%(休日・深夜)午前〇時より五時迄の四時間は二五%(深夜)午前五時よりの四時間は〇%として計算すべきか。
又は労働時間の一貫性を考慮して午後十時より午前五時迄の七時間は六十%(休日・深夜)午前五時よりの一時間は三五%(休日)午前六時よりの三時間は二五%(時間外)として計算すべきか。

 

◆ 回答 ◆

設問の事例明確ではないが、次によって取り扱われたい

(一)休日の午後十時より二時間は深夜の休日労働であるから六割(法定休日+深夜)の割増賃金を支給しなければならない。

(二)翌日の午前〇時より午前九時迄の労働時間外労働の協定又は第三十三条(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)によって行われた場合は、
 ・午前五時までは五割時間外深夜)、
 ・午前五時から午前九時までは二割五分時間外)の割増賃金を支払わなければならない。

(三)午前〇時より午前九時まで労働日の所定労働時間又はその変更したものであるならば
 ・午前〇時より午前五時までは二割五分深夜)割増賃金の支給を要し、
 ・以後は、通常の賃金を支払えば足りる。

(四)以上は一般の場合の取扱であるが、三交代制等の場合は昭和六十三年三月十四日基発第一五〇号によって特例を認めているから念のため。

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

ここでは、「2暦日連続勤務」が『「法定休日」と「(法定休日ではない)通常労働日」に跨る場合 』の
『「(1日単位の)法定時間外労働時間」を把握・計算する方法 』についての「2つの考え方」をご紹介させて頂いておりますが、

・一般的な会社におきましては、上記のような状況が発生するケースは稀であると考えますし、

・また、上記のような状況が発生した場合であっても、「法定休日の翌暦日の労働時間」につきましては、「(1週間あたりの)法定時間外労働時間」としてカウントされることが多いのではないかと考えますので、

あまり、ここでご紹介させて頂いておりますような判断を行わなければならないことは少ないと思います。

従いまして、当該ページでご紹介させて頂いております内容につきましては、実際にこのような状況が発生してしまった場合に、お読み頂ければよい程度のものであると考えます。

 

ただし、「当該ページでご紹介させて頂いておりますような状況」が頻繁に発生するような会社におきましては、

事後的に労使間での「(1日単位の)法定時間外労働時間」に対する齟齬が生じないように、

「このような場合における取り扱い」を「事前に労使間で協定・合意しておくこと」も必要となるのではないかと考えます。