ここでは、『「障害者控除を受けるため」の条件・申告上の注意点』を、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。
Ⅰ:「障害者控除」を受けるための条件
所得税法で規定されている「障害者控除」を受けるためには、
「扶養控除等申告書を提出する本人」が
|
『「扶養控除等申告書を提出する本人」の「配偶者」』が
|
『「扶養控除等申告書を提出する本人」の「親族」』が
|
のいずれかのケースに該当することが必要となります。
【「障害者控除」を受けるための条件 】
「障害者に該当する」要件 | その他の要件 | |
① | 「本人」が「障害の状態」にある | - |
② | 「本人の配偶者」が「障害の状態」にある | 「本人の配偶者」が「同一生計配偶者」に該当することが必要 |
③ | 「本人の親族」が「障害の状態」にある | 「本人の親族」が「扶養親族」に該当することが必要 |
◆ 「当該ページ」でご紹介させて頂きます内容 ◆
「障害の状態」にある条件
「扶養控除等申告書を提出する本人」が「障害者控除」を受けるためには、
その前提として『「本人」又は「配偶者」又は「親族」』が『所得税法で定められている「障害の状態」にある』という条件を満たしていることが必要となります。
このため、「扶養控除等申告書」に「障害者控除を受ける旨」の記載を行う場合には、
・まずは『所得税法で定められている「障害の状態」にある』というのは、どのような場合をいうのか?をご理解頂き、
・『「本人」又は「配偶者」又は「親族」の「障害の状態」』が『所得税法で定められている「障害の状態」』に該当しているのか?をご確認頂くことが必要となります。
従いまして、当該ページにおきましては、
下記Ⅱにおいて、すべてのケースにおいて共通の条件となる『「障害の状態」とはどのようなものであるか』をまず最初にご紹介させて頂きます。
「同一生計配偶者」の条件
上記でご紹介させて頂きましたように、『「本人の配偶者」が「障害の状態」にある』場合に「障害者控除」を受けるためには、
追加的に『 当該「配偶者」が「同一生計配偶者」』に該当していることが必要となります。
このため、『「本人の配偶者」が「障害の状態」にある』ことに起因して「障害者控除」を受けるためには、
・『所得税法で定められている「同一生計配偶者」』とはどのような場合をいうのか?をご理解頂き、
・「配偶者」が「同一生計配偶者」の条件を満たしているのか?をご確認頂くことが必要となります。
従いまして、当該ページにおきましては、
下記Ⅲでこの『「同一生計配偶者」とはどのようなものであるか』をご紹介させて頂きます。
「扶養親族」の条件
上記でご紹介させて頂きましたように、『「本人の親族」が「障害の状態」にある』場合に「障害者控除」を受けるためには、
追加的に『 当該「親族」が「扶養親族」に該当する』という条件を満たしていることが必要となります。
このため、『「本人の親族」が「障害の状態」にある』ことに起因して「障害者控除」を受けるためには、
・『所得税法で定められている「扶養親族」』とはどのような場合をいうのか?をご理解頂き、
・「親族」が「扶養親族」の条件を満たしているのか?をご確認頂くことが必要となります。
従いまして、当該ページにおきましては、
下記Ⅳでこの『「扶養親族」とはどのようなものであるか』をご紹介させて頂きます。
Ⅱ:『「障害の状態」にあるという条件』と『「障害者」の区分』
1、所得税法で定める『「障害者」に該当するための条件』
「扶養控除等申告書を提出する本人」 が所得税法上の「障害者控除」を受けるためには、
まず「扶養控除等申告書を提出する本人」又は「その配偶者」又は「その親族」が、 『「所得税法で定める「障害の状態」』に該当することが必要となりますが、 |
この点、
所得税法では、下図『「1~8の上段の状態」にある者』を『「障害者控除」の対象となる「障害者」』としています。 (従いまして、「扶養控除等申告書を提出する本人」が「障害者控除」を受ける場合には、「本人」又は「その配偶者」又は「その親族」の「障害の状態」が下図「1~8の上段の状態」にあることが必要となります。) |
なお、
所得税法におきましては、「障害者」のうち「特に障害の程度が重い方」を別途「特別障害者」(下図「1~8の下段の状態」に該当する者)として取り扱うこととしています。 |
【「障害者の条件」及び「特別障害者の条件」】
1 | 「精神上の障害」により『「事理を弁識する能力」を欠く常況にある人』 |
上記に該当する場合には、すべて「特別障害者」となります。 | |
2 | 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、『「知的障害者」と判定された人』 |
上記のうち「重度の知的障害者」と判定された人は、「特別障害者」となります。 | |
3 | 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の規定により『「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受けている人』 |
上記のうち「障害等級が1級」と記載されている人は、「特別障害者」となります。 | |
4 | 「身体障害者福祉法」の規定により交付を受けた「身体障害者手帳」に、『「身体上の障害がある人」として記載されている人』 |
上記のうち「障害の程度が1級又は2級」と記載されている人は、「特別障害者」となります。 | |
5 | 『「精神」又は「身体」に障害のある年齢が満65歳以上の人』で、その「障害の程度」が1、2又は4に掲げる人に準ずるものとして『「市町村長」等や「福祉事務所長」の認定を受けている人』 |
上記のうち「特別障害者」に準ずるものとして『「市町村長」「特別区区長」や「福祉事務所長」の認定を受けている人』は、「特別障害者」となります。 | |
6 | 「戦傷病者特別援護法」の規定により『「戦傷病者手帳」の交付を受けている人』 |
上記のうち「障害の程度」が『「恩給法」に定める特別項症から第3項症までの人』は、「特別障害者」となります。 | |
7 | 「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」の規定により『「厚生労働大臣」の認定を受けている人』 |
上記に該当する場合には、すべて「特別障害者」となります。 | |
8 | その年の12月31日の現況で『引き続き6ヶ月以上にわたって「身体の障害」により「寝たきりの状態」で、「複雑な介護」を必要とする人』 (介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる人) |
上記に該当する場合には、すべて「特別障害者」となります。 |
Point! 「身体障害者手帳を受けている者」と「精神障害者保健福祉手帳と受けている者」の違い 『「身体障害者手帳」を受けている者』につきましては、 「 障害の程度が1級又は2級 」の場合に「特別障害者」となり、 『「精神障害者保健福祉手帳」と受けている者』につきましては、 「障害等級が1級」の場合にのみ「特別障害者」として取り扱われます。 上記につきましては、申請上誤りが多いところとなりますので、ご注意頂ますようお願い致します。 |
2、所得税法上の「障害者」の区分
所得税法におきましては、「障害者の方の状況」により扶養者の生活費負担等が異なることから、
「障害者の方」を、
「障害の程度」「障害者の方と本人・配偶者・生計を一にする親族との同居の有無」により、
の「3つの障害者」に区分し、 この区分に応じて『所得金額から控除することができる「障害者控除の金額」』に差を設けています。 |
このため、「扶養控除等申告書」で「障害者控除」の申告をする場合には、この「障害者に係る3つの区分」についても十分にご理解・ご確認頂くことが必要となります。
従いまして、ここでは以下におきまして、この『「障害者に係る3つの区分」の定義 』をご紹介させて頂きます。
1) 一般の障害者
上記1の『(特別障害者の条件でない)「障害者」の条件』に該当する場合には、
所得税法上の「一般の障害者」に該当することとなります。 |
従いまして、「本人」又は「本人の配偶者」又は「本人の親族」が、
上記1の「障害者の条件」図の『「1~8の上段の状態」にあり』『「1~8の下段の状態」に該当しない』場合には、
『本人の「扶養控除等申告書」』において、「本人」又は「本人の配偶者」又は「本人の親族」を「一般の障害者」として申告することが必要となります。
2) 特別障害者
上記1の『「特別障害者」の条件』に該当する場合には、
所得税法上の「特別障害者」に該当することとなります。 |
従いまして、「本人」又は「本人の配偶者」又は「本人の親族」が、
上記1の「障害者の条件」図の『「1~8の下段の状態」に該当する』場合には、
『本人の「扶養控除等申告書」』において、「本人」又は「本人の配偶者」又は「本人の親族」を「特別障害者」として申告することが必要となります。
3) 同居特別障害者
「同一生計配偶者」又は「扶養親族」が
|
当該「特別障害者」は、
所得税法上の「同居特別障害者』に該当することとなります。 |
従いまして、「本人の配偶者」又は「本人の親族」が、
上記1の「障害者の条件」図の『「1~8の下段の状態」に該当し』かつ『「同居の要件」も満たしている』場合には、
『本人の「扶養控除等申告書」』において、「本人の配偶者」又は「本人の親族」を「同居特別障害者」として申告することが必要となります。
◆ ※「同居を常としている」とは ◆
「老人ホーム」などへ入所している場合は、「同居を常にしている」とはいえません。
(生活の本拠が「老人ホーム」などに移転していると考えられるため)
他方、「病気の治療」のため入院していることにより「従業員・役員」等と別居している場合は、
その期間が結果として1年以上といった長期にわたるような場合であっても、「同居」に該当するものと判断されます。
(入院等につきましては、結果的に長期のものとなっても、あくまで一時的なものであり、生活の本拠は「自宅」であると考えるため)
Ⅲ:「同一生計配偶者」の定義と条件
「扶養控除等申告書を提出する本人 」が『「その配偶者」が「障害の状態」にある』ことに起因して「障害者控除」を受けるためには、上記Ⅰでご紹介させて頂きましたように、
「配偶者」が「同一生計配偶者」であることが必要となります。 |
このため、ここでは『「本人の配偶者」が「障害の状態」にある』ことに起因して「障害者控除」を受けるための追加要件である『「同一生計配偶者」の定義・条件』をご紹介させて頂きます。
1、「同一生計配偶者」の定義 ( 令和2年度以降 )
令和2年度以降の「同一生計配偶者」は、
(1)「扶養控除等申告書を提出する本人」と「生計を一にしている民法上の配偶者」であり、 (2)かつ、『その配偶者の暦年度中の「合計所得(見積)金額」』が48万円以下であり、 (3)かつ、「青色申告者の事業専従者」としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない 配偶者をいいます。 |
▶ 参考) 平成31年度(令和元年度)の「同一生計配偶者」の定義
2、「同一生計配偶者」の条件
『「同一生計配偶者」の定義』は、上記1でご紹介させて頂きましたものとなりますが、
ここでは、この定義に基づき、『「同一生計配偶者」のそれぞれの条件』を詳しくご紹介させて頂きます。
条件1:「本人」と「生計を一にする民法上の配偶者」であるという条件
「配偶者」が「同一生計配偶者」に該当するためには、
「配偶者」が「扶養控除等申告書を提出する本人」と「生計を一にしている民法上の配偶者」であることが条件となります。 |
◆ 「 生 計 を 一 に す る 」とは ◆
日常の生活の資を共にすることをいいます。 |
この点、「勤務の都合により家族と別居している」又は「配偶者が療養などのために別居している」場合であっても、
- 「本人」が「その配偶者に係る生活費又は療養費」などを常に送金しているときや、
- 日常の起居を共にしていないが、勤務の余暇には起居を共にしているときは、
「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
◆ 「 民 法 上 の 配 偶 者 」の条件 ◆
「配偶者」が「同一生計配偶者」に該当するためには、
「民法の規定による配偶者」であることが必要となります。 |
このため、「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様にあるような場合(内縁状態にある方)」は、
「民法の規定による配偶者」でないため、「この方」を「同一生計配偶者」とすることはできません。
条件2:「配偶者」の「合計所得(見積)金額」の条件
「配偶者」が「同一生計配偶者」に該当するためには、
「配偶者」のその年度における「合計所得(見積)金額」が「48万円」以下であることが必要となります。 |
◆ 「 合 計 所 得 」とは ◆
大雑把にいいますと、
「給与所得」「退職所得」「事業所得」「不動産所得」「利子所得」「配当所得」「雑所得(公的年金所得を含む)」「一時所得」「譲渡所得」「山林所得」の10種類の所得を「合計した所得」をいいます。
⇒このため、「給与所得」以外にも「上記に該当する所得」がある場合には、その所得金額を合計することが必要となります。
また上記の「合計所得」は、
- 「収入金額」ではなく、
- 「収入金額」から『「必要経費額」や「各種の控除金額(給与所得控除額、公的年金控除額等)」等 』を差引いた後の「所得金額」をいいます。
◆ 『「所得の見積額」で判断される場面』と『「所得の確定額」で判断される場面』 ◆
「所得の見積額」で判断される場面
「扶養控除等申告書」は、「通常暦年度の初め(前年度の年末調整時)」や「新入社員の入社時・新任役員の就任時」に従業員・役員から会社に提出されるものとなります。
このため『「扶養控除等申告書」の提出時点で判断する「所得の金額」』は、あくまでその年度の「所得の見積額」で判断することとなります。
「所得の確定額」で判断される場面
他方、「年末調整」時において『「配偶者」が「障害者控除の対象となる配偶者」に該当するか否か』の判断は、
あくまで、その年度の「年末時点」におけるその年度の「所得の確定金額」で判断することが必要となります。
条件3:「事業専従者」等の制限
「配偶者」が
「その配偶者」は「同一生計配偶者」になることはできません。 |
◆ 『「事業専従者」に対する制限』の範囲 ◆
上記に該当する「青色事業専従者」「白色事業専従者」とは、
「配偶者」が「扶養控除等申告書を提出する本人」や「その本人と生計を一にする者」の「青色事業専従者・白色事業専従者」になっている場合が該当します。 |
この点、
① 「扶養控除等申告書を提出する本人」が会社に勤務する以外に、自ら事業を行っており、
- その事業で「配偶者」を「青色事業専従者」としており、給与を支払っている場合
- 又はその事業で「配偶者」を「白色事業専従者」としている場合、
②「配偶者」が「扶養控除等申告書を提出する本人と生計を一にする者」が営む事業において
- 「青色事業専従者」として給与の支払いを受けている場合
- 又は「白色事業専従者」となっている場合には、
当該「配偶者」は、『「扶養控除等申告書を提出する本人」の「同一生計配偶者」』となることはできません。
他方、「配偶者」が「扶養控除等申告書を提出する本人と生計を一にしない者」が営む事業において、
- 「青色事業専従者」として給与の支払いを受けているような場合
- 又は「白色事業専従者」となっているような場合には、
当該「配偶者」は、『「扶養控除等申告書を提出する本人」の「同一生計配偶者」』となることは可能となります。
《 参考:「同一生計配偶者」と「源泉控除対象配偶者」との違い 》
Ⅳ:『「障害者控除」の対象となる「親族」』の条件
「扶養控除等申告書を提出する本人」が『「その親族」が「障害の状態」にある』ことに起因して「障害者控除」を受けるためには、上記Ⅰでご紹介させて頂きましたように、
「親族」が「扶養親族」であることが必要となります。 |
このため、ここでは『「本人の親族」が「障害の状態」にある』ことに起因して「障害者控除」を受けるための追加要件である『「扶養親族」の定義・条件』をご紹介させて頂きます。
1、「扶養親族」の定義 ( 令和2年度以降 )
令和2年度以降の「扶養親族」とは、
その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡し又は出国する場合は、その死亡又は出国の時)の現況で、次の四つの要件すべてを満たす人をいいます。
(1)「扶養控除等申告書を提出する本人」の「配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)」であること。 (2)「扶養控除等申告書を提出する本人」と「生計を一にしている」こと。 (3)「その親族」の「年間の合計所得(見積)金額」が48万円以下であること。 (4)「青色申告者の事業専従者」としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと。 |
▶ 参考) 平成31年度(令和元年度)の「扶養親族」の定義
2、「扶養親族」の条件
『「扶養親族」のそれぞれの条件』につきましては、別途『控除対象扶養親族』の「Ⅱ:「扶養親族」の定義と条件」において、ご紹介させて頂いておりますので、必要がある場合には、当該リンクページを御覧下さい。
《 参考:「控除対象扶養親族」と「障害者控除の対象となる扶養親族」の違い 》
Ⅴ:『「扶養控除等申告書」提出時 』&「年末調整時」の添付書類
「扶養控除等申告書」に『「本人」又は「同一生計配偶者」又は「扶養親族」が「障害者」に該当する旨』を記載する場合におきましては、
原則、
当該『「障害者(特別障害者、同居特別障害者)の方」の記載事項 』を証明するための添付書類等は必要ありません。 |
ただし、「障害者(特別障害者、同居特別障害者)の方」が「非居住者」に該当する場合※である場合には、
「扶養控除等申告書」の提出時に、 『「障害者(特別障害者、同居特別障害者)の方」が「本人の親族」であること』を証明するための「親族関係書類」を会社に提出することが必要となり、 |
かつ、
その年度の「最後の給与」が支払われるまでに(≒その年度の年末調整時まで)に 『「障害者(特別障害者、同居特別障害者)の方」が「本人」と「生計を一にすること」』を証明するための「送金関係書類」を会社に提出することが必要となります。 |
◆ ※「 非 居 住 者 」とは ◆
「非居住者」とは、
「国内に住所を有せず」かつ「現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有しない者」をいいます。 |
◆ 「扶養控除等申告書」の提出時点に提出が必要となる書類 ◆
「障害者(特別障害者、同居特別障害者)の方」が「非居住者」である場合には、
『「障害者(特別障害者、同居特別障害者)の方」が「本人の親族」であること』を証明するために、以下の①又は②の「親族関係書類」を、
「扶養控除等申告書」の提出時に会社に提出することが必要となります。
①「戸籍の附票の写し」等及び「パスポートの写し」 ② 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類 ※なお上記書類が外国語により作成されている場合には「訳文」の提出も必要となります。 |
◆ その暦年度の最後(年末調整時点)で提出する書類&報告 ◆
▶ 「送金関係書類」の提出
「障害者(特別障害者、同居特別障害者)の方」が「非居住者」である場合には、
「扶養控除等申告書を提出する本人」と「非居住者である障害者(特別障害者、同居特別障害者)の方」が生計を一にしていることを証明するための「送金関係書類」を、
その年度の「最後の給与」が支払われるまでに(≒その年度の年末調整時まで)に会社に提出することが必要となります。
なお「送金関係書類」とは、 具体的には以下①や②の書類となります。 ① 金融機関が行う為替取引により障害者(特別障害者、同居特別障害者)の方に支払ったことを明らかにできる「金融機関の書類」又は「その写し」 ② 障害者(特別障害者、同居特別障害者)の方が商品等を購入し、本人がその代金を支払ったことを明らかにする「クレジットカード発行会社の書類」又は「その写し」 ※なお上記書類が外国語により作成されている場合には「訳文」の提出も必要となります。 |
▶ 「送金金額等の合計金額」の報告
また、「その暦年度末」時点におきましては、
・上記の「送金関係書類」を会社に提出するとともに、
「扶養控除等申告書を提出する本人」から「非居住者である障害者(特別障害者、同居特別障害者)の方」に『その暦年度中において支払・送金された「送金金額等の合計額」』を、 「扶養控除等申告書」に記載して、会社に報告することが必要となります。 |
Ⅵ:「障害者控除の申告」における注意点
「扶養控除等申告書」で「障害者控除を受けるための条件」は、上記Ⅰ~Ⅳでご紹介させて頂きましたものとなりますが、
「扶養控除等申告書」に「障害者控除を受ける旨」の記載を行う場合には、以下の注意点もご確認下さい。
1、「同一生計配偶者」を起因として「障害者控除」を受ける場合の注意点
「扶養控除等申告書」に「同一生計配偶者」が「障害者(特別障害者、同居特別障害者)である旨」の記載を行う場合には、
「同一生計配偶者」が『 他の所得者の「扶養親族」』として、『「他の所得者」が「当該配偶者に係る扶養控除」』を受けていないこと が前提となります。 (所得税基本通達 79-1) |
◆ 例 示 ◆
例えば、
・同一生計内に「父親」「母親」「子」がおり、
・「父親」「子」が「所得者」であり、
・「母親」が「父親の控除対象配偶者」「子の控除対象扶養親族」の両方に該当し、かつ「一般の障害者」に該当する場合に、
『「子」の「扶養控除等申告書」』において『「母親」を「控除対象扶養親族」』として申告している場合には、 『「父親」の「扶養控除等申告書」』におきましては、『「母親(配偶者)」を「障害者」』として記載し、 |
なお、このような場合におきましては、
『「母親」を「控除対象扶養親族」として申請し、「母親に係る扶養控除」を受ける「子」』のみが、 『「母親(扶養親族)」を起因とする「障害者控除」』を受けることができます。 |
2、「扶養親族」を起因として「障害者控除」を受ける場合の注意点
「扶養控除等申告書」に「扶養親族」が「障害者(特別障害者、同居特別障害者)である旨」の記載を行う場合には、
「扶養親族」が『 他の所得者の「扶養親族」』として、『「他の所得者」が「当該扶養親族に係る扶養控除」』を受けていないこと が前提となります。 (所得税基本通達 79-1) |
◆ 例 示 ① ◆
例えば、
・同一生計内に「父親」「母親」「子」がおり、
・「父親」「母親」が「所得者」であり、
・「子」が「控除対象扶養親族」の要件を満たしており、かつ「一般の障害者」に該当する場合に、
『「父親」の「扶養控除等申告書」』において『「子」を「控除対象扶養親族」』として申告している場合には、 『「母親」の「扶養控除等申告書」』におきましては、『「子(扶養親族)」を「障害者」』として記載し、 |
なお、このような場合におきましては、
『「子」を「控除対象扶養親族」として申請し、「子に係る扶養控除」を受ける「父親」』のみが、 『「子(扶養親族)」を起因とする「障害者控除」』を受けることができます。 |
◆ 例 示 ② ◆
例えば、
・「郷里にいる母親の生活費を兄弟で送金している」ような場合で、
・「母親」が『「兄」と「弟」のいずれの「控除対象扶養親族」ともなる要件』を満たしており、かつ当該「母親」が「一般の障害者」に該当する場合に、
『「兄」の「扶養控除等申告書」』において『「母親」を「控除対象扶養親族」』として申告している場合には、 『「弟」の「扶養控除等申告書」』におきましては、『「母親(扶養親族)」を「障害者」』として記載し、 |
なお、このような場合におきましては、
『「母親」を「控除対象扶養親族」として申請し、「母親に係る扶養控除」を受ける「兄」』のみが、 『「母親(扶養親族)」を起因とする「障害者控除」』を受けることができます。 |
◆ 例 示 ③ ◆
例えば、
・「父親」及び「母親」が共働きである場合で、2人の「控除対象扶養親族の子(子A・子B)」がいらっしゃる場合で、
・「子A」が「一般の障害者」に該当する場合に、
『「父親」の「扶養控除等申告書」』において『「子A」を「控除対象扶養親族」』として申告し、 『「母親」の「扶養控除等申告書」』におきましては、『「子A(扶養親族)」を「障害者」』として記載し、 |
なお、このような場合におきましては、
『「子A」を「控除対象扶養親族」として申請し、「子に係る扶養控除」を受ける「父親」』のみが、 『「子A(扶養親族)」を起因とする「障害者控除」』を受けることができます。 |
3、「障害者控除の対象となる人」に異動があった場合
「扶養控除等申告書」は、
『毎月の給与計算で「源泉所得税を控除する」際に必要となる書類』となるため、
- 既存の従業員・役員からは、「前年度の年末調整時」に会社に提出する
- 途中入社・途中就任した従業員・役員からは、「入社・就任時」に会社に提出することとなりますが、
暦年度の途中におきまして、「障害者控除の対象となる人」の異動がある場合には、
新たな内容を記載した「扶養控除等申告書」を「会社」に再提出するか |
既に提出した「扶養控除等申告書」に、異動後の内容を記載して「会社」に提出し直すことが必要となります。 |
「障害者控除対象配偶者・扶養親族」の「所得の見積額」と「所得の確定額」に違いがある場合
・「配偶者」が「同一生計配偶者」となるための条件である『配偶者の「所得の金額」』や、
・「親族」が「扶養親族」となるための条件である『親族の「所得の金額」』につきましては、
- 「扶養控除等申告書」の提出時点では、「見積金額」で判断し、
- 「年末調整」時点では、「確定金額」で判断されることとなります。
このため、
- 「年度初め」や「入社時・就任時」に見積もられた「所得の見積金額」と
- 「年度末」に確定した「所得の確定金額」とに差異が発生した場合には、
新たな「扶養控除等申告書」を「会社」に再提出するか |
既に提出した「扶養控除等申告書」に、「確定金額」を修正記載して「会社」に提出し直すことが必要となります。 |
「非居住者」である「障害者控除対象配偶者・扶養親族」への「送金合計額」の記載
「障害者控除対象配偶者」や「障害者控除対象扶養親族」が「非居住者」に該当する場合には、
上記Ⅴでご紹介させて頂きましたように、『「扶養控除等申告書を提出する本人」から「障害者控除対象配偶者」や「障害者控除対象扶養親族」に「送金した金額の合計額」』を「その暦年度末」時点で「扶養控除等申告書」に記載することが必要となります。
このため、このような場合におきましては、
新たな「扶養控除等申告書」を「会社」に再提出するか |
既に提出した「扶養控除等申告書」に、「送金合計金額」を追加記載して「会社」に提出し直すことが必要となります。 |
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、『「障害者控除を受けるため」の条件・申告上の注意点』をご紹介させて頂いております。
「扶養控除等申告書」に『「本人」又は「同一生計配偶者」又は「扶養親族」が「障害者」に該当する旨』を記載する場合には、
ここでご紹介させて頂いております「障害者控除を受けるため」の条件・注意点」を十分にご理解頂きますようお願い致します。
なお、『「障害者控除」に関する申告』につきましては、
『年度期間中の「源泉所得税の計算」』及び『「年末調整」における「障害者控除額」の計算』が、
すべて『「扶養控除等申告書」における「障害者」欄の記載』に基づいて行われることとなるため、
年度期間中に『「扶養控除等申告書」に記載した「障害者の情報」』に異動がある場合には、
必ず、その異動内容を会社に報告して、『「扶養控除等申告書」の記載内容』を適時に更新して頂ますようお願い致します。