ここでは、『「標準報酬月額」の入社時決定(資格取得時決定)』の内容を、以下の項目に従い、ご紹介させて頂きます。

 

 

 

Ⅰ:「標準報酬月額」の入社時決定の必要性

見出4 「社会保険料の計算」における「標準報酬の利用」                

毎月の給与計算で従業員等に対して支給される「給与支給額」等につきましては、
勤怠時間により変動する「法定手当(時間外労働手当、深夜労働手当、法定休日労働手当)」が支給されるため、
・また「精皆勤手当」「出張手当」「宿直・日直手当」等の臨時的な任意手当」が支給されることがあるため、
毎月変動することが予想されますが、

このような毎月変動する給与支給額」等に基づいて社会保険料の計算を行うことは、
従業員・役員からの社会保険料の徴収計算を行う会社にとっても、会社からの社会保険料の徴収計算を行う保険者にとっても、事務処理煩雑になります

このため、「社会保険料の計算」におきましては、

  • 毎月変動することが予想される「給与支給額」等を算定基礎として計算するのではなく、
  • ある一定期間における「給与支給額」「役員報酬額」を月平均した金額報酬月額)』に基づいて決定された「標準報酬月額」というものを設け、
    この「標準報酬月額」を算定基礎として計算することとしています。

 

見出4 「標準報酬の入社時決定(資格取得時決定)」の必要性            

「健康保険・介護保険料」及び「厚生年金保険料」の「社会保険料」につきましては、

社会保険の被保険者である従業員・役員が『「入社した月」「就任した月」に係る社会保険料』から、

会社及び従業員・役員が保険料を負担することになります。

このため、従業員・役員が入社・就任した時点で、直ちに

・「健康保険・介護保険」の標準報酬月額
・「厚生年金保険」の標準報酬月額

が決定されていることが必要となります。

この、従業員・役員が『入社・就任した時点で決定される「標準報酬月額」』のことを、

入社時に決定される標準報酬月額」』又は『資格取得時に決定される標準報酬月額」』といいます。

 

 

Ⅱ:入社時決定における「標準報酬月額」の決定概要と届出事務

1、入社時決定における「標準報酬月額」の決定概要

『「標準報酬月額」の入社時決定(資格取得時決定)』は、

従業員・役員が入社・就任し、「社会保険の被保険者資格要件」を満たす場合には、

入社・就任時点直ちに決定することが必要となります。

 

このため、『入社時(資格取得時)に決定される「標準報酬月額」』は、

『「定時決定」「随時改定」で決定・改定される「標準報酬月額」』のように、「給与・役員報酬支払実績」に基づいて決定されるのではなく

従業員の入社時点・役員の就任時点で、「従業員・役員」に支払われる「給与・役員報酬合理的な支払見込額」に基づいて決定されるものとなります。

 

2、定時決定に係る届出事務

『入社時決定(資格取得時決定)で決定される「標準報酬月額」』は、最終的には、社会保険の保険者決定するものとなりますが、

社会保険の保険者側では、
会社から被保険者(従業員・役員)に対して、「今後いくらの給与・役員報酬が支払われるのかの情報」はわかりません。

このため、会社から社会保険の保険者に対して、
新たに入社した従業員・新たに就任した役員に対して「今後、支払われる見込の給与・役員報酬の金額を届け出ることが必要となり、

会社では、従業員が新たに会社に入社した場合・役員が新たに就任した場合には
(従業員・役員が新たに社会保険の被保険者となる場合には)、

・従業員・役員が入社日・就任した日から5日以内に、

・従業員・役員の入社・就任時の「報酬月額が記載された「被保険者資格取得届」を社会保険の保険者に対して届け出ることが必要となります。

 

標準報酬月額:入社時決定における標準報酬月額の届出・決定

 

 

Ⅲ:入社時に決定された「標準報酬月額」の使用開始時期

見出4 「社会保険料の計算」に対する使用開始時期                 

『入社時(資格取得時)に決定された「標準報酬月額」』は、

『「入社した月就任した月資格を取得した月)」に係る「社会保険料の計算」』から使用を開始することとなります。

 

見出4 「社会保険料の納付月」との関係での使用開始時期                

「入社月・就任月に係る社会保険料」の会社から保険者への納付は、

入社月就任月翌月」に保険者に納付することが必要となることから、

社会保険料の納付との関係で考えると、『入社時に決定された「標準報酬月額」』は、

『「従業員の入社月」「役員の就任月」の翌月』に納付される社会保険料」の計算から使用開始されることとなります。

 

見出4 「社会保険料の徴収月」との関係での使用開始時期                

従業員・役員個人が負担する「入社月・就任月に係る社会保険料」は、

入社月就任月翌月」に会社から支払われる給与・役員報酬から会社が徴収することとなることから、

社会保険料の徴収との関係で考えると、『入社時に決定された「標準報酬月額」』は、

『「従業員の入社月」「役員の就任月」の翌月』に支払われる給与・役員報酬から控除する「社会保険料」の計算から使用開始されることとなります。

 

標準報酬月額:入社時決定

 

 

Ⅳ:入社時に決定された「標準報酬月額」の有効時期

社会保険料の算定基礎となる「標準報酬月額」につきましては、

入社時(資格取得時)に決定される場合の他、

  • 定時決定」という手続により、年に1度、「全被保険者を対象とした一斉見直」がなされます。
  • また、「給与・役員報酬の実際支払額」が大きく変動するような場合には、「給与・役員報酬の実際支払額」と「既存の標準報酬月額」との乖離を調整するために「随時決定」という手続がなされます。

 

このため『入社時・就任時に決定された「標準報酬月額」』は、

入社・就任後において、「随時改定がなされない場合には、「定時決定が行われるまで使用し続けられ、
入社・就任後において、「定時決定がなされる前に「随時改定がなされた場合には、「随時改定が行われるまで使用し続けられます。

 

「定時決定」との関係における有効期間

見出4 「定時決定」との関係における有効期間                     

『入社時・就任時に決定された「標準報酬月額」』は、

・「標準報酬月額の随時改定」がなされない限り

・「入社・就任後に行われれる定時決定」がなされるまで使用し続けられます。

すなわち、「標準報酬月額の随時改定」がなされない限り、

見出(見出矢印:背景水色)その年度1月~5月末までに入社・就任した従業員・役員に対して決定された『入社時決定の「標準報酬月額」』は、
 ⇒「その年度8月分の社会保険料計算」まで、当該「標準報酬月額」が使用し続けられ、

見出(見出矢印:背景水色)その年度6月~12月末までに入社・就任した従業員・役員に対して決定された『入社時決定の「標準報酬月額」』は、
 ⇒「翌年度8月分の社会保険料計算」まで、当該「標準報酬月額」が使用し続けられます。

 

標準報酬月額:入社時決定の有効期間

 

見出4 「定時決定」との関係                             

見出(見出矢印:背景水色)定時決定」は、
原則7月1日時点定時決定の基準日)で会社に在籍する社会保険の被保険者(従業員・役員)を対象として行われる『「標準報酬月額」の一斉見直し手続』となります。

このため、本来ならば6月30日までに入社・就任した新入社員・新任役員もすべて、「定時決定」の適用を受けることとなりますが、

見出(見出矢印:背景水色)上記の新入社員・新任役員のうち、6月1日~6月30日までに入社・就任した者につきましては、

「入社・就任」から「定時決定の基準日」までの期間が極端に短く、その結果「給与・役員報酬の支払実績」が著しく不足することが予想されるため、

「標準報酬月額の定時決定」では、例外的に、

その年度の6月1日~6月30日までに入社・就任した新入社員・新任役員は、『「定時決定」の適用対象外』となります。

この結果、
その年度の6月に入社・就任した従業員・役員に対して決定された『入社時決定の「標準報酬月額」』は、

翌年度8月分の社会保険料計算」まで使用し続けられることになります。

 

標準報酬月額:定時決定の適用対象外(6月入社)

 

「随時改定」との関係における有効期間

見出4 「随時改定」との関係における有効期間                    

『入社時・就任時に決定された「標準報酬月額」』は、

「標準報酬月額」の「定時決定がなされる前に、「随時改定がなされた場合には、

「随時改定」によって、その使用終了します

すなわち、

見出(見出矢印:背景ハダ色)固定的な報酬の変動を伴い

見出(見出矢印:背景ハダ色)変動月以降3ヶ月間における「報酬月額」に対する「標準報酬月額」』が「入社時に決定された標準報酬月額」と比べて、2等級以上差異がある etc.

『「随時改定の要件』を充たした場合には、

『入社時に決定された「報酬月額」』の使用は終了します。

 

【 1月 ~ 5月  入社の場合】

入社時決定:随時改定との関係(1月~5月入社の場合)

 『7月~9月に「随時改定」』がなされる場合には、その年度の「定時決定は行われません
このため、『7月~9月に「随時改定」』がなされる場合には、『「随時改定」で改定された標準報酬月額」』は、「翌年度の定時決定」まで使用されます。

なお、この点につきましては、『「7月・8月・9月の随時改定」と「定時決定」の関係』でより詳しくご紹介させて頂いておりますので、必要がある場合には、上記リンクページを御覧下さい。

 

【 6月 ~ 12月  入社の場合】

入社時決定:随時改定との関係(6月~12月入社の場合)

 

見出4 「随時改定」との関係                           

『入社時に決定される「標準報酬月額」』は、

・「給与・役員報酬の実際支払額」に基づいて決定されるのではなく、
・あくまでも入社時において「合理的に見積もられた給与・役員報酬」に基づいて決定されるものであるため、

「見積もり金額」が「実際支払額」と乖離した等により、「随時改定」が行われることはあります。

 

見出(見出矢印:背景水色)ただし、「随時改定」は、
それが行われる要件として、「固定的賃金が変動することが前提となることから、

『入社時決定において見積もられた残業代金」等の「変動的賃金」』が
『「実際の残業代金」等の「変動的賃金」』と乖離したのみでは、「随時改定」は行われません

見出(見出矢印:背景水色)このため、『入社時決定における「標準報酬月額」』は、
・頻繁に「随時改定」がなされるように思われますが、
実務的には、それほど頻繁に「随時改定」がなされることはありません。

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

ここでは、『「標準報酬月額」の「入社時決定の内容(概要)」』をご紹介させて頂いております。

 

「入社時決定」につきまして

「入社時決定」につきましては、
従業員・役員が入社・就任後直ちに行わなければならないものとなるため、
入社時決定において保険者に届出る「報酬月額」も、「入社・就任時における見積金額」となります。

また、『「入社時決定」で決定される「標準報酬月額」』は、
『「入社・就任月」に係る「社会保険料の計算」』から使用されることとなりますが、
実務上は、
・「入社・就任月の翌月」に納付される「社会保険料の計算」から使用が開始される
・『「入社・就任月の翌月に支払われる給与・役員報酬」から「控除する社会保険料計算」』から使用されることとなる点にご留意頂ますようお願い致します。

 

「報酬月額」の算定方法について

『「入社時決定」における「報酬月額」の算定方法』につきましては、別途『入社時(資格取得時)決定における「報酬月額」の算定方法』で詳しくご紹介させて頂いておりますので、『「入社時決定」における「報酬月額」の算定方法』をご確認頂く場合には、当該リンクページを一読して頂きますようお願い致します。