ここでは、給与計算で行う「社会保険料の控除計算」に必要となる「社会保険に関する基礎知識」を、以下の項目に従い、ご紹介させて頂きます。

 

 

 

Ⅰ:社会保険料控除の対象となる「従業員・役員の範囲」&「社会保険の種類」

給与計算において社会保険料の控除を行う従業員・役員は、「会社が加入する社会保険の被保険者となる従業員・役員のみ」となります。

このため、ここでは、まず最初に、下記1において、

  • 「従業員・役員」が「会社が加入する社会保険」に加入する「一般的な加入要件」をご紹介するとともに、
  • 給与計算において社会保険料の控除を行う対象となる従業員・役員の範囲」をご紹介させて頂きます。

 

また、上記事項とともに、会社が給与計算において社会保険料の控除を行う場合には「どのような種類の社会保険料」を控除するかを理解しておくことが必要となります。

このため、下記2におきまして、

  • 給与計算において会社が控除することが必要となる「社会保険料の種類」につきご紹介させて頂きます。

 

1、給与計算において社会保険料控除の対象となる「従業員・役員の範囲」

会社には「役員」「正社員」「パート社員アルバイト社員」等様々な方がいらっしゃいますが、
給与計算時において、会社が社会保険料の控除を行わなければならない方は、

会社が加入している社会保険」に加入されている方のみとなります。
(会社が加入している社会保険の被保険者となる方のみとなります。)

 

「会社が加入している社会保険」につきましては、
下記でご紹介させて頂くような「一般的な(社会保険の)加入要件」があり、

見出(見出矢印:背景水色)「従業員・役員」が、この「一般的な(社会保険の)加入要件を満たしている場合には、
・「会社が加入している社会保険」に加入することが必要となり、この場合には、社会保険料の一部を「従業員・役員個人」が負担することが必要となります。
・このため、このような従業員・役員に対しては、給与計算時に「これらの従業員・役員が個人で負担する社会保険料」を会社で徴収控除)することが必要となります。

 

見出(見出矢印:背景水色)他方「従業員・役員」が、「一般的な(社会保険の)加入要件を満たしていない場合には、
・「会社が加入している社会保険」には、加入することができないため、
・「当該従業員・役員」につきましては、「会社が加入している社会保険の保険料」を負担する必要はなく、
・よって、会社は給与計算時において、「当該従業員・役員」から「社会保険料」を徴収(控除)することは不要となります。

 

Point!:社会保険の加入態様

「従業員・役員」が「社会保険の一般的加入要件」を満たした場合には、「すべての種類の社会保険」に強制的に加入することが必要となります。

このため、

  • 「会社の意思」や「従業員の意思」により、社会保険に加入しない等の選択を行うことはできず
  • また「会社の意思」や「従業員の意思」により、一部の種類の社会保険にのみ加入し一部の社会保険に加入しないというような選択を行うことはできません

 

見出4 社会保険の一般的な加入要件                         

「会社で働く従業員」「会社を経営する役員」が社会保険に加入するための「一般的な加入要件」は以下のものとなります。

①会社の「役員」であり、会社から「役員報酬」を受けている者

②会社にフルタイムで雇用されている「正社員」である者(常用雇用者

③「1週間所定労働時間」および「1か月所定労働日数」が同じ事業所同様の業務に従事している正社員4分の3以上である「パート社員等」(短時間就労者)』である者

上記の①~③のいずれかに該当した場合には、「会社が加入している社会保険」に加入することが必要となります。

 

なお、上記の他、社会保険の被保険者数が常時501人以上いる事業所(特定適用事業所)におきましては、

見出(見出矢印:背景水色) 「1週間の所定労働時間」が「20時間以上」であり、
見出(見出矢印:背景水色) 1年以上雇用見込があり、
見出(見出矢印:背景水色) 「月の給料」が「88,000円(残業手当・通勤手当・家族手当・賞与等は含めません)以上」であり、
見出(見出矢印:背景水色)学生(夜間・通信・定時制を除く)でない」場合には、

「1週間の所定労働時間」および「1か月の所定労働日数」が同じ事業所で同様の業務に従事している「正社員の4分の3未満」である「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」などの従業員であっても、

「会社が加入している社会保険」に加入することが必要となります。

(以上の要件をすべて満たした労働者を「短時間労働者」といいます。)

 

2、給与計算において控除することが必要となる「社会保険料の種類」

会社が、給与計算時に「従業員・役員」から「徴収することが必要となる社会保険料」は、

見出丸(小:背景ハダ色) 健 康 保 険

見出丸(小:背景ハダ色) 介 護 保 険

見出丸(小:背景ハダ色) 厚 生 年 金 保 険 となります。

 

会社は、「その加入する社会保険の保険者」に対して

見出丸(小:背景ハダ色) 健 康 保 険

見出丸(小:背景ハダ色) 介 護 保 険

見出丸(小:背景ハダ色) 厚 生 年 金 保 険 

見出丸(小:背景ハダ色) 子 ど も ・ 子 育 て 拠 出 金 

という社会保険料等を支払うことが必要となります。

ただし、上記の社会保険料等のうち、「子ども・子育て拠出金」につきましては、「拠出金の全額」が会社負担となり、従業員・役員の負担額ゼロであることから、
当該子ども・子育て拠出金」につきましては、給与計算において、従業員・役員からの徴収は不要となります。

この結果、給与計算時において、会社が従業員・役員から徴収(控除)することが必要となるものは、
健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料のみとなります。

 

見出(見出矢印:背景水色) 子ども・子育て拠出金                            

国が行う児童手当や子育て支援事業、仕事と子育ての両立支援事業などに充てる費用を会社が負担するため、
会社では「子ども・子育て拠出金」というものを保険者に支払うことが必要となります。

「子ども・子育て拠出金」につきましては、
「拠出金の全額」が会社負担となる(従業員・役員の負担額ゼロとなる)ことから、
「給与計算時における社会保険料の控除額計算」にあたっては、考慮しなくても良いものとなります。

 

 

Ⅱ:「従業員・役員の年齢」と「控除する社会保険料」の関係

「従業員・役員」が、上記1でご紹介させて頂きました「一般的な加入要件」を満たしてる場合には、
原則、給与計算において「当該従業員・役員」から社会保険を徴収することが必要となりますが、

「社会保険の被保険者となる要件」には、「一般的な加入要件」以外にも別途それぞれの社会保険ごとに「年齢による加入要件」や「年齢による社会保険料の負担要件」があります。

このため「従業員・役員」が仮に「社会保険の一般的な加入要件を満たしている場合であっても、
「従業員・役員の年齢」によっては、会社は給与計算時において、「当該従業員・役員」から「特定種類の社会保険料を徴収控除することは不要となることがあります。

従いまして、ここでは、『「従業員・役員の年齢」と「給与計算における社会保険料控除の要否」との関係』につきご紹介させて頂きます。

 

1、「従業員・役員の年齢」と「控除する社会保険料」の関係

「従業員・役員の年齢」と「給与計算における社会保険料控除の要否」との関係は以下のようになります。

年齢 給与計算時における「社会保険料控除」の要否
健康保険※1 介護年金保険※2 厚生年金保険※3
39歳以下
40歳以上64歳以下
65歳以上69歳以下
70歳以上74歳以下
75歳以上

:給与計算時に社会保険料を控除することが必要となります。

 

※1: 健 康 保 険 料 の 控 除

従業員・役員の年齢が75歳になった場合には、当該従業員・役員は会社が加入する健康保険の被保険者でなくなることから、

『給与計算において「健康保険料の控除」が必要となる「従業員・役員」』は、74歳以下の場合となります。

 

※2: 介 護 保 険 料 の 控 除

会社の給与計算において介護保険料の控除が必要となる「従業員・役員」は、介護保険の第二号被保険者のみとなります。

このため、『給与計算において「介護保険料の控除」が必要となる「従業員・役員」』は、40歳以上64歳以下の場合となります。

 

※3: 厚 生 年 金 保 険 料 の 控 除

従業員・役員の年齢が70歳になった場合には、原則、当該従業員・役員は会社が加入する厚生年金保険の被保険者でなくなることから、

『給与計算において「厚生年金保険料の控除」が必要となる「従業員・役員」』は、69歳以下の場合となります。

 

 なお、『「従業員・役員の年齢」と「給与計算における社会保険料控除の要否」との関係』につきましては、別途『「被保険者の年齢」と「給与計算における社会保険料の控除」』にて詳細にご紹介させて頂いておりますので、必要がある場合には、当該リンクページをご一読頂ますようお願い致します。

 

2、給与計算における「従業員・役員の年齢」の確認

上記のように、各社会保険には「年齢による加入要件」や「年齢による社会保険料の負担要件」があります。

このため、給与計算において各種の社会保険料を控除する場合には、

「従業員・役員の年齢」にも留意して社会保険料の控除を行うことが必要となります。

 

 

Ⅲ:社会保険料の「負担割合」と「負担金額」

給与計算において給与・役員報酬から社会保険料を控除する場合には、「控除する社会保険料の金額」を算定することが必要となりますが、

この「控除する社会保険料」は、「会社が社会保険の保険者に対して納付する社会保険料」のうち「従業員・役員個人て負担する部分の金額」となります。

このため、ここでは、

  • 社会保険料の『「会社」と「従業員・役員」との保険料負担割合』をご紹介させて頂くとともに、
  • 『「会社が給与計算で控除する社会保険料の金額の算定式』をご紹介させて頂きます。

 

1、社会保険料の「負担割合(負担関係)」

社会保険である「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」につきましては、

社会保険料の半分を「会社」が負担し、社会保険料の半分を「従業員・役員」が負担することとなります。

 

見出(見出矢印:背景水色)そもそも「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」につきましては、従業員及び役員各保険の恩恵を受けるものであるため、
一義的には「従業員・役員」が「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」の「社会保険料を負担することとなります。

見出(見出矢印:背景水色)他方、「会社で働く従業員」「会社を経営する役員」に対する福利的な観点等から、
制度上では、会社も「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」の「社会保険料を負担することとしています。

見出(見出矢印:背景水色)そして、「従業員・役員」と「会社」との負担割合につきましては、
「従業員・役員個人」及び「会社」が「社会保険料」の半分づつをそれぞれが負担することとしています。

 

2、会社が給与計算で「控除する社会保険料の金額」の算定式

1)会社から保険者に「納付する社会保険料の金額」の算定式

会社が保険者支払わなければならない健康保険料介護保険料」「厚生年金保険料」は、

・各従業員・役員ごとに決定される「健康保険の標準報酬月額」及び「厚生年金保険の標準報酬月額」に

・「健康保険料・介護保険料保険料率」「厚生年金保険料保険料率」を乗じて算定されます。

すなわち、

見出三角(大) 会社が保険者に支払わなければならない「健康保険料介護保険料」は、

健康保険標準報酬月額」 × 「健康保険料・介護保険料保険料率」 となり、

見出三角(大) 会社が保険者に支払わなければならない「厚生年金保険料」は、

厚生年金保険標準報酬月額」 × 「厚生年金保険料保険料率」 となります。

 

2)給与計算において「控除する社会保険料の金額」の算定式

「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」の「社会保険料」につきましては、

上記1でご紹介させて頂きましたように「会社」と「従業員・役員」で半額づつ負担することとなり、

・また、「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」の「社会保険料」は、『上記2でご紹介させて頂きました計算式」』により算定されます。

このため、

見出三角(大) 「給与・役員報酬計算」において「控除する(従業員・役員負担分の)健康保険料・介護保険料の控除額」は、

健康保険標準報酬月額」 × 「健康保険料・介護保険料保険料率」 × 1 / 2 となり、

見出三角(大) 「給与・役員報酬計算」において「控除する(従業員・役員負担分の)厚生年金保険料の控除額」は、

厚生年金保険標準報酬月額」 × 「厚生年金保険料の保険料率」 × 1 / 2 となります。

 

 

Ⅳ:「社会保険料の控除計算」に必要な基礎情報

「給与・役員報酬の計算」において「控除することが必要となる社会保険料控除額」は、
上記Ⅲ-2-(2)でご紹介させて頂きました計算式」』により算定されることになりますが、

この『「社会保険料の控除額」を算定する』ためには、

見出丸(小:背景ハダ色) 各従業員・役員ごとの「健康保険料に係る標準報酬月額」及び「厚生年金保険料に係る標準報酬月額

見出丸(小:背景ハダ色) 「健康保険料・介護保険料保険料率」及び「厚生年金保険料保険料率

についての情報が必要となります。

 

このため、ここでは、以下1及び2で、「給与計算において控除する社会保険料の算定基礎」となる
標準報酬月額」及び「社会保険の保険料率」についての情報入手(「社会保険料の控除額計算のための事前準備」)につき、ご紹介させて頂きます。

 

1、「標準報酬月額」に関する情報(「標準報酬決定通知書」)の入手

社会保険料の計算における「標準報酬月額」の使用

「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」等の「社会保険料」の計算は、

「毎月の実際給与支給額」「毎月の実際役員報酬額」に基づいて計算するのではなく

社会保険料の計算に特有の 標準報酬月額」 というものに基づいて計算されます。

 

毎月の給与計算で従業員等に対して支給される「給与支給額」等につきましては、
勤怠時間により変動する法定手当(時間外労働手当、深夜労働手当、法定休日労働手当)」が支給されたり、
・「精皆勤手当」「出張手当」「宿直・日直手当」等の臨時的な任意手当」が支給されたりすることから、
毎月変動することが予想されますが、

このような毎月変動する給与支給額」等に基づいて社会保険料の計算を行うことは、
従業員・役員からの社会保険料の徴収計算を行う会社にとっても、会社からの社会保険料の徴収計算を行う保険者にとっても、事務処理煩雑になります

このため、「社会保険料の計算」におきましては、

  • 毎月変動することが予想される「実際の給与支給額」等を算定基礎として計算するのではなく
  • 事前に決定された固定的な標準報酬月額」を算定基礎として計算することとしています。

 

「標準報酬月額」の決定

この『「社会保険料の控除額」の算定基礎金額』となる「標準報酬月額」は、
・会社独自で決定するものではなく
・会社が「標準報酬決定に係る届出・申請※1を行い、保険者から会社に「標準報酬決定通知書」等※2が届くことにより決定されます。

このため、「給与・役員報酬の計算」におきまして、「社会保険料の控除額」を算定するためには、

・保険者からの「標準報酬決定通知書」等が届いており、

従業員・役員ごとの標準報酬月額が決定されていることが前提となります。

 

見出三角(小) ※1: 標準報酬決定に係る届出・申請                    

会社から保険者に対して「標準報酬決定に係る届出、申請」を行う場面には、以下の3つの場面があります。

資格取得時(入社した方など)の届出・申請

定時決定時(毎年7月)の届出・申請

随時改定時(固定的賃金に変動がある場合)の届出・申請

 

見出三角(小) ※2: 標準報酬決定通知書                         

保険者から会社に送付される「標準報酬決定通知書」は、以下のものとなります。

標準報酬月額決定通知書

「標準報酬決定通知書」には、
『「健康保険・介護保険」の「標準報酬月額」』及び『「厚生年金保険」の「標準報酬月額」』が別々に記載されています。

 

見出4 標準報酬月額」につきまして                        

「標準報酬月額」につきましては、別途『標準報酬月額』というページでより詳細に記載しております。『「標準報酬月額」についてのより詳細な内容』をご確認頂く場合には、このリンクページをご覧頂きますようお願い致します。

 

2、「社会保険の保険料率」に関する情報の入手

「社会保険料の控除額」を算定するためには、「各社会保険の保険料率」である

・「健康保険料・介護保険料」の「保険料率

・「厚生年金保険料」の「保険料率」 に関する情報を入手することが必要となります。

この点、「これらの保険料率」は、全国健康保険協会毎年公表する「健康保険・厚生年金保険の保険料額表に記載されるため、

同協会のHPにおいて、都道府県別に公表される「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を毎年入手することが必要となります。

 

見出三角(小) ※: 健康保険・厚生年金保険の保険料額表                 ’   

「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」は、

・単に「各種社会保険料の保険料率」のみを記載したものではなく

各標準報酬月額(各等級)」に対応する

  • 会社が保険者に支払わなければならない『「健康保険料・介護保険料」の金額』『「厚生年金保険料」の金額』
  • 会社が従業員・役員から徴収しなければならない『「従業員・役員負担分健康保険料・介護保険料」の金額』『「従業員・役員負担分厚生年金保険料」の金額』

も記載されている「社会保険料の早見表」となっております。

このため、「給与計算において控除する社会保険料」を算定する場合には、

・会社自らが『上記Ⅲ-2-(2)でご紹介させて頂きました「計算式」』によって計算する必要はなく、

・当該「健康保険・厚生年金保険の保険料額表を利用することで、「控除する社会保険料」を把握することが可能となります。

 

見出4 「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」の入手方法              

「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」は、日本年金機構のHP上の「都道府県毎の保険料額表」からダウンロードすることができます。

なお、「健康保険料の保険料率」及び「健康保険料の保険料額」は、各都道府県ごとに設定されていることから、「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」は、それぞれの会社事業所の所在地のものをダウンロードして頂きますようお願い致します。

 

健康保険・厚生年金保険の料額表(保険料額表へのアクセス)

 

見出4 「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」の見方                

「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」につきましては、別途『健康保険・厚生年金保険の保険料額表』で当該「保険料額表」の見方を記載しております。

初めて「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」をご使用される場合など、当該「保険料額表」の見方がわからない場合には、当該リンクページをご覧頂きますようお願い致します。

 

 

Ⅴ:「社会保険料の控除額」の計算の特徴

給与計算において「社会保険料の控除金額」を算定するためには、上記Ⅲでご紹介させて頂きましたように、

  • 各従業員・役員ごとの「健康保険料に係る標準報酬月額」及び「厚生年金保険料に係る標準報酬月額
  • 「健康保険料・介護保険料の保険料率」及び「厚生年金保険料の保険料率

についての情報が必要となりますが、

このことは、

・「被保険者標準報酬決定通知書」「被保険者報酬月額改定通知書」等の『各従業員・役員の「標準報酬月額記載された資料」』及び

・「保険料率」及び「社会保険料の控除額」等が記載された「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」があれば、

「給与計算において控除する社会保険料の金額」が算定できることを意味します。

 

すなわち、「給与計算において控除する社会保険料の金額」を計算する場合には、

その月の給与計算における「実際の給与支給額」等に左右されることなく

予め決定されている標準報酬報酬月額」に対応する「従業員・役員負担分社会保険料」を

・「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」によって把握することによって、

算定することができることを意味します。

 

見出4 控除する社会保険料」の算定方法                      

給与計算において「控除する社会保険料」の算定は、

見出(見出矢印:背景水色)各従業員・役員の「健康保険標準報酬月額」「厚生年金保険標準報酬月額」を把握し、

見出(見出矢印:背景水色)その「標準報酬月額に対応する「社会保険料の控除額」を「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」で把握することにより行われます。

 

なお、『給与計算において「控除する社会保険料の算定方法』につきましては、別途『「社会保険料の控除金額」の算定方法』でご紹介させて頂いております。
『給与計算において「控除する社会保険料」の算定方法』をご確認頂く場合には、是非上記リンクページをご一読頂ますようお願い致します。

 

 

Ⅵ:給与計算における「社会保険料の控除時期」

見出三角(小)「社会保険料」のうち「従業員・役員の個人負担金額」は、

  • 従業員・役員個人が直接保険者に支払うのではなく
  • 会社が従業員・役員に対して「支給する給与・報酬」から控除天引きすることにより、一旦会社が従業員・役員から徴収し
  • その後、会社から保険者に、「会社負担分の社会保険料」と「従業員・役員個人負担分の社会保険料」の「合計額」を支払うことにより納付されることとなります。

このため、会社は「毎月の給与計算」で、

・「従業員・役員個人負担分の社会保険料」の金額を計算し、
・「支給する給与支給額・役員報酬額」から控除することが必要となります。

 

見出三角(小)ただ、給与・役員報酬から社会保険料を控除する場合には、

「特定月の社会保険料」を「いつ給与・役員報酬から控除する」かが問題となります。

このため、ここでは、『給与計算における「社会保険料の控除時期」』を以下でご紹介させて頂きます。

 

1、給与計算における「社会保険料の控除(徴収)時期」

ある月分の従業員・役員負担分の社会保険料」は、

その月翌月に支払われる「給与手当、役員報酬」から徴収控除することとなります。

 

見出三角(小) 例 示 

例えば、「3月分の社会保険料」は、「4月に支払う給与・役員報酬」で控除することとなります。

すなわち、「3月分の社会保険料」は、あくまで、

・『3月の社会保険料に適用される「標準報酬月額」』と
・『3月の社会保険料に適用される「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」』によって算定されますが、

実際に「3月分の社会保険料を控除する時期は、

4月に支払われる「給与・役員報酬」の給与計算時となります。

 

社会保険料の控除時期

 

2、給与計算時点からみた場合の「控除する社会保険料」

「従業員・役員個人負担分の社会保険料」を控除するタイミングは、『上記でご紹介させて頂きました「給与計算時期」』となりますが、

これを給与計算時点から見ると、

ある月支払われる給与計算で控除する社会保険料」は、

その支払が行われる前月分の社会保険料」を算定して、控除することとなります。

 

見出三角(小) 例 示 

例えば、『「4月に支払う給与・役員報酬」の給与計算を行っている』場合には、
その給与計算で「控除する社会保険料」は、「3月分の社会保険料」を計算して控除することとなります。

このため、

  • 給与計算対象期間が「3月16日から4月15日まで」の期間で、その支払4月25日である給与計算
  • 給与計算対象期間が「4月1日から4月30日まで」の期間で、その支払4月30日である給与計算

である場合には、いずれの場合も支払日4月であることから、「給与計算で控除する社会保険料」は「3月分社会保険料」を算定・控除することとなります。

 

社会保険料の控除時期(給与計算時点から見た場合)

 

Point  ! :「給与計算時において控除する社会保険料の算定」の考え方

給与計算時において、「控除する社会保険料」を算定する場合には、

・その給与計算で計算される「給与・役員報酬」がいつ支払われるものであるか?を把握し、

  • その「支払月前月」に適用される「標準報酬月額
  • その「支払月前月」に適用される「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」により

「控除する社会保険料」を算定することとなります。

 

 

Ⅶ:「社会保険料の算定基礎の改定」と「注意すべき給与計算月」

『給与計算において「控除する社会保険料」の算定』につきましては、上記Ⅲ~Ⅴでご紹介させて頂きましたように、

・「健康保険に係る標準報酬月額」「厚生年金保険に係る標準報酬月額」及び

・「健康保険・介護保険に係る保険料率」「厚生年金保険に係る保険料率」によって算定されます。

 

このため、上記の「社会保険料の算定基礎金額(標準報酬月額)」及び「社会保険料の算定基礎率(保険料率)」の変更改定なされない場合には、
「給与計算において各従業員・役員から徴収(控除)する社会保険料の金額」は、変更されません

 

見出三角(小)ただし、「健康保険料・介護保険料の算定基礎率」である「健康保険・介護保険の保険料率」につきましては、

毎年見直し改定が行われ、

・『「3月分の社会保険料」を算定する場合に使用される保険料率』から新しい保険料率が適用されます。

(新しい保険料率は、『「4月に支払われる給与・役員報酬」から控除される社会保険料の算定』から使用されます。)

 

見出三角(小)また、「社会保険料の算定基礎金額」である「標準報酬月額」につきましては、

毎年、「会社に在籍する従業員・役員」全員を対象とした『「標準報酬月額」の一斉見直決定』である「定時決定」が行われ、

・『「9月分の社会保険料」を算定する場合に使用される標準報酬月額』から新しい標準報酬月額が適用されます。

(新しい標準報酬月額は、『「10月に支払われる給与・役員報酬」から控除される社会保険料の算定』から使用されます。)

 

このため、

4月支払われる給与・役員報酬の給与計算」を行う場合の「控除社会保険料額の算定」には、

10月支払われる給与・役員報酬の給与計算」を行う場合の「控除社会保険料額の算定」には、

以下のような注意が必要となります。

 

1、「4月に支払われる給与・役員報酬の給与計算」を行う場合の注意点

上記でご紹介させて頂きましたように『「健康保険料介護保険料」の「保険料率」』は、
毎年『「3月分の健康保険料・介護保険料」の算定に適用される「保険料率」』から見直改定がなされます。

このため、「保険料率」及び「その保険料率に基づく社会保険料額」が記載された「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」も、

毎年、『「3月分の社会保険料」を算定する場合に使用される「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」』から見直し改定されることとなります。

 

従いまして、「4月に支払われる給与・役員報酬の給与計算」を行う場合には、
3月分の社会保険料を控除する給与計算を行う場合には、)

新しく公表された健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を入手して、会社に在籍する被保険者の「社会保険料の控除金額」を一斉に算定し直すことが必要となります。

 なお、通常「この健康保険・厚生年金保険の保険料額表」は、2月中旬頃「日本年金機構」のHPで公表されます。

 

2、「10月に支払われる給与・役員報酬の給与計算」を行う場合の注意点

上記でご紹介させて頂きましたように「標準報酬月額」は、

定時決定」という手続により、毎年『「9月分の社会保険料」の算定に適用される「標準報酬月額」』からすべての被保険者を対象として一斉見直決定されます。

 

このため、「10月に支払われる給与・役員報酬の給与計算」を行う場合には、
9月分の社会保険料を控除する給与計算を行う場合には、)

定時決定により新しく決定された標準報酬月額」』に基づいて、会社に在籍する被保険者の「社会保険料の控除金額」を一斉に算定し直すことが必要となります。

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

ここでは、弊税理士事務所・会計事務所が「給与計算において社会保険料の控除計算」を行うために最低限必要と思う「基礎的事項」につき、ご紹介させて頂いております。

 

「社会保険料の控除の対象となる従業員・役員の範囲」と「控除する社会保険料の種類」につきまして

「給与計算において社会保険料の控除計算」を行うためには、

まず、「社会保険料の控除対象となる従業員・役員の範囲」及び「給与計算で控除する社会保険料の種類」についての基礎的な理解が必要となると考えます。

見出(見出矢印:背景水色)このため、上記Ⅰ及び上記Ⅱにおきましては、
「社会保険料の控除対象となる従業員・役員の範囲」及び「給与計算で控除する社会保険料の種類」をご紹介させて頂いております。

見出(見出矢印:背景水色)なお、「給与計算で控除する社会保険料の種類」につきましては、「従業員・役員の年齢」によっても異なるものとなりますので、
実務上「給与計算において社会保険料の控除計算」を行う場合には、上記Ⅱでご紹介させて頂いております事項をご理解頂き、従業員・役員の年齢をご確認の上、適切に控除計算を行って頂ますようお願い致します。

 

「給与計算において控除する社会保険料の算定方法」につきまして

実務上「給与計算において社会保険料の控除計算」を行う場合には、

  • 「給与計算で控除する社会保険料」がどのような計算式に基づいて算定されているか?
  • 「給与計算で控除する社会保険料の算定」を行うためには、どのような情報・資料が必要となるか?
  • 「給与計算で控除する社会保険料の算定」はどのようなものか?(どのような特徴があるか?)

についての、基礎的な理解が必要となると考えます。

見出(見出矢印:背景水色)このため、上記Ⅲ~Ⅴにおきましては、

  • 「給与計算で控除する社会保険料」の計算式
  • 「給与計算で控除する社会保険料の算定」を行うためには、どのような情報・資料が必要となるのか
  • 「給与計算で控除する社会保険料の算定」にはどのような特徴があるのか

についてご紹介させて頂いております。

 

見出(見出矢印:背景水色)なお、「給与計算で控除する社会保険料」を算定するためには、上記の他、

  • 「その算定基礎金額」となる「標準報酬月額」に対する基礎的な理解
  • 社会保険料の算定のために使用する「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」に対する基礎的な理解

が必要となると考えます。

この点につきましては、本文でもご紹介させて頂いておりますように、

で、別途ご紹介させて頂いておりますので、必要のある場合には、是非、これらのリンクページも併せてご一読頂けたらと思っております。

 

見出(見出矢印:背景水色)また、『「給与計算において控除する社会保険料」の具体的な算定方法』につきましては、別途、『「社会保険料の控除金額」の算定方法』というページでご紹介させて頂いておりますので、この点につきましては、当該リンクページをご覧頂きますようお願い致します。

 

給与計算における「社会保険料の控除時期」につきまして

実務上「給与計算において社会保険料の控除計算」を行う場合には、

「特定月の社会保険料」を「いつ給与・役員報酬から控除する」かについての基礎的な理解が必要となると考えます。

 

見出(見出矢印:背景水色)このため、上記Ⅵにおきましては、

  • 給与計算において「社会保険料を控除する時期」についてご紹介させて頂くとともに、
  • 「実際の給与計算時点から見た場合に控除する社会保険料はいつのものとなるのか」

をご紹介させて頂いております。

 

「社会保険料の控除」において「注意すべき給与計算月」につきまして

上記Ⅶでご紹介させて頂いておりますように、

  • 4月に支払うこととなる給与・役員報酬の計算を行う場合
  • 10月に支払うこととなる給与・役員報酬の計算を行う場合には、

『算定基礎率である「保険料率」』や『算定基礎となる「標準報酬月額」』が改定されるため、

「給与計算で控除する社会保険料」を一斉に算定し直すことが必要となります。

このため、「上記のような給与計算月」につきましては、「控除社会保険料の見直算定が必要となる」ということをご留意頂き、時間的余裕を持って給与計算を行って頂ますようお願い致します。

 

最 後 に

最後になりますが、「給与計算において社会保険料の控除」を行うためには、

  • 「社会保険料の控除計算」に対する基礎的な理解
  • 社会保険料の控除計算独自の「標準報酬月額」「保険料額表」などに対する基礎的な理解

が必要となるため、社会保険料の控除計算に不慣れな場合には、かなり難解なことがあると思います。

ただし、一旦上記のことが理解できると、実務上それほど労力のかからないものとなると考えますので、
是非、この機会に、社会保険料の控除計算に対する様々な事項をご理解頂き、マスターして頂ければありがたいと考えております。