複数の補助科目を使用して「現金売上取引」を会計帳簿に入力する場合、会計ソフトの仕訳登録機能を利用して「振替伝票」から会計帳簿に入力する方法をご紹介致します。

 

現金売上取引は、「現金の入金を伴う取引」であることから、原則的には「現金出納帳」から会計帳簿に入力を行います。

この点、「売上高」という勘定科目に「現金売上」という補助科目のみを設定して、現金出納帳に入力する場合には、

  • 入力単位(日次単位、10日単位、月次単位等)ごとの「現金売上」』に対して、
  • 1行の入力を行うことにより入力が完了します。

 

他方、「売上高」という勘定科目に売上カテゴリー別(売上属性別)の補助科目を設定して、現金出納帳に入力する場合には、

  • 入力単位(日次単位、10日単位、月次単位等)ごとの「現金売上」』に対して、
  • 売上カテゴリーごとに細分化した入力を行うことが必要となり、「売上カテゴリー同じ行数入力」が必要となります。

 

この点、月次単位での入力を行う場合には、入力作業にそれ程労力は要しないと思いますが、入力単位小さくなればなるほど、「現金売上取引」を会計帳簿に入力する労力大きくなります

ここでは、売上高に対して複数の補助科目を設定して会計帳簿への入力を行う場合に、「現金売上取引」を効率的に会計帳簿に入力する方法を、下記の項目に従ってご紹介致します。

 

 

 

Ⅰ:効率的に会計帳簿への入力を行う方法

1、仕訳登録機能(伝票登録)

反復継続的でかつ定型的な取引の会計帳簿への入力にあたっては、会計ソフト(弥生会計)の仕訳登録機能伝票辞書)を利用することにより効率的に入力を行うことができます。

仕訳登録機能につきましては、⇒コチラをご覧ください。

 

この点、現金売上取引は、金額こそ入力の都度異なってきますが、「現金の入金理由」である「相手勘定科目」や「相手補助科目」は定型的な入力定型的仕訳)となります。
また、「現金売上取引」の入力は、少なくとも年間12回は行われる反復的なものとなります。

従いまして、「現金売上取引」は、まさに「仕訳登録機能」を利用して会計帳簿への入力を行うべきものと言えます。

 

2、仕訳登録機能による効率化

「現金売上取引」を「現金出納帳」に入力するためには、

  • 売上カテゴリーごと1組1行の「現金売上取引の入力」が必要となります。
  • また入力内容につきましても、「日付」、「相手勘定科目」、「相手補助科目」、「収入金額」のすべての項目の入力がそれぞれ必要となります。

 

他方、仕訳登録機能(伝票辞書)を使って「振替伝票」に入力する場合には、

  • 1回の入力により、すべてのカテゴリーを含んだ形(仕訳)での入力が可能となります。
  • また、「相手勘定科目」、「相手補助科目」は事前に登録されているため、入力にあたっては、「日付」、「各カテゴリー別の収入金額」、「入力単位の合計収入額」を入力することで入力が完了します。

 

このため、仕訳登録機能(伝票辞書)を使って、会計帳簿(振替伝票)への入力を行う場合には、

  • 入力単位が、月次の場合にはそれほどの効率化にはなりませんが、
  • 月に数回の入力が必要な場合には、入力作業は大幅に効率化されます。

 

 

Ⅱ:現金売上取引(複数補助科目の場合)の仕訳

仕訳登録機能(伝票辞書)を利用する場合には、仕訳登録のために、「現金売上取引複数補助科目設定の場合)」の仕訳を理解する必要があります。

このため、以下では、「現金売上取引(複数補助科目設定の場合)」の仕訳をご紹介させて頂きます。

 

1、仕訳のための取引把握

現金売上取引は、

  • 会社の現金資産項目)が増加し、
  • 会社の売上収益項目)が増加する取引となります。

この取引を仕訳で表すと、以下2のような仕訳になります。

 

2、仕訳

【借方】勘定 補助科目 金額 【貸方】勘定 補助科目 金額
現金※1  ※2  xxxx円※3 売上高※4 〇〇(カテゴリー名)※5 xxxx円※6
      売上高 X X (カテゴリー名)※5 xxxx円※6
      売上高 △△(カテゴリー名)※5 xxxx円※6
      売上高 ☐☐(カテゴリー名)※5 xxxx円※6

※1:現金という「資産項目増加」となりますので、「現金」という勘定科目を「借方左側)」に計上します。

※2:現金につきましては、原則、補助科目は付しません。

※3:現金売上に伴う「入力単位の収入合計額」を記載します。

※4:売上という「収益項目増加」となりますので、「売上高」という勘定科目を「貸方右側)」に計上します。

※5:売上高をカテゴリー別細分化するため、補助科目として「カテゴリー名」を付します。

※6:「各カテゴリー別の収入金額」を記載します。

仕訳に対する基礎知識は、⇒コチラをご覧ください。

 

Ⅲ:仕訳登録機能を使った振替伝票による入力

下記「例示」を使って、「現金売上取引」を仕訳登録機能を使って、会計帳簿(振替伝票)に入力する方法をご紹介致します。

 

1、例示

  • 古物取扱の小売業を営む会社を例にします。
  • 入力単位は、10日単位で入力することとします。
  • 「売上高」に対する補助科目は「現)本」「現)おもちゃ」「現)その他商品」とします。
  • 「現金売上帳」に記載された4月の現金売上は以下のものとします。

現金売上帳例示2

 

2、「現金売上取引」を仕訳登録機能を使った振替伝票による入力手順

以下で、「伝票辞書登録(仕訳登録)」から『「振替伝票」による会計帳簿への入力』までの手順をご紹介致します。

 

1)「伝票辞書」への「現金売上取引仕訳」の登録

まず、以下の手順により「定型的な仕訳」を会計ソフトに登録します。

①「メニューバー」にある「設定」から「取引辞書」⇒「伝票辞書」を選択します。

②「伝票辞書」の画面が出てきます。この画面の「メニューバー」にある「新規作成ボタンを押します。

③「伝票辞書の新規登録」画面が出てきます。この画面に、以下の項目を入力します。

  • 取引名:「現金売上取引の入力(仕訳)」等分かり易い取引名称を付けて下さい。
  • 仕訳を入力します。(金額は空欄でOKです。)

④「伝票辞書の新規登録」画面の右下の「登録ボタンを押します。

 

伝票辞書への新規登録(現金売上)

 

2)振替伝票への入力(登録仕訳の呼出入力)

次に、「登録した仕訳」を使って、「振替伝票に入力する」手順をご紹介致します。

①「メニューバー」にある「帳簿・伝票」⇒「振替伝票」により、「振替伝票(新規作成)画面にアクセスします。

②「振替伝票(新規作成)」画面の右上にある「伝票辞書ボタンを押します。

登録されている伝票の一覧」が表示され、表示された一覧から1)で新規登録した現金売上取引の入力」を選択します。

「登録した仕訳」が「振替伝票(新規作成)」画面に入力されます。

③4月10日の入力におきましては、以下の項目を入力します。

  1. 日付:4月10日を入力
  2. 以下の金額を入力します。
  • 現金:790,000円
  • 『「売上」・「現)本」』:330,000円
  • 『「売上」・「現)おもちゃ」』:330,000円
  • 『「売上」・「現)その他商品」』:130,000円

④入力後に「登録ボタンを押します。
⇒「振替伝票」におきましては、「登録」ボタンを押さないと入力内容が会計帳簿に反映されないため、必ず「登録」ボタンを押して下さい

 

【登録した仕訳の呼び出し(上記①②の手順)】

振替伝票入力の登録仕訳の呼び出し(現金売上)

 

【4月10日の日付、金額の入力&入力内容登録】

振替伝票入力の日付・現金入力(現金売上)

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

日々行われる「現金売上取引」の会計帳簿への入力につきましては、いかに入力作業を効率化するかがPointとなると考えます。

この点、入力回数を減らすには、入力単位を検討することが必要となります。

その上で、この記事でご紹介させて頂きました「仕訳登録機能を使って振替伝票として会計帳簿に入力する」という方法を使うことにより、入力単位1回あたりの入力作業自体の効率化を図ることができます。

弥生会計に不慣れな間は、「振替伝票」という仕訳形式での入力は敬遠しがちですが、弥生会計に馴れてきたならば、是非この機能を利用して入力して頂くことをお勧めします。