ここでは、以下の事項に従い、「保険料控除申告書」を記載する場合に「事前にご確認頂きたい事項」をご紹介させて頂きます。
▶ はじめに
1、「保険料控除申告書」での申告の必要性
給与所得者が支払った「生命保険料」「地震保険料」「公的な社会保険料等」「小規模企業共済等掛金」につきましては、
給与所得者の「年末調整(年間の所得税計算)」において、
|
「上記の保険料・掛金等」が、
「給与・役員報酬等の支給額」から天引きされ、会社を経由して各保険者に支払われているような場合には、
「(年末調整において)給与所得者の所得から控除される保険料・掛金等の金額」 は、
- 会社で把握することが可能となるため、
- 給与所得者からの申告によらず、会社で集計され、給与所得者の所得から控除されることになります。
他方、「上記の保険料・掛金等」が、
給与所得者から会社を経由せずにそれぞれの保険者に直接支払われているような場合には、
- 「(年末調整において)給与所得者の所得から控除される保険料・掛金等の金額」を会社で把握することはできないため、
- 別途、給与所得者から会社に対して『 自らが保険者に直接支払った「保険料・掛金等の金額」 』を申告し、
「年末調整」で、これらの「保険料・掛金等に係る保険料控除額」を追加計上してもらうことが必要となります。
このため、
・「保険料控除の対象となる保険料・掛金等」を、給与所得者が(会社を経由せず)直接その保険者に支払っており、
・「その保険料・掛金等」につき「年末調整で保険料控除を受ける」ためには、
「それぞれの保険者に対して直接支払った保険料・掛金等の金額」や 「年末調整で所得から控除してもらう保険料控除額」を 給与所得者自身で「保険料控除申告書」に記載し、当該「保険料控除申告書」を会社に提出することが必要となります。 |
2、「当該ページ」でご紹介させて頂きます事項
『 給与所得者自身が各保険者に直接支払った「生命保険料」「地震保険料」「公的な社会保険料等」「小規模企業共済等掛金」』につき、「(年末調整で)保険料控除を受ける」ためには、
上記1でご紹介させて頂きましたように「保険料控除申告書」に「各保険料・掛金等」を記載することが必要となりますが、
これと共に、所得税法には、
- これらの保険料・掛金等を所得から控除するために必要となる要件(保険料控除を受けるための要件)や
- 年末調整において会社に提出することが必要となる書類(各種保険料控除証明書)が、
が規定されています。
このため、給与所得者が「自ら支払った保険料・掛金等」を「保険料控除申告書」に記載する場合には、
- 「その保険料・掛金等」が「(税務上規定されている)保険料控除を受けるための要件」をクリアしているのか?や
- 「(税務上提出が必要とされる)各種控除証明書」が入手されているのか?を
ご自身で事前に確認して頂くことが必要となります。
この点、当該ページでは、
- 「保険料・掛金等を所得から控除するために必要となる要件」や
- 「会社への提出が必要とされる各種証明書類」等を
「事前確認事項」としてご紹介させて頂きますので、
「保険料控除申告書」を記載される前には、
「当該ページでご紹介させて頂きます事前確認事項」を一読頂き、それぞれの内容につきご確認頂ますようお願い致します。
なお、「事前確認すべき事項」につきましては、「各種保険契約、共済契約」ごとに異なりますので、
ここでは以下のように「各種保険料・掛金等の種類」ごとに「事前確認すべき事項」をご紹介させて頂きます。
- 生命保険料(一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料)
- 地震保険料(地震保険料、旧長期損害保険の保険料)
- 公的な社会保険料等(公的な健康保険料、公的な年金保険料、公的な雇用保険料など)
- 小規模企業共済等掛金(小規模企業共済掛金、確定拠出年金掛金、心身障害者扶養共済掛金)
Ⅰ:「生命保険料」を記載する場合の事前注意事項
ここでは、「生命保険料」を「保険料控除申告書」に記載する前に是非ご確認して頂きたい事項を「4点」ご紹介させて頂きます。
事前確認事項①:「保険料控除」の対象となる「生命保険料の種類」
「年末調整(年間の所得税計算)」において『「保険料控除」の対象となる「生命保険料」』は、以下の3種類のもののみとなります。
一般生命保険料 介護医療保険料 個人年金保険料 |
従いまして、「生命保険会社に対して支払った保険料」であっても、上記に該当しないもの(ex. 傷害保険料、賠償責任補償保険料など)は「生命保険に係る保険料控除」の対象とはなりませんので、この点につきましては事前にご留意下さい。
ただし、「上記に該当しない保険料」につきましては、
- 『 生命保険会社から送付されてくる「生命保険料控除証明書」にはそもそも記載されない』
- 又は『「生命保険料控除証明書」において証明金額の対象外として記載されています』ので、
この点につきましてはあまり難しく考える必要はないと思います。
※ なお、『「保険料の支払金額」に「保険料控除の対象外となっている保険料(ex. 傷害特約保険料、賠償責任補償保険料など)」が含まれている場合には、
『生命保険会社に対して「支払っている保険料金額」』と『「生命保険料控除証明書」に記載されている「控除証明金額」』との間に不一致が生じますので、この点につきましてはご留意頂ますようお願い致します。
補 足 : 「一般の生命保険料」「介護保険料」「個人年金保険料」とは?
事前確認事項②:「生命保険料」に係る「保険料控除のための条件」
税務上には『「生命保険料」を所得から控除するために必要な「2要件」』が以下のように規定されています。
従いまして、「生命保険料」を「保険料控除申告書」に記載される場合には、
「申告書に記載する生命保険料」が以下の2要件を満たしているか?を事前にご確認頂くことが必要となります。
要件1 : 「生命保険給付の受取人」に関する要件
「生命保険料」について「保険料控除」を受けるためには、
①「一般生命保険」「介護医療保険」につきましては、 「その生命保険給付(生命保険金、介護医療保険金)の受取人」が、
② 「個人年金保険」につきましては、 「その生命保険給付(個人年金)の受取人」が、
|
※ 「親族」とは?
要件2 : 「生命保険料の支払」に関する要件
「生命保険料」について「保険料控除」を受けるためには、
「その生命保険料」が、本人により(その暦年度中に)支払われていることが必要となります。 |
◆ 「生命保険料」についての「保険料控除要件」の具体的検討 ◆
「生命保険料」につきましては、「上記の2要件」を具備している場合には「保険料控除」が認められることから、
「生命保険の契約者」が「(「保険料控除申告書」を提出される)本人以外の方」であっても、「上記の2要件」を満たしている限り、
「その生命保険料」を「保険料控除申告書」に記載することができます。
他方、
・「一般生命保険金・介護医療保険金の受取人」が「本人・配偶者・親族以外の方」である場合や
・「個人年金の受取人」が「本人・配偶者以外の方(子、親など)」である場合や
・「生命保険料」を「本人以外の方(配偶者、親など)」が支払っているような場合には、
( ex. 生命保険料が「本人以外の方の銀行口座」から支払われているなどの場合には、)
「当該生命保険料」を「本人の保険料控除申告書」には記載することができません。
事前確認事項③:「生命保険料控除証明書」の入手
「保険料控除申告書」に「生命保険料控除」を記載するためには、
生命保険会社等が発行した「生命保険料控除証明書」に基づいて記載することが必要となり、 |
また、「保険料控除申告書」に「生命保険料控除」を記載した場合には、
生命保険会社等が発行した「生命保険料控除証明書」を会社に提出することが必要となります。 (当該「生命保険料控除証明書」の提出がない場合には、原則「生命保険料控除」を受けることができません。) |
従いまして、「生命保険料」を「保険料控除申告書」に記載される場合には、
「生命保険料控除申告書」が入手されていることを事前にご確認頂ますようお願い致します。
※・なお、「生命保険料控除証明書」は、毎年10月の中旬~11月の上旬にかけて生命保険会社から発送されますので、当該期間に発送されてこない場合には生命保険会社等に問い合わせる等のご対応をお願い致します。
・また、「生命保険料控除証明書」を紛失された等の場合には、できる限り早めに生命保険会社等に「生命保険料控除証明書」の再発行を依頼して頂きますようお願い致します。
事前確認事項④:「保険料控除申告書」に記載する「生命保険料」
「生命保険料」につき、給与所得者から生命保険会社等に直接保険料が支払われているような場合には、
「その生命保険料の支払金額」及び「生命保険料に係る保険料控除金額」を給与所得者自身で「保険料控除申告書」に記載し、 「生命保険料控除」の申告を行うことが必要となります。 |
他方、勤務先を対象とする団体保険等により生命保険会社と契約されているような場合には、
「(会社から支給される)給与・役員報酬」から「生命保険料」が天引きされているような場合がありますが、
このような場合には、
・基本的に※、「給与・役員報酬等から天引された「生命保険料」』が、年末調整において会社で集計され給与所得者の所得から控除されることになりますので、
・当該「生命保険料の支払金額」を「保険料控除申告書」に記載することは不要となります。
※ ただし、上記の「生命保険料の天引きに係る取扱」は、会社によりその取扱方法が異なることがありますので、
「生命保険料が天引き支払されているような場合」には、事前に会社にその取扱方法をご確認して頂ますようお願い致します。
Ⅱ:「地震保険料」を記載する場合の事前注意事項
ここでは、「地震保険料」を「保険料控除申告書」に記載する前に是非ご確認して頂きたい事項を「4点」ご紹介させて頂きます。
事前確認事項①:「保険料控除」の対象となる「地震保険料の種類」
「年末調整(年間の所得税計算)」において『「保険料控除」の対象となる「地震保険料」』は、以下の2種類の損害保険料のみとなります。
地震保険の保険料 旧長期損害保険の保険料 |
従いまして、「損害保険会社に対して支払った保険料」であっても、上記に該当しないもの(ex. 火災保険料、自動車保険料など)につきましては、「地震保険に係る保険料控除」の対象とはなりませんので、この点につきましては事前にご留意下さい。
ただし、「上記に該当しない保険料」につきましては、
- 『 損害保険会社から送付されてくる「地震保険料控除証明書」にはそもそも記載されない』
- 又は『「地震保険料控除証明書」において証明金額の対象外として記載されています』ので、
この点につきましてはあまり難しく考える必要はないと思います。
Point ! :「保険料控除」の対象となる「損害保険料」につきまして 「地震保険」「旧長期損害保険」は、「家屋や家財等の資産を対象とした損害保険」ですが、 ただし所得税法上、上記の「損害保険の保険料」のうち『「保険料控除」の対象となる「損害保険料」』は、 「旧長期損害保険以外の火災保険料」や「自動車保険料」などの「その他の損害保険料」につきましては、 |
補 足 : 「地震保険料」「旧長期損害保険料」とは?
事前確認事項②:「地震保険料」に係る「保険料控除のための条件」
税務上には『「地震保険料」を所得から控除するために必要な「2要件」』が以下のように規定されています。
従いまして、「地震保険料」を「保険料控除申告書」に記載される場合には、
「申告書に記載する地震保険料」が以下の2要件を満たしているか?を事前にご確認頂くことが必要となります。
要件1 : 「 地震保険対象物の 所有状況 & 使用状況 」に関する要件
「地震保険料」について「保険料控除」を受けるためには、
「地震保険」や「旧長期損害保険」の対象となる「建物」が 「保険料控除申告書を提出される本人」又は「本人と生計を一にする配偶者・親族」が所有して、常時居住していることが必要となります。 また、「地震保険」や「旧長期損害保険」の対象となる「家財等」が、 「保険料控除申告書を提出される本人」又は「本人と生計を一にする配偶者・親族」が所有して、日常生活に使用していることが必要となります。 |
※ 「生計を一にする」「親族」とは?
要件2 : 「 地震保険料の支払 」に関する要件
「地震保険料」について「保険料控除」を受けるためには、
「その地震保険料」が、本人により(その暦年度中に)支払われていることが必要となります。 |
◆ 「地震保険料」についての「保険料控除要件」の具体的検討 ◆
「地震保険料」につきましては、「上記の2要件」を具備している場合には「保険料控除」が認められることから、
「地震保険の契約者」が「(「保険料控除申告書」を提出される)本人以外の方」であっても、「上記の2要件」を満たしている限り、
「その地震保険料」を「保険料控除申告書」に記載することができます。
他方、「地震保険の契約者」が「(「保険料控除申告書」を提出される)本人」であっても、
「地震保険料」を「本人以外の方(配偶者、親、子など)」が支払っているような場合には、
( ex. 地震保険料が「本人以外の方の銀行口座」から支払われているなどの場合には、)
「その地震保険料」を「本人の保険料控除申告書」には記載することができません。
また、「地震保険料控除のための要件」として「地震保険の対象物の所有状況&使用状況の条件」が規定されていることから、
以下のような「所有状況&使用状況」の場合には、「その地震保険料」を「保険料控除申告書」には記載することができません。
『 不動産事業・一般の事業に使用している「建物」「家財等」』に係る「地震保険料」
「地震保険契約」が『不動産事業に使用されている又は一般の事業に使用されている「建物」や「家財等」を対象とした契約 』である場合には、
- 当該「地震保険契約」は、「常時住宅として使用する建物」又は「日常生活に使用されている家財等」を対象とした契約ではないため、
- 「当該建物や家財を対象とした地震保険料・旧長期損害保険料」を、保険料控除の対象とすることはできません。
(なお、これらは『「不動産事業」又は「一般の事業」に係る必要経費 』として取り扱うこととなります。)
『 別荘・空き家の「建物」「家財等」』に係る「地震保険料」
「地震保険契約」が『別荘又は空き家の「建物」や「家財等」を対象とした契約 』である場合には、
- 当該「地震保険契約」は、「常時住宅として使用する建物」又は「日常生活に使用されている家財等」を対象とした契約ではないため、
- 「当該建物や家財を対象とした地震保険料・旧長期損害保険料」を、保険料控除の対象とすることはできません。
「賃貸借主」が支払う『「賃貸建物」に対する「地震保険料」』
「地震保険契約」が『お住まいの賃貸マンションの「建物」を対象とした契約 』である場合には、
- 当該「地震保険契約」は、『「本人」又は「本人と生計を一にする配偶者・親族」が所有する「建物」』を対象とした契約ではないため、
- 「当該建物や家財を対象とした地震保険料・旧長期損害保険料」を、保険料控除の対象とすることはできません。
比較 ただし、「地震保険契約」が『お住まいの賃貸マンションにある「家財等」を対象とした契約 』である場合には、
- 当該「地震保険契約」は、『「本人」又は「本人と生計を一にする配偶者・親族」が所有し、かつ日常生活に使用している「家財等」』を対象とした契約であるため、
- 「当該家財を対象とした地震保険・旧長期損害保険の保険料」を、保険料控除の対象とすることができます。
事前確認事項③:「地震保険料控除証明書」の入手
「保険料控除申告書」に「地震保険料控除」を記載するためには、
損害保険会社等が発行した「地震保険料控除証明書」に基づいて記載することが必要となり、 |
また、「保険料控除申告書」に「地震保険料控除」を記載した場合には、
損害保険会社等が発行した「地震保険料控除証明書」を会社に提出することが必要となります。 (当該「地震保険料控除証明書」の提出がない場合には、原則「地震保険料控除」を受けることができません。) |
従いまして、「地震保険料」を「保険料控除申告書」に記載される場合には、
「地震保険料控除申告書」が入手されていることを事前にご確認頂ますようお願い致します。
※・なお、「地震保険料控除証明書」は、毎年10月の中旬~11月の上旬にかけて損害保険会社から発送されますので、当該期間に発送されてこない場合には損害保険会社等に問い合わせる等のご対応をお願い致します。
・また、「地震保険料控除証明書」を紛失された等の場合には、できる限り早めに損害保険会社等に「地震保険料控除証明書」の再発行を依頼して頂きますようお願い致します。
事前確認事項④:「保険料控除申告書」に記載する「地震保険料」
「地震保険料」につき、給与所得者から損害保険会社等に直接保険料が支払われているような場合には、
「その地震保険料の支払金額」及び「地震保険料に係る保険料控除金額」を給与所得者自身で「保険料控除申告書」に記載し、 「保険料控除」の申告を行うことが必要となります。 |
他方、勤務先を対象とする団体保険等により損害保険会社と契約されているような場合には、
「(会社から支給される)給与・役員報酬」から「地震保険料」が天引きされているような場合がありますが、
このような場合には、
・基本的に※、「給与・役員報酬等から天引された「地震保険料」』が、年末調整において会社で集計され給与所得者の所得から控除されることになりますので、
・当該「地震保険料の支払金額」を「保険料控除申告書」に記載することは不要となります。
※ ただし、上記の「地震保険料の天引きに係る取扱」は、会社によりその取扱方法が異なることがありますので、「地震保険料が天引き支払されているような場合」には、事前に会社にその取扱方法をご確認して頂ますようお願い致します。
Ⅲ:「公的な社会保険料等」を記載する場合の事前注意事項
ここでは、「公的な社会保険料等」を「保険料控除申告書」に記載する前に是非ご確認して頂きたい事項を「4点」ご紹介させて頂きます。
事前確認事項①:「保険料控除」の対象となる「公的な社会保険料等の種類」
「年末調整(年間の所得税計算)」において『「保険料控除」の対象となる「公的な社会保険料等」』には、以下のようなものがあります。
「(会社が加入している)健康保険」「厚生年金保険」「厚生年金基金」の保険料・掛金 「国民健康保険」「国民年金保険」「国民年金基金」「農業者年金」の保険料・掛金 「後期高齢者医療保険」「介護保険」の保険料 「雇用保険」の保険料 「特別加入している労災保険」の保険料 「国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、恩給法等の規定」による掛金・納付金 など |
Point !:「住民税の支払額」につきまして 「住民税」をご自身で支払っている方から、よく「住民税の支払額」は「保険料控除申告書」に記載しないのか?というご質問がありますが、 ・「住民税」は、市町村等に対して支払われますが、あくまで「税金」であり、「公的な社会保険料」ではありません。 ・従いまして、「住民税の支払額」につきましては「公的な社会保険料控除」の対象とはなりませんので、この点ご留意頂ますようお願い致します。 |
事前確認事項②:「公的な社会保険料等」に係る「保険料控除のための条件」
税務上には『「公的な社会保険料等」を所得から控除するために必要な「2要件」』が以下のように規定されています。
従いまして、「公的な社会保険料等」を「保険料控除申告書」に記載される場合には、
「申告書に記載する公的な社会保険料等」が以下の2要件を満たしているか?を事前にご確認頂くことが必要となります。
要件1 : 「 公的な社会保険料等の負担者 」に関する要件
「公的な社会保険料等」について「保険料控除」を受けるためには、
「公的な社会保険料等」が 「 本人 」に課せられる公的な社会保険料等 又は 「本人と生計を一にする 配偶者 又は 親族」に課せられる公的な社会保険料等であることが必要となります。 |
※ 「生計を一にする」「親族」とは?
要件2 : 「 公的な社会保険料等の支払 」に関する要件
「公的な社会保険料等」について「保険料控除」を受けるためには、
「その公的な社会保険料等」が、本人により(その暦年度に)支払われていることが必要となります。 |
◆ 「公的な社会保険料等」についての「保険料控除要件」の具体的検討 ◆
「公的な社会保険料等」につきましては、「上記の2要件」を具備している場合には「保険料控除」が認められることから、
「公的な社会保険料等を課せられる方」が「生計を一にする配偶者や親族」であっても、
「当該公的な社会保険料等の支払」を「(「保険料控除申告書」を提出される)本人が行っている」ような場合には、
「当該公的な社会保険料等」を「本人の保険料控除申告書」に記載することができます。
他方、「公的な社会保険料等を課せられる方」が「(「保険料控除申告書」を提出される)本人」であっても、
「当該公的な社会保険料等の支払」を「本人以外の方が行っている」ような場合には、
(公的な社会保険料等が「本人以外の方の銀行口座から自動引落など」により支払われているような場合には、)
「当該公的な社会保険料等」を「本人の保険料控除申告書」に記載することはできませんので、この点につきましては事前にご留意下さい。
事前確認事項③:「控除証明書」の入手
◆ 『「国民年金保険」及び「国民年金基金」の控除証明書』の添付 ◆
「保険料控除申告書」に「国民年金保険料控除」を記載した場合には、
「厚生労働省(日本年金機構)」が発行した「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を 「保険料控除申告書」に添付して会社に提出することが必要となり、 |
「保険料控除申告書」に「国民年金基金掛金控除」を記載した場合には、
「各国民年金基金」が発行した「社会保険料控除証明書」を 「保険料控除申告書」に添付して会社に提出することが必要となり、 |
上記の「社会保険料控除証明書」の添付がない場合には、
「年末調整」で、これらの国民年金保険料・国民年金基金掛金を所得から控除することができないルールとなっています。 |
このため、「保険料控除申請書」で「国民年金保険料控除」や「国民年金基金掛金控除」を申請する場合には、
上記の「控除証明書」を添付して頂ますようお願い致します。
※・なお、「国民年金保険料控除証明書」「(国民年金基金)社会保険料控除証明書」は、毎年11月の上旬にかけて「厚生労働省(日本年金機構)」や「各国民年金基金」から発送されますので、当該期間に発送されてこない場合には「厚生労働省(日本年金機構)」や「各国民年金基金」に問い合わせる等のご対応をお願い致します。
・また、「国民年金保険料控除証明書」「(国民年金基金)社会保険料控除証明書」を紛失された等の場合には、できる限り早めに「厚生労働省(日本年金機構)」や「各国民年金基金」に「控除証明書」の再発行を依頼して頂きますようお願い致します。
◆ 「国民年金、国民年金基金以外の公的な社会保険」の添付書類 ◆
「国民年金、国民年金基金以外の公的な社会保険」につきましては、
すなわち『「国民健康保険」「後期高齢者医療保険」「介護保険」などの公的な社会保険』につきましては、
「保険料控除申請書」に「これらの公的な社会保険料等」を記載した場合であっても、 「これらの社会保険料・掛金等に係る控除証明書類」の添付は不要となります。 (そもそも「これらの社会保険料・掛金等に係る控除証明書」は発行されません。) |
◆ 『「社会保険料等控除証明書」の入手 』に係る留意事項 ◆
上記のように「公的な社会保険料等の控除証明書」につきましては、
『「国民年金」「国民年金基金」の場合』と『「それ以外の公的な社会保険料等」の場合』とで、
『「控除証明書」の入手に係る取扱 』が異なりますので、この点につきましては十分ご確認頂ますようお願い致します。
事前確認事項④:「保険料控除申告書」に記載する「公的な社会保険料等」
「( 本人 又は 生計を一にする 配偶者 ・ 親族 に課せられる)公的な社会保険料」を、給与所得者が各保険者に直接支払っているような場合には、
「その公的な社会保険料等の支払金額」を給与所得者自身で「保険料控除申告書」に記載し、 「保険料控除」の申告を行うことが必要となります。 |
他方、「会社が加入している社会保険や雇用保険の被保険者」である』場合には、
「給与所得者が負担する社会保険料(健康保険料・介護保険料、厚生年金・厚生年金基金保険料)」や「給与所得者が負担する雇用保険料」は、「毎月支給される給与・役員報酬等」から天引きされますが、
このように「公的な社会保険料等」が「給与・役員報酬等から天引きされている」ような場合には、
給与・役員報酬等から天引された「公的な社会保険料等(健康保険料、厚生年金保険料、厚生年金基金保険料、雇用保険料など)」は、 年末調整において会社で集計され給与所得者の所得から控除されることになりますので、 当該「公的な社会保険料等の支払金額」を「保険料控除申告書」に記載することは不要となります(記載しないで下さい※)。 |
※ なお、『天引きされている「公的な社会保険料」』を「保険料控除申告書」に記載した場合には、
「年末調整」において「公的な社会保険料等に係る保険料控除金額」が2重計上される恐れがありますので、
「このような公的な社会保険料」につきましては、「保険料控除申告書」には記載しないようにご留意下さい。
◆ 『 本人に課せられる「公的な社会保険料等」』を「本人が支払っている」場合の例示 ◆
『 本人に課せられる「公的な社会保険料等」』を「本人が保険者に直接支払っている」場合としては、以下のような場合が考えられます。
(会社が加入している)社会保険の被保険者ではない場合
『「会社が加入している健康保険や厚生年金保険」の被保険者でない』ような場合や、
「社会保険が非適用となる事業者に雇用されている」ような場合や
何らかの事由により「会社が社会保険制度に未加入である」ような場合や、
会社を退職した、自営業を行っていたなどにより「給与所得者でない期間が存在する」ような場合には、
『自身に課せられる「国民健康保険料」や「国民年金、国民年金基金の保険料等」』をご自身で直接保険者に支払っていることが考えられます。
このように『自身に課せられる「国民健康保険料」や「国民年金、国民年金基金の保険料等」』をご自身で直接保険者に支払っている場合には、
当該「国民健康保険料の支払額」や「国民年金保険料、国民年金基金掛金の支払額」を「保険料控除申告書」に記載することで、 「年末調整」において当該「保険料等の支払額」に係る「社会保険料控除」を受けることができます。 |
自身で「介護保険料」や「後期高齢者医療保険料」を支払っているような場合
・給与所得者の年齢が65歳以上である場合には、その方に係る「介護保険料」は、原則年金から天引きされる等により(会社を経由せず)直接保険者に支払われることとなります。
・また、給与所得者の年齢が75歳以上である場合には、その方に係る「介護保険料」「後期高齢者医療保険料」は、原則年金から天引きされる等により(会社を経由せず)直接保険者に支払われることとなります。
このように『自身に課せられる「介護保険料」や「後期高齢者医療保険料」』をご自身で直接保険者に支払われているような場合には、
当該「介護保険料の支払額」や「後期高齢者医療保険料の支払額」を「保険料控除申告書」に記載することで、 「年末調整」において当該「保険料等の支払額」に係る「社会保険料控除」を受けることができます。 |
◆ 『 配偶者や親族に課せられる「公的な社会保険料等」』を「本人が支払っている」場合の例示 ◆
『 本人と生計を一にする配偶者・親族に課せられる「公的な社会保険料等」』を「本人が保険者に直接支払っている」場合としては、以下のような場合が考えられます。
配偶者・親族に課せられる「国民健康保険料」「国民年金保険料」「国民年金基金掛金」等を本人が支払っている場合
『「生計を一にする配偶者・親族(配偶者、子、親など)」に課せられる「国民健康保険料」「国民年金保険料」「国民年金基金」等』を、「(「保険料控除申告書」を提出される)本人」が直接保険者に支払われているような場合には、
当該「国民健康保険料の支払額」や「国民年金保険料、国民年金基金掛金の支払額」を「保険料控除申告書」に記載することで、 「年末調整」において当該「保険料等の支払額」に係る「社会保険料控除」を受けることができます。 |
ただし、「国民健康保険料」や「国民年金保険料、国民年金基金掛金」が、「配偶者や親族の銀行口座から支払われているような場合」には、
・『「その配偶者や親族」に課せられる「国民健康保険料」「国民年金保険料、国民年金基金掛金」』は、「その配偶者や親族」が支払っていることになりますので、
・このような場合には「配偶者や親族に課せられる保険料」を「保険料控除申告書」に記載することはできません。
配偶者・親族に課せられる「介護保険料」「後期高齢者医療保険料」を支払っている場合
『「生計を一にする配偶者・親族(配偶者、親など)」に課せられる「介護保険料」※1「後期高齢者医療保険料」※2』を、「(「保険料控除申告書」を提出される)本人」が直接保険者に支払われているような場合には、
当該「介護保険料の支払額」や「後期高齢者医療保険料の支払額」を「保険料控除申告書」に記載することで、 「年末調整」において当該「保険料等の支払額」に係る「社会保険料控除」を受けることができます。 |
※1:「介護保険料」の支払方法の変更等
「介護保険料」が「特別徴収(年金からの天引き)」されている場合には、現状では被保険者の希望により支払方法を変更することはできません。
⇒従いまして、上記に該当するのは、『 当初から「納付書」等での納付が指定されているような場合』に限られます。
なお、「介護保険料」が「配偶者や親族が受ける年金から天引きされている場合(特別徴収されている場合)」や「配偶者や親族の銀行口座から支払われているような場合」には、
- 『「その配偶者や親族」に課せられる「介護保険料」』は「その配偶者や親族」が支払っていることになり、
- 当該「介護保険料」を「本人の保険料控除申告書」に記載することはできませんので、
この点につきましてはご留意頂ますようお願い致します。
※2:「後期高齢者医療保険料」の支払方法の変更等
「後期高齢者医療保険料」につきましては、被保険者の希望により「特別徴収(年金からの天引き)」から支払方法を変更することができます。
⇒従いまして、上記に該当するのは、『当初から「納付書」等での納付が指定されているような場合』や『被保険者の希望により支払方法が変更されているような場合』となります。
なお「後期高齢者医療保険料」が「配偶者や親族が受ける年金から天引きされている場合(特別徴収されている場合)」や「配偶者や親族の銀行口座から支払われているような場合」には、
- 『「その配偶者や親族」に課せられる「後期高齢者医療保険料」』は「その配偶者や親族」が支払っていることになり、
- 当該「後期高齢者医療保険料」を「本人の保険料控除申告書」に記載することはできませんので、
この点につきましてはご留意頂ますようお願い致します。
◆ 『 前職場で天引きされた社会保険料等」』の取扱い ◆
その暦年度において、会社を退職され、かつ、他の会社に再就職されているような場合には、
再就職された会社において、「前職場で支給された給与・役員報酬」や「前職場で(給与・役員報酬等から)天引きされた社会保険料」等を含めて「年末調整」が行われることとなりますが、
このような場合における『「前職場で(給与・役員報酬等から)天引きされた社会保険料等」の「保険料控除」』は、 『「入社時等に再就職先に提出された「源泉徴収票」』に基づいて行われることになります。 |
従いまして、
『前職場で(給与・役員報酬等から)天引きされた「健康保険料・介護保険料」「厚生年金保険料・厚生年金基金保険料」「雇用保険料」などにつきましては、 「保険料控除申告書」への記載は不要となりますので、 |
このような場合には、「前職場で天引きされた公的な社会保険料」を「保険料控除申告書」に記載しないようにご注意下さい。
Ⅳ:「小規模企業共済等掛金」を記載する場合の事前注意事項
ここでは、「小規模企業共済等掛金」を「保険料控除申告書」に記載する前に是非ご確認して頂きたい事項を「4点」ご紹介させて頂きます。
事前確認事項①:「保険料控除」の対象となる「小規模企業共済等掛金の種類」
「年末調整(年間の所得税計算)」において『「保険料控除」の対象となる「小規模企業共済等掛金」』は、以下の4種類のもののみとなります。
独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ「小規模企業共済契約の掛金」 確定拠出年金法に規定する「企業型確定拠出年金の掛金」又は「個人型確定拠出年金の掛金」 地方公共団体が実施する「心身障害者扶養共済制度の掛金」 |
補 足 : 「小規模企業共済」「企業型・個人型確定拠出年金」「心身障害者扶養共済」とは?
事前確認事項②:「小規模企業共済等掛金」に係る「保険料控除のための条件」
税務上には『「小規模企業共済等掛金」を所得から控除するために必要な「2要件」』が以下のように規定されています。
従いまして、「小規模企業共済等掛金」を「保険料控除申告書」に記載される場合には、
「申告書に記載する小規模企業共済等掛金」が以下の2要件を満たしているか?を事前にご確認頂くことが必要となります。
要件1 : 「 小規模企業共済等掛金の契約者・加入者 」に関する要件
「小規模企業共済等掛金」について「保険料控除」を受けるためには、
「小規模企業共済等契約の契約者・加入者」が「保険料控除申告書を提出する本人」であることが必要となります。 |
要件2 : 「 小規模企業共済等掛金の支払 」に関する要件
「小規模企業共済等掛金」について「保険料控除」を受けるためには、
「その小規模企業共済等掛金」が、本人により(その暦年度に)支払われていることが必要となります。 |
◆ 「小規模企業共済等掛金」についての「保険料控除要件」の具体的検討 ◆
「小規模企業共済等掛金」につき「保険料控除」が認められるためには、「上記の2要件」を具備していることが必要となるため、
「小規模企業共済等掛金」を「(「保険料控除申告書」を提出される)本人が支払っている」ような場合であっても、「小規模企業共済等契約の契約者・加入者」が「本人以外の方である」ような場合や
「小規模企業共済等契約の契約者・加入者」が「(「保険料控除申告書」を提出される)本人」であっても、「当該小規模企業共済等掛金の支払」を「本人以外の方が行っている」ような場合には、
( 掛金等が「本人以外の方の銀行口座から自動引落など」により支払われているような場合には、)
「当該小規模企業共済等掛金」を「本人の保険料控除申告書」に記載することはできませんので、この点につきましては事前にご留意下さい。
事前確認事項③:「掛金払込証明書」の入手
「保険料控除申告書」に「小規模企業共済等掛金控除」を記載するためには、
各運営者等が発行した「小規模企業共済等掛金払込証明書」に基づいて記載することが必要となり、 |
また、「保険料控除申告書」に「小規模企業共済等掛金控除」を記載した場合には、
各運営者等が発行した「小規模企業共済等掛金払込証明書」を会社に提出することが必要となります。 (当該「地震保険料控除証明書」の提出がない場合には、原則「小規模企業共済等掛金控除」を受けることができません。) |
従いまして、「小規模企業共済等掛金」を「保険料控除申告書」に記載される場合には、
「小規模企業共済等掛金払込証明書」が入手されていることを事前にご確認頂ますようお願い致します。
※・なお、「小規模企業共済等掛金払込証明書」は、毎年10月の中旬~11月の中旬にかけて「各運営者等」から発送されますので、当該期間に発送されてこない場合には「各運営者等」に問い合わせる等のご対応をお願い致します。
・また、「小規模企業共済等掛金払込証明書」を紛失された等の場合には、できる限り早めに「各運営者等」に「控除証明書」の再発行を依頼して頂きますようお願い致します。
事前確認事項④:「保険料控除申告書」に記載する「小規模企業共済等掛金」
「小規模企業共済等掛金」を、給与所得者が各運営者等に直接支払っているような場合には、
「その小規模企業共済等掛金の支払金額」を給与所得者自身で「保険料控除申告書」に記載し、 「保険料控除」の申告を行うことが必要となります。 |
他方、「小規模企業共済等掛金」が「給与・役員報酬等から天引きされている」ような場合には、
給与・役員報酬等から天引された「小規模企業共済等掛金」は、 年末調整において会社で集計され給与所得者の所得から控除されることになりますので、 当該「小規模企業共済等掛金」を「保険料控除申告書」に記載することは不要となります(記載しないで下さい)。 |
※ なお、『天引きされている「小規模企業共済等掛金」』を「保険料控除申告書」に記載した場合には、「年末調整」において「小規模企業共済等掛金に係る保険料控除金額」が2重計上される恐れがありますので、
「このような小規模企業共済等掛金」につきましては、「保険料控除申告書」には記載しないようにご留意下さい。
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、「保険料控除申告書」を記載する場合に「事前にご確認頂きたい事項」をご紹介させて頂いておりますが、
「保険料控除申告書」を会社に申告して頂くためには、
- 『「保険料控除申告書」に記載しようとしている保険料・掛金等』は、「(所得税法上に規定されている)保険料控除のための要件」を満たしているものであるか?
- 「保険料控除申告書」を提出する場合に必要となる添付書類が入手されているか?
- 『「保険料控除申告書」に記載しようとしている保険料・掛金等』は、「保険料控除申告書」に記載が必要なものであるのか?それとも「保険料控除申告書」に記載が不要なものであるのか?
などにつきまして、先ずは『「保険料控除申告書」を提出されるご本人』自身で、事前にご確認頂くことが必要となります。
上記本文でご紹介させて頂きました事項につきましては、
- 「保険料控除申告書」を提出する上で、基本的な事項ばかりでありではありますが、
- 「保険料控除申告書」を申告される上では、非常に重要な事前確認事項となりますので、
「保険料控除申告書」を記載される前には、是非今一度ご確認頂ますようよろしくお願い致します。
なお、特に上記Ⅲ、Ⅳでご紹介させて頂きました「公的な社会保険料に係る保険料控除金額」や「小規模企業共済等掛金に係る保険料控除金額」につきましては、
「所得から控除することができる金額」が多額になる可能性がありますので、
『これらの保険料・掛金の「保険料控除申告書」への記載』が「漏れてしまっている」又は「重複して記載されてしまっている」ような場合には、
「ご自身の所得税金額」等に大きな影響が生じてしまう可能性があります。
従いまして、『「これらの保険料控除金額」を「保険料控除申告書」に記載される方』につきましては、
特に「当該ページでご紹介させて頂きました事前確認事項」をご確認して頂ますようお願い致します。