ここでは、『「所得金額調整控除」の内容・種類 』や『「所得金額調整控除」を受けるための条件・計算方法・申告方法 』などにつき、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。
▶ 「所得金額調整控除」とは
◆ 「所得金額調整控除」の「定義」と「種類」 ◆
「所得金額調整控除」とは、
「 給与所得者の年間給与所得 」を計算する場合に、 「給与所得者の(調整前)給与所得」から「控除することができる項目」をいいます。 |
この「所得金額調整控除」には、
「子育て世帯」又は「特別障害者を扶養する者等」に対する「所得金額調整控除」 と 「給与所得・公的年金所得の両方の所得がある者」に対する「所得金額調整控除」 の『 2種類の「所得金額調整控除」』があります。 |
◆ 『 2種類の「所得金額調整控除」』の相違点 ◆
上記における『 前者の「所得金額調整控除」』及び『 後者の「所得金額調整控除」』は、
- 「令和2年度の年間所得税計算」から新設された「控除項目」であり、
- 「給与所得者の給与所得金額」を計算する場合に「 控除される項目 」である
という点で、同じ機能を持つ「控除項目」となりますが、
他方、『 前者の「所得金額調整控除」』と『 後者の「所得金額調整控除」』とは、
『 それぞれの「所得金額調整控除」』が新設された理由が異なることから、
- 「所得金額調整控除」を受けるための条件
- 「所得金額調整控除」に係る控除金額の計算方法
- 「所得金額調整控除」の申告方法
などは、それぞれで異なるものとなります。
◆ 「当該ページ」でご紹介させて頂きます内容 ◆
従いまして、「当該ページ」におきましては、
- 「子育て世帯」又は「特別障害者を扶養する者等」に対する「所得金額調整控除」
- 「給与所得・公的年金所得の両方の所得がある者」に対する「所得金額調整控除」
に分けて、
下記Ⅰ・Ⅱで、それぞれの「設定理由」「控除を受けるための条件」「控除金額の計算方法」「申告方法」などをご紹介させて頂きます。
Ⅰ:「子育て世帯」又は「特別障害者を扶養する者等」に対する「所得金額調整控除」
1、「当該所得金額調整控除」が新設された理由
「 令和2年度以降の所得税計算 」におきましては、
「給与収入金額が850万円以下の給与所得者」につきましては、
- 「給与所得控除の金額」が、10万円引下げられましたが、
- これと伴に「基礎控除の金額」が、10万円引上げられたため、
「所得税が課税される金額」は「令和1年度以前と同じ水準」となり、
結果的に、「給与収入金額が850万円以下の給与所得者」につきましては、「所得税の負担金額」に変化は生じませんでした。
他方、「給与収入金額が850万円を超える給与所得者」につきましては、
- 「基礎控除の金額」が、10万円引上げられた反面、
- 「給与所得控除の金額」につきましては、最大25万円引下げられることとなったため、
「所得税が課税される金額」は最大15万円増加し、
結果的に、「給与収入金額が850万円を超える給与所得者」につきましては、『「給与所得」に対する増税 』となりました。
ただし、この「給与収入金額が850万円を超える給与所得者」であっても、
- 「子育て世帯の給与所得者 」や
- 「特別障害者を扶養する給与所得者等」につきましては、
上記の「給与所得に対する増税」を行うことは適切ではないとの判断から、
課税政策上、「これらの給与所得者」につきましては、「令和2年度における給与所得に対する増税」を回避するために、
(すなわち、「所得税が課税される金額」を「令和1年度以前と同じ水準に戻す」ために、)
「令和2年に行われた給与所得控除額の引下げ影響」を打ち消す機能を持った 『「子育て世帯」又は「特別障害者を扶養する者等」に対する「所得金額調整控除」』 |
2、「当該所得金額調整控除」を受けるための条件
『「子育て世帯」又は「特別障害者を扶養する者等」に対する「所得金額調整控除」』は、
上記1でご紹介させて頂きましたように、
・「令和2年度に行われた給与所得控除額の引下げ」により「増税となる給与所得者」のうち、
・「子育て世帯の給与所得者」や「特別障害者を扶養する給与所得者等」に限って新設された控除項目であるため、
「当該控除を受けるための条件」は、以下のようなものとなります。
「要件1」として、 給与所得者自身の「その暦年度における給与収入金額」が850万円を超えること が必要となり、 |
かつ
「要件2」として、 ① 給与所得者が「子育て世帯」である 又は ② 給与所得者が「特別障害者を扶養している」等である ことが必要となります。 |
◆ 要件1:「給与収入金額」が850万円を超える要件 ◆
「当該所得金額調整控除」につきましては、
「令和2年の給与所得控除額の引下げ改正により増税影響が出る給与所得者」を対象としたものであることから、
『 「当該所得金額調整控除」を受けることができる給与所得者 』は、 『「その暦年度における給与収入金額」が850万円を超える給与所得者』に限られます。 |
◆ 要件2 ①:「子育て世帯」の要件 ◆
「当該所得金額調整控除」につきましては、
「子育て世帯の給与所得者」や「特別障害者を扶養している給与所得者等」に限定した支援控除であるため、
『「 当該所得金額調整控除」を受けることができる給与所得者 』は、 「子育て世帯の給与所得者」であることが必要となり、 |
この点、
当該「給与所得者」に「その暦年度の年度末時点(12月31日時点)で、23歳未満の扶養親族※がいらっしゃる」 ことが必要となります。 |
※: 「扶養親族」の要件
◆ 要件2 ②:「特別障害者を扶養する者」等の要件 ◆
「当該所得金額調整控除」につきましては、
「子育て世帯の給与所得者」や「特別障害者を扶養している給与所得者等」に限定した支援控除であるため、
『 「当該所得金額調整控除」を受けることができる給与所得者 』は、 「特別障害者を扶養する給与所得者等」であることが必要となり、 |
この点、
当該「給与所得者」自身が「 特別障害者※1 である」こと 又は、当該「給与所得者」に「 特別障害者※1である 同一生計配偶者※2 又は 扶養親族※3 がいらっしゃる 」こと が必要となります。 |
※1:「特別障害者」の要件
※2:「同一生計配偶者」の要件
※3:「扶養親族」の要件
「(給与収入が850万円を超える)複数の給与所得者」がいる場合の留意点
「配偶者控除・配偶者特別控除」「扶養親族控除」「障害者控除」等の『「年間の所得税計算」において受けることができる「人的控除」』におきましては、
同一生計内等に「複数の給与所得者」がいる場合には、
『 一人の「配偶者」「親族」「障害者」』に対して「複数の給与所得者」が「これらの人的控除」を重複して受けることはできませんが、
「当該所得金額調整控除」につきましては、
同一生計内等に『「当該所得金額調整控除の要件を満たす「配偶者」「親族」』が一人でもいらしゃれば、 当該同一生計内等の「(給与収入が850万円を超える)すべての給与所得者」が、「当該所得金額調整控除」を受けることができます。 ( 所得税タックスアンサー 「No.1411 所得金額調整控除の(注)」) |
例示1: 「子育て世帯の場合」における例示
・「夫」及び「妻」の「その暦年度における給与収入金額」がそれぞれ850万円を超えており、
・かつ、夫婦の間に「23歳未満の扶養親族」がいらっしゃるような場合には、
「夫」及び「妻」ともに、「子育て世帯」であることに起因した「当該所得金額調整控除」をそれぞれ受けることができます。 |
例示2: 「特別障害者を扶養している等の場合」における例示 ①
・同一生計内に「父親」「母親」「子」がいらっしゃるような場合で、
・「父親」及び「子」の「その暦年度における給与収入金額」がそれぞれ850万円を超えており、
・当該「母親」が「特別障害者」であり、かつ「父親の同一生計配偶者」「子の扶養親族」であるような場合には、
・「父親」は「同一生計配偶者が特別障害者」であることに起因した「当該所得金額調整控除」を受けることができ、 ・かつ「子」も「扶養親族が特別障害者」であることに起因した「当該所得金額調整控除」を受けることができます。 |
例示3: 「特別障害者を扶養している等の場合」における例示 ②
・同一生計内に「夫」「妻」「夫の父親」がいらっしゃるような場合で、
・「夫」及び「妻」の「その暦年度における給与収入金額」がそれぞれ850万円を超えており、
・当該「夫の父親」が「特別障害者」であり、かつ「夫及び妻の扶養親族」であるような場合には、
「夫」及び「妻」ともに、「扶養親族が特別障害者」であることに起因した「当該所得金額調整控除」をそれぞれ受けることができます。 |
3、「当該所得金額調整控除額」の計算方法
『「子育て世帯」又は「特別障害者を扶養する者等」に対する「所得金額調整控除」』は、
上記1でご紹介させて頂きましたように、
「令和2年度に行われた給与所得控除金額の引下げ影響」を打ち消すために設けられたものであるため、
「当該所得金額調整控除額」は、『「給与所得控除金額の引下げ額」と「同額」となるように』計算されることが必要となり、 |
具体的には、「以下の計算式」により算定することとなります。
( 「 給与収入金額 」※ - 850万円 ) × 10% ※ なお「給与収入金額」が1,000万円を超える場合には、1,000万円が上限となります。 |
◆ 計算例示 ◆
例 示 1 : 給与収入金額が900万円である場合には、
( 9,000,000円 - 8,500,000円 ) × 10% = 50,000円 |
例 示 2 : 給与収入金額が1,200万円である場合には( 1,200万円 > 1,000万円 であるため)、
( 10,000,000円 - 8,500,000円 ) × 10% = 150,000円 |
4、「当該所得金額調整控除」の申告方法
上記3でご紹介させて頂きましたように、「当該所得金額調整控除額」は「給与収入金額」に基づいて計算されますが、
この「給与所得者の給与収入金額」につきましては会社で把握することが可能であるため、
(すなわち「当該所得金額調整控除額」は会社で計算することが可能であるため)、
『「子育て世帯」又は「特別障害者を扶養する者等」に対する「所得金額調整控除」』は、 会社で行われる「年末調整」でその控除を受けることができます。 |
このため、「当該所得金額調整控除を受けることができる給与所得者」は、
「年末調整」時に、 「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の「所得金額調整控除申告書」に必要事項を記載し、 |
「複数の会社」から給与・役員報酬・賞与等を受ける場合の留意点
「当該所得金額調整控除」は、上記において『 会社で行われる「年末調整」』で控除を受けることができるとご紹介させて頂きましたが、
「複数の会社」から給与・役員報酬・賞与等を受けている場合には、
「会社の年末調整」で控除することができる「当該所得金額調整控除の金額」は、 『「年末調整を行う会社から受ける給与・役員報酬・賞与等の金額(主たる給与等)」に対応する部分 』のみとなり、 |
「他の会社から受ける給与・役員報酬・賞与等の金額(「従たる給与等」)」も含めた部分 』について、「当該所得金額調整控除」を受ける場合には、 別途、ご自身で「確定申告」を行うことが必要となります。 |
~ 上記の理由 ~
◆ 「複数の会社」から給与等を受けている場合の例示 ◆
例 示 1 :「主たる給与収入金額」が800万円、「従たる給与収入金額」が100万円である場合には、
「主たる給与収入金額」が850万円以下であるため、「年末調整」では「所得金額調整控除」を受けることができません。 |
「給与収入合計額(900万円)」に対する「所得金額調整控除(5万円)」を受けるためには、 「給与所得者自身」が「確定申告」を行うことが必要となります。 |
例 示 2 :「主たる給与収入金額」が900万円、「従たる給与収入金額」が300万円である場合には、
「年末調整」では、「主たる給与収入金額(900万円)」に対する「所得金額調整控除(5万円)」のみ受けることができ、 |
「給与収入合計額(1,200万円)」に対する「所得金額調整控除(15万円、残額10万円)」を受けるためには、 「給与所得者自身」が「確定申告」を行うことが必要となります。 |
例 示 3 :「主たる給与収入金額」が1,200万円、「従たる給与収入金額」が100万円である場合には、
「年末調整」では、「主たる給与収入金額(1,200万円)」に対する「所得金額調整控除(15万円)」を受けることができます。 |
※ この場合には、「複数の会社から給与等を受けている」ため、「確定申告」を行うことが必要となりますが、
・「年末調整」で既に「当該所得金額調整控除」に係る「満額の控除(15万円)」を受けているために、
・「確定申告」を行った場合であっても、「確定申告」で「当該所得金額調整控除に係るこれ以上の控除」はなされません。
Ⅱ:「給与所得と公的年金所得の両方の所得がある者」に対する「所得金額調整控除」
1、「当該所得金額調整控除」が新設された理由
「 令和2年度以降の年間所得税計算 」におきましては、
・「基礎控除の金額」が、10万円引上げられるとともに、
・「給与所得控除の金額」及び「公的年金控除の金額」が、共に10万円引下げられる改正が行われました。
この点、
・『「給与収入」のみを受ける給与所得者 』につきましては、
「給与所得控除額」が10万円引下げられる反面、「基礎控除額」が10万円引上げられることとなったため、
・また『「公的年金」のみを受ける年金受給者 』につきましては、
「公的年金控除額」が10万円引下げられる反面、「基礎控除額」が10万円引上げられることとなったため、
「所得税が課税される金額」につきましては「令和1年度以前と同じ水準」となり、結果的に「所得税の負担金額」に変化は生じませんでした。
他方、『「給与収入」及び「公的年金収入」の両方の収入がある方 』につきましては、
・「給与所得控除額」と「公的年金控除額」が合計で20万円引下げられた反面、
・「基礎控除額」につきましては、10万円の引上げのみであったため、
このままでは「所得税が課税される金額」が最大10万円増加してしまう状態が生じました。
このため、「給与所得控除額・公的年金控除額の2重引下げ」により生じた「上記の状態」を解消するために、
(すなわち、「所得税が課税される金額」を「令和1年度以前と変わらない状態に戻す」ために、)
「令和2年に行われた給与所得控除額・公的年金控除額の2重の引下げ影響」を打ち消す機能を持った 『「給与所得と公的年金所得の両方の所得がある者」に対する「所得金額調整控除」』 |
2、「当該所得金額調整控除」を受けるための条件
『「給与所得・公的年金所得の両方の所得がある者」に対する「所得金額調整控除」』は、
上記1でご紹介させて頂きましたように、
『「令和2年度に行われた給与所得控除額・公的年金控除額の2重の引下げ」による「課税対象金額の増加影響」』を打ち消す目的で新設された控除項目であるため、
「当該所得金額調整控除」を受けるためには、 『「給与所得」と「公的年金所得」の両方の所得がある者』 であることが必要となります。 |
3、「当該所得金額調整控除額」の計算方法
『「「給与所得・公的年金所得の両方の所得がある者」に対する「所得金額調整控除」』は、
上記1でご紹介させて頂きましたように、
「令和2年度に行われた給与所得控除額・公的年金控除額の2重の引下げ影響」を打ち消すために設けられたものであるため、
「当該所得金額調整控除額」は、『「給与所得控除額・公的年金控除額の2重の引下げ影響額」と「同額」となるように』計算されることが必要となり、 |
具体的には、「以下の計算式」により算定することとなります。
( 「給与所得の金額」※ + 「公的年金所得の金額」※ ) - 10万円 ※ なお、「給与所得の金額」又は「公的年金所得の金額」が10万円を超える場合には、それぞれ10万円が上限となります。 |
◆ 計算例示 ◆
例 示 1 : 給与収入金額が63万円、公的年金収入が118万円(65歳以上)である場合には、
給与所得は8万円、公的年金所得(雑所得)は8万円となりますが、 |
この場合における「当該所得金額調整控除」は、 ( 8万円 + 8万円 ) - 10万円 = 6万円 となります。 |
例 示 2 : 給与収入金額が60万円、公的年金収入が150万円(65歳以上)である場合には、
給与所得は5万円、公的年金所得(雑所得)は40万円となりますが、 |
この場合における「当該所得金額調整控除」は、 ( 5万円 + 10万円 ) - 10万円 = 5万円 となります。 |
例 示 3 : 給与収入金額が350万円、公的年金収入が115万円(65歳以上)である場合には、
給与所得は237万円、公的年金所得(雑所得)は5万円となりますが、 |
この場合における「当該所得金額調整控除」は、 ( 10万円 + 5万円 ) - 10万円 = 5万円 となります。 |
例 示 4 : 給与収入金額が350万円、公的年金収入が150万円(65歳以上)である場合には、
給与所得は237万円、公的年金所得(雑所得)は40万円となりますが、 |
この場合における「当該所得金額調整控除」は、 ( 10万円 + 10万円 ) - 10万円 = 10万円 となります。 |
例 示 5 : 給与収入金額が50万円、公的年金収入が120万円(65歳以上)である場合には、
給与所得は0円、公的年金所得(雑所得)は10万円となりますが、 |
この場合における「当該所得金額調整控除」は、 ( 0円 + 10万円 ) - 10万円 = 0円 となり、 この場合には、「当該所得金額調整控除」を受けることはできません。 |
例 示 6 : 給与収入金額が200万円、公的年金収入が100万円(65歳以上)である場合には、
給与所得は132万円、公的年金所得(雑所得)は0円となりますが、 |
この場合における「当該所得金額調整控除」は、 ( 10万円 + 0円 ) - 10万円 = 0円 となり、 この場合には、「当該所得金額調整控除」を受けることはできません。 |
例 示 7 : 給与収入金額が60万円、公的年金収入が115万円(65歳以上)である場合には、
給与所得は5万円、公的年金所得(雑所得)は5万円となりますが、 |
この場合における「当該所得金額調整控除」は、 ( 5万円 + 5万円 ) - 10万円 = 0円 となり、 この場合には、「当該所得金額調整控除」を受けることはできません。 |
4、「当該所得金額調整控除」の申告方法
上記3でご紹介させて頂きましたように、「当該所得金額調整控除額」を計算するためには、「給与収入金額」とともに「公的年金収入金額」の把握も必要となります。
この点、「給与所得者の公的年金収入金額」につきましては会社で把握することはできないため、
当該『「「給与所得・公的年金所得の両方の所得がある者」に対する「所得金額調整控除」』につきましては、 「年末調整」では控除を受けることはできず、 |
当該『「「給与所得・公的年金所得の両方の所得がある者」に対する「所得金額調整控除」』を受けるためには、 「給与所得者&公的年金受給者であるご自身」が「確定申告」を行い「当該控除」を受けることが必要となります。 |
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、『「所得金額調整控除」の内容・種類 』や『「所得金額調整控除」を受けるための条件・計算方法・申告方法 』などをご紹介させて頂いております。
「所得金額調整控除」につきまして
「所得金額調整控除」につきましては、
・「その名称」からは、「控除内容」「控除条件」等がイメージしにくいと思いますが
・そもそも「それぞれの所得金額調整控除」が「令和2年度においてなぜ新設されたのか?」を理解して頂くことで、
- それぞれの所得金額調整控除が持つ「役割(機能)」
- それぞれの所得金額調整控除を「受けるための要件」
- それぞれの所得金額調整控除額の「計算方法」
がよく分かるのではないかと考えます。
従いまして、「2種類の所得金額調整控除の内容・条件・計算方法」などを理解するためには、
先ずは、本文「Ⅰ-1」や「Ⅱ-1」でご紹介させて頂いております『「それぞれの所得金額調整控除」が新設された理由 』をご理解頂ますようお願い致します。
「所得金額調整控除」と「年末調整」との関係につきまして
「年末調整書類」には「基礎控除申告書」がありますが、
この「基礎控除申告書」の「給与所得金額」を記載する場合には、
- 『「子育て世帯」又は「特別障害者を扶養する者等」に対する「所得金額調整控除」』と
- 『「給与所得・公的年金所得の両方の所得がある者」に対する「所得金額調整控除」』を
控除した後の「(調整後の)給与所得金額」を記載する必要があります。
このため、ご自身が「上記の「所得金額調整控除」の要件を満たしている」場合には、
- ご自身で「該当する所得金額調整控除額」を計算して頂き、
- 「(調整前の)給与所得金額」から「該当する所得金額調整控除額」を差引いた「(調整後の)給与所得金額」を
「基礎控除申告書」に記載して頂ますようお願い致します。
また、「年末調整」において『「子育て世帯」又は「特別障害者を扶養する者等」に対する「所得金額調整控除」』の控除を受ける場合には、
「所得金額調整控除申告書」を会社に提出することが必要となります。
このため、ご自身が「年末調整」で「当該所得金額調整控除」を受ける場合には、
「所得金額調整控除申告書」に必要事項を記載し、「所得金額調整控除申告書」を会社にご提出頂ますようお願い致します。
なお、「複数の会社から給与等を受けている」場合には、
「本文Ⅰ-4」でご紹介させて頂きましたように「年末調整で控除を受けることのできる当該所得金額調整控除額」は、
『「主たる給与等の金額」に対応した「所得金額調整控除額」のみ』となりますので、
ご自身が「複数の会社から給与等を受けている」場合には、この点につきご留意頂ますようお願い致します。