「現金売上取引」を会計帳簿に入力する前提となる「現金売上帳(Excel)」への入力方法等を、以下の項目に従い、ご紹介させて頂きます。
なお、ここでの内容を理解して頂くためには、「現金売上取引」に対する理解が必要となります。
もし、この点につきましてよくわからないという場合には、 ⇒コチラを先にご覧ください。
Ⅰ:「現金売上帳」のサンプルの配布と使用準備
1、「現金売上帳」のサンプル配布
以下のリンク先で、「現金売上帳」のサンプルを配布しております。
ご自身で「現金売上帳」の作成に自信がない方は、この「現金売上帳」をダウンロードしてご使用頂きますようお願い致します。
2、「現金売上帳」を使用するための準備
1)ファイルのダウンロード
上記リンク先から「現金売上帳」をダウンロードし、デスクトップ等の適当な場所に保存して下さい。
2)ファイル名の変更
保存した「現金売上帳」の名称を変更して下さい。
上記の「現金売上帳」は、月ごとに「1つのExcelファイル」として使用することを前提としております。このため、「Excelファイル名」に「何月の現金売上帳」であるかが判るようにファイル名を変更してご使用下さい。
例)「4月分の現金売上帳」として使用する場合には、「4月現金売上帳」に名称変更して下さい。
3)Excelファイルの編集を有効にする
「ダウンロードしたExcelファイル」は、初期状態では「編集不能」状態となっております。
このため、Excelファイルを開いた際に、Excel上部に出てくる「編集を有効にする」ボタンを押して下さい。
3、その他の使用上の留意事項
1)「現金売上帳」の入力項目
上記の「現金売上帳」は、「現金売上取引」を、会計帳簿に入力するための必要最低限の項目のみを入力項目としております。
2)売上をカテゴリー別に会計帳簿に入力する場合
売上をカテゴリー別に会計帳簿に入力する場合には、
「現金売上帳」も、カテゴリー別に作成、入力することが必要となります。 |
この場合には、「●月現金売上帳」に「〇〇売上 ●月現金売上帳」「△△売上 ●月現金売上帳」という名称を付け、複数のカテゴリー別に「現金売上帳」を作成します。
3)現金売上帳の保存
「現金売上帳」につきましては、会計ソフト外のExcel等で作成されますが、売上計上基となる重要な会計帳簿となります。
税務調査を受けた場合等には、「現金売上帳」の提出を求められることがあります。このため、「現金売上帳」は、会計帳簿として、「税務上定められた期間」適切に会社に保存することが必要となります。
Ⅱ:「現金売上帳」の入力方法
1、入力方法
①1日分の「売上・入金証憑」の集計
「領収書(控え)」や「レジレシート(控え)」の「現金売上金額」を「1日単位で集計」します。 |
【POSレジを使用している場合】
POSレジ等を使用している場合で、「1日分の現金売上金額」データをレジで把握できる場合には、上記の集計作業は不要となります。
POSレジで把握した「1日分の現金売上金額」をそのまま「現金売上帳」に入力します。
②「集計金額」の「現金売上帳」への入力
上記①で集計した「1日分の現金売上金額」を「現金売上帳」に入力します。 |
2、合計部分の自動計算及び手集計入力
「現金売上帳」の下部には、以下「2つの合計金額欄」を設けています。
- 当月の現金売上合計金額
- 当月までの現金売上累計額
これらの合計金額欄につきまして、以下でご説明させて頂きます。
1)当月の現金売上合計金額
「現金売上帳」に入力された「売上金額」が自動集計される欄になります。
2)当月までの現金売上累計額
会計年度の期首から当月までの「現金売上帳」の合計金額を手計算して、その合計金額を「当月までの現金売上累計額」に記入して下さい。
Ⅲ:「現金売上帳」の入力後確認
「領収書」や「レジレシート」から「現金売上帳」への入力漏れや二重計上があった場合には、会計帳簿での「売上計上漏れ」や「売上の二重計上」に直結します。
このため、入力後における入力事項の確認は、大変重要なものとなります。
従いまして、「現金売上帳」の入力が完了した場合には、以下の事項のご確認をお願い致します。
1、「領収書」「レジレシート」の再集計確認
「領収書」や「レジレシート」が漏れなく、重複することなく集計されていることを確認するために、
「領収書」や「レジレシート」の「1日分の合計金額」を再集計して確認します。 |
2、「再集計金額」と「現金売上帳」との照合確認
「現金売上帳」への入力が適切に行われていることを確認するため、
上記1で「再集計した金額」と「現金売上帳」の記載金額の一致を確認して下さい。 |
3、売上現金の管理
「現金売上取引」が多く行われる会社では、以下のように「現金管理」の一環として、「売上現金の別管理」を行っている場合も多いです。
売上現金の別管理
「現金売上に伴う現金」を、「仕入支払現金」や「経費支払現金」とは別に「1日単位でその増加金額」を別管理します。
すなわち、「現金売上に伴う現金」を「レジ現金」「売上現金」として、物理的に別管理し、
「当日の売上現金有高」から「前日の売上現金有高」を差引きして「当日の売上現金増加金額」を把握します。
「現金売上帳の1日分の現金売上金額」と「実際の売上現金増加金額」との確認
- 「現金売上帳」により把握される「1日分の現金売上金額」と
- 上記で把握された「1日分の実際の売上現金増加金額」との
一致を確認します。
Ⅳ:「現金売上帳」が作成不要となる場合
1、「POSレジからの出力帳票」を「現金売上帳」として利用する
販売情報を管理・集計するシステムを持つレジをPOSレジ(Point Of Sales)といいます。
POSレジから「現金売上帳」と同様のデータが出力できる場合には、「POSレジから出力される書類」を「現金売上帳」として利用することができます。
このため、
POSレジに、「月次の売上集計機能(「月次売上データ」作成機能)」ある場合には、「レジから出力される書類」を「現金売上帳」として利用可能となります。 |
ただし、POSレジの売上集計機能が「1日分(日次)の売上集計機能」のみで、月次集計機能等がない場合には、POSレジからの「日次売上金額」を上記の「現金売上帳」に記録して、「現金売上帳」を作成することが必要となります。
2、POSレジデータの出力・保存
上記1のように「POSレジから出力される月次現金売上データ」を「現金売上帳」とする場合には、
「POSレジから出力される月次現金売上データ」が、「現金売上帳」と同様、会計帳簿となります。
このため、「POSレジから月次現金売上データ」を出力し、上記Ⅰの3の3)で記載した事項と同様に、「税務上定められた期間」適切に会社に保存することが必要となります。
Ⅴ:「現金売上取引」の関連記事
以下のリンクページでは、「現金売上取引」を会計帳簿に入力するために必要となる事項を記載しております。
この記事に続く「現金売上取引」の会計帳簿への入力方法につきましては、以下リンクページをご覧ください。
「現金出納帳」への具体的入力方法
・「現金売上帳」から月次等の単位で「現金出納帳」に入力する場合の具体的な入力方法
・その場合における入力確認方法
を以下のリンクページで記載しております。
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
「現金売上帳」自体の入力内容は、とてもシンプルなものとなりますので、特に難しい点はないと思います。
ただし、「現金売上帳」への入力自体は、決算書における「売上高」に直結する入力となります。
このため、上記Ⅲで記載させて頂きましたように、集計漏れ、二重集計、入力漏れ等がないように慎重に入力し、確認することが必要となると考えます。
また、近年では、高性能レジが比較的安価で入手できることからPOSレジを利用されている方も多いのではないかと考えます。
POSレジを採用している場合には、「現金売上帳」の作成が不要となる場合もあり、このような場合には、「POSレジから出力される帳票」を活用することにより、経理作業の効率化にお役立て下さい。