「給与・役員報酬の計上取引」を「振替伝票」に入力後には、「給与・役員報酬の計上取引」が適切に「会計帳簿(会計ソフト)」に入力されていることを確認することが必要となります。
ここでは、この『「給与・役員報酬の計上取引」の「振替伝票」入力後における確認方法』につき、以下の項目に従って、ご紹介させて頂きます。
「振替伝票」入力後の「入力確認の必要性」
1、「給与・役員報酬の計上取引」の「入力確認の必要性」
『「給与・役員報酬の計上取引」の「振替伝票」への入力』にあたって、入力漏れや二重計上があった場合には、
「給与手当・役員報酬の過少計上」や「給与手当・役員報酬の過大計上」となり、誤った決算書を作成してしまうことになります。
特に「給与手当や役員報酬の金額」は、金額が大きいものとなることから、これらの入力漏れや二重計上に対しては特に注意が必要となります。
このため、「給与・役員報酬の計上取引」の入力後における入力事項の確認作業は、大変重要な作業となります。
2、「給与・役員報酬の計上取引」の「入力確認の種類」
『「給与・役員報酬の計上取引」の入力確認』には、
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以下では、それぞれの確認方法につきご紹介させて頂きます。
Ⅰ:「仕訳日記帳」での「入力内容確認」
まず「給与・役員報酬の計上取引」を「振替伝票」に入力した後に、「振替伝票で入力した内容」が適切に「会計帳簿(会計ソフト)」に入力されているかを確認することが必要となります。
ただし、「給与・役員報酬の計上取引」は、「現金の入出金」や「預金の預入引出」を伴わない取引であるため、
「振替伝票で入力した内容」は、「現金出納帳」や「預金出納帳」に記載されることはなく、これらの会計帳簿から確認することはできません。
このような、【『「現金の入出金」「預金の入出金」を伴わない取引』に係る「振替伝票の入力内容」】を確認するためには、
「仕訳日記帳」で「入力内容」を確認することが必要となります。 |
仕訳日記帳
「仕訳日記帳」とは、会計ソフトに入力したすべての入力内容が、仕訳の形で表示される「会計帳簿」となります。
⇒「現金・預金の入出金を伴わない取引」を「振替伝票」により「会計帳簿(会計ソフト)」に入力した場合における「入力内容の確認」は、この「仕訳日記帳」により確認することが必要となります。
以下では、この「仕訳日記帳」で入力内容を確認する方法をご紹介させて頂きます。
1、『「振替伝票」で入力した内容』が適切に入力されていることの確認
「振替伝票」の入力につきましては、「登録」ボタンを押すことが必要となるため、
- 「登録」ボタンの押し忘れによる「振替伝票」の未登録(入力漏れ)や
- 重複して同じ仕訳を登録してしまう二重計上等の可能性があります。
このため、振替伝票の入力を行った直後に「仕訳日記帳」にアクセスし、『「仕訳日記帳」の該当月』に
『「給与・役員報酬の計上取引」に対して「振替伝票で入力した内容」』が、
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「役員報酬」「給与手当」の金額を「全社ベースの金額」で入力している場合
「役員報酬」「給与手当」の金額を「個人別の金額」で入力している場合
2、「賃金台帳」と「仕訳日記帳」との照合確認
上記1の確認とともに、「振替伝票で入力された金額」に誤りがないことを再度確認するため、
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「役員報酬」「給与手当」の金額を「全社ベースの金額」で入力している場合
「役員報酬」「給与手当」の金額を「個人別の金額」で入力している場合
Ⅱ:「残高試算表」での「累計金額の確認」
上記Ⅱでご紹介させて頂きました入力確認は、「単月ベース」での入力確認となりますが、
「給与手当」「役員報酬」「法定福利費」の損益計算書項目につきましては、「入力された金額」を「累計ベース」で確認することもできます。
このため、これらの勘定科目につきましては、
「月々の給与・役員報酬の計上に係る振替伝票入力がなされた都度」又は「年間ベース」で
「残高試算表(月次・期間)の損益計算書に計上されている金額」と「合計賃金台帳の記載金額」との一致を確認することも必要となります。 |
なお、
- 『「役員報酬」「従業員給与」の金額』を「全社ベースの金額」で入力している場合と
- 『「役員報酬」「従業員給与」の金額』を「個人別の金額」で入力している場合とでは、
確認する「合計賃金台帳」が異なるため、以下では、それぞれの場合に分けて確認方法をご紹介させて頂きます。
「役員報酬・従業員給与の金額」を「全社ベースの金額」で入力している場合
「残高計算書(月次・期間)」の「損益計算書」には、
- 「給与手当」「役員報酬」の累計金額
- 「法定福利費(社会保険料徴収額)」「法定福利費(雇用保険料徴収額)」の累計金額が集計表示されます。
他方、「月別合計賃金台帳」には、
- 「給与手当」「役員報酬」の累計金額
- 従業員・役員から徴収した「社会保険料」「雇用保険料」の累計金額が集計表示されます。
このため、
・「残高試算表(月次・期間)」の「損益計算書」における上記「勘定科目又は補助科目の金額」と ・「月別合計賃金台帳における各項目金額」との一致を確認することにより、 |
「賃金台帳」から「会計帳簿(会計ソフト)」への入力が適切に行われていることを「累計ベース」で確認することが必要となります。
「役員報酬金額」「給与手当金額」の確認
・「残高試算表(月次・期間)」の「役員報酬の残高金額」「給与手当の残高金額」と
・「月別合計賃金台帳」の「役員報酬の合計金額」「従業員給与の合計金額」との一致を確認します。
「法定福利費金額」の確認
・「残高試算表(月次・期間)」の「法定福利費」の「補助科目」である「社会保険料徴収額の残高金額」「雇用保険料徴収額の残高金額」と
・「月別合計賃金台帳」の「社会保険料金額の合計金額」「雇用保険料の合計金額」との一致確認を行います。
※なお、「残高試算表の法定福利費」につきましては、上記の他「会社が保険者に支払う社会保険料」や「会社が保険者に支払う労働保険料」が「法定福利費(+)」として計上されることから、
「残高試算表の法定福利費の累計金額」と「賃金台帳の社会保険料等小計の年間合計金額」とは一致しません。
「役員報酬・従業員給与の金額」を「個人別の金額」で入力している場合
「残高計算書(月次・期間)」の「損益計算書」には、
- 「給与手当」「役員報酬」の「従業員・役員ごとの給与・役員報酬の累計金額」
- 「法定福利費(社会保険料徴収額、雇用保険料徴収額)」の「社会保険料徴収額、雇用保険料徴収額の累計金額」が集計表示されます。
他方、「個人別合計賃金台帳」には、
- 「従業員ごとの給与手当」及び「役員ごとの役員報酬」の累計金額
- 従業員・役員から徴収した「社会保険料」「雇用保険料」の累計金額が集計表示されます。
このため、
・「残高試算表(月次・期間)」の「損益計算書」における上記「勘定科目・補助科目の年間累計金額」と ・「個人別合計賃金台帳における各項目金額」との一致を確認することにより、 |
「賃金台帳」から「会計帳簿(会計ソフト)」への入力が適切に行われていることを「累計ベース」で確認することが必要となります。
「役員報酬金額」の確認
・「残高試算表(月次・期間)」の「役員報酬」の「補助科目」である「役員ごとの役員報酬の残高金額」と
・「個人別合計賃金台帳」の「役員ごとの役員報酬の支給合計」との一致を確認します。
「給与手当金額」の確認
・「残高試算表(月次・期間)」の「給与手当」の「補助科目」である「従業員ごとの給与手当の残高金額」と
・「個人別合計賃金台帳」の「従業員ごとの給与の支給合計」との一致を確認します。
「法定福利費金額」の確認
・「残高試算表」の「法定福利費」の「補助科目」である「社会保険料徴収額の残高金額」「雇用保険料徴収額の残高金額」と
・「個人別合計賃金台帳」の「社会保険料の合計金額」「雇用保険料の合計金額」との一致確認を行います。
※なお、「残高試算表の法定福利費」につきましては、上記の他「会社が保険者に支払う社会保険料」や「会社が保険者に支払う労働保険料」が「法定福利費(+)」として計上されることから、
「残高試算表の法定福利費の累計金額」と「賃金台帳の社会保険料等小計の年間合計金額」とは一致しません。
「預り金」及び「未払費用」の残高確認
「給与・役員報酬の計上取引」では、「預り金」や「未払費用」が計上されるため、
これらの「勘定科目の残高」につきましても、『「残高試算表」の残高金額』の確認が必要となります。
ただし、これらの「勘定科目」は、「源泉徴収所得税の支払取引」「特別徴収住民税の支払取引」「給与手当・役員報酬の支払取引」が行われることにより、「給与・役員報酬の計上取引」で計上された金額』が取り崩されることになります。
このため、これらの勘定科目につきましては、
- 「給与・役員報酬の計上取引」の会計帳簿入力時点で確認するのではなく、
- 上記の各種支払取引が会計帳簿に入力された時点で、「残高試算表に計上されている残高」が適切であるかを確認することになります。
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
「給与手当」「役員報酬」の金額は、通常、金額的に大きなものとなることから、
『「給与・役員報酬の計上取引」の「振替伝票」への入力』は、「会計帳簿(会計ソフト)への入力」の中でも、大変重要な入力となります。
このため本文の冒頭でも記載させて頂きましたが、
『「給与・役員報酬の計上取引」の「振替伝票」への入力』にあたっては、重複することなく、また脱漏することなく入力されていることを確認することが必要となります。
このため、上記Ⅰでご紹介させて頂きました「月次ベースでの確認作業」につきましては、必ず行って頂くようにお願い致します。
また、入力した「振替伝票」を知らない間に削除してしまうこと等も考えられるために、「給与手当」「役員報酬」等の金額につきましては、念には念を入れ、
上記Ⅱでご紹介させて頂きました「累計ベースでの確認作業」も行って頂きますようお願い致します。