「給与・役員報酬の支払取引」に対して「仕訳を行う場合」や「会計帳簿への入力を行う場合」には、まず『「給与・役員報酬の支払取引」の「会計的な取引内容」』を把握することが必要となります。
ここでは、この『「給与・役員報酬の支払取引」の「会計的な取引内容」』を、以下の項目に従い、ご紹介させて頂きます。
Ⅰ:「給与・役員報酬の支払取引」の意義と前提
1、「給与・役員報酬の支払取引」の意義
「給与・役員報酬の支払取引」とは、
会社が『「給与・役員報酬計算」で算定した「支払(予定)額」』を、実際に従業員・役員に対して「現金・預金振込等」により支払う取引をいいます。 |
2、「給与・役員報酬の支払取引」が行われる前提
「給与・役員報酬の支払(予定)額」につきましては、
「給与・役員報酬の支払取引」が行われる前に、「給与・役員報酬の計算」でその金額が計算され、
「給与・役員報酬の計上取引」の会計帳簿への入力により、
「従業員・役員に対して、「労働サービス・経営サービスを受けた対価として支払わなければならない義務(対価の支払義務)」として計上されています。 |
「給与・役員報酬の支払取引」は、このことを受けた、
『「労働サービス・経営サービス」に対する対価の支払義務』を履行する取引となります。 |
’ 「給与・役員報酬の計上取引」 ’
「給与・役員報酬の計算」が完了した時点で、「会計帳簿(会計ソフト)」に入力される
- 「給与手当」「役員報酬」を計上する
- 「各種控除項目(社会保険料、雇用保険料、源泉徴収所得税、特別徴収住民税)」を計上する
- 「給与支払(予定)額」「役員報酬支払(予定)額」を計上する取引をいいます。
※ なお、当該取引につきましては、『「給与・役員報酬の計上取引」の「仕訳」』でより詳細をご説明しておりますので、必要に応じて当該リンクページもご覧頂きますようお願い致します。
Ⅱ:「給与・役員報酬の支払取引」の「会計的な取引内容」
1、「給与・役員報酬の支払取引」の2面性
「会社が行った取引」に対して、「仕訳や会計帳簿入力」などの「会計処理」を行うためには、
その取引が持つ「目的面・手段面」「原因面・結果面」等の2面性を把握することが必要となります。
ここでは、「給与・役員報酬の支払取引」が持つ取引の2面性をご紹介させて頂きます。
1)目的面(支払義務の履行)
「給与・役員報酬の支払取引」は、
「給与・役員報酬の計上取引」で負うことになった「支払義務」を履行するために行なわれる取引です。
このため「給与・役員報酬の支払取引」が行われることで、
『「給与・役員報酬の計上取引」で会社が従業員・役員に対して負っている「対価の支払義務」』が消滅(減少)することになります。 |
2)手段面(現金・預金の支払)
上記の「支払義務を履行する手段」として、
会社から従業員・役員に「現金支払」「現金振込」や「預金振込(口座振替)」がなされます。
このため「給与・役員報酬の支払取引」が行われることで、
会社の「現金」又は「預金」が減少することになります。 |
3)「給与・役員報酬の支払取引」
上記1)2)から「給与・役員報酬の支払取引」は、以下の2面性を持った取引となります。
① 『「給与・役員報酬の計上取引」で会社が従業員・役員に対して負っている「対価の支払義務」』という「負債」が減少(消滅)する取引であるとともに、 ② 会社の「現金」又は「預金」という「資産」が減少する取引となります。 |
2、「給与・役員報酬の支払取引」の「会計的な取引内容」
ここでは、上記1でご説明させて頂きました「給与・役員報酬の支払取引」に「勘定科目」を当てはめることにより、
『「給与・役員報酬の支払取引」の「会計的な取引内容」』をご紹介させて頂きます。
1)勘定科目の当てはめ
「支払義務」に対する勘定科目
「給与・役員報酬の計上取引」においては、
会社が従業員・役員に対して負った「対価の支払義務」に対して、「負債」である「未払費用」という勘定科目が使用されています。
「給与・役員報酬の支払取引」は、
『「給与・役員報酬の計上取引」で負った「支払義務」が減少(消滅)する』取引であるため、
この取引で減少(消滅)する「支払義務」に対しては、
『「給与・役員報酬の計上取引」で使用された勘定科目』と同じ「未払費用」という(費用を表現する)勘定科目を使用することが必要となります。 |
「現金」「預金」に対する勘定科目
「現金」「預金」に対しては、
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2)「給与・役員報酬の支払取引」の「会計的な取引内容」
・上記1(3)でご紹介させて頂きました取引内容に対して、
・上記2(1)でご紹介させて頂きました勘定科目を当てはめると、
『「給与・役員報酬の支払取引」の「会計的な取引内容」』は、以下のようなものとなります。
「給与・役員報酬の支払取引」は、
① 『「給与・役員報酬の計上取引」で会社が従業員・役員に対して負っている「未払費用」』という「負債」が減少(消滅)する取引であるとともに、 ② 会社の「現金」又は「普通預金又は当座預金」という「資産」が減少する取引となります。 |
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
「給与・役員報酬の支払取引」は、
- それ自体が単独で存在するものではなく、
- この取引が行われる前に「給与・役員報酬計算」で算定された「給与支払(予定)額」「役員報酬支払(予定)額」が、
「給与・役員報酬の計上取引」で「従業員・役員に対する労働・会社経営サービスの対価の支払義務(未払費用)」として計上されていることを前提とした取引となります。
この前提の下、「給与・役員報酬の支払取引」の「会計的な性質(会計的な取引内容)」は、
- 「給与・役員報酬の計上取引」で計上した「支払義務(未払費用)」を履行するため、
- 会社が「現金」や「預金」を支払う取引となります。