ここでは、「給与計算対象期間の最終週」が「給与計算対象期間」を跨ぐ場合における『「1週間単位の法定時間外労働時間」の計算方法 』につき、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。
▶ 「給与計算対象期間」を跨ぐ場合の繰越・引継の必要性
「1週間単位の法定時間外労働時間」を算定するためには、
「1週間単位の労働時間」から その週に含まれる「法定休日労働時間」 その週に含まれる「(1日単位の)法定時間外労働時間」及び 「1週間単位の法定労働時間(40時間又は44時間)」を 差引いて計算することが必要となりますが、 |
(なお、この点につきましては『「法定労働時間」と「法定時間外労働時間」』の「Ⅱ-1」を御覧ください。)
『「給与計算対象期間における最終週」の「1週間単位の法定時間外労働時間」』を算定する場合において、
「給与計算対象期間の最終日」と「最終週における最終日」が一致していない場合には、
(すなわち、「給与計算対象期間の最終週」が「給与計算対象期間」を跨ぐ場合には、)
当該『「給与計算対象期間の最終週」の「1週間あたりの法定時間外労働時間」の計算 』は、 「週の途中まで」しか計算することができないため、 「その月の給与計算対象期間」では確定せず、「翌月の給与計算対象期間」にズレ込むこととなります。 |
また、これとともに、
『「翌月の給与計算対象期間の1週目」の「1週間あたりの法定時間外労働時間」の計算 』は、 「週の途中から」しか計算することができないため、 上記『「最終週」における計算結果 』を引き継いで計算することが必要となります。 |
このため、『「給与計算対象期間における最終週」の「1週間単位の法定時間外労働時間」』を算定する場合で、
「給与計算対象期間の最終週」が「給与計算対象期間」を跨ぐ場合には、
『「給与計算対象期間の最終週」の「1週間あたりの法定時間外労働時間」の計算 』は、 「最終週の途中まで計算した結果」を「翌月の給与計算対象期間の1週目」に繰り越すとともに、 |
『「翌月の給与計算対象期間の1週目」の「1週間あたりの法定時間外労働時間」の計算 』は、 「上記で繰り越した最終週の途中までの計算結果」と「(翌月)1週目の途中から計算した結果」を足し合わせて計算することが必要となります。 |
従いまして、以下におきましては、
「給与計算対象期間における最終週」が、「当月の給与計算対象期間」と「翌月の給与計算対象期間」を跨ぐ場合の、
『「当月の最終週」に行う計算 』及び『「翌月に繰り越す労働時間」の把握・計算方法 』をご紹介させて頂くとともに、
『「翌月の1週目」に行う「(週単位の)法定時間外労働時間」の把握・計算方法 』をご紹介させて頂きます。
Ⅰ:「当月の最終週」に行う計算
「(1週間単位の)法定時間外労働時間」を把握・計算するためには、
「1週間単位の労働時間」から その週に含まれる「法定休日労働時間」 その週に含まれる「(1日単位の)法定時間外労働時間」及び 「1週間単位の法定労働時間(40時間又は44時間)」を 差引計算することが必要となりますが、 |
「給与計算対象期間の最終週」が「給与計算対象期間」を跨ぐ場合には、
「当月の給与計算対象期間の最終週」におきましては、
『(1週間単位の)法定時間外労働時間を計算するための「算定基礎となる労働時間 」』を計算し、 |
当該「算定基礎となる労働時間 」を 「翌月の給与計算対象期間の1週目」に繰り越すことが必要となります。 |
具体的には、
「最終週の初日~給与計算対象期間の末日」までの「労働時間」 「最終週の初日~給与計算対象期間の末日」までの「法定休日労働時間」 「最終週の初日~給与計算対象期間の末日」までの「1日単位の法定時間外労働時間」 を把握・計算し、 |
『(1週間単位の)法定時間外労働時間を計算するための「算定基礎となる労働時間 」』を計算し、 |
当該「算定基礎となる労働時間 」を 「翌月の給与計算対象期間の1週目」に繰り越すことが必要となります。 |
Ⅱ:「翌月の1週目」に行う計算
「翌月の給与計算対象期間の1週目」におきましては、
『 1週目の(1週間単位の)法定時間外労働時間を計算するための「算定基礎となる労働時間 」』を計算し、 |
『「1週目」の「(1週間単位の)法定時間外労働時間」』を把握・計算することが必要となります。 |
具体的には、
① まず、
「給与計算対象期間の初日~1週目の末日」までの「労働時間」 「給与計算対象期間の初日~1週目の末日」までの「法定休日労働時間」 「給与計算対象期間の初日~1週目の末日」までの「1日単位の法定時間外労働時間」 を把握・計算し、 |
『 1週目の(1週間単位の)法定時間外労働時間を計算するための「算定基礎となる労働時間 」』を計算します。 |
② その後、
『「1週目」の「(1週間単位の)法定時間外労働時間」』を把握・計算することが必要となります。 |
Ⅲ:月を跨ぐ場合の「1週間単位の法定時間外労働時間」の把握・計算例示
◆ 設例 ◆
「1週間の労働時間の集計単位」が「日曜日」から「土曜日」であり、
「日曜日」が「法定休日」であり、
「1週間の法定労働時間」が「40時間」である場合で、
この週は「給与計算対象期間」の「最終週」であり、「給与計算対象期間の最終日」は「水曜日」であり、
『「日曜日」から「水曜日」の「労働時間」』が以下のものであり、
日曜日 (法定休日) |
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | |
労働時間 | 3時間 | 10時間 | 8時間 | 8時間 |
『「翌月の給与計算対象期間」の「第1週目」の「労働時間」』が以下のものである場合。
木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | |
労働時間 | 10時間 | 13時間 | 8時間 |
◆ 『 当月の給与計算対象期間」の「最終週」』で行う繰越計算 ◆
「翌月の給与計算対象期間」に繰越すべき『「最終週」の「(週単位の)法定時間外労働時間」の算定基礎労働時間 』は、
「(水曜日までの)労働時間」:29時間 - 「(水曜日までの)法定休日労働時間」:3時間 -「(水曜日までの)1日単位の法定時間外労働時間」:2時間 = 24時間 となります。 |
日曜日 (法定休日) |
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 最終週の合計 | |
労働時間 | 3時間 | 10時間 | 8時間 | 8時間 | 29時間 |
法定休日労働時間 | 3時間 | - | - | - | 3時間 |
1日単位の法定時間外労働時間 | - | 2時間 | - | - | 2時間 |
1週単位の法定時間外労働時間 の算定基礎労働時間 |
- | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 24時間 |
◆ 『 翌月の給与計算対象期間」の「1週目」』に行う「(週単位の)法定時間外労働時間」の計算 ◆
① 『「1週目」の「(週単位の)法定時間外労働時間」の算定基礎労働時間 』は、
「(木曜日からの)労働時間」:31時間 - 「(木曜日からの)法定休日労働時間」:0時間 -「(木曜日からの)1日単位の法定時間外労働時間」:7時間 = 24時間 となります。 |
木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | 1週目の合計 | |
労働時間 | 10時間 | 13時間 | 8時間 | 31時間 |
法定休日労働時間 | - | - | - | 0時間 |
1日単位の法定時間外労働時間 | 2時間 | 5時間 | - | 7時間 |
1週単位の法定時間外労働時間 の算定基礎労働時間 |
8時間 | 8時間 | 8時間 | 24時間 |
② 『「1週目」の「(週単位の)法定時間外労働時間」の計算 』は、
「(最終週から繰越した)算定基礎労働時間」:24時間 +「(1週目の)算定基礎労働時間」:24時間 -「1週単位の法定労働時間」:40時間 = 8時間 となります。 |
最終週 | 1週目 | 合計 | |
1週単位の法定時間外労働時間 の算定基礎労働時間 |
24時間 | 24時間 | 48時間 |
週単位の法定労働時間 | 40時間 | ||
1週目の法定時間外労働時間 | 8時間 |
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、「給与計算対象期間の最終週」が「給与計算対象期間」を跨ぐ場合における『「1週間単位の法定時間外労働時間」の計算方法 』をご紹介させて頂いております。
「給与計算対象期間」を跨ぐ場合の『「1週間単位の法定労働時間」の計算 』につきまして
「給与計算対象期間の最終日」と「最終週における最終日」が一致していない場合には、
(すなわち、「給与計算対象期間の最終週」が「給与計算対象期間(月)」を跨ぐ場合には、)
・「給与計算対象期間の最終週」において、
『(1週間単位の)法定時間外労働時間を計算するための「算定基礎となる労働時間」 』の繰越が必要となるとともに、
・「翌月の給与計算対象期間の1週目」において、
「上記で繰り越した労働時間」を引き継ぐとともに、「(1週間単位の)法定時間外労働時間」を計算することが必要となります。
このため、実務上このような状況となった場合には、上記本文Ⅰ~Ⅲでご紹介させて頂きましたの内容をご確認頂き、
・「給与計算対象期間の最終週」において、
『 翌月に繰越すべき(1週間単位の)法定時間外労働時間を計算するための「算定基礎となる労働時間」 』を適切に計算して頂くとともに、
・「翌月の給与計算対象期間の1週目」において、
『 当該1週目における「(1週間単位の)法定時間外労働時間」』を適切に計算して頂ますようお願い致します。
「給与計算対象期間」を跨ぐ場合の『「法定休日労働時間」及び「1日単位の法定時間外労働時間」の計算 』につきまして
なお、「給与計算対象期間の最終週」が「給与計算対象期間(月)」を跨ぐ場合であっても、
「給与計算対象期間の最終週」に含まれる「法定休日労働時間」や「1日単位の法定時間外労働時間」につきましては、
「給与計算対象期間」を跨いで把握・計算するようなことは不要となりますので、
「これらの労働時間」につきましては、
「給与計算対象期間の最終週」の「法定休日労働時間」「1日単位の法定時間外労働時間」として把握・集計して頂ますようお願い致します。