『「購入代金」を「現金振込」で行う場合』の「会計帳簿への入力方法」につき、「取引の内容・形態」のご説明等を行いながらご紹介させて頂きます。
『購買取引における「代金支払取引」』を「現金振込」で行う場合には、「預金支払」ではなく「現金支払」となります。
まず、このことにつき、「取引の内容・形態」をご説明しながらご紹介させて頂きます。
次に、実務上よく行われる「預金口座から現金を引出し、その引出した現金を振込により支払う場合」の「会計帳簿への入力方法」を、「取引の内容・形態」をご説明しながらご紹介させて頂きます。
なおここでは、以下の項目に従い、ご説明させて頂きます。
Ⅰ:購入代金の現金振込取引の会計帳簿への入力
1、「購入代金の現金振込取引」とは
「購買取引(仕入取引、経費取引、固定資産購入取引)」における「代金支払取引」において、
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2、「購入代金の現金振込取引」の取引形態
購入代金の現金振込取引では、
購入代金の支払は、銀行経由で購入先(購入先の銀行口座)に支払われます。
ただし、この取引では、『「会社の預金口座」から預金引出』が行われるのではなく(会社の預金通帳には、預金引出が記帳されるものではなく)、
あくまで、会社の現金から代金が支払われる取引となります。
このため、
「購入代金の現金振込取引」は、
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3、「購入代金の現金振込取引」の会計帳簿への入力
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なお、『購買取引における「現金による代金支払取引」』の会計帳簿への入力詳細につきましては、⇒コチラ(後払い)、コチラ(前払い)をご覧ください。
Ⅱ:「預金引出」&「現金振込取引」の会計帳簿への入力方法
実務上では、会社から現金を持ち出し、銀行窓口やATMで現金振込を行うのではなく、
銀行窓口やATMに行き、そこで「会社預金口座から現金を引出し」かつ「その引出した現金を購入先の預金口座に振り込む」ことが多いと思います。 |
このような場合の「取引内容」・「会計帳簿への入力方法」を以下でご紹介させて頂きます。
1、「預金引出」&「現金振込取引」の取引内容
上記のような場合の取引は、会社にとって
2つの異なる取引が、ほぼ同時に連続して行われている取引となります。 |
このような場合には、原則、これらの取引を別々に把握し、別々の取引として会計帳簿に入力することが必要となります。
2、原則的な会計帳簿への入力方法
このような場合における会計帳簿への入力は、
原則として、
別々の取引として入力することが必要となります。 |
なお、「預金口座からの現金引出取引」の会計帳簿への入力詳細は、⇒コチラをご覧ください。
また、『購買取引における「現金による代金支払取引」』の会計帳簿への入力詳細につきましては、⇒コチラ(後払い)、コチラ(前払い)をご覧ください。
3、例外的な会計帳簿への入力
上記1のような場合には、「一定の条件」に該当する場合には、
『「預金口座から現金引出取引」の「現金引出部分」』と『「現金振込による代金支払取引」の「現金支払部分」』を相殺して、
1つの「預金による代金支払取引」であると看做して会計帳簿に入力することができます。 |
以下、「例外的な入力を行うことができる条件」と「その場合における会計帳簿への入力方法」をご紹介させて頂きます。
1)例外的入力を行うことができる条件
「預金口座からの現金引出取引」において、会社の預金口座からの引出金額を「代金支払金額」と同額引出している場合には、 例外的入力を行うことができます。 |
2)例外的な会計帳簿への入力
上記1)のような条件では、会計帳簿への入力にあたり、『「預金口座から現金引出取引」の「現金引出部分」』と『「現金振込による代金支払取引」の「現金支払部分」』を相殺して考えることができます。
ただし、この場合においての「購買取引における代金支払取引」は「現金支払」ではなく、「預金支払」があったものとして会計帳簿に入力することが必要となります。
このため、
「購買取引における代金支払取引」の会計帳簿への入力は、
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3)購買取引における代金支払証憑
例外的な会計帳簿の入力が行われた場合には、
「代金支払取引」につき、「現金支払取引」ではなく「預金支払取引」が行われたと看做すことになります。
このため、例外的な会計帳簿の入力にあたっては、「預金通帳の引出記録」に基づいて帳簿入力を行います。
他方、1)のような場合には、実際には、
- 「預金口座からの現金引出取引」が行われていることから、会社には「預金払戻書(控え)」や「ATM利用(払出)明細書」等が保存されます。
- また、「現金振込による代金支払取引」が行われていることから、会社には「振込用紙の控え」・「ATM利用(振込)明細書」等が保存されます。
上記のような「実際行われた取引によって入手される書類」は、会計帳簿への入力が不要な書類となります。
このため、例外的な会計帳簿への入力を行う場合には、このような書類は、「会計帳簿への入力が不要な証憑」として区分して保管しておくことが必要となります。
Ⅲ:「Ⅱの場合」における会計帳簿への記帳例示
「Ⅱの場合」における会計帳簿への記帳につき、以下の例示1、2により具体的にご説明させて頂きます。
1、例示1
1)例示
4月30日、みずほ銀行のATMで、50,000円を引出し、45,000円を仕入代金(買掛金)支払として、仕入先である㈱A商店の口座に現金で振込を行った。 |
2)取引の把握&会計帳簿への入力
「引出金額(50,000円)≠ 代金支払金額(45,000円)」であるため、「原則的」な会計帳簿への入力が必要となります。 |
①預金口座からの現金引出取引
・現金が50,000円増加し、預金が50,000円減少します。
・会計帳簿への入力は、「通帳の引出記帳」に基づき、「預金出納帳」に入力します。
(「現金出納帳」につきましては、会計ソフトの自動転記機能により、自動入力されます。)
②購買取引(仕入取引)の代金支払取引
・現金が45,000円減少し、買掛金が45,000円減少します。
・会計帳簿への入力は、「ATM利用明細書」又は「現金減少事実」に基づき、「現金出納帳」に入力します。
2、例示2
1)例示
4月30日、みずほ銀行のATMで、50,000円を引出し、50,000円を仕入代金(買掛金)支払として、仕入先である㈱A商店の口座に現金で振込を行った。 |
2)取引の把握&会計帳簿への入力
「引出金額(50,000円)= 代金支払金額(50,000円)」であるため、「原則的」又は「例外的」な会計帳簿への入力が可能となります。 |
原則的な会計帳簿への入力
①預金口座からの現金引出取引
・現金が50,000円増加し、預金が50,000円減少します。
・会計帳簿への入力は、「通帳の引出記帳」に基づき、「預金出納帳」に入力します。
(「現金出納帳」につきましては、会計ソフトの自動転記機能により、自動入力されます。)
②購買取引(仕入取引)の代金支払取引
・現金が50,000円減少し、買掛金が50,000円減少します。
・会計帳簿への入力は、「ATM利用明細書」又は「現金減少事実」に基づき、「現金出納帳」に入力します。
例外的な会計帳簿への入力
・預金50,000円が減少し、買掛金が50,000円減少したと看做します。
・会計帳簿への入力は、「通帳の引出記帳」に基づき、「預金出納帳」に入力します。
【相殺部分】
「例外的な会計帳簿入力」におきましては、
- 『「原則的な会計帳簿入力」における「現金出納帳」の「自動転記部分」及び「入力部分」』を相殺することになります。
- ただし、『「原則的な会計帳簿入力」の預金出納帳』では、「相手勘定科目」が「現金」となっているため、これを「買掛金(㈱A商店)」に変えることが必要となります。
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
「購入代金の現金振込取引」におきましては、
まずはⅠで記載しましたように『「現金振込による代金支払取引」は、あくまで「現金支払取引」であるという』事項を先ず理解して頂くことが大切となります。
この点は、当然のことでありますが、銀行経由で代金支払が行われるために「預金取引」と混同しがちになるため、ご留意頂く必要があると考えます。
次にⅡで記載しました『「預金引出」&「現金振込取引」が連続して行われる場合』には、
まず「この取引では、異なる2取引が行われている」ということを把握して頂くことが重要であると考えます。
従いまして、原則としては、2取引を別々に会計帳簿に記帳することが必要である点にご留意頂きますようお願い致します。
会計帳簿の記帳に不慣れな間は、少し入力作業の手間は掛かりますが、「原則的な会計帳簿の入力」により入力することをお勧め致します。