ここでは、会社にとっての「扶養控除等申告書」の入手役割を中心に、「扶養控除等申告書」の記載概要・入手上の注意点・入手時期等の全般的事項につき、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。
Ⅰ:「扶養控除等申告書」の定義・入手の必要性・記載内容
1、「扶養控除等申告書」の定義
「扶養控除等申告書」とは、
会社が給与計算で「源泉所得税額」を計算するために必要となる「計算基礎となる書類」であるとともに、 会社が年末調整で「人的な所得控除額」を算定するために必要となる「算定基礎となる書類」をいいます。 |
◆ 「源泉所得税額」を計算するための「計算基礎書類」 ◆
会社は、毎月の給与計算で従業員・役員から「源泉所得税」を徴収することが必要となりますが、
従業員・役員から入手した「扶養控除等申告書」に、
・「源泉控除対象配偶者」「控除対象扶養親族」「障害者控除の対象となる人」が記載されている場合や、 ・「従業員・役員本人」が「寡婦、ひとり親、勤労学生」に該当する旨の記載がなされている場合には、 |
給与計算で控除する「源泉所得税額」を計算するにあたり、
「扶養控除等申告書」に記載されている『上記の「人的控除対象者」の「人数」』に応じて、「源泉所得税額」を減額して計算することとなります。 |
このように「扶養控除等申告書」は、
「給与計算」という観点から見れば、 その給与計算で控除する「源泉所得税額」を計算するために必要な「計算基礎となる書類」であるという意味を持ちます。 |
◆ 「人的な所得控除額」を算定するための「算定基礎書類」 ◆
会社では、年度末時点で会社に在籍する従業員・役員に対して「年末調整」を行うことが必要となりますが、
従業員・役員から入手した「扶養控除等申告書」に、
・「控除対象扶養親族」「障害者控除の対象となる人」が記載されている場合や、 ・「従業員・役員本人」が「寡婦、ひとり親、勤労学生」に該当する旨の記載がなされている場合には、 |
「年末調整」を行う過程で、
「扶養親族控除」「障害者控除」「寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除」の「人的な所得控除額」を算定することとなります。 |
このように「扶養控除等申告書」は、
「年末調整」という観点からみれば、 「人的な所得控除額」を算定するために必要な「算定基礎となる書類」であるという意味を持ちます。 |
2、「扶養控除等申告書」の入手の必要性
上記1でご紹介させて頂きましたように、「従業員・役員」に「人的控除対象者」がいらっしゃる場合には、
「給与計算」や「年末調整」において、それらを考慮して「源泉所得税額」や「人的な所得控除額」を算定することが必要となりますが、
「人的控除対象者がいらっしゃるか否か」につきましては、「従業員・役員の個人的な情報」であることから、会社がそれらを逐次把握することはできません。
このため、会社では、これら「従業員・役員の個人的な情報」を入手するため、
「従業員・役員」から「人的控除対象者がいるか否か」が記載された「扶養控除等申告書」を入手することが必要となります。 |
なお、
・会社が「給与計算」で「源泉所得税額の人的減額」を行ったり、
・「年末調整」で「人的な所得控除額」を算定したりする場合には、
「扶養控除等申告書」に「人的控除対象者がいる旨」の記載がなされていることが必要となります。 |
このため、「扶養控除等申告書」に「人的控除対象者が記載されていない」にも拘らず、 ・「給与計算」で「源泉所得税額の人的減額」を行ったり、 ・「年末調整」で「人的な所得控除」を算定したりすることはできません。 |
また「扶養控除等申告書」には、「人的控除対象者」が「所得税法で定められている人的控除対象者の要件を満たしているか否か」についての「要件情報」も記載することが求められていますが、
会社が
・「給与計算」で「源泉所得税額の人的減額」を行ったり、
・「年末調整」で「人的な所得控除額」を算定したりする場合には、
・「扶養控除等申告書」に記載されている「要件情報」も確認し、 ・「人的控除対象者」として記載されている方が、『所得税法で定められている「人的控除対象者」の要件』を満たしているか否かを確認することが義務付けられています。 |
3、「扶養控除等申告書」の記載内容の概要
「扶養控除等申告書」は、
従業員・役員から会社に対して『所得税法で定める「人的控除対象者」がいることを申告する書類』であるため、
「扶養控除等申告書」には、以下のような事項が記載されることとなります。
①従業員・役員に『所得税法で定める「源泉控除対象配偶者」』がいらっしゃる場合には、
・「A 源泉控除対象配偶者」欄に「配偶者の氏名・マイナンバー等」が記載され、 ・当該「配偶者」が『所得税法で定める「源泉控除対象配偶者」の要件』を満たしていることを明示するために、 |
②従業員・役員に『所得税法で定める「控除対象扶養親族」』がいらっしゃる場合には、
・「B 控除対象扶養親族」欄に「扶養親族の氏名・マイナンバー等」が記載され、 ・当該「扶養親族」が『所得税法で定める「控除対象扶養親族」の要件』を満たしていることを明示するために、 |
③従業員・役員に『所得税法で定める「障害者控除の対象となる方」』がいらっしゃる場合には、
・「C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」欄に「障害者控除を受けることができる者がいる旨」や「その人数」が記載され、 ・当該「障害者控除の対象となる人」が『所得税法で定める「障害者控除対象者」の要件』を満たしていることを明示するために、 |
④「従業員・役員本人」が『所得税法で定める「寡婦、ひとり親、勤労学生」』に該当する場合には、
・「C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」欄に「寡婦、ひとり親、勤労学生控除を受けることができる旨」が記載され、 ・当該「従業員・役員本人」が『所得税法で定める「寡婦、ひとり親、勤労学生控除」の要件』を満たしていることを明示するための「要件情報」が記載されることとなります。 |
◆ 「扶養控除等申告書」の記載内容・書き方 ◆
なお、『「扶養控除等申告書」の記載内容・書き方』につきましては、別途『「扶養控除等申告書」の書き方』でご紹介させて頂いておりますので、『「扶養控除等申告書」への具体的な記載内容・書き方』をご確認頂く場合には、上記のリンクページを御覧頂ますようお願い致します。
◆ 「扶養控除等申告書」に記載される『各種の「人的控除対象者」の要件』 ◆
また、「扶養控除等申告書」に記載される「源泉控除対象配偶者」「控除対象配偶者」「障害者控除対象者」「寡婦、ひとり親、勤労学生」の『「人的控除対象者」の要件』につきましては、別途『「令和2年分の扶養控除等申告書」の各控除者の要件』又は『「平成31年分の扶養控除等申告書」の各控除者の要件』でご紹介させて頂いておりますので、必要がある場合には、上記のリンクページを御覧頂ますようお願い致します。
Ⅱ:「扶養控除等申告書」の役割
「扶養控除等申告書」は、上記Ⅰでご紹介させて頂きましたように、
・給与計算で控除する「源泉所得税額」を計算するために必要となる「人的控除対象者の情報」や
・年末調整で「人的な所得控除額」を算定するために必要となる「人的控除対象者の情報」
を提供・証明する書類という役割がありますが、
これとともに、「扶養控除等申告書」には、
- 給与計算において、『どのような方法で「源泉所得税額」を計算するのか?』
- 年末調整において、『自社で「年末調整」行うのか否か?』
を決定するために用いられる書類という役割もあります。
ここでは、以下におきまして、この『「扶養控除等申告書」が持つ役割』を、
- 「給与計算時における役割」
- 「年末調整時における役割」
に分けて、以下ご紹介させて頂きます。
1、給与計算時における「扶養控除等申告書」の役割
毎月の給与計算では、「扶養控除等申告書」は、
『「どのような方法で源泉所得税を計算するのか」を決定するための「決定書類」』として使用されたり、
『「源泉所得税額」を計算するための「計算基礎書類」』として使用されます。
ここでは、「扶養控除等申告書」が持つ「上記の給与計算時における役割」を以下(1)及び(2)でご紹介させて頂きます。
1)『「源泉所得税の計算方法」を決定する「決定書類 」』としての役割
会社が、毎月の給与計算で、従業員・役員から徴収する「源泉所得税の控除額」を計算する場合には、
「その計算方法」として、
- 「源泉徴収税額表」の「甲欄」を使用して計算する場合と
- 「源泉徴収税額表」の「乙欄」を使用して計算する場合とがあります。
このため、会社が毎月の給与計算で控除する「源泉所得税額」を計算するためには、まず、
- 「源泉徴収税額表」の「甲欄」を使用して計算するのか?
- 「源泉徴収税額表」の「乙欄」を使用して計算するのか? を決定することが必要となりますが、
この点、「甲欄」「乙欄」のいずれの方法により、「源泉所得税額」を計算するかは、
従業員・役員から『「扶養控除等申告書」が提出されているか否か』に基づいて決定することとなります。 |
すなわち、
従業員・役員から「扶養控除等申告書」が提出されている場合には、 「源泉徴収税額表」の「甲欄」を使用して「源泉所得税の控除額」を計算し、 |
従業員・役員から「扶養控除等申告書」が提出されていない場合には、 「源泉徴収税額表」の「乙欄」を使用して「源泉所得税の控除額」を計算することとなります。 |
このように、「扶養控除等申告書」には、
それが入手されているか否かにより、給与計算で行なう「源泉所得税の計算方法」を決定するという 「源泉所得税の計算方法の決定書類」となるという役割があります。 |
2)『「源泉所得税額」を計算するための「計算基礎書類」』としての役割
「扶養控除等申告書」が会社に提出されている場合におきましては、
毎月の給与計算で控除する「源泉所得税額」は、「甲欄」を使用して計算されますが、
「甲欄」で「源泉所得税額」を計算する場合には、
従業員・役員から提出された「扶養控除等申告書」に、 ・従業員・役員の配偶者が「源泉控除対象配偶者」に該当することが記載されている場合、 その記載された「扶養親族等の人数」に応じて、『控除する「源泉所得税額」』を減額することができます。 |
このように、「扶養控除等申告書」には、
そこに記載された「人的控除対象者の人数」により、給与計算で控除される「源泉所得税額」が計算されるという 「源泉所得税額を計算するための計算基礎書類」となるという役割があります。 |
2、年末調整時における「扶養控除等申告書」の役割
「年末調整」では、「扶養控除等申告書」は、
従業員・役員に対して『「年末調整を行うか否か」を決定するための「決定書類」』として使用されたり、
「年末調整」の過程で行われる『「人的な所得控除額」を算定するための「算定基礎書類」』として使用されたりします。
ここでは、「扶養控除等申告書」が持つ「上記の年末調整時における役割」を以下(1)及び(2)でご紹介させて頂きます。
1)『「年末調整が必要であるか否か」を決定する「決定書類」 』としての役割
会社におきましては、その暦年度の年度末時点で在籍する「従業員・役員」に対して、原則として「年末調整」を行うことが必要となりますが、
その暦年度の年末時点で在籍する「従業員・役員」であっても、『「扶養控除等申告書」が自社に提出されていない「従業員・役員」』につきましては、「年末調整」を行うことは不要となります。
すなわち、
従業員・役員から「扶養控除等申告書」が提出されている場合には、 自社で「年末調整を行う(年末調整を行わなければならない)」こととなり、 |
従業員・役員から「扶養控除等申告書」が提出されていない場合には、 自社での「年末調整は行われない(年末調整を行ってはならない)」こととなります。 |
このように、「扶養控除等申告書」には、
それが入手されているか否かにより、「年末調整を行うか否か」を決定するという 「年末調整の可否を決定する決定書類」となるという役割があります。 |
2)『「人的な所得控除額」を算定するための「算定基礎書類」』としての役割
従業員・役員から「扶養控除等申告書」が会社に提出されている場合におきましては、
当該「従業員・役員」に対しては、「年末調整」を行うことが必要となりますが、
この「年末調整」を行う過程では、「従業員・役員の人的な所得控除金額」を計算することが必要となります。
この点、
従業員・役員から提出された「扶養控除等申告書」に、 ・従業員・役員の扶養親族が「控除対象扶養親族」に該当することが記載されている場合、 これらの記載から「扶養親族控除額」「障害者控除額」「寡婦控除額、ひとり親控除額、勤労学生控除額」などの「人的な所得控除額」を算定することが必要となります。 |
※なお、「年末調整」におきまして、配偶者について「配偶者控除」「配偶者特別控除」を受ける場合には、別途、年末調整時に「配偶者等控除申告書」の提出が必要となります。
このように、「扶養控除等申告書」には、
そこに記載された「人的控除対象者」により、年末調整で「人的な所得控除額」が算定されるという 「人的な所得控除額を算定するための算定基礎書類」となるという役割があります。 |
Ⅲ:「扶養控除等申告書」の入手に係る注意点
1、「扶養控除等申告書」の入手に係る注意点①
「扶養控除等申告書」は、上記Ⅱでもご紹介させて頂きましたように、
- 毎月の給与計算で、「甲欄」又は「乙欄」のいずれの方法により「控除源泉所得税額」を計算するのか?
- 会社で「年末調整」を行うことが必要となるか否か?
を決定するための「決定書類」となるものでもあることから、
「扶養控除等申告書」に記載するべき「人的控除対象者」がいない場合であっても、
従業員・役員から入手することが必要となります。 |
Point ! 「扶養控除等申告書」の入手判断につきまして 「扶養控除等申告書」は、 この点、 |
2、「扶養控除等申告書」の入手に係る注意点②
「扶養控除等申告書」につきましては、
原則、「1つの会社」に対してのみしか提出することができません。 |
このため、従業員・役員が複数の会社で働いている場合などは、
働いている複数の会社に「扶養控除等申告書」をそれぞれ提出することはできず、 「複数の会社」から |
従業員・役員から「扶養控除等申告書」を入手する場合には、この点を従業員・役員に十分ご説明して頂くことが必要となります。
Point ! 「複数の会社」に対して「扶養控除等申告書」を提出していないことの確認 パート従業員、アルバイト従業員、非常勤役員などの方につきましては、複数の会社から給与・役員報酬の支払を受けている可能性が多分にあると思いますので、 |
なお、誤って複数の会社に「扶養控除等申告書」が提出された場合には、
- 複数の会社でともに「甲欄」による源泉徴収が行われてしまい、結果、『「本来徴収すべき金額」よりも少ない金額』で源泉徴収が行われてしまうことや、
- 複数の会社で「年末調整」が行われ、結果、当該従業員・役員の「年間確定所得額」の計算において、重複して「人的な所得控除」が行われてしまうこととなり、
『従業員・役員の「源泉徴収」や「年末調整」』が誤って行われてしまうことになりますので、
上記のご説明・ご確認をして頂く場合には、この点十分お気をつけ頂きますようお願い致します。
3、「扶養控除等申告書」の入手に係る注意点③
従業員・役員から入手した「扶養控除等申告書」に、
「源泉控除対象配偶者」「控除対象扶養親族」「障害者控除対象者」「寡婦、ひとり親、勤労学生」等の「人的控除対象者」が記載されている場合には、
「扶養控除等申告書」に記載されている『「人的控除対象者」の要件となる情報』が漏れなく「扶養控除等申告書」に記載されているかを確認することが必要となります。 |
※必要な記載事項が漏れている場合には、原則、
・給与計算における「源泉所得税額の減額」を行うことや
・年末調整における「人的な所得控除額」を算定することが
できないルールになっていますので、この点、十分ご留意頂ますようお願いいたします。
また、「扶養控除等申告書」に「人的控除対象者」の記載がある場合には、
「扶養控除等申告書」に記載されている『「人的控除対象者」の要件となる情報』が、 『所得税法で定められている「人的控除対象者」の要件』を満たしていることを会社で確認することが必要となります。 |
※この点、「人的控除対象者」が本来は要件を満たさない方であった結果生じる「源泉徴収税額の納付漏れ」や「年末調整での過少納付」に対するペナルティーは、会社に課せられる可能性がありますので、上記の確認はしっかり会社で行うようにして頂きますようお願いしたします。
Ⅳ:「扶養控除等申告書」の入手時期と年度途中における異動
1、「扶養控除等申告書」の入手時期
「扶養控除等申告書」は、上記Ⅱ-1でご紹介させて頂きましたように、会社が行う毎月の給与計算において必要となる書類であるため、
◆ 「 既存の従業員・役員 」につきましては ◆
『その年の最初に支払が行われる「給与計算」』までには、「扶養控除等申告書」を入手しておくことが必要となります。 |
このため、実務上は、
会社が従業員・役員から「年末調整のために必要となる書類」を集める場合に、「翌年度分の扶養控除等申告書」も一緒に集めることとなります。 |
例 示 ‘
・「令和2年度の年末調整」を行う場合には、「令和3年度分の扶養控除等申告書」を入手することとなります。
・「令和3年度の年末調整」を行う場合には、「令和4年度分の扶養控除等申告書」を入手することとなります。
◆ 「 暦年度の途中で入社・就任した従業員・役員 」につきましては ◆
『入社・就任後、最初に支払が行われる「給与計算」』までには、「扶養控除等申告書」を入手しておくことが必要となります。 |
このため、実務上は、
従業員・役員が入社・就任後直ちに「その年度分の扶養控除等申告書」を入手することとなります。 |
なお、暦年度の途中に入社・就任した従業員・役員が、その暦年度中に「他の会社」から給与・役員報酬の支払を受けている場合には(前職がある場合には)、
「扶養控除等申告書」とともに、給与・役員報酬の支払を受けた会社(前職の会社)から発行された「源泉徴収票」も入手しておくことが必要となります。 |
2、暦年度中における「扶養親族等」の異動
「扶養控除等申告書」につきましては、上記1でご紹介させて頂きましたように、
- 既存の従業員・役員からは、「前年度の年末調整時」に入手する
- 途中入社・途中就任した従業員・役員からは、「入社・就任時」に入手することとなりますが、
「人的な控除対象者」がいるか否かの判断は、
あくまで、「毎月の給与計算時点」や「年末調整時点(年度末時点)」において判断することとなります。 |
このため、
- 暦年度中に、『当初提出した「扶養控除等申告書」の記載内容』に異動が生じた場合や、
- 年度末時点で、『当初提出した「扶養控除等申告書」の記載内容』に異動が生じた場合には、
「扶養控除等申告書」の記載内容に異動が生じた都度、
新たな内容を記載した「扶養控除等申告書」を従業員・役員から入手するか |
既に入手している「扶養控除等申告書」に、異動後の内容を記載して入手し直すことが必要となります。 |
なお、上記の場合には、
既入手の「扶養控除等申告書」の「異動月日及び事由」の箇所に 「異動月日」や「異動事由」を記入しておくことが必要となります。 |
Point ! 年末調整時における扶養控除等申告書」の実務的な確認方法 上記でご紹介させて頂きましたように、年末調整で「人的な所得控除額」を算定するためには、 この確認作業を確実に行うために、実務上では、
|
Ⅴ:「扶養控除等申告書」の保存
「扶養控除等申告書」につきましては、税務署への提出は不要となるため、
結果的に、従業員・役員から提出された「扶養控除等申告書」につきましては、会社で保管しておくことが必要となります。
また「扶養控除等申告書」につきましては、
会社が「扶養控除等申告書」の提出の有無に従って、又は「扶養控除等申告書」に記載された内容に従って、
「適切に源泉徴収を行ったこと」及び「適切に年末調整を行ったこと」を税務署に証明するための書類となるために、
その申告書等の「提出期限の属する年」の「翌年1月10日の翌日(その年度に係る年末調整終了後)」から7年間保存することが必要となります。 |
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、会社にとっての「扶養控除等申告書」の入手役割を中心に、「扶養控除等申告書」の記載概要・入手上の注意点・入手時期等の「全般的事項」につきご紹介させて頂いております。
「扶養控除等申告書」の役割につきまして
「扶養控除等申告書」につきましては、
・給与計算で「源泉所得税」を計算するために必要となる書類であるという点
・年末調整で「各種の人的な所得控除額」を算定するために必要となる書類であるという点から、
「大変重要な書類」となりますが、
これと同様に、又はそれ以上に、「扶養控除等申告書」には、
従業員・役員から「扶養控除等申告書」を入手するか否かで、
・給与計算で控除する「源泉所得税の計算方法」を決定する
・「年末調整を行うか否か」を決定する という役割があり、
「扶養控除等申告書」は、この点から「給与計算」「年末調整」を会社が行う場合には「とても重要な書類」となります。
このため、従業員・役員から「扶養控除等申告書」を入手する場合には、「扶養控除等申告書」が持っている「この役割」に十分ご留意頂くことが必要であると考えます。
「扶養控除等申告書」の入手上の注意点につきまして
「扶養控除等申告書」には、それが入手されているか否かによって、
・給与計算で控除する「源泉所得税の計算方法」を決定するという役割
・「年末調整を行うか否か」を決定するという役割 があるため、
たとえ「扶養控除等申告書」に記載するような「人的控除対象者」がいなくても、
・「甲欄」によって「源泉所得税」を計算しようとする場合
・「年末調整」を自社で行う場合には、
必ず入手しておくことが必要となる書類となります。
また、他方で、従業員・役員が複数の会社から給与・役員報酬の支払を受けている場合には、
・「甲欄」で「源泉所得税」が計算できるのは、
・「年末調整」を受けることができるのは、 「1つの会社」のみとなり、
このため、「扶養控除等申告書」につきましても、原則、その提出ができるのは「1つの会社」のみとなります。
従業員・役員の方の中では、これらのことをご存じない方も多数いらっしゃいますので、会社で「扶養控除等申告書」を入手する場合には、是非、この点につき事前にご説明頂き、十分に確認しておくことが必要であると考えます。
「扶養控除等申告書」の入手時期につきまして
「扶養控除等申告書」は、実務上、年末調整時に『その年度に係る「保険料等控除申告書」や「配偶者等控除申告書」』とともに、従業員・役員から会社に提出されることとなります。
このため、従業員・役員の方の中には、
「扶養控除等申告書」についても、『その年度に係る「扶養控除等申告書」』を提出していると思われている方が多くいらっしゃいます。
「扶養控除等申告書」は、上記Ⅳでご紹介させて頂いておりますように、
あくまで『翌年度に係る「扶養控除等申告書」』を事前に集めておりますので、
この点につきましては、「扶養控除等申告書」の配布時や入手時に従業員・役員の方に十分ご説明して頂ますようお願い致します。