ここでは、『「扶養控除等申告書」における「住民税に関する事項」』である「16歳未満の扶養親族」及び「単身児童扶養者」につき、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。
Ⅰ:「扶養控除等申告書」における「住民税に関する事項」
1、『「扶養控除等申告書」における「住民税に関する事項」』の記載の必要性
「扶養控除等申告書」は、
基本的に、
に必要となる書類となりますが、 |
これとともに、
『「扶養控除等申告書」に記載された内容』は、別途会社で作成される「給与支払報告書」という書類に記載され「従業員・役員が居住する市町村」に送付されます。 (各市町村では、当該「給与支払報告書」に基づいて、「従業員・役員個人の住民税」が計算されることとなります。) |
このため、「扶養控除等申告書」には、
・『会社における「所得税(国税)」の計算に必要となる人的情報』のみならず、 ・『市町村における「住民税」の計算に必要となる人的情報』も記載することが必要となります。 |
この点、下記でご紹介させて頂きます
『「16歳未満の扶養親族」の情報』
『「単身児童扶養者」の情報』につきましては、
・「所得税(国税)」の計算においては、必要のない情報となりますが、 ・「住民税」の「非課税金額の計算」や「非課税世帯の判断」において必要となる情報となるため、 |
Ⅱ:「16歳未満の扶養親族」の記載
1、「16歳未満の扶養親族」の定義
「16歳未満の扶養親族」とは、
『「扶養親族」に該当する人』のうち、その暦年度の12月31日時点で『その年齢が「16歳未満の人」』をいいます。 |
2、「扶養控除等申告書」への記載理由
「16歳未満の扶養親族」に対しては、現在「児童手当」が支給されているため、
「扶養親族控除」という「所得税法上の恩恵」は受けることができません。
このため、『「16歳未満の扶養親族」に関する情報』につきましては、『「所得税(国税)」の計算』においては、必要がない情報となります。
他方、各市町村で『「住民税」の計算』を行う場合には、
その「従業員・役員の世帯」が、『「住民税の非課税世帯」に該当するか否か』を判断するため(「住民税の非課税所得額の計算」を行うため)、 ・『「16歳未満の扶養親族」の情報』が必要となります。 |
このため、「従業員・役員本人」に「16歳未満の扶養親族」がいらっしゃる場合には、
「扶養控除等申告書」の「住民税に関する事項」欄に記載することが必要となります。 |
3、「16歳未満の扶養親族」の「扶養控除等申告書」への記載
「16歳未満の扶養親族」がいらっしゃる場合には、「扶養控除等申告書」に以下の「16歳未満の扶養親族の情報」を記載して、従業員・役員から会社に報告することが必要となります。
① 氏名 ② 個人番号 ③ 本人との続柄 ④ 生年月日 ⑤ 住所又は居所 ⑥ 「控除対象外国外扶養親族」に該当するか否か ⑦ 当該「16歳未満の扶養親族」の『その年度における「合計所得(見積)金額」』※12 |
※1:「合計所得(見積)金額」は、
「扶養控除等申告書」を提出する時点では、その年度における「所得の見積額」を記載します。
(なお、当該「所得見積金額」と年度末における「所得確定金額」とに差異が生じる場合には、「扶養控除等の変更届」が必要となります。)
※2:「合計所得(見積)金額」が「0円」である場合には、「空欄」にせず、「0円」と記載して下さい。
「 控除対象外 国外扶養親族 」に該当する場合
「控除対象外 国外扶養親族」とは、「16歳未満の扶養親族で、国内に住所を有さない人」をいいますが、
「16歳未満の扶養親族」が「 控除対象外 国外扶養親族 」に該当する場合には、下記⑥に「◯」を付けて下さい。
「親族関係書類」「送金関係書類」の提出
「所得税法における控除対象扶養親族」が「非居住者」である場合には、「親族関係書類」や「送金関係書類」を会社に提出することが必要となりますが、
「16歳未満の扶養親族」が「控除対象外 国外扶養親族」に該当する場合には、「親族関係書類」や「送金関係書類」を会社に提出することは不要となります。
(「所得税の計算」には関係しない事項となるため)
ただし、当該箇所に「◯」が記載されている場合には、「お住まいの市町村」に「親族関係書類」や「送金関係書類」を送付しなければならない場合がありますので、
このような場合には、「お住いの市町村」にご確認頂ますようお願い致します。
Ⅲ:「単身児童扶養者」の記載(「令和2年分の扶養控除等申告書」で新設)
1、「単身児童扶養者」の定義
「単身児童扶養者」とは、
「児童扶養手当」の支給を受けている児童※1の「父」または「母」である人で、 「現に婚姻をしていない人」※2または「現に配偶者の生死の明らかでない人」※3をいいます。 |
※1:「児童」の「その年度における合計所得(見積)金額」が「48万円以下」であることが必要となります。
※2:「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様にある人」がいらっしゃる場合には、当該「婚姻をしていない人」には含まれません。
※3:『「婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある人」の生死が明らかでない場合』には、当該「現に配偶者の生死の明らかでない人」に含まれます。
簡単にいうと「単身児童扶養者」とは、
「未婚のまま子供を扶養している方」を含む「単身で児童を扶養する方」をいいます。 |
「単身で児童を扶養する方」につきましては、
- 婚姻を行った後配偶者と死別・離婚した場合や配偶者の生死が不明となった場合には、『所得税法上の「寡婦」や「寡夫」』となる場合がありますが、
- 未婚のまま(一度も婚姻することなく)児童を扶養する場合には、そもそも『所得税法上の「寡婦」や「寡夫」』になることはできまません。
このため、この「未婚のまま児童を扶養する方」を含んだ「単身で児童を扶養する方」を定義するため、「単身児童扶養者」という概念が新しく定義されました。
(すなわち、「寡婦」や「寡夫」よりも広く「単身で児童を扶養する方」を定義するために、「単身児童扶養者」という概念が新しく定義されました。)
2、「扶養控除等申告書」への記載理由
「住民税の非課税対象の拡大」&「扶養控除等申告書への記載」
住民税では、これまで「障害者」「未成年者」「寡婦」「寡夫」で、合計所得が125万円以下の場合に非課税とされてきましたが、
令和3年度以降の住民税(令和2年度の所得に基づく住民税)につきましては、
- 合計所得が135万円以下の「障害者」「未成年者」「寡婦」「寡夫」に加え、
- 合計所得が135万円以下の「単身児童扶養者」も「住民税の非課税対象」となることとなり、
「従業員・役員本人」が「年間合計所得135万円以下の単身児童扶養者」であるため「住民税非課税の適用」を受けるためには、
「扶養控除申告書」において、『「単身児童扶養者」であることに関する情報』を記載することが必要となりました。
所得税(国税)法での「単身児童扶養者」の取扱
・他方、所得税法におきましては、「所得控除」等の「所得税法での恩恵」を受けることができるのは、あくまで『所得税法の「寡婦」や「寡夫」』に該当する方に限られ、
・「単身児童扶養者」に該当するのみでは、「所得控除」等の「所得税法での恩恵」は受けることができません。
このため、「所得税の計算」という観点からは、『「単身児童扶養者」であるか否かの情報』は不要となります。
『「単身児童扶養者」に関する情報』の「扶養控除等申告書」への記載
以上のことから「従業員・役員本人」が「単身児童扶養者」である場合には、『「単身児童扶養者」であることに関する情報』を、
・所得税計算には関係ないが、「住民税計算に関係する事項」として、
「扶養控除等申告書」の「住民税に関する事項」欄に記載することが必要となります。 |
3、「単身児童扶養者」の「扶養控除等申告書」への記載
「従業員・役員本人」が「単身児童扶養者」に該当する場合には、「扶養控除等申告書」に以下の「単身児童扶養者の情報」を記載して、従業員・役員から会社に報告することが必要となります。
① 「単身児童扶養者」に「✓」を記入 ② 「児童扶養手当証書」の「番号」 ③ 「生計を一にする児童」の「氏名」 ④「児童」の『その年度における「合計所得(見積)金額」』※12 |
※1:「合計所得(見積)金額」は、
「扶養控除等申告書」を提出する時点では、その年度における「所得の見積額」を記載します。
(なお、当該「所得見積金額」と年度末における「所得確定金額」とに差異が生じる場合には、「扶養控除等の変更届」が必要となります。)
※2:「合計所得(見積)金額」が「0円」である場合には、「空欄」にせず、「0円」と記載して下さい。
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、『「扶養控除等申告書」における「住民税に関する事項」』である『「16歳未満の扶養親族」及び「単身児童扶養者」の定義、扶養控除等申告書への記載内容等』をご紹介させて頂いております。
「扶養控除等申告書」における「住民税に関する事項」につきましては、
- 「住民税に関する事項」の記載とはそもそもどのようなものか?
- 「住民税に関する事項」はなぜ記載が必要となるのか?
等のご質問を「クライアント様」から受けることが多くあります。
このため、ここでは、これらのご質問にご回答させて頂くため、
まず、「扶養控除等申告書」で「住民税に関する事項」を記載する理由をご紹介させて頂いております。
従いまして、なぜ「住民税に関する事項」の記載が必要となるのか?等の疑問を持たれた方は、上記Ⅰでご紹介させて頂きました事項をご確認して頂ければと考えます。
単身児童扶養者」の「扶養控除等申告書」への記載につきまして
「単身児童扶養者」に対する「住民税非課税」措置は、「令和3年度の住民税計算」から適用されるものですが、
「令和3年度の住民税計算」から適用を受けるためには、「令和2年分の扶養控除等申告書」に記載しておくことが必要となりますので、
- 「令和2年分以降の扶養控除等申告書」を記載する場合で、
- 「単身児童扶養者」に該当する場合には、
上記のⅢでご紹介させて頂きました内容をご理解頂き、適切に「扶養控除等申告書」に記載して頂ますようお願いいたします。