ここでは、『「寡婦」「特別の寡婦」「寡夫」「勤労学生」の定義・条件』及び『それらの「扶養控除等申告書」への記載方法』を、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。
Ⅰ:『「寡婦」の定義と条件』&『「扶養控除等申告書」への記載』
「従業員・役員本人」が「寡婦」に該当する場合には、(従業員・役員個人の)所得税の計算において「寡婦控除」を受けることができます。
ここでは、
- 下記1において、この『「寡婦」の定義』をご紹介し、
- 下記2において『「寡婦」に該当するための条件』をご紹介し、
- 下記3において「従業員・役員本人」が「寡婦」に該当する場合の『「扶養控除等申告書」への記載方法・記載内容』をご紹介させて頂きます。
1、「 寡 婦 」の 定 義
所得税法において「寡婦控除」を受けることができる「寡婦」とは、以下のいずれかに該当する「従業員・役員本人」をいいます。
【定義1】
「夫と死別した後婚姻をしていない人」若しくは「夫と離婚した後婚姻をしていない人」又は「夫の生死が明らかでない一定の人」であり、 「扶養親族」がいる人をいいます。 |
【定義2】
「夫と死別した後婚姻をしていない人」若しくは「夫と離婚した後婚姻をしていない人」又は「夫の生死が明らかでない一定の人」であり、 「生計を一にする子」がいる人をいいます。 |
なお、この場合の「生計を一にする子」は、
・「年間の総所得(見積)金額」が「38万円以下(令和2年分以後は48万円以下)」であり、 ・『「他の人」の「同一生計配偶者」や「扶養親族」となっていない人』に限られます。 |
【定義3】
「夫と死別した後婚姻をしていない人」又は「夫の生死が明らかでない一定の人」であって、 「合計所得(見積)金額」が「500万円以下」の人をいいます。 |
2-1、「 定 義 1 」の 条 件
条件1:「従業員・役員本人」の状況条件
「定義1」により「寡婦」に該当するための「従業員・役員本人」の状況としては、
「本人」が
|
※この場合には、「夫と離婚した後婚姻をしていない人」も含まれることとなります。
※所得税法上の「寡婦」に該当するためには、上記の条件で示されているように、一度婚姻されていることが条件となっています。
(このため「一度も婚姻されていない方」は、現状では、『所得税法上の「寡婦」』には該当しません。)
条件2:「親族等の扶養」条件
「定義1」により「寡婦」に該当するための「親族等の扶養条件」としては、
『「本人」に「扶養親族」がいる』ことが要件となります。 |
この場合の「扶養親族」は、
・「子」である必要はなく、
・「従業員・役員本人」に父母などの「所得税法上の扶養親族」がいれば条件を満たすこととなります。
「扶養親族」とは、
その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡し又は出国する場合は、その死亡又は出国の時)の現況で、次の四つの要件すべてを満たす人をいいます。
(1) 「従業員・役員本人」の「配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)」であること。 (2) 「従業員・役員本人」と「生計を一にしている」こと。 (3) 平成31年度においては、「その親族の年間の合計所得(見積)金額」が38万円以下であること。 (4) 「青色申告者の事業専従者」としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと。 |
※なお、『「扶養親族」のそれぞれの条件』につきましては、別途『控除対象扶養親族』の「Ⅰ:「扶養親族」の定義と条件」において、ご紹介させて頂いておりますので、必要がある場合には、当該リンクページを御覧下さい。
条件3:「従業員・役員本人」の所得条件
当該定義により「寡婦」となる場合には、『「本人」の所得条件』は必要ありません。
2-2、「 定 義 2 」の 条 件
条件1:「従業員・役員本人」の状況条件
「定義2」により「寡婦」に該当するための「従業員・役員本人」の状況としては、
「本人」が
|
※この場合には、「夫と離婚した後婚姻をしていない人」も含まれることとなります。
条件2:「親族等の扶養」条件
「定義2」により「寡婦」に該当するための「親族等の扶養条件」としては、
『「本人」に「生計を一にする子」がいる』ことが要件となります。 |
そして、この「生計を一にする子」は、
「年間の総所得(見積)金額」が、
|
かつ、
『「他の人」の「同一生計配偶者」や「扶養親族」となっていない』ことが必要となります。 |
日常の生活の資を共にすることをいいます。
勤務の都合により家族と別居している又は子が修学、療養などのために別居している場合であっても、
- 生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、
- 日常の起居を共にしていないが、勤務、修学等の余暇には起居を共にしているときは、
「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
大雑把にいいますと、
「給与所得」「退職所得」「事業所得」「不動産所得」「利子所得」「配当所得」「雑所得(公的年金所得を含む)」「一時所得」「譲渡所得」「山林所得」の10種類の所得を「合計した所得」をいいます。
⇒このため、「給与所得」以外にも「上記に該当する所得」がある場合には、その所得金額を合計することが必要となります。
また上記の「合計所得」は、
- 「収入金額」ではなく、
- 「収入金額」から「必要経費額」や「各種の控除金額」を差引いた後の「所得金額」をいいます。
『「所得の見積額」で判断される場面』と『「所得の確定額」で判断される場面』
「所得の見積額」で判断される場面
「扶養控除等申告書」の提出は、「通常暦年度の初め」や「新入社員の入社時・新任役員の就任時」に従業員・役員から会社に提出されるものとなります。
このため『「扶養控除等申告書」の提出時点で判断する「所得の金額」』は、あくまでその年度の「所得の見積額」で判断することとなります。
「所得の確定額」で判断される場面
他方、『「年末調整」時において判断する「所得の金額」』は、
あくまで、その年度の「年末時点」におけるその年度の「所得の確定金額」で判断することが必要となります。
2-3、「 定 義 3 」の 条 件
条件1:「従業員・役員本人」の状況条件
「定義3」により「寡婦」に該当するための「従業員・役員本人」の状況としては、
「本人」が
|
※この定義により「寡婦」となる場合には、「夫と離婚した後婚姻をしていない人」は対象外となります。
条件2:「親族等の扶養」条件
当該定義により「寡婦」となる場合には、「親族等の扶養条件」は必要ありません。
条件3:「従業員・役員本人」の所得条件
「定義3」により「寡婦」に該当するための「従業員・役員本人」の所得条件としては、
「本人」の「年間の合計所得(見積)金額」が「500万円以下」であることが必要となります。 |
※500万円以下であることが必要となるのは、「所得金額」であり「収入金額」ではない点にご留意下さい。
(上記2-2参照)
※『「扶養控除等申告書」の提出時点で判断する「所得の金額」』は、あくまで「所得の見積額」で判断し、
『「年末調整」時点で判断する「所得の金額」』は、「所得の確定額」に基づいて判断することが必要となります。
(上記2-2参照)
3、「寡婦」の「扶養控除等申告書」への記載
「従業員・役員本人」が、「寡婦」に該当する場合には、
「扶養控除等申告書」に「寡婦に該当する事項の情報」を記載して、従業員・役員から会社に報告することが必要となります。
1)『「寡婦」に該当する旨』の記載
「従業員・役員本人」が「寡婦」に該当する場合には、下図①に「✓」を記載します。
2)『「寡婦」に該当する情報・事実』の記載
『「寡婦」に該当する情報・事実』である下記①~③の事項を、下図②に記載します。
①『「寡婦」となった原因(死別、離婚、生死不明)』 ②・「生計を一にする子の氏名」及び『当該「子」のその年度における「合計所得(見積)金額」』※12 ③「定義3」により「寡婦」に該当する場合には、「本人」の『その年度における「合計所得(見積)金額」』※12 |
※1:「合計所得(見積)金額」は、
「扶養控除等申告書」を提出する時点では、その年度における「所得の見積額」を記載します。
(なお、当該「所得見積金額」と年度末における「所得確定金額」とに差異が生じる場合には、「下記4による変更報告」が必要となります。)
※2:「合計所得(見積)金額」が「0円」である場合には、「空欄」にせず、「0円」と記載して下さい。
4、「寡婦」に該当しなくなった場合等の対応
「扶養控除等申告書」は、
『毎月の給与計算で「源泉所得税を控除する」際に必要となる書類』となるため、
- 既存の従業員・役員からは、「前年度の年末調整時」に入手する
- 途中入社・途中就任した従業員・役員からは、「入社・就任時」に入手することとなりますが、
暦年度の途中におきまして、『「寡婦」である本人の状況』に異動がある場合には、
新たな内容を記載した「扶養控除等申告書」を「従業員・役員」から「会社」に再提出するか |
既に提出した「扶養控除等申告書」に、異動後の内容を記載して「従業員・役員」から「会社」に提出し直すことが必要となります。 |
「所得の見積額」と「所得の確定額」に違いがある場合
『「寡婦」の要件となっている「扶養親族の所得見積額」「生計を一にする子の所得見積額」「本人の所得見積額」』が
『年度末等における「扶養親族の所得確定額」「生計を一にする子の所得確定額」「本人の所得確定額」』と異なる場合には、
- 新たに「扶養控除等申告書」を会社に提出するか、
- 既に会社に提出した「扶養控除等申告書」に「確定金額」を修正記載して提出することが必要となります。
Ⅱ:『「特別の寡婦」の定義と条件』&『「扶養控除等申告書」への記載』
「従業員・役員本人」が「特別の寡婦」に該当する場合には、(従業員・役員個人の)所得税の計算において「特別寡婦控除」を受けることができます。
ここでは、
- 下記1において、この『「特別の寡婦」の定義』をご紹介し、
- 下記2において『「特別の寡婦」に該当するための条件』をご紹介し、
- 下記3において「従業員・役員本人」が「特別の寡婦」に該当する場合の『「扶養控除等申告書」への記載方法・記載内容』をご紹介させて頂きます。
1、「 特 別 の 寡 婦 」の 定 義
所得税法において「特別寡婦控除」を受けることができる「特別の寡婦」とは、以下の条件すべてに該当する「従業員・役員本人」をいいます。
① 上記Ⅰでご紹介させて頂きました「寡婦」に該当し、 ② 『「扶養親族」である「子」』がおり、 ③ 「従業員・役員本人」の「年間の合計所得(見積)金額」が「500万円以下」である人をいいます。 |
2、「 特 別 の 寡 婦 」の 条 件
条件1:「従業員・役員本人」の状況条件
「特別の寡婦」に該当するための「従業員・役員本人」の状況としては、
「従業員・役員本人」が上記Ⅰでご紹介させて頂きました「寡婦」に該当することが必要となります。 |
「特別の寡婦」に該当するためには、その前提として「従業員・役員本人」が、まず「寡婦」に該当することが必要となります。
条件2:「親族等の扶養」条件
「特別の寡婦」に該当するための「親族等の扶養条件」としては、
「本人」に『「扶養親族」である「子」』がいることが必要となります。 |
「寡婦」に該当するための条件としましては、「扶養親族」又は「生計を一にする子」がいることがその条件となりますが、
「特別の寡婦」に該当するためには、『「扶養親族」である「子」』がいることが条件となります。
※ 「扶養親族」とは、上記Ⅰ-2-1でご紹介させて頂きました内容となります。
Point ! 「寡婦の定義2」の「生計を一にする子」との違い 『「寡婦の定義2」の「生計を一にする子」』の場合には、
『「特別の寡婦」の条件』では、 「寡婦である人の子」が、
当該「寡婦である人」は「特別の寡婦」となることはできません。 |
条件3:「従業員・役員本人」の所得条件
「特別の寡婦」に該当するための「従業員・役員本人」の所得条件としては、
「本人」の「年間の合計所得(見積)金額」が「500万円以下」であることが必要となります。 |
※500万円以下であることが必要となるのは、「所得金額」であり「収入金額」ではない点にご留意下さい。
(上記Ⅰ-2-2参照)
※『「扶養控除等申告書」の提出時点で判断する「所得の金額」』は、あくまで「所得の見積額」で判断し、
『「年末調整」時点で判断する「所得の金額」』は、「所得の確定額」に基づいて判断することが必要となります。
(上記Ⅰ-2-2参照)
3、「特別の寡婦」の「扶養控除等申告書」への記載
「従業員・役員本人」が、「特別の寡婦」に該当する場合には、
「扶養控除等申告書」に「特別の寡婦に該当する事項の情報」を記載して、従業員・役員から会社に報告することが必要となります。
1)『「特別の寡婦」に該当する旨』の記載
「従業員・役員本人」が「特別の寡婦」に該当する場合には、下図①に「✓」を記載します。
2)『「特別の寡婦」に該当する情報・事実』の記載
『「特別の寡婦」に該当する情報・事実』である下記①~③の事項を、下図②に記載します。
①『「特別の寡婦」となった原因(死別、離婚、生死不明)』 ②「扶養親族である子の氏名」及び『当該「子」のその年度における「合計所得(見積)金額」』※12など、『「特別の寡婦」に該当する事実』 ③「本人」の『その年度における「合計所得(見積)金額」』※12 |
※1:「合計所得(見積)金額」は、
「扶養控除等申告書」を提出する時点では、その年度における「所得の見積額」を記載します。
(なお、当該「所得見積金額」と年度末における「所得確定金額」とに差異が生じる場合には、「下記4による変更報告」が必要となります。)
※2:「合計所得(見積)金額」が「0円」である場合には、「空欄」にせず、「0円」と記載して下さい。
4、「特別の寡婦」に該当しなくなった場合等の対応
「扶養控除等申告書」は、
『毎月の給与計算で「源泉所得税を控除する」際に必要となる書類』となるため、
- 既存の従業員・役員からは、「前年度の年末調整時」に入手する
- 途中入社・途中就任した従業員・役員からは、「入社・就任時」に入手することとなりますが、
暦年度の途中におきまして、『「特別の寡婦」である本人の状況』に異動がある場合には、
新たな内容を記載した「扶養控除等申告書」を「従業員・役員」から「会社」に再提出するか |
既に提出した「扶養控除等申告書」に、異動後の内容を記載して「従業員・役員」から「会社」に提出し直すことが必要となります。 |
「所得の見積額」と「所得の確定額」に違いがある場合
『「特別の寡婦」の要件となっている「扶養親族である子の所得見積額」「本人の所得見積額」』が
『年度末等における「扶養親族である子の所得確定額」「本人の所得確定額」』と異なる場合には、
- 新たに「扶養控除等申告書」を会社に提出するか、
- 既に会社に提出した「扶養控除等申告書」に「確定金額」を修正記載して提出することが必要となります。
Ⅲ:『「寡夫」の定義と条件』&『「扶養控除等申告書」への記載』
「従業員・役員本人」が「寡夫」に該当する場合には、(従業員・役員個人の)所得税の計算において「寡夫控除」を受けることができます。
ここでは、
- 下記1において、この『「寡夫」の定義』をご紹介し、
- 下記2において『「寡夫」に該当するための条件』をご紹介し、
- 下記3において「従業員・役員本人」が「寡夫」に該当する場合の『「扶養控除等申告書」への記載方法・記載内容』をご紹介させて頂きます。
1、「 寡 夫 」の 定 義
所得税法において「寡夫控除」を受けることができる「寡夫」とは、以下の条件すべてに該当する「従業員・役員本人」をいいます。
① 「妻と死別した後婚姻をしていない人」若しくは「妻と離婚した後婚姻をしていない人」又は「妻の生死が明らかでない一定の人」であり、 ② 「生計を一にする子」がおり、 ③ 「従業員・役員本人」の「年間の合計所得(見積)金額」が「500万円以下」である人をいいます。 |
なお、②の「生計を一にする子」は、
・「年間の合計所得(見積)金額」が「38万円以下(令和2年分以後は48万円以下)」であり、 ・「他の人」の『「同一生計配偶者」や「扶養親族」となっていない人』に限られます。 |
2、「 寡 夫 」の 条 件
条件1:「従業員・役員本人」の状況条件
「寡夫」に該当するための「従業員・役員本人」の状況としては、
「本人」が
|
※所得税法上の「寡夫」に該当するためには、上記の条件で示されているように、一度婚姻されていることが条件となっています。
(このため「一度も婚姻されていない方」は、現状では、『所得税法上の「寡夫」』には該当しません。)
※「夫と離婚した後婚姻をしていない人」も含まれることとなります。
条件2:「親族等の扶養」条件
「寡夫」に該当するための「親族等の扶養条件」としては、
『「本人」に「生計を一にする子」がいる』ことが要件となります。 |
そして、この「生計を一にする子」は、
「年間の合計所得(見積)金額」が、
|
かつ、
「他の人」の「同一生計配偶者」や「扶養親族」となっていないことが必要となります。 |
Point ! 「青色専従者」や「白色専従者」の制限につきまして 当該「条件2」におきましては、 このため「生計を一にする子」が「従業員・役員本人」や「従業員・役員と生計を一にする者」の
「寡夫の要件」を満たす場合には、「寡夫」に該当することとなります。 |
※1:「生計を一にする」とは、
「上記Ⅰ-2-2」でご紹介させて頂きました内容となります。
※2:「所得」とは、
「上記Ⅰ-2-2」でご紹介させて頂きました内容となります。
※3:「各判断時点における所得」につきましては、
・『「扶養控除等申告書」の提出時点で判断する「所得の金額」』は、あくまで「所得の見積額」で判断し、
・『「年末調整」時点で判断する「所得の金額」』は、「所得の確定額」に基づいて判断することが必要となります。
(上記Ⅰ-2-2参照)
条件3:「従業員・役員本人」の所得条件
「寡夫」に該当するための「従業員・役員本人」の所得条件としては、
「本人」の「年間の合計所得(見積)金額」が「500万円以下」であることが必要となります。 |
※500万円以下であることが必要となるのは、「所得金額」であり「収入金額」ではない点にご留意下さい。
(上記Ⅰ-2-2参照)
※『「扶養控除等申告書」の提出時点で判断する「所得の金額」』は、あくまで「所得の見積額」で判断し、
『「年末調整」時点で判断する「所得の金額」』は、「所得の確定額」に基づいて判断することが必要となります。
(上記Ⅰ-2-2参照)
3、「寡夫」の「扶養控除等申告書」への記載
「従業員・役員本人」が、「寡夫」に該当する場合には、
「扶養控除等申告書」に「寡夫に該当する事項の情報」を記載して、従業員・役員から会社に報告することが必要となります。
1)『「寡夫」に該当する旨』の記載
「従業員・役員本人」が「寡夫」に該当する場合には、下図①に「✓」を記載します。
2)『「寡夫」に該当する情報・事実』の記載
『「寡夫」に該当する情報・事実』である下記①~③の事項を、下図②に記載します。
①『「寡夫」となった原因(死別、離婚、生死不明)』 ②「生計を一にする子の氏名」及び『当該「子」のその年度における「合計所得(見積)金額」』※12など、『「寡夫」に該当する事実』 ③「本人」の『その年度における「合計所得(見積)金額」』※12 |
※1:「合計所得(見積)金額」は、
「扶養控除等申告書」を提出する時点では、その年度における「所得の見積額」を記載します。
(なお、当該「所得見積金額」と年度末における「所得確定金額」とに差異が生じる場合には、「下記4による変更報告」が必要となります。)
※2:「合計所得(見積)金額」が「0円」である場合には、「空欄」にせず、「0円」と記載して下さい。
4、「寡夫」に該当しなくなった場合等の対応
「扶養控除等申告書」は、
『毎月の給与計算で「源泉所得税を控除する」際に必要となる書類』となるため、
- 既存の従業員・役員からは、「前年度の年末調整時」に入手する
- 途中入社・途中就任した従業員・役員からは、「入社・就任時」に入手することとなりますが、
暦年度の途中におきまして、『「寡夫」である本人の状況』に異動がある場合には、
新たな内容を記載した「扶養控除等申告書」を「従業員・役員」から「会社」に再提出するか |
既に提出した「扶養控除等申告書」に、異動後の内容を記載して「従業員・役員」から「会社」に提出し直すことが必要となります。 |
「所得の見積額」と「所得の確定額」に違いがある場合
『「寡夫」の要件となっている「生計を一にする子の所得見積額」「本人の所得見積額」』が
『年度末等における「生計を一にする子の所得確定額」「本人の所得確定額」』と異なる場合には、
- 新たに「扶養控除等申告書」を会社に提出するか、
- 既に会社に提出した「扶養控除等申告書」に「確定金額」を修正記載して提出することが必要となります。
Ⅳ:『「勤労学生」の定義と条件』&『「扶養控除等申告書」への記載』
「従業員・役員本人」が「勤労学生」に該当する場合には、(従業員・役員個人の)所得税の計算において「勤労学生控除」を受けることができます。
ここでは、
- 下記1において、この『「勤労学生」の定義』をご紹介し、
- 下記2において『「勤労学生」に該当するための条件』をご紹介し、
- 下記3において「従業員・役員本人」が「勤労学生」に該当する場合の『「扶養控除等申告書」への記載方法・記載内容』をご紹介させて頂きます。
1、「勤労学生」の定義
所得税法において「勤労学生控除」を受けることができる「勤労学生」とは、以下の条件すべてに該当する「従業員・役員本人」をいいます。
① 「大学、高等学校などの学生や生徒」若しくは「一定の要件を備えた専修学校、各種学校の生徒」又は「職業訓練法人の行う認定職業訓練を受ける訓練生」であり、 ② 自分の勤労に基づいて得た「事業所得」「給与所得」「退職所得」又は「雑所得」があり(以下では「給与所得等」といいます)、 ③ 「本人」の『その年度における「合計所得(見積)金額」』が「65万円以下(令和2年分以後は75万円以下)」であり、 |
2、「 勤 労 学 生 」の 条 件
条件1:「従業員・役員本人」の状況条件
「勤労学生」に該当するための「従業員・役員本人」の状況としては、
「本人」が、
|
条件2:「本人」が「勤労していること」の条件
「勤労学生」に該当するためには、
本人が勤労したことにより得た「勤労所得」である 「事業所得」「給与所得」「退職所得」「雑所得」があることが必要となります。 |
このため、「勤労所得」がなく、「勤労所得」以外の「不動産所得」や「配当所得」などの「不労所得」があるのみの場合には、「勤労学生」には該当しません。
条件3:「従業員・役員本人」の所得条件
「勤労学生」に該当するための「従業員・役員本人」の所得条件としては、
「本人」の「年間の合計所得(見積)金額」が、
|
また、「本人」の「年間の勤労所得以外の所得(不労所得)」が、
|
※65万円以下(令和2年以降は75万円以下)であることが必要となるのは、「所得金額」であり「収入金額」ではない点にご留意下さい。
(上記Ⅰ-2-2参照)
※『「扶養控除等申告書」の提出時点で判断する「所得の金額」』は、あくまで「所得の見積額」で判断し、
『「年末調整」時点で判断する「所得の金額」』は、「所得の確定額」に基づいて判断することが必要となります。
(上記Ⅰ-2-2参照)
3、「勤労学生」の「扶養控除等申告書」への記載
「従業員・役員本人」が、「勤労学生」に該当する場合には、
「扶養控除等申告書」に「勤労学生に該当する事項の情報」を記載して、従業員・役員から会社に報告することが必要となります。
1)『「勤労学生」に該当する旨』の記載
「従業員・役員本人」が「勤労学生」に該当する場合には、下図①に「✓」を記載します。
2)『「勤労学生」に該当する情報・事実』の記載
『「勤労学生」に該当する情報・事実』である下記①~④の事項を、下図②に記載します。
① 学校名 ② 入学年月日 ③ 『その年度において受けた「所得の種類」』 ④ 「本人」の『その年度における「合計所得(見積)金額」』※12 |
※1:「合計所得(見積)金額」は、
「扶養控除等申告書」を提出する時点では、その年度における「所得の見積額」を記載します。
(なお、当該「所得見積金額」と年度末における「所得確定金額」とに差異が生じる場合には、「下記4による変更報告」が必要となります。)
※2:「合計所得(見積)金額」が「0円」である場合には、「空欄」にせず、「0円」と記載して下さい。
「専修学校、各種学校の生徒」「職業訓練法人の訓練生」である場合
「勤労学生である従業員・役員」が
- 「専門学校」「各種学校」の生徒である場合や
- 「職業訓練法人」の訓練生である場合には、
を「扶養控除等申告書」の提出時に添付することが必要となります。 |
※「大学、高等学校などの学生や生徒」の場合には、上記の書類の添付は不要となります。
4、「勤労学生」に該当しなくなった場合等の対応
「扶養控除等申告書」は、
『毎月の給与計算で「源泉所得税を控除する」際に必要となる書類』となるため、
- 既存の従業員・役員からは、「前年度の年末調整時」に入手する
- 途中入社・途中就任した従業員・役員からは、「入社・就任時」に入手することとなりますが、
暦年度の途中におきまして、『「勤労学生」である本人の状況』に異動がある場合には、
新たな内容を記載した「扶養控除等申告書」を「従業員・役員」から「会社」に再提出するか |
既に提出した「扶養控除等申告書」に、異動後の内容を記載して「従業員・役員」から「会社」に提出し直すことが必要となります。 |
「所得の種類」や「所得の確定額」に違いがある場合
当初提出している「扶養控除等申告書」に記載した「所得の種類」や「本人の所得見積額」が、
年度末等における「所得の種類」や「本人の所得確定額」と異なる場合には、
- 新たに「扶養控除等申告書」を会社に提出するか、
- 既に会社に提出した「扶養控除等申告書」に「確定金額」を修正記載して提出することが必要となります。
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、『「寡婦・特別の寡婦・寡夫・勤労学生」の定義・条件』及び『「扶養控除等申告書」への記載方法』をご紹介させて頂いております。
ここでご紹介させて頂いております『定義・条件』は、
『「従業員・役員本人」が「寡婦控除・特別寡婦控除・寡夫控除・勤労学生控除を受けることができるか否か』の判断を行う場合に使用するものとなります。
定義・条件の判断につきまして
「従業員・役員本人」が「寡婦控除」「特別寡婦控除」「寡夫控除」を受けるためには、「本人の状況条件」「本人の所得条件」のみならず、『本人の「親族等の扶養条件」』が必要となり、これらの条件が少々複雑に規定されております。
このため、「扶養控除等申告書」を記載する場合には、
上記でご紹介させて頂いております「定義・条件」を十分にご確認頂きますようお願い致します。
「寡婦」「特別の寡婦」「寡夫」「勤労学生」の状況の異動につきまして
なお、「寡婦控除、特別寡婦控除、寡夫控除、勤労学生控除」につきましては、
『年度期間中の「源泉所得税の計算」』及び『「年末調整」における「各種の控除額」の計算』が、
すべて『「扶養控除等申告書」における「寡婦、寡夫又は勤労学生」欄の記載』に基づいて行われることとなるため、
年度期間中に『「扶養控除等申告書」に記載した「寡婦・特別の寡婦・寡夫・勤労学生に係る内容・情報」』に異動がある場合には、
必ず、その異動内容を会社に報告して、『「扶養控除等申告書」の記載内容』を適時に更新して頂ますようお願い致します。