『「甲欄」により源泉所得税を算定する 』場合には、従業員・役員の「扶養親族等の数」を把握することが必要となりますが、ここでは、以下の項目に従い、「扶養控除等申告書」から『「扶養親族等の数」をカウントする方法 』をご紹介させて頂きます。
▶ なお、ここでご紹介させて頂きます内容は、『 源泉所得税の算定方法 』のページで記載させて頂きました内容の補完的説明事項となります。
Ⅰ:「扶養親族等の数」のカウント概要
源泉所得税の算定基礎となる「扶養親族等の数」は、
従業員・役員の方から提出された『「扶養控除等申告書」の記載 』に基づいてカウントしますが、 |
「扶養親族等の数」のカウント対象となる「扶養控除等申告書の記載箇所」は、
A 源泉控除対象配偶者 B 控除対象扶養親族 C 障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生 の3箇所となります。 |
◆「扶養控除等申告書」の入手時期 ◆
「甲欄により源泉所得税額」を算定する場合には、給与計算を行うの前に「扶養控除等申告書」が会社に提出されていることが前提となります。
このため、
- 暦年度の開始時に会社に在籍している従業員・役員の方につきましては、通常「前年度の確定申告時」に
- 年度途中で入社・就任した従業員・役員の方につきましては、「入社・就任後直ちに」
「扶養控除等申告書」を入手しておくことが必要となります。
Ⅱ:「各記載箇所」における「扶養親族等の数」のカウント
ここでは、「各記載箇所」における『「扶養親族等の数」のカウント方法 』をご紹介させて頂きます。
1、『「源泉控除対象配偶者」の記載 』と「扶養親族等の数」のカウント
「扶養控除等申告書」の「A 源泉控除対象配偶者」の記載箇所に「源泉控除対象配偶者」が記載されている場合には、
「扶養親族等の数」に1を加算します。 |
2、『「控除対象扶養親族」の記載 』と「扶養親族等の数」のカウント
「扶養控除等申告書」の「B 控除対象扶養親族」の記載箇所に「控除対象扶養親族」が記載されている場合には、
「扶養親族等の数」に『「控除対象扶養親族」の人数分 』を加算します。 |
なお、「控除対象扶養親族」は、「一般の控除対象扶養親族」「特定扶養親族」「老人扶養親族」「同居老親」の「4種類の控除対象扶養親族」に分類されますが、
「扶養親族等の数」をカウントする場合には、上記の分類は加味せず、単に『「控除対象扶養親族」の人数 』のみに基づいてカウントすることとなります。 |
3-1、『「障害者」の記載 』と「扶養親族等の数」のカウント
「扶養控除等申告書」の「C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の記載箇所に「障害者」が記載されている場合には、
『「扶養親族等の数」のカウント方法 』が異なるため、 |
以下におきましては、
- 「扶養控除等申告書」に「一般の障害者」「特別障害者」が記載されている場合と、
- 「扶養控除等申告書」に「同居特別障害者」が記載されている場合とに分けて、
『「扶養親族等の数」のカウント方法 』をご紹介させて頂きます。
1)「一般の障害者」「特別障害者」のカウント方法
「扶養控除等申告書」の「C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の記載箇所に「一般の障害者」「特別障害者」が記載されている場合には、
「扶養親族等の数」に『「一般の障害者」「特別障害者」の人数分 』を加算します。 |
なお、「扶養親族等の数」のカウントにあたっては、
「一般の障害者」「特別の障害者」の区分は加味せず、単に『「一般の障害者・特別障害者」の人数 』のみに基づいてカウントすることとなります。 |
2)「同居特別障害者」のカウント方法
「扶養控除等申告書」の「C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の記載箇所に「同居特別障害者」が記載されている場合には、
「扶養親族等の数」に『「同居特別障害者」の人数 × 2 』を加算します。 |
3-2、『「寡婦・ひとり親・勤労学生」の記載 』と「扶養親族等の数」のカウント
「扶養控除等申告書」の「C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の記載箇所に、ご本人が「寡婦」「ひとり親」「勤労学生」である旨の記載がなされている場合には、
「該当する数分」を「扶養親族等の数」に加算します。 |
Ⅲ:『「扶養親族等の数」のカウント方法 』のまとめ
『「扶養親族等の数」のカウント方法 』をまとめると以下のものとなります。
「扶養控除等申告書」の記載箇所 | 記載事項 | 「扶養親族等の数」のカウント |
A 「源泉控除対象配偶者」 | ・「源泉控除対象配偶者」 | +1 |
B 「控除対象扶養親族」 | ・「同居老親」 ・「その他(老人親族)」 ・「その他(一般の控除対象扶養親族)」 ・「特定扶養親族」 |
+1 × 人数 |
C 「障害者・ひとり親・勤労学生」 (本人含む) |
・「障害者」 ・「特別障害者」 |
+1 × 人数 |
・「同居特別障害者」 | +2 × 人数 | |
・「寡婦」 ・「ひとり親」 ・「勤労学生」 |
+1 × 該当数 |
Ⅳ:「扶養親族等の数」のカウント例示
ここでは、例示を用いて『「扶養親族等の数」のカウント方法の例示 』をご紹介させて頂きます。
◆ 例 示 1 ◆
「扶養控除等申告書」に
- 「源泉控除対象配偶者」の記載があり、
- 当該「源泉控除対象配偶者」が「同居特別障害者」である旨の記載がある場合
「源泉控除対象配偶者」:1 +「同居特別障害者」:2 =「扶養親族等の数」:3 |
◆ 例 示 2 ◆
「扶養控除等申告書」に
- 「源泉控除対象配偶者」の記載、
- 「控除対象扶養親族」2名の記載(同居老親:1名、その他:1名)の記載があり、
- 上記「同居老親」が「一般の障害者」である旨の記載がある場合
「源泉控除対象配偶者」:1 +「控除対象扶養親族」:2 +「一般の障害者」:1 =「扶養親族等の数」:4 |
◆ 例 示 3 ◆
「扶養控除等申告書」に
- 「源泉控除対象配偶者」の記載、
- 「控除対象扶養親族」3名の記載(同居老親:1名、その他:1名、特定扶養親族:1名)の記載があり、
- 上記「特定扶養親族」が「同居特別障害者」である旨の記載がある場合
「源泉控除対象配偶者」:1 +「控除対象扶養親族」:3 +「同居特別障害者」:2 =「扶養親族等の数」:6 |
◆ 例 示 4 ◆
「扶養控除等申告書」に
- 「源泉控除対象配偶者」の記載があり、
- 「16歳未満の扶養親族」が「一般の障害者」である旨の記載がある場合
「源泉控除対象配偶者」:1 +「一般の障害者」:1 =「扶養親族等の数」:2 |
◆ 例 示 5 ◆
「扶養控除等申告書」に
- 「控除対象扶養親族」2名の記載(その他:1名、老人親族:1名)の記載があり、
- 「本人」が「ひとり親」である旨の記載がある場合
「控除対象扶養親族」:2+「ひとり親」:1 =「扶養親族等の数」:3 |
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは『「甲欄」により源泉所得税を算定する 』場合の『「扶養親族等の数」のカウント方法 』をご紹介させて頂いております。
「扶養親族等の数」のカウント基書類
『「甲欄」により源泉所得税を算定する 』場合の『「扶養親族等の数」のカウント 』は、必ず『 従業員・役員から提出された「扶養控除等申告書」』に基づいて行うことが必要となります。
このため、『「扶養親族等の数」のカウント方法 』につきましては、
『「扶養控除等申告書」の記載 』との関係でご理解頂くことが必要と考えます。
『「扶養親族等の数」のカウント方法』につきまして
「年末調整」などにおきまして「各種の人的所得控除金額」を算定する場合には、
「源泉控除対象配偶者」「控除対象扶養親族(一般の控除対象扶養親族、特定扶養親族、老人親族、同居老親)」「障害者(一般の障害者、特別障害者、同居特別障害者)」「寡婦・ひとり親・勤労学生」などの区分ごとに詳細に把握することが必要となりますが、
源泉所得税の算定基礎となる「扶養親族等の数」をカウントする場合には、
上記のような区分把握は必要とならないため、当該カウントにつきましてはそれほど難しく考える必要はないと思います。
ただし、「扶養親族等の数」をカウントする場合であっても、
「同居特別障害者の方」の記載がある場合だけは、「 同居特別障害者の人数 × 2 」で計算した数を加算することが必要となりますので、
「扶養控除等申告書」に「同居特別障害者の方」の記載がある場合には、この点ご注意頂ければよいのではないかと考えます。