ここでは『 給与計算で控除する「雇用保険料の具体的な計算方法」』につき、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。

 

 

▶  なお、当該ページは『「雇用保険料の控除計算」に必要な「基礎知識」』というページを補完するものとなります。

 

 

Ⅰ:「雇用保険料の控除計算」を行う前に必要となる確認事項

給与計算において「雇用保険料控除額」を算定する場合には、事前に

1、雇用保険料の控除計算が必要となる「従業員の範囲

2、雇用保険料控除額の算定基礎となる「賃金の範囲

3、雇用保険料控除額の算定基礎となる「(従業員が負担する雇用保険料率」をご確認下さい

 

1、『 雇用保険料の控除計算が必要となる「従業員」』の確認 

給与計算で『 雇用保険料の控除が必要となる「従業員」』は、

『「雇用保険の被保険者」である「従業員」』のみとなりますので、この点ご確認下さい。

 

詳細は『 「雇用保険料の控除計算」に必要な「基礎知識」 』の『 Ⅰ-2:雇用保険料控除の対象となる「従業員の範囲」 』に記載。

 

2、『 雇用保険料の算定基礎となる「賃金の範囲」』の確認

アクセント矢印(背景透明)「給与支給明細書」等に記載される「給与支給項目」の中には、

   ・『 雇用保険料の算定基礎となる給与支給項目」』と

   ・『 雇用保険料の算定基礎とはならない給与支給項目」』とがあるため、

 

アクセント矢印(背景透明)  給与計算において「雇用保険料控除額を計算する場合には、

   『「給与支給明細」に記載されている「給与支給項目」』が、

 

   『 雇用保険料の算定基礎となる賃金給与支給額)」に含めなければならないものであるか否か 』をご確認下さい。

 

▶ 詳細は『「雇用保険料の控除計算」に必要な「基礎知識」』の『Ⅱ-2(1): 雇用保険料の算定基礎となる「賃金」につきまして』に記載。

 

    ◆ 特にご留意頂きたい事項 ◆              

 

3、「従業員が負担する雇用保険料率」の確認

アクセント三角(小:背景透明) 給与計算において「雇用保険料控除額を計算する場合には、

従業員が負担する雇用保険料率」を事前にご確認下さい。

 

アクセント三角(小:背景透明) なお、『 従業員が負担する「(失業等給付に係る)雇用保険料率」』は、会社が営む事業の種類ごとに以下の率となります。

 

【 令和5年保険年度 (令和5年4月1日~令和6年3月31日)】

 

会社が営む事業の種類 従業員が負担する失業等給付に係る)雇用保険料率
一般の事業 0.0060.6%
農林水産の事業
清酒製造の事業
0.0070.7%
建設の事業 0.0070.7%

 

▶ 詳細は『「雇用保険料の控除計算」に必要な「基礎知識」』の『Ⅱ-2(2):『従業員が負担する「雇用保険料率」につきまして』に記載。

 

    ◆ 特にご留意頂きたい事項 ◆               

 

 

Ⅱ:給与計算で『「控除する雇用保険料額」の計算式 』

給与計算で『「控除する雇用保険料額」の計算式 』は、以下のものとなります。

雇用保険料の算定基礎となる賃金」  ×  従業員が負担する雇用保険料率

 

◆ 計算結果の端数処理 ◆

・上記の計算の結果、「1円未満の端数」が生じた場合には、50銭未満の端数切り捨て50銭以上切り上げることとなります。

・なお、上記とは別に、労使の間で慣習的な取扱い等の特約がある場合には、当該特約に従って処理することとなります。

 

 

Ⅲ:「雇用保険料控除額」の具体的な算定例示

ここでは、「具体的な例示」を使用して、『「給与計算で控除する雇用保険料額」の算定方法 』をご紹介させて頂きます。

なお、

アクセント丸(小:背景透明)  例示1では、令和5年3月分の給与計算において『「従業員給与から控除する雇用保険料額」の算定方法 』を、

アクセント丸(小:背景透明)  例示2では、令和5年4月分の給与計算において『「従業員給与から控除する雇用保険料額」の算定方法 』を、

アクセント丸(小:背景透明)  例示3では、「社宅の貸与」が行われている場合において『「従業員給与から控除する雇用保険料額」の算定方法 』を、

アクセント丸(小:背景透明)  例示4では、「食事の提供」が行われている場合において『「従業員給与から控除する雇用保険料額」の算定方法 』を、

アクセント丸(小:背景透明)  例示5では、「被服の提供」が行われている場合において『「従業員給与から控除する雇用保険料額」の算定方法 』を、

それぞれご紹介させて頂きます。

 

 例 示 1

『 令和5年3月分の給与計算で「控除する雇用保険料額」を算定する場合 』の例示は以下のものとなります。

 

◆  設  例  ◆

 

小売業を営む会社における、R5年3月分の「給与支給状況」が以下のような場合を想定します。

(なお、以下の従業員につきましては、すべて「雇用保険の被保険者」であるとします。)

雇用保険料の控除額計算の具体例(設例1)

「田中次郎の支給控除1,500円)」は、「早退があったことによる給与支給額の減額」である。

 

◆  「 雇用保険料控除額 」の算定  ◆            

 

 例 示 2

『 令和5年4月分の給与計算で「控除する雇用保険料額」を算定する場合 』の例示は以下のものとなります。

 

◆  設  例  ◆

 

小売業を営む会社における、R5年4月分の「給与支給状況」が以下のような場合を想定します。

(なお、以下の従業員につきましては、すべて「雇用保険の被保険者」であるとします。)

雇用保険料の控除額計算の具体例(設例2)

「田中次郎の支給控除1,500円)」は、「早退があったことによる給与支給額の減額」である。

 

「各従業員に支給している通勤定期通勤回数券」は、「1ヶ月分の通勤定期・通勤回数券」である。

 

◆  「 雇用保険料控除額 」の算定  ◆            

 

 例 示 3 :「社宅の貸与」が行われている場合

◆  設  例  ◆

・以下の従業員(勤務地:東京)に対して「社宅の貸与」が行われていると仮定します。
・なお、会社が営む事業は、建設業であると仮定します。

 

雇用保険料の控除額計算の具体例(設例3)

支給控除1,500円)」は、「早退があったことによる給与支給額の減額」である。

 

◆  社宅の貸与状況  ◆

 ケース1 

「社宅を貸与している従業員」と「社宅を貸与していない従業員」との均衡を図るための「均衡手当」は支給されていない

 

 ケース2 

「社宅を貸与していない従業員」に「均衡手当」が「20,000円」支給されている。

アクセント矢印(背景透明)2-1:上記とともに、「社宅を貸与している従業員」から「社宅の賃料」として「10,000円を徴収している。

アクセント矢印(背景透明)2-2:上記とともに、「社宅を貸与している従業員」から「社宅の賃料」として「5,000円を徴収している。

アクセント矢印(背景透明)2-3:上記とともに、「社宅を貸与している従業員」から「社宅の賃料」は徴収していない

 

 ケース3 

「社宅を貸与していない従業員」に「均衡手当」が「45,000円」支給されている。

アクセント矢印(背景透明)3-1:上記とともに、「社宅を貸与している従業員」から「社宅の賃料として15,000円を徴収している。

アクセント矢印(背景透明)3-2:上記とともに、「社宅を貸与している従業員」から「社宅の賃料として10,000円を徴収している。

アクセント矢印(背景透明)3-3:上記とともに、「社宅を貸与している従業員」から「社宅の賃料」は徴収していない

 

◆  「 雇用保険料控除額 」の算定  ◆            

 

 例 示 4 :「食事の提供」が行われている場合

◆  設  例  ◆

・以下の従業員(勤務地:東京)に対して「食事の提供」が行われていると仮定します。
・なお、会社が営む事業は、サービス業であると仮定します。

 

雇用保険料の控除額計算の具体例(設例4)

支給控除1,500円)」は、「早退があったことによる給与支給額の減額」である。

 

◆  食事の提供状況  ◆

 ケース1 

・当月において、昼食20日提供し、
・当該従業員から「食事代」として1食につき「300円」を徴収している。

 

 ケース2 

・当月において、昼食22日提供し、
・当該従業員から「食事代」として1食につき「50円」を徴収している。

 

 ケース3 

・当月において、昼食18日提供し、
・当該従業員から「食事代」は徴収していない

 

◆  「 雇用保険料控除額 」の算定  ◆            

 

 例 示 5 :「制服の提供」が行われている場合

◆  設  例  ◆

・以下の従業員(勤務地:東京)に対して「制服の提供」が行われていると仮定します。
・なお、会社が営む事業は、製造業であると仮定します。

 

雇用保険料の控除額計算の具体例(設例5)

支給控除1,500円)」は、「早退があったことによる給与支給額の減額」である。

 

◆  「 雇用保険料控除額 」の算定  ◆            

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

ここでは『 給与計算で控除する「雇用保険料の具体的な計算方法」』につき、ご紹介させて頂いております。

 

アクセント三角(小:背景透明) なお、当該ページでは、例示を用いて『 給与計算において「控除する雇用保険料額」の具体的な算定方法 』をご紹介することがメインとなりますので、

『「雇用保険料控除額の算定方法」の背景にある事項 』につきましては、以下のページをご参照頂きますようお願い致します。

 ・『「雇用保険料の控除額計算」に関する基礎的事項 』のご紹介      ⇒ 「雇用保険料の控除計算」に必要な「基礎知識」

 ・『 雇用保険料額の算定基礎となる「賃金」』についてのご紹介      ⇒ 労働保険料の算定基礎となる「賃金の範囲」

 ・  労働保険制度における『「現物給与」の取扱い 』のご紹介          ⇒ 労働保険制度における「現物給与」の取扱い

 ・『 厚生労働大臣が定める「現物給与の価額」』の算定方法            ⇒ 厚生労働大臣が定める「現物給与の価額」

 

「控除雇用保険料額の算定方法」につきまして

アクセント三角(小:背景透明) 給与計算において「控除する雇用保険料額」を算定すること自体は、

 比較的簡単に算定することができるため、是非この機会に算定方法をマスターして頂きますようお願い致します。

 

アクセント三角(小:背景透明) ただし、「社宅の貸与、食事の提供、被服の貸与・提供」などの「現物給与」が支給されている場合には、

 『 雇用保険料の算定基礎となる「賃金」』を把握する場合に、少々厄介な計算が必要となりますので、
 「上記Ⅲの例示3、4、5等で記載させて頂きました算定方法」をご確認頂ますようお願い致します。

 

「雇用保険料率」の改正につきまして

『 上記Ⅰ-3「特にご留意頂きたい事項」』でご紹介させて頂いておりますように、

「4月分の給与計算」を行う場合には、『 雇用保険料控除額の算定基礎率である「雇用保険料率」』が改正される可能性がありますので、

「4月分の給与計算」を行う場合には、『「雇用保険料率」の改正がなされているか否か 』のご確認をして頂きますようお願い致します。