ここでは、『 給与計算における「社会保険料の控除計算」』を行うために必要となる「社会保険に関する基礎知識」を、以下の項目に従い、ご紹介させて頂きます。
Ⅰ:社会保険料控除の対象となる「従業員・役員の範囲」&「社会保険の種類」
給与計算において「社会保険料を控除することが必要となる従業員・役員」は、
「会社が加入する社会保険の被保険者となる従業員・役員のみ」となります。 |
このため、ここでは、まず最初に 下記1 におきまして、
給与計算において『 社会保険料を控除することが必要となる「従業員・役員の範囲」』をご紹介させて頂きます。
また、上記事項とともに、会社が給与計算において社会保険料の控除を行う場合には「どのような種類の社会保険料」を控除するかを理解しておくことが必要となるため、
下記2 におきまして、会社が給与計算において控除することが必要となる「社会保険料の種類」につきご紹介させて頂きます。
1、社会保険料を控除することが必要となる「従業員・役員の範囲」
会社には「役員」「正社員」「パート社員、アルバイト社員」等様々な方がいらっしゃいますが、
給与計算時において、会社が社会保険料の控除を行わなければならない方は、
「会社が加入している社会保険」に加入されている方のみとなります。 (会社が加入している社会保険の被保険者となる方のみとなります。) |
すなわち、『「会社が加入している社会保険」への加入 』につきましては、
下記でご紹介させて頂くような「一般的な(社会保険の)加入要件」があり、 |
「従業員・役員」が、この「一般的な(社会保険の)加入要件」を満たしている場合には、
・「会社が加入している社会保険」に加入することが必要となり、
・ この場合には社会保険料の一部を「従業員・役員個人」が負担することが必要となることから、
このような社会保険の被保険者となる従業員・役員に対しては、 給与計算時に「これらの従業員・役員が個人で負担する分の社会保険料」を会社で徴収(控除)することが必要となります。 |
他方、「従業員・役員」が、「一般的な(社会保険の)加入要件」を満たしていない場合には、
・「会社が加入している社会保険」には加入することができず、
・ 当然、当該「従業員・役員」につきましては「その保険料」の負担義務もないため、
このような社会保険の被保険者とならない従業員・役員に対しては、 給与計算時に「これらの従業員・役員」から「社会保険料を徴収(控除)すること」は不要となります。 |
◆ 社会保険の一般的な加入要件 ◆
「会社で働く従業員」「会社を経営する役員」が社会保険に加入するための「一般的な加入要件」は以下のものとなります。
① 会社の「役員」であり、会社から「役員報酬」を受けている者 ② 会社にフルタイムで雇用されている「正社員」である者(通常の労働者) ③「1週間の所定労働時間」および「1か月の所定労働日数」が同じ事業所で同様の業務に従事している「通常の労働者(正社員等)」の4分の3以上である「パート社員・アルバイト社員等」(短時間就労者)』である者
上記の①~③のいずれかに該当した場合には、「会社が加入している社会保険」に加入することが必要となります。 |
なお、上記の他、厚生年金保険の被保険者数が常時101人以上いる事業所(特定適用事業所)におきましては、
「1週間の所定労働時間」が「20時間以上」であり、
「1週間の所定労働時間」又は「1か月の所定労働日数」が同じ事業所で同様の業務に従事している「正社員等の4分の3未満」である『「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など(短時間労働者)』であっても、 「会社が加入している社会保険」に加入することが必要となります。 |
▶ Point: 「社会保険への加入態様」につきまして
2、給与計算において控除することが必要となる「社会保険料の種類」
会社が、給与計算時に「従業員・役員」から「控除(徴収)することが必要となる社会保険料」は、
健康保険料 介護保険料 厚生年金保険料 となります。 |
この点、
会社は「その加入する社会保険の保険者」に対して、 「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」 「子ども・子育て拠出金」 という社会保険料等を支払うことが必要となりますが、 |
上記の社会保険料等のうち「子ども・子育て拠出金」につきましては、
・「拠出金の全額」が会社負担となり、従業員・役員の負担額はゼロであることから、
・当該「子ども・子育て拠出金」につきましては、「給与計算における従業員・役員からの徴収」は不要となります。
この結果、給与計算時において、会社が従業員・役員から徴収(控除)することが必要となるものは、
「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」のみとなります。
▶ 参考: 「子ども・子育て拠出金」とは
Ⅱ:「従業員・役員の年齢」と「控除する社会保険料」の関係
上記1でご紹介させて頂きましたように、
「従業員・役員」が「一般的な社会保険への加入要件」を満たしてる場合には、 原則、給与計算において「当該従業員・役員」から社会保険料を徴収することが必要となりますが、 |
「社会保険の被保険者となる要件」や「被保険者の社会保険料負担要件」には、
・ 上記でご紹介させて頂きました「一般的な加入要件」以外にも、 ・ 別途、それぞれの社会保険ごとに「年齢による加入要件」や「年齢による社会保険料の負担要件」があるため、 |
・ 仮に「従業員・役員」が「社会保険の一般的な加入要件」を満たしている場合であっても、 ・「従業員・役員の年齢」によっては、 |
従いまして、ここでは、『「従業員・役員の年齢」と「給与計算における社会保険料控除の要否」との関係 』につきご紹介させて頂きます。
1、「従業員・役員の年齢」と「控除する社会保険料」の関係
「従業員・役員の年齢」と「給与計算における社会保険料控除の要否」との関係は以下のようになります。
年齢 | 給与計算時における「社会保険料控除」の要否 | ||
健康保険※1 | 介護保険※2 | 厚生年金保険※3 | |
39歳以下 | ○ | – | ○ |
40歳以上64歳以下 | ○ | ○ | ○ |
65歳以上69歳以下 | ○ | – | ○ |
70歳以上74歳以下 | ○ | – | – |
75歳以上 | – | – | – |
◯:給与計算時に社会保険料を控除することが必要となります。
※1: 健康保険料の控除
従業員・役員の年齢が75歳になった場合には、当該従業員・役員は会社が加入する健康保険の被保険者ではなくなることから、
(従業員・役員の年齢が75歳になった場合には、当該従業員・役員は「後期高齢者医療制度の被保険者」となります。)
『 給与計算において「健康保険料の控除」が必要となる「従業員・役員」』は、74歳以下の場合となります。 |
※2: 介護保険料の控除
会社の給与計算において介護保険料の控除が必要となる「従業員・役員」は、介護保険の第二号被保険者のみであるため、
『 給与計算において「介護保険料の控除」が必要となる「従業員・役員」』は、40歳以上64歳以下の場合となります。 |
※3: 厚生年金保険料の控除
従業員・役員の年齢が70歳になった場合には、当該従業員・役員は原則会社が加入する厚生年金保険の被保険者でなくなるため、
『 給与計算において「厚生年金保険料の控除」が必要となる「従業員・役員」』は、原則69歳以下の場合となります。 |
▶ なお、『「従業員・役員の年齢」と「給与計算における社会保険料控除の要否」との関係 』につきましては、
別途『 「被保険者の年齢」と「給与計算における社会保険料の控除」 』にて詳細にご紹介させて頂いておりますので、必要がある場合には、当該リンクページをご一読頂ますようお願い致します。
2、給与計算における「従業員・役員の年齢」の確認
上記のように、各社会保険には「年齢による加入要件」や「年齢による社会保険料の負担要件」があります。
このため、給与計算において各種の社会保険料を控除する場合には、
「従業員・役員の年齢」にも注意して、それぞれの社会保険料の控除を行うことが必要となります。 |
Ⅲ:社会保険料の「負担割合」と「負担金額」
『 給与計算において「給与・役員報酬」から「社会保険料を控除する」』場合には、
「控除する社会保険料の金額」を算定することが必要となりますが、 |
この『 給与計算において「控除する社会保険料の金額」』は、
「会社が社会保険の保険者に対して納付する社会保険料」のうち「従業員・役員が個人で負担する部分の金額」となります。 |
このため、ここでは、
- 『 社会保険料に係る「会社」と「従業員・役員」との保険料負担割合 』をご紹介させて頂くとともに、
- 『「会社が給与計算で控除する社会保険料の金額」の算定式 』をご紹介させて頂きます。
1、社会保険料の「負担割合(負担関係)」
社会保険である「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」につきましては、
社会保険料の半分を「会社」が負担し、社会保険料の半分を「従業員・役員」が負担することとなります。 |
参考: 社会保険料の負担割合の制度趣旨
2、会社が給与計算で「控除する社会保険料の金額」の算定式
1)会社から保険者に「納付する社会保険料の金額」の算定式
会社が保険者に支払わなければならない「健康保険料・介護保険料」「厚生年金保険料」は、
・各従業員・役員ごとに決定される「健康保険の標準報酬月額」及び「厚生年金保険の標準報酬月額」に ・「健康保険料・介護保険料の保険料率」「厚生年金保険料の保険料率」を乗じて算定されます。 |
すなわち、
会社が保険者に支払わなければならない「健康保険料・介護保険料」は、
「健康保険の標準報酬月額」 × 「健康保険料・介護保険料の保険料率」 となり、 |
会社が保険者に支払わなければならない「厚生年金保険料」は、
「厚生年金保険の標準報酬月額」 × 「厚生年金保険料の保険料率」 となります。 |
2)給与計算において「控除する社会保険料の金額」の算定式
「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」の「社会保険料」につきましては、
・上記1でご紹介させて頂きましたように『「会社」と「従業員・役員」で半額づつ負担する 』こととなり、
・また、「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」の「社会保険料」は、『 上記2でご紹介させて頂きました「計算式」』により算定されます。
このため、「給与・役員報酬計算」において「控除する(従業員・役員負担分の)社会保険料」につきましては、
「健康保険料・介護保険料の控除額」が、
「健康保険の標準報酬月額」 × 「健康保険料・介護保険料の保険料率」 × 1 / 2 となり、 |
「厚生年金保険料の控除額」が、
「厚生年金保険の標準報酬月額」 × 「厚生年金保険料の保険料率」 × 1 / 2 となります。 |
Ⅳ:「社会保険料の控除計算」に必要な基礎情報
「給与・役員報酬の計算」において「控除することが必要となる社会保険料控除額」は、
『 上記Ⅲ-2-(2)でご紹介させて頂きました「計算式」』により算定されることになりますが、 |
この『「社会保険料の控除額」を算定する』ためには、
各従業員・役員ごとの「健康保険料に係る標準報酬月額」及び「厚生年金保険料に係る標準報酬月額」 「健康保険料・介護保険料の保険料率」及び「厚生年金保険料の保険料率」 についての情報が必要となります。 |
このため、ここでは 以下 1 及び 2 で「給与計算において控除する社会保険料の算定基礎」となる
- 「標準報酬月額」についての情報入手 (「社会保険料の控除額計算のための事前準備1」)
- 「社会保険の保険料率」についての情報入手 (「社会保険料の控除額計算のための事前準備2」)
につき、ご紹介させて頂きます。
1、「標準報酬月額」に関する情報(「標準報酬決定通知書」)の入手
社会保険料の計算における「標準報酬月額」の使用
「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」等の「社会保険料」の計算は、
「毎月の実際給与支給額」「毎月の実際役員報酬額」に基づいて計算するのではなく、 社会保険料の計算に特有の 「標準報酬月額」 というものに基づいて計算されます。 |
参考: 社会保険料の計算において「標準報酬」が使用される理由
「標準報酬月額」の決定
この『「社会保険料の控除額」の算定基礎金額 』となる「標準報酬月額」は、
- 会社独自で決定するものではなく、
- 会社が「標準報酬決定に係る届出・申請」※1を行い、保険者から会社に「標準報酬決定通知書」等※2が届くことにより決定されます。
このため、『 給与・役員報酬の計算において「控除する社会保険料」』を算定するためには、
・社会保険の保険者からの「標準報酬決定通知書」等が届いており、 ・従業員・役員ごとの「標準報酬月額」が決定されていることが前提となります。 |
※1: 標準報酬決定に係る届出・申請
※2: 標準報酬決定通知書
▶ なお、「標準報酬月額」につきましては、別途『 標準報酬月額 』というページでより詳細に記載しておりますので、
『「標準報酬月額」についてのより詳細な内容 』をご確認頂く場合には、このリンクページをご覧頂きますようお願い致します。
2、「社会保険の保険料率」に関する情報の入手
「社会保険料の控除額」を算定するためには、「各社会保険の保険料率」である
「健康保険料・介護保険料」の「保険料率」 「厚生年金保険料」の「保険料率」 に関する情報を入手することが必要となります。 |
この点、「これらの保険料率」は『 全国健康保険協会が公表する「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」※1 』に記載されるため、
同協会のHPにおいて『 都道府県別に公表される「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」』を公表の都度入手して頂くことが必要となります。※2 |
※1: 健康保険・厚生年金保険の保険料額表
※2: 「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」の入手方法
▶ なお、「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」につきましては、別途『健康保険・厚生年金保険の保険料額表』で『 当該「保険料額表」の見方 』を記載しております。
初めて「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」をご使用される場合など、当該「保険料額表」の見方がわからない場合には、当該リンクページをご覧頂きますようお願い致します。
Ⅴ:「社会保険料の控除額」の計算の特徴
上記Ⅲでご紹介させて頂きましたように、給与計算において「社会保険料の控除金額」を算定するためには、
- 各従業員・役員ごとの「健康保険料に係る標準報酬月額」及び「厚生年金保険料に係る標準報酬月額」
- 「健康保険料・介護保険料の保険料率」及び「厚生年金保険料の保険料率」
についての情報が必要となりますが、
他方で、この『 給与計算において「控除する社会保険料額」』は、
・「健康保険の標準報酬月額や保険料率」「厚生年金保険の標準報酬月額や保険料率」が決定されていれば、 ・「その月の実際の給与支給額や役員報酬支給額」に関係なく算定することができるということを意味しており、 |
よって、『 給与計算において「控除する社会保険料の金額」 』は、以下のような特徴を持ちます。
1)「実際の給与支給額・役員報酬支給額」に左右されることなく決定されるという特徴
『 給与計算において「控除する社会保険料の金額」の算定 』は、
- 「実際の給与支給額」に「保険料率」を乗じて計算するのではなく、
- 『 固定的に決定される「標準報酬月額」』に『 固定的に決定される「保険料率」』を乗じて計算されることから、
『 給与計算において「控除する社会保険料の金額」』は、 その月の給与計算における「実際の給与支給額・役員報酬支給額」に左右されることなく決定されるという特徴を持ちます。 |
2) 「社会保険料の控除金額」は、計算要素の変更がない限り変更されないという特徴
「社会保険料の控除金額」は、「(固定的な)標準報酬月額」と「(固定的な)保険料率」から算定されるため、
その計算要素である
「社会保険料の控除金額」は変更されず、固定的であるいう特徴を持ちます。 |
▶ なお、『 給与計算において「控除する社会保険料」の算定方法 』につきましては、
別途『 「社会保険料の控除金額」の算定方法 』でご紹介させて頂いておりますので、当該リンクページにつきましても是非ご一読頂ますようお願い致します。
Ⅵ:給与計算における「社会保険料の控除時期」
「社会保険料」のうち「従業員・役員の個人負担金額」は、
- 従業員・役員個人が直接保険者に支払うのではなく、
- 会社が従業員・役員に「支給する給与・報酬」から控除(天引き)することにより、一旦会社が従業員・役員から徴収し、
- その後、会社から保険者に『「会社負担分の社会保険料」と「従業員・役員個人負担分の社会保険料」の「合計額」』を支払うことにより納付されます。
このため、会社は「毎月の給与計算」で、
・「従業員・役員個人負担分の社会保険料」の金額を計算し、 ・「支給する給与支給額・役員報酬額」から控除することが必要となりますが、 |
この「 社会保険料を控除するタイミング(時期)」につきましては、
「特定月の社会保険料」を「いつ給与・役員報酬から控除する」かが問題となります。 |
従いまして、ここでは、『 給与計算における「社会保険料の控除時期」』を以下でご紹介させて頂きます。
1、給与計算における「社会保険料の控除(徴収)時期」
「ある月分の従業員・役員負担分の社会保険料」は、
「その月の翌月」に支払われる「給与手当、役員報酬」から徴収(控除)することとなります。 |
例示
例えば、「3月分の社会保険料」は「4月に支払う給与・役員報酬」で控除することとなります |
すなわち、
「3月分の社会保険料」は、あくまで、
・『 3月の社会保険料に適用される「標準報酬月額」』と ・『 3月の社会保険料に適用される「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」』によって算定されますが、 |
当該「3月分の社会保険料」を控除する時期は、
4月に支払われる「給与・役員報酬」の給与計算時となります。 |
2、給与計算時点からみた場合の「社会保険料の控除(徴収)時期」
「従業員・役員個人負担分の社会保険料」を控除するタイミングは、「上記でご紹介させて頂きました時期」となりますが、
これを給与計算時点から見ると、
「ある月に支払われる給与計算で控除する社会保険料」は、 「その支払が行われる前月分の社会保険料」を算定して、控除することとなります。 |
例示1
- 「3月分の給与(給与計算対象期間:3月16日~4月15日)」として、
- 4月25日に支払われる給与の計算を行っている場合には、
・『3月の社会保険料に適用される「標準報酬月額」』と 「3月分の社会保険料」を当該4月25日に支払われる給与から控除することとなります。 |
例示2
- 「4月分の給与(給与計算対象期間:4月1日~4月30日)」として、
- 4月30日に支払われる給与の計算を行っている場合には、
・『 3月の社会保険料に適用される「標準報酬月額」』と 「3月分の社会保険料」を当該4月30日に支払われる給与から控除することとなります。 |
Point ! :「給与計算時において控除する社会保険料の算定」の考え方 給与計算時において、「控除する社会保険料」を算定する場合には、 ・その給与計算で計算される「給与・役員報酬」がいつ支払われるものであるか?を把握し、
「控除する社会保険料」を算定することとなります。 |
Ⅶ:「社会保険料の算定基礎の改定」と「注意すべき給与計算月」
『 給与計算において「控除する社会保険料」の算定 』につきましては、上記Ⅲ~Ⅴでご紹介させて頂きましたように、
・「健康保険に係る標準報酬月額」「厚生年金保険に係る標準報酬月額」及び ・「健康保険・介護保険に係る保険料率」「厚生年金保険に係る保険料率」によって算定されます。 |
従いまして、上記の「社会保険料の算定基礎金額(標準報酬月額)」及び「社会保険料の算定基礎率(保険料率)」の変更・改定がなされない場合には、
『 給与計算において「各従業員・役員から徴収(控除)する社会保険料の金額」』は変更されませんが、
「健康保険料・介護保険料の算定基礎率」である「健康保険・介護保険の保険料率」につきましては、
・毎年、見直し改定が行われ、 ・『「3月分の保険料」を算定する場合に使用される保険料率 』から新しい保険料率が適用され、 (新しい保険料率は、『「4月に支払われる給与・役員報酬」から控除される保険料の算定 』から使用されます。) |
「社会保険料の算定基礎金額」である「標準報酬月額」につきましては、
・毎年、「会社に在籍する従業員・役員」全員を対象とした『「標準報酬月額」の一斉見直決定 』である「定時決定」が行われ、 ・『「9月分の社会保険料」を算定する場合に使用される標準報酬月額 』から新しい標準報酬月額が適用されます。 (新しい標準報酬月額は、『「10月に支払われる給与・役員報酬」から控除される社会保険料の算定 』から使用されます。) |
このため、
「4月に支払われる給与・役員報酬の計算」を行う場合の「3月分の社会保険料控除額の算定」 「10月に支払われる給与・役員報酬の計算」を行う場合の「9月分の社会保険料控除額の算定」 では、以下のような注意が必要となります。 |
1、「4月に支払われる給与・役員報酬の計算」を行う場合の注意点
上記でご紹介させて頂きましたように『「健康保険料・介護保険料」の「保険料率」』は、
毎年『「3月分の健康保険料・介護保険料」の算定に適用される「保険料率」』から見直改定がなされます。 |
このため、「保険料率」及び「その保険料率に基づく社会保険料額」が記載された「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」も、
毎年、『「3月分の社会保険料」を算定する場合に使用される「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」』から見直し改定されることとなります。 |
従いまして、「4月に支払われる給与・役員報酬の計算」を行う場合には、
(3月分の社会保険料を控除する給与計算を行う場合には、)
新しく公表※された「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を入手して、 会社に在籍する被保険者の「社会保険料の控除金額」を一斉に算定し直すことが必要となります。 |
※ なお、通常「この健康保険・厚生年金保険の保険料額表」は、2月中旬頃に「日本年金機構」のHPで公表されます。
2、「10月に支払われる給与・役員報酬の計算」を行う場合の注意点
上記でご紹介させて頂きましたように「標準報酬月額」は、
・「定時決定」という手続により、 ・ 毎年『「9月分の社会保険料」の算定に適用される「標準報酬月額」』からすべての被保険者を対象として一斉見直決定されます。 |
このため、「10月に支払われる給与・役員報酬の計算」を行う場合には、
(9月分の社会保険料を控除する給与計算を行う場合には、)
『「定時決定」により新しく決定された「標準報酬月額」』に基づいて、 会社に在籍する被保険者の「社会保険料の控除金額」を一斉に算定し直すことが必要となります。 |
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、弊税理士事務所・会計事務所が「給与計算において社会保険料の控除計算」を行うために最低限必要と思う「基礎的事項」につき、ご紹介させて頂いております。
「社会保険料の控除の対象となる従業員・役員の範囲」と「控除する社会保険料の種類」につきまして
「給与計算において社会保険料の控除計算」を行うためには、
まず、「社会保険料の控除対象となる従業員・役員の範囲」及び「給与計算で控除する社会保険料の種類」についての基礎的な理解が必要となると考えます。
このため、上記Ⅰ及び上記Ⅱにおきましては、
「社会保険料の控除対象となる従業員・役員の範囲」及び「給与計算で控除する社会保険料の種類」をご紹介させて頂いております。
なお、「給与計算で控除する社会保険料の種類」につきましては、「従業員・役員の年齢」によっても異なるものとなりますので、
実務上「給与計算において社会保険料の控除計算」を行う場合には、上記Ⅱでご紹介させて頂いております事項をご理解頂き、従業員・役員の年齢をご確認の上、適切に控除計算を行って頂ますようお願い致します。
「給与計算において控除する社会保険料の算定方法」につきまして
実務上「給与計算において社会保険料の控除計算」を行う場合には、
- 「給与計算で控除する社会保険料」がどのような計算式に基づいて算定されているか?
- 「給与計算で控除する社会保険料の算定」を行うためには、どのような情報・資料が必要となるか?
- 「給与計算で控除する社会保険料の算定」はどのようなものか?(どのような特徴があるか?)
についての、基礎的な理解が必要となると考えます。
このため、上記Ⅲ~Ⅴにおきましては、
- 「給与計算で控除する社会保険料」の計算式
- 「給与計算で控除する社会保険料の算定」を行うためには、どのような情報・資料が必要となるのか
- 「給与計算で控除する社会保険料の算定」にはどのような特徴があるのか
についてご紹介させて頂いております。
なお、「給与計算で控除する社会保険料」を算定するためには、上記の他、
- 「その算定基礎金額」となる「標準報酬月額」に対する基礎的な理解
- 社会保険料の算定のために使用する「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」に対する基礎的な理解
が必要となると考えます。
この点につきましては、本文でもご紹介させて頂いておりますように、
で、別途ご紹介させて頂いておりますので、必要のある場合には、是非、これらのリンクページも併せてご一読頂けたらと思っております。
また、『「給与計算において控除する社会保険料」の具体的な算定方法 』につきましては、別途、『 「社会保険料の控除金額」の算定方法 』というページでご紹介させて頂いておりますので、この点につきましては、当該リンクページをご覧頂きますようお願い致します。
給与計算における「社会保険料の控除時期」につきまして
実務上「給与計算において社会保険料の控除計算」を行う場合には、
「特定月の社会保険料」を「いつ給与・役員報酬から控除する」かについての基礎的な理解が必要となると考えます。
このため、上記Ⅵにおきましては、
- 給与計算において「社会保険料を控除する時期」についてご紹介させて頂くとともに、
- 「実際の給与計算時点から見た場合に控除する社会保険料は何月分ものとなるのか」
をご紹介させて頂いております。
「社会保険料の控除」において「注意すべき給与計算月」につきまして
上記Ⅶでご紹介させて頂いておりますように、
- 4月に支払うことになる給与・役員報酬の計算を行う場合、
- 10月に支払うことになる給与・役員報酬の計算を行う場合には、
『 算定基礎率である「保険料率」』や『 算定基礎となる「標準報酬月額」』が改定されるため、
「給与計算で控除する社会保険料」を一斉に算定し直すことが必要となります。
このため、「上記のような給与計算月」につきましては、「控除社会保険料の見直算定が必要となる」ということをご留意頂き、時間的余裕を持って給与計算を行って頂ますようお願い致します。
最後に
最後になりますが、「給与計算において社会保険料の控除」を行うためには、
- 「社会保険料の控除計算」に対する基礎的な理解
- 社会保険料の控除計算独自の「標準報酬月額」「保険料額表」などに対する基礎的な理解
が必要となるため、社会保険料の控除計算に不慣れな場合には、かなり難解なことがあると思います。
ただし、一旦上記のことが理解できると、実務上それほど労力のかからないものとなると考えますので、
是非、この機会に、社会保険料の控除計算に対する様々な事項をご理解頂き、マスターして頂ければありがたいと考えております。