ここでは、労働保険制度における『「現物給与」の取り扱い 』を、以下の項目に従い、ご紹介させて頂きます。
▶ なお、当該ページは『「雇用保険料の控除計算」に必要な「基礎知識」』及び『 労働保険料の算定基礎となる「賃金の範囲」 』というページを補完するものとなります。
▶ 労働保険制度における『「現物給与」の基本的な取扱い 』
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』には、
『 事業主(会社等)が労働者(従業員)に対して、労働の対償として支払うすべてのもの 』が含まれるため、 |
『「居住(社宅等)の貸与、食事の提供、被服の提供・貸与」などの「現物給与」』につきましては、
・これら「現物給与」が『「労働の対償」として支給されている 』と認められる場合には、 ・これら「現物給与」を『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
他方、『「居住(社宅等)の貸与、食事の提供、被服の提供・貸与」などの「現物給与」』につきましては、
「過去からの慣行」として、 会社から従業員に対して『「福利厚生目的」のために支給されてきた 』という経緯もあることから、 |
「労働保険制度」では、このことを考慮し、
『「居住(社宅等)の貸与、食事の提供、被服の提供・貸与」等の「現物給与」』が、 ・『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と認められる場合には、 ・それらを『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めないとする規定も設けています。 |
以上のように、「労働保険制度」におきましては、
『「居住(社宅等)の貸与、食事の提供、被服の提供・貸与」などの「現物給与」』は、
それらが『「「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と認められる場合には、 ・それら「現物給与」は『「労働の対償」として支給されているものではない 』と考え、
それらが『「福利厚生目的の範囲」を超えて支給されている 』と認められる場合には、 ・それら「現物給与」は『「労働の対償」として支給されているものである 』と考え、
それらが支給される状況等によって、「異なる取扱い」をする規定を設けています。 |
このため、ここでは、
「住居(社宅等)の貸与」という「現物給与」についての労働保険制度における取り扱いを 下記Ⅰ で、
『「住居(社宅等)の貸与」に伴う「水道光熱費の会社負担」』についての労働保険制度における取り扱いを 下記Ⅱ で、
「食事の提供」という「現物給与」の労働保険制度における取り扱いを 下記Ⅲ で、
「被服の提供・貸与」という「現物給与」についての労働保険制度における取り扱いを 下記Ⅳ でご紹介させて頂きます。
なお、ここでご紹介させて頂きます規定は、あくまで「労働保険制度」に限定した取扱規定となるものであり、
- 従業員等の個人所得税の課税対象となる『「給与(課税支給額)」の範囲 』や
- 社会保険料の「標準報酬月額」算定における『「報酬(報酬月額)」の範囲 』につきましては、
「それぞれの制度」で「それぞれ別の取扱い」がなされていますので、この点につきましてはご留意下さい。
Ⅰ:「社宅等の貸与による利益(居住の利益)」の取扱い
1、「社宅等の貸与」の取扱概要
本文冒頭でもご紹介させて頂きましたが、
「労働保険制度」におきましては、 「現物給与」が『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と認められる場合には、 「現物給与」が『「福利厚生目的の範囲」を超えて支給されている 』と認められる場合には、 |
この点、「社宅・寮等の貸与(社宅等の貸与)」におきましては、
「社宅等の貸与」が、 『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と認められる場合の「判断基準」を設け、 |
「社宅等の貸与」が当該「判断基準」に該当する場合には、 当該「社宅等の貸与」を『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることは不要となりますが、
「社宅等の貸与」が当該「判断基準」に該当しない場合には、 当該「社宅等の貸与」を『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
なお、「上記の判断基準」につきましては、
「3段階での判断基準」が設けられており、 |
「第1段階の判断基準」として、
「第2段階の判断基準」として、
「第3段階の判断基準」として、
の「判断基準」が設けられています。 |
2、「社宅等の貸与」の具体的な取扱い
上記1)では『「取扱い」の概要 』をご紹介させて頂きましたが、
「社宅等の貸与」に関する『 労働保険制度上での「具体的な取扱い」』は以下のものとなります。
◆ 「第1段階の基準」による判断 ◆
まず「 最初の判断 」として、
「社宅等の貸与」が『「福利厚生目的の範囲」で支給されているか 』の判断が行われます。 |
そして、上記「判断」の結果、
ⅰ)会社から「社宅等を貸与していない従業員」に対して、「均衡手当」が支払われていない場合には、
・当該「社宅等の貸与」は 『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と見做されるため、
・当該「社宅等の貸与」につきましては、
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることは不要となります。 |
ⅱ) 他方、会社から「社宅等を貸与していない従業員」に対して、「均衡手当」が支払われている場合には、
・当該「社宅等の貸与」は、この段階では『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』とは認められず、
・当該状況下で支給されている「社宅等の貸与」につきましては、
『「福利厚生目的の範囲」で支給されているか 』を再度判断するため、以下「第2段階の判断」が行われます。 |
◆ 「上記の取扱い」についての趣旨 ◆
◆ 「上記の取扱い」が記載されている規定 ◆
◆ 「第2段階の基準」による判断 ◆
「 第2段階の判断 」としては、
『 上記「第1段階」では「福利厚生目的の範囲で支給されているとは判断されなかったもの」』に対して、
再度、「社宅等の貸与」が『「福利厚生目的の範囲」で支給されているか 』の判断が行われます。 |
そして、上記「判断」の結果、
ⅰ)会社が「社宅等を貸与している従業員」から、「賃料(使用料)」を徴収していない場合には、
・当該『 賃料の徴収がない「社宅等の貸与」』は 『「労働の対償」として支給されている 』と見做されるため、
・当該『 賃料の徴収がない「社宅等の貸与」』につきましては、
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
なお、この場合には『「社宅等貸与の全体」が「労働の対償」として支給されている 』と考えるため、
『「社宅等貸与の金銭評価額」※の全額 』を 『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
ⅱ) 他方、会社が「社宅等を貸与している従業員」から、「賃料(使用料)」を徴収している場合には、
・当該『 賃料の徴収を伴う「社宅等の貸与」』は 『「福利厚生目的」のために支給されている 』と判断されるため、
・当該『 賃料の徴収を伴う「社宅等の貸与」』につきましては、
原則、『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めないという取扱いがなされます。 |
ただし、この場合であっても
・『 従業員から徴収する「賃料」』があまりにも僅少である場合には、
当該「社宅等の貸与」には『「福利厚生目的の範囲」を超えて支給されていると考えられる部分 』が含まれるため、
・ 当該状況下で支給されている「社宅等の貸与」につきましては、
『「福利厚生目的の範囲」で支給されているか 』を再度判断するため、以下「第3段階の判断」が行われます。 |
◆ 「上記の取扱い」についての趣旨 ◆
◆ 「上記の取扱い」が記載されている規定 ◆
◆ 「第3段階の基準」による判断 ◆
「 第3段階の判断 」としては、
『 上記「第2段階」では『「原則、福利厚生目的のために支給されていると判断されたもの」 』に対して、
再度、「社宅等の貸与」が「福利厚生目的の範囲で支給されているか」の判断が行われます。 |
そして、上記「判断」の結果、
ⅰ)『 従業員から徴収する「賃料」』が、『「社宅等貸与の金銭評価額」※の1/3 以上の金額 』である場合には、
・当該『 1/3以上の賃料徴収を伴う「社宅等の貸与」』は 、
『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と見做されるため、
・当該『 1/3以上の賃料徴収を伴う「社宅等の貸与」』につきましては、
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることは不要となります。 |
ⅱ) 他方、『 従業員から徴収する「賃料」』が、『「社宅等貸与の金銭評価額」※の1/3 未満の金額 』である場合には、
『「社宅等貸与の金銭評価額※の1/3 の金額」と「賃料徴収額」との「差額部分」』は、
労働保険制度上、『「福利厚生目的の範囲」を超えて支給されたものである 』と見做されるため、
当該『「社宅等貸与の金銭評価額※の1/3 の金額」から「賃料徴収額」を「差し引いた金額」』のみを、
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
◆ 「社宅等貸与の金銭評価額」につきまして (上記※につきまして) ◆
◆ 「上記の取扱い」についての趣旨 ◆
◆ 「上記の取扱い」が記載されている規定 ◆
◆ 『「社宅等の貸与」の取扱い 』のまとめ ◆
3、『「社宅等の貸与」の取扱い 』についての「例示」によるご紹介
1)「均衡手当」が支給されていない場合
例示
「社宅の貸与」を行っているが、これに伴う「均衡手当」の支給はない。 |
取扱い
2)「均衡手当」が支給されている場合
①「賃料」の徴収がない場合
例示
「社宅の貸与」を行っており、これに伴い「社宅を貸与していない従業員」に「均衡手当」を支給している。 また、「社宅を貸与している従業員」から「賃料」は徴収していない。 なお、「均衡手当の支給額」は4万円であり、『 厚生労働大臣が定めた「社宅貸与の評価額」』は5万円である。 |
取扱い
②「賃料」の徴収がある場合
ⅰ)「賃料の徴収金額」が『「社宅貸与の金銭評価額」の1/3以上 』である場合
例示
「社宅の貸与」を行っており、これに伴い「社宅を貸与していない従業員」に「均衡手当」を支給している。 また、「社宅を貸与している従業員」から「賃料」として1万円を徴収している。 なお、「均衡手当の支給額」は4万円であり、『 厚生労働大臣が定めた「社宅貸与の評価額」』は3万円である。 |
取扱い
ⅱ)「賃料の徴収金額」が『「社宅貸与の金銭評価額」の1/3未満 』である場合
例示
「社宅の貸与」を行っており、これに伴い「社宅を貸与していない従業員」に「均衡手当」を支給している。 また、「社宅を貸与している従業員」から「賃料」として4千円を徴収している。 なお、「均衡手当の支給額」は3万円であり、『 厚生労働大臣が定めた「社宅貸与の評価額」』は4万円である。 |
取扱い
▶ なお、『「社宅等の貸与」の取扱い 』についての「具体的例示」つきましては、
『 「雇用保険料控除額」の具体的な計算方法 』の『 Ⅲ:「雇用保険料控除額」の具体的な算定例示 例示3 』でもご紹介をしておりますので、必要となる場合には、当該ページもご覧頂きますようお願い致します。
Ⅱ:『「社宅等の水道光熱費」の会社負担 』の取扱い
「社宅等の貸与」が行われている下で、『 社宅等で従業員が使用した「水道光熱費」』を会社が負担している場合には、
『 会社が負担した「水道光熱費」』は、
『「福利厚生目的の範囲」を超えて支給されている「現物給付」』であると考えられるため、
『 会社が負担した「水道光熱費」にかかる「実際費用の全額」』につきましては、
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
◆ 「上記の取扱い」についての趣旨 ◆
Ⅲ:「食事の供与による利益(食事の利益)」の取扱い
1、「食事の提供」の取扱概要
本文冒頭でもご紹介させて頂きましたが、
「労働保険制度」におきましては、 「現物給与」が『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と認められる場合には、 「現物給与」が『「福利厚生目的の範囲を超えて」支給されている 』と認められる場合には、 |
この点、「食事の提供」におきましては、
「食事の提供」が、 『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と認められる場合の「判断基準」を設け、 |
「食事の提供」が当該「判断基準」に該当する場合には、 当該「食事の提供」を『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることは不要となりますが、
「食事の提供」が当該「判断基準」に該当しない場合には、 当該「食事の提供」を『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
なお、「上記の判断基準」につきましては、
「3段階での判断基準」が設けられており、 |
「第1段階の判断基準」として、
「第2段階の判断基準」として、
「第3段階の判断基準」として、
の「判断基準」が設けられています。 |
2、「食事の提供」の具体的な取扱い
上記1)では『「取扱い」の概要 』をご紹介させて頂きましたが、
「食事の提供」に関する『 労働保険制度上での「具体的な取扱い」』は以下のものとなります。
◆ 「第1段階の基準」による判断 ◆
まず「 最初の判断 」として、
「食事の提供」が『「福利厚生目的の範囲」で支給されているか 』の判断が行われます。 |
そして、上記「判断」の結果、
ⅰ)「 上記(1)の事項 」 又は 「 上記(2)①~③のすべての事項 」をクリアしている場合には、
・当該「食事の提供」は 『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と見做されるため、
・当該「食事の提供」を
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることは不要となります。 |
ⅱ) 他方、「 上記(1)の事項 」 又は 「 上記(2)①~③のいずれかの事項 」をクリアしない場合には、
・当該「食事の提供」は、この段階では『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』とは認められず、
・当該状況下で支給されている「食事の提供」につきましては、
『「福利厚生目的の範囲」で支給されているか 』を再度判断するため、以下「第2段階の判断」が行われます。 |
◆ 「上記の取扱い」についての趣旨 ◆
◆ 「上記の取扱い」が記載されている規定 ◆
◆ 「第2段階の基準」による判断 ◆
「 第2段階の判断 」としては、
『 上記「第1段階」では「福利厚生目的の範囲で支給されているとは判断されなかったもの」』に対して、
再度、「食事の提供」が『「福利厚生目的の範囲」で支給されているか 』の判断が行われます。 |
そして、上記「判断」の結果、
ⅰ)会社が「食事を提供している従業員」から、「食費」を徴収していない場合には、
・当該『 食費の徴収がない「食事の提供」』は、
『「労働の対償として」又は「福利厚生目的の範囲を超えて」支給されている 』と見做されるため、
・当該『 食費の徴収がない「食事の提供」』につきましては、
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
なお、この場合には、
『「食事提供」の全体 』が『「労働の対償として」又は「福利厚生目的の範囲を超えて」支給されている 』と考えるため、
『「食事提供の金銭評価額」※の全額 』を 『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
ⅱ) 他方、会社が「食事を提供している従業員」から、「食費」を徴収している場合には、
・当該『 食費の徴収を伴う「食費の提供」』は 『「福利厚生目的」のために支給されている 』と判断されるため、
・当該『 食費の徴収を伴う「食費の提供」』につきましては、
原則、『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めないという取扱いがなされます。 |
ただし、この場合であっても
・『 従業員から徴収する「食費」』があまりにも僅少である場合には、
当該「食事の提供」には『「福利厚生目的の範囲」を超えて支給されていると考えられる部分 』が含まれるため、
・ 当該状況下で支給されている「食事の提供」につきましては、
『「福利厚生目的の範囲」で支給されているか 』を再度判断するため、以下「第3段階の判断」が行われます。 |
◆ 「上記の取扱い」についての趣旨 ◆
◆ 「上記の取扱い」が記載されている規定 ◆
◆ 「第3段階の基準」による判断 ◆
「 第3段階の判断 」としては、
『 上記「第2段階」では『「原則、福利厚生目的のために支給されていると判断されたもの」 』に対して、
再度、「食事の提供」が「福利厚生目的の範囲で支給されているか」の判断が行われます。 |
そして、上記「判断」の結果、
ⅰ)『 従業員から徴収する「食費」』が、『「食事提供の金銭評価額」※の1/3 以上の金額 』である場合には、
・当該『 1/3以上の食費徴収を伴う「食事の提供」』は 、
『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と見做されるため、
・当該『 1/3以上の食費徴収を伴う「食事の提供」』につきましては、
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることは不要となります。 |
ⅱ) 他方、『 従業員から徴収する「食費」』が、『「食事提供の金銭評価額」※の1/3 未満の金額 』である場合には、
『「食事提供の金銭評価額※の1/3 の金額」と「食費徴収額」との「差額部分」』は、
労働保険制度上、『「福利厚生目的の範囲」を超えて支給されたものである 』と見做されるため、
当該『「食事提供の金銭評価額※の1/3 の金額」から「食費徴収額」を「差し引いた金額」』のみを、
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
◆ 「食事提供の金銭評価額」につきまして (上記※につきまして) ◆
◆ 「上記の取扱い」についての趣旨 ◆
◆ 「上記の取扱い」が記載されている規定 ◆
◆ 『「食事の提供」の取扱い 』のまとめ ◆
3、『「食事の提供」の取扱い 』についての「例示」によるご紹介
『「食事の提供」の取扱い 』についての「具体的例示」つきましては、
『 「雇用保険料控除額」の具体的な計算方法 』の『 Ⅲ:「雇用保険料控除額」の具体的な算定例示 例示4 』でご紹介をしております。
Ⅳ:「被服の提供等による利益(被服の利益)」の取扱い
1、「被服の提供等」の取扱概要
本文冒頭でもご紹介させて頂きましたが、
「労働保険制度」におきましては、 「現物給与」が『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と認められる場合には、 「現物給与」が『「福利厚生目的の範囲」を超えて支給されている 』と認められる場合には、 |
この点、「被服の提供・貸与(被服の提供等)」におきましては、
「被服の提供等」が、 『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と認められる場合の「判断基準」を設け、 |
「被服の提供等」が当該「判断基準」に該当する場合には、 当該「被服の提供等」を『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることは不要となりますが、
「被服の提供等」が当該「判断基準」に該当しない場合には、 当該「被服の提供等」を『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
なお、「上記の判断基準」につきましては、
「3段階での判断基準」が設けられており、 |
「第1段階の判断基準」として、
「第2段階の判断基準」として、
「第3段階の判断基準」として、
の「判断基準」が設けられています。 |
2、「被服の提供等」の具体的な取扱い
上記1)では『「取扱い」の概要 』をご紹介させて頂きましたが、
「被服の提供等」に関する『 労働保険制度上での「具体的な取扱い」』は以下のものとなります。
◆ 「第1段階の基準」による判断 ◆
まず「 最初の判断 」として、
「被服の提供等」が『「福利厚生目的の範囲」で支給されているか 』の判断が行われます。 |
そして、上記「判断」の結果、
ⅰ)『 会社から従業員に「提供等されている被服」』が、「業務上着用するための被服」である場合には、
・当該「被服の提供等」は 『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と見做されるため、
・当該「被服の提供等」を
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることは不要となります。 |
ⅱ) 他方、『 会社から従業員に「提供等されている被服」』が、「業務上着用するための被服」でない場合には、
・当該「被服の提供等」は、この段階では『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』とは認められず、
・当該状況下で支給されている「被服の提供等」につきましては、
『「福利厚生目的の範囲」で支給されているか 』を再度判断するため、以下「第2段階の判断」が行われます。 |
◆ 「上記の取扱い」についての趣旨 ◆
◆ 「上記の取扱い」が記載されている規定 ◆
◆ 「第2段階の基準」による判断 ◆
「 第2段階の判断 」としては、
『 上記「第1段階」では「福利厚生目的の範囲で支給されているとは判断されなかったもの」』に対して、
再度、「被服の提供等」が『「福利厚生目的の範囲」で支給されているか 』の判断が行われます。 |
そして、上記「判断」の結果、
ⅰ)会社が「被服を提供等している従業員」から、「被服費」を徴収していない場合には、
・当該『 被服費の徴収がない「被服の提供等」』は、
『「労働の対償として」又は「福利厚生目的の範囲を超えて」支給されている 』と見做されるため、
・当該『 被服費の徴収がない「被服の提供等」』につきましては、
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
なお、この場合には、
『「被服提供等」の全体 』が『「労働の対償として」又は「福利厚生目的の範囲を超えて」支給されている 』と考えるため、
『「被服提供等にかかる実際費用」の全額 』を 『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
ⅱ) 他方、会社が「被服を提供等している従業員」から、「被服費」を徴収している場合には、
・当該『 被服費の徴収を伴う「被服の提供等」』は 『「福利厚生目的」のために支給されている 』と判断されるため、
・当該『 被服費の徴収を伴う「被服の提供等」』につきましては、
原則、『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めないという取扱いがなされます。 |
ただし、この場合であっても
・『 従業員から徴収する「被服費」』があまりにも僅少である場合には、
当該「被服の提供等」には『「福利厚生目的の範囲」を超えて支給されていると考えられる部分 』が含まれるため、
・ 当該状況下で支給されている「被服の提供等」につきましては、
『「福利厚生目的の範囲」で支給されているか 』を再度判断するため、以下「第3段階の判断」が行われます。 |
◆ 「上記の取扱い」についての趣旨 ◆
◆ 「上記の取扱い」が記載されている規定 ◆
◆ 「第3段階の基準」による判断 ◆
「 第3段階の判断 」としては、
『 上記「第2段階」では『「原則、福利厚生目的のために支給されていると判断されたもの」 』に対して、
再度、「被服の提供等」が「福利厚生目的の範囲で支給されているか」の判断が行われます。 |
そして、上記「判断」の結果、
ⅰ)『 従業員から徴収する「被服費」』が、『「被服提供等の実際費用」の1/3 以上の金額 』である場合には、
・当該『 1/3以上の被服費徴収を伴う「被服の提供等」』は 、
『「福利厚生目的の範囲」で支給されている 』と見做されるため、
・当該『 1/3以上の被服費徴収を伴う「被服の提供等」』につきましては、
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることは不要となります。 |
ⅱ) 他方、『 従業員から徴収する「被服費」』が、『「被服提供等の実際費用」の1/3 未満の金額 』である場合には、
『「被服提供等の実際費用の1/3 の金額」と「被服費徴収額」との「差額部分」』は、
労働保険制度上、『「福利厚生目的の範囲」を超えて支給されたものである 』と見做されるため、
当該『「被服提供等の実際費用の1/3 の金額」から「被服費徴収額」を「差し引いた金額」』のみを、
『 労働保険料の算定基礎となる「賃金(給与支給額)」』に含めることが必要となります。 |
◆ 「上記の取扱い」についての趣旨 ◆
◆ 「上記の取扱い」が記載されている規定 ◆
◆ 『「被服の提供等」の取扱い 』のまとめ ◆
3、『「被服の提供等」の取扱い 』についての「例示」によるご紹介
『「被服の提供等」の取扱い 』についての「具体的例示」つきましては、
『 「雇用保険料控除額」の具体的な計算方法 』の『 Ⅲ:「雇用保険料控除額」の具体的な算定例示 例示5 』でご紹介をしております。
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、『 労働保険における「現物給与」の取扱い 』についてご紹介させて頂きております。
会社から従業員等へ「現物給与」が支給されている場合には、
- 所得税法上での「現物給与の取扱い(課税所得に含まれる否か等の取扱い)」
- 社会保険での「現物給与の取扱い(社会保険制度上「報酬」に含まれるか否か等の取扱い)」
- 労働保険での「現物給与の取扱い(労働保険制度上「賃金」に含まれるか否か等の取扱い)」
が、それぞれ問題となり、かつそれぞれの制度上での取扱いが異なるものとなっています。
このため、「現物給与」が支給されている場合には、
- 所得税法上での取扱い
- 社会保険での取扱い
- 労働保険での取扱い
をそれぞれ理解し、確認することが必要となりますので、
ここでは、本文でご紹介させて頂きました内容をご理解頂き、
まずは『 労働保険での「現物給与」の取扱い 』をマスターして頂きますようお願い致します。