ここでは、「労働時間の内容」及び「労働時間の測定単位」について、以下の事項に従って、ご紹介させて頂きます。
▶ 「当該ページでご紹介させて頂きます内容」につきまして
1、「労働時間の内容」と「労働時間の把握・計算における注意点」に関するご紹介
会社におきましては、従業員が「法定時間外の労働を行った場合」「法定休日に労働を行った場合」「深夜時間帯に労働を行った場合」には、
「労働基準法」に基づいて「法定手当(「法定時間外労働手当」「法定休日労働手当」「深夜労働手当」)」を計算することが必要となるため、 その計算要素となる「法定時間外の労働時間」「法定休日における労働時間」「深夜時間帯における労働時間」を把握することが必要となりますが、 |
この「法定時間外の労働時間」「法定休日における労働時間」「深夜時間帯における労働時間」を適切に把握するためには、 その前提として、 |
このためここでは、 下記Ⅰ におきまして
「労働時間」とはどのような内容のものをいうのか? をご紹介させて頂きますとともに、
『「労働時間」の把握・計算 』において注意が必要となる
「休憩時間中における待機業務」の取扱いの注意点
「仮眠時間」の取扱いの注意点
『 就業時間外に行われる「業務・作業」』の取扱いの注意点
についてご紹介させて頂きます。
2、「労働時間の測定単位」に関するご紹介
会社におきましては、従業員が「法定時間外の労働を行った場合」には、
「労働基準法」に基づいて「法定時間外労働手当」を計算することが必要となるため、 その計算要素となる「法定時間外の労働時間」を把握することが必要となりますが、 |
この「法定時間外の労働時間」には、「1日単位の法定時間外労働時間」と「1週間単位の法定時間外労働時間」の『 2種類の「法定時間外労働時間」』があることから、
これらの『 2種類の「法定時間外労働時間」』を適切に把握するためには、 ・(その前提となる)「1日の労働時間」をどのように測定するのか? ・(その前提となる)「1週間の労働時間」をどのように測定するのか? についても事前に理解しておくことが必要となります。 |
このためここでは、 下記Ⅱ 及び 下記Ⅲ におきまして
「1日の労働時間の測定」にあたってご留意頂きたい事項、
「1週間の労働時間の測定」にあたってご留意頂きたい事項、
をご紹介させて頂きます。
Ⅰ:「労働時間の内容」と「労働時間の把握・計算における注意点」
1、「 労働時間 」の定義
◆ 「 労働時間 」の計算 ◆
「労働時間」は、
基本的には、 「始業時刻」から「終業時刻」までの「勤務時間」等から 「休憩時間」等を差し引いて計算されるものとなりますが、 |
◆ 「 労働時間 」の定義 ◆
・そもそも「労働時間」とは、
明示的・黙示的に労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間 をいうとされ、 |
・かつ、上記の「労働時間の定義」における「使用者の指揮命令下にある」とは、
当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていない状態のこと をいうとされておりますので、 |
『 一般的な「労働時間の定義」』は、
明示的・黙示的な使用者の指揮命令の下、労働者が労働から離れることを保障されていない時間 |
をいうと解釈されます。
2、「労働時間とされる時間」と「労働時間とされない時間」
1)「労働時間とされる時間」につきまして
『「労働時間」の定義 』につきましては、上記1でご紹介させて頂きましたようなものとなりますので、
『「本来的な業務・作業等」が行われている時間 』や 『「本来的な業務に付随する業務・作業等」が行われている時間 』につきましては、 『 使用者の指揮命令の下、労働者が労働から離れることを保障されていない時間 』に該当することから、 当然に「労働時間」となりますが、 |
「作業と作業の間の待機時間」や「客待ち時間」等の「手待時間」につきましても、 実作業に従事しているわけではないが、使用者からの指示や来客等があれば 直ちに就労することができるように待機している時間であり、 『 使用者の指揮命令の下、労働者が労働から離れることを保障されていない時間 』となることから、 この「手待時間」についても「労働時間」に含めて把握・計算することが必要となります。 |
2)「労働時間とされない時間」につきまして
他方、
「休憩時間」や、 「(夜間勤務時における)仮眠時間」などにつきましては、 その時間中に「労働者が労働から離れることを保障されている」ような状況にある場合には、 「これらの時間」は、『「労働時間」に該当しない時間 』となります。 |
▶ 「休憩時間」や「仮眠時間」を『「労働時間」として取り扱わないための要件 』
▶ 『「休憩時間内」や「仮眠時間内」における自由利用の制限 』につきまして
3、「労働時間性」についての注意が必要となる場面
「ある時間」を『「労働時間」に含めない 』ためには、上記2でご紹介させて頂きましたように
「その時間」につき、 「労働者を労働から開放し、その時間を労働者の自由に利用させる」ことを保障することが必要となりますが、 |
この点、
「 休憩時間中に待機業務等 」がある場合 勤務時間内に「 仮眠時間 」がある場合 「 始業時刻前 」や「 終業時刻後 」に「 業務・作業 」等があるような場合には、
これらの「休憩・仮眠時間」や「業務・作業時間」を『「労働時間」として取り扱うべきか? 』『「労働時間」として取り扱わなくてもよいか? 』について注意を払うことが必要となる場合があります。 |
このため、ここでは、上記のような場合にご注意頂きたい点をご紹介させて頂きます。
1)「休憩時間中に待機業務がある場合」における注意点
「休憩時間」につきましては、
「その時間」を「休憩時間」として取り扱うためには、 (上記2でご紹介させて頂きましたように、) |
他方、
「休憩時間中」に「電話対応(電話当番)」「来客対応(来客対応当番)」「文書の収受」等があれば直ちに対応することを明示的・黙示的に指示しているような場合には、 「この時間」を「労働時間」として取り扱うことが必要となります。 |
従いまして、
「休憩時間」を、「労働時間」に含めず「休憩時間」として取り扱うためには、 「休憩時間中」におきましては、労働者に労働から離れることを保障するため、 何らの業務上の指示も与えず、原則「休憩時間」につきましては労働者が自由に利用できるようにすることが必要となりますので、 |
この点につきましては、十分ご注意頂ますようお願い致します。
2)「仮眠時間」についての注意点
「仮眠時間」につきましては、
「その時間中には労働者を労働から開放し、その時間を労働者の自由に利用させている」ような場合には、 当該「仮眠時間」を「労働時間」に含めることは不要となりますが、 |
他方で、
「仮眠時間」であっても、 使用者からの指示、来客、文書収受等があれば直ちに対応することが 行動、居場所等につき、労働者が労働から離脱することに対する使用者からの過度な拘束がある 仮眠や休憩をとることができるような設備等が不十分である など、
『 客観的・総合的にみて「労働者が労働から離れることができている」とはいえない状況にある 』ような場合には、 「これらの時間」を「労働時間」として取り扱うことが必要となります。 |
従いまして、「仮眠時間」を設けている会社で『「仮眠時間」を「労働時間」として取り扱わない 』こととしている場合には、
『「仮眠時間」をとるための状況や環境 』について 「休憩時間」と同様「労働者が労働から開放されるような勤務体制やルール」が整っているか? 「労働者が仮眠をとることができるような設備等」が適切に整っているか? 「待機時間」と見做されるような「明示・黙示の指示」が行われていなか? 「待機時間」と見做されるような「作業・対応」が現実に行われていなか? 「労働者の行動、居場所等」につき、「合理的な目的の下における必要最小限度の制限」を超えるような過度な拘束を行っていなか? などの事項を、十分に確認し・管理して頂くことが重要であると考えます。 |
3) 『 就業時間外に行われる「業務・作業」』についての注意点
◆ 「朝礼・終礼」「開閉店の作業&準備作業」 ◆
「朝礼・終礼」「開店準備作業・開店作業」「閉店準備作業・開店作業」等の「付随業務・作業」につきましては、
たとえ「当該業務・作業」が「始業時刻前」や「就業時刻後」に行われている場合であっても、 本来的業務に不可欠なものとして行われていると考えられることから、 一般的には「労働時間」に含めて把握・計算することが必要となると考えられます。 |
従いまして、
「朝礼・終礼」「開店準備作業・開店作業」「閉店準備作業・開店作業」等の「付随業務・作業」を「始業時刻前」や「就業時刻後」に行っている場合には、 当該「付随業務・作業」につきましては、「始業時刻後」や「就業時刻前」に行って頂くか、 当該「付随業務・作業時間」につきましては、「労働時間」として把握・計算して頂くことが必要になると考えます。 |
◆ 「ミーティング」「整理整頓・清掃」「教育研修・学習」等 ◆
「ミーティング」「整理整頓・清掃」「教育研修・学習」等につきましては、
労働者や労働者グループ間における自主的意思や自由参加によって行われている場合もあると思いますので、 それらが、明示的又は黙示的な使用者の指揮下で行われているものではなく、あくまで労働者の自主的意思や自由参加で行われているような場合には、 「労働時間」として取り扱う必要はないと考えますが、 |
他方で、
たとえ「当該行為や作業」が、「始業時刻前」や「就業時刻後」に行われている場合であっても、 出席することや作業を行うことについて、使用者から明示的又は黙示的な指示があったり、 出席しない場合や作業を行わなかった労働者に対して、制裁・評価の引下げ等の不利益な取り扱いがなされたり、 「当該行為や作業」が会社業務を行う上で不可欠なもの(付随業務・作業などとして)として行われてるなど、 「明示的又は黙示的に使用者の指揮下において行われている」と判断される場合には、 『「ミーティング」「整理整頓・清掃」「教育研修・学習」等の時間 』は、「労働時間」として把握・計算して頂くことが必要になると考えます。 |
従いまして、
「始業時刻前」や「就業時刻後」において『 労働時間としていない「ミーティング」「整理整頓・清掃」「教育研修・学習」等が行われている 』ような場合には、 「後者でご紹介させて頂きましたような状況が生じていないか?」についての確認や管理を行って頂くことが重要であると考えます。 |
Ⅱ:「1日の労働時間」の測定単位
1、2暦日連続勤務の場合の「1日の労働時間の測定単位」の問題
「1日単位の法定時間外労働時間」は、
「1日の労働時間 」から、 「1日単位の法定労働時間(8時間)」を控除して計算することとなりますので、 |
「1日単位の法定時間外労働時間」を適切に把握・計算するためには、
その前提として、「1日の労働時間」を適切に把握することが必要となります。 |
この点、『 1日の勤務における「終業時刻」』が24:00を超えない場合には、
「 始業時刻から終業時刻までの労働時間 」を「1日の労働時間 」として把握・測定すれば足りるため、 『「1日の労働時間」の測定単位 』に特段の問題は生じませんが、 |
他方、『 1日の勤務における「終業時刻」』が24:00を超える(暦日を跨ぐ2暦日連続勤務の)場合には、
「1日の労働時間」を把握・測定する場合に、
が問題となります。 |
すなわち、『 1日の勤務における「終業時刻」』が24:00を超える(暦日を跨ぐ2暦日連続勤務の)場合には、
「労働時間」を「暦日」によって区分して取り扱い、 「24:00以前の労働時間(当暦日の労働時間)」と「24:00以降の労働時間(翌暦日の労働時間)」とを「別々の労働時間」として取り扱うべきであるか? |
「労働時間」を「暦日」によって区分して取り扱うことはせず、 「24:00以前の労働時間」と「24:00以降の労働時間」とを「継続した一連の労働時間」として取り扱うべきであるか? |
が問題となります。
従いまして、ここでは 下記2 におきまして、
『「終業時刻」が24:00を超える(暦日を跨ぐ2暦日連続勤務の)場合の「1日の労働時間」の測定方法 』について、
- 厚生労働省から公表されている『「通達」の規定 』をご紹介させて頂くとともに、
- このような場合における『「1日の労働時間」の測定方法 』をご紹介させて頂きます。
2、2暦日連続勤務の場合の「1日の労働時間の測定単位」の取り扱い
1)「厚生労働省労働基準局長通達(基発)」における規定
上記1の「取り扱いの問題」に対しては、
・「労働基準法」においての明文の規定はありませんが、
・厚生労働省から「通達」という形で、「その取り扱い方法」が以下のように示されています。
「厚生労働省労働基準局長通達1号(昭和63年1月1日)」では、
継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の「1日」とする。 と規定されており、 |
また、「厚生労働省労働基準局長通達331号(平成6年5月31日)」では、
1日及び1週間の労働時間の算定に当たっては、労働時間が2暦日にわたる勤務については勤務の開始時聞が属する日の勤務として取り扱う。 と規定されております。 |
2)2暦日連続勤務の場合の「1日の労働時間の測定単位」の取り扱い
従いまして、上記の「通達」の規定が存在するために、
「2暦日連続勤務」における「労働時間」は、 「24:00以前の労働時間」と「24:00以降の労働時間」を「継続した一連の労働時間」として取り扱い、
「2暦日連続勤務」が「翌日の所定労働時間の始業時刻」までに終了する場合には、 「2暦日連続勤務の始業時刻」から「2暦日連続勤務の終業時刻」までの「労働時間」を、
「2暦日連続勤務」が「翌日の所定労働時間の始業時刻」以降に終了する場合には、 「2暦日連続勤務の始業時刻」から「翌日の所定労働時間の始業時刻」までの「労働時間」を、 |
この点につきましては、事前にご留意頂ますようお願い致します。
Ⅲ:「1週間の労働時間」の測定単位
1、『「1週間の労働時間」の測定 』のための決定事項
「1週間単位の法定時間外労働時間」は、
「1週間の労働時間」から、 その1週間に行われた「法定休日労働時間」 その1週間に行われた「1日単位の法定時間外労働時間」 「1週間単位の法定労働時間(40時間又は44時間)」を控除して計算されますので、 |
「1週間単位の法定時間外労働時間」を適切に把握・計算するためには、
その前提として「1週間の労働時間」を適切に把握することが必要となりますが、 |
この「1週間の労働時間」を把握・計算するためには、
・まず「何曜日~何曜日」までを「1週間」とするか ・すなわち、「1週間の労働時間の測定単位」をどのように取り扱うかを会社自身で決定することが必要となります。 |
従いまして、「1週間の労働時間」を把握・計算するためには、
その前提として、 『「1週間の労働時間」を測定するための起点となる「起算日」』を就業規則等で決定しておくことが必要となりますので、 |
この点につきましては、事前にご留意頂ますようお願い致します。
2、「1週間の起算日」の決定がない場合の取り扱い
上記でご紹介させて頂きましたように、「1週間の労働時間」を測定するためには、
『「1週間の労働時間」を測定するための起点となる「起算日」』を就業規則等で決定しておくことが必要となりますが、 |
『「1週間の起算日」を就業規則に記載すること 』は、「就業規則の絶対記載事項」とはなっていないことから、
「1週間の起算日」が就業規則に記載されていないことがあり、 このような場合におきましては、『「1週間の労働時間」の測定単位 』をどのように取り扱うべきかが問題となります。 |
この点、厚生労働省からの「通達」である「厚生労働省労働基準局長通達1号(昭和63年1月1日)」には、
「1週間」とは、 就業規則その他に別段の定めがない限り、日曜日から土曜日までのいわゆる「暦週」をいう |
という規定があることから、
就業規則等で『「1週間」の「起算日 』が定められていない場合には、
『「日曜日」から「土曜日」までの「暦週」』が「1週間の労働時間の測定単位」となりますので、 |
この点につきましては、事前にご留意頂ますようお願い致します。
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、「労働時間の内容」及び「労働時間の測定単位」である『「1日の労働時間」の測定単位 』『「1週間の労働時間」の測定単位 』について、ご紹介させて頂いております。
『「労働時間」の内容 』 及び 『「労働時間」の把握に係る論点 』につきまして
「労働時間」は、「法定時間外労働時間」「法定休日労働時間」「深夜労働時間」等の『「各種労働時間」を計算・把握するための基礎となる時間 』となります。
従いまして、『「労働時間」とされていない「勤務時間」』の中に、『「労働時間」としなければならないような時間 』がないか?今一度ご確認頂ますようお願い致します。
『「1日の労働時間」の測定単位 』につきまして
『「1日の労働時間」の測定単位 』につきましては、上記Ⅱでご紹介させて頂きましたように、
「1日の勤務」が「暦日(24:00)」を超えた場合であっても、『「出勤日」における「継続した一連の労働時間」』として測定することが必要となります。
この考え方につきましては、実務上では当然のことと思われる方も多いとは思いますが、
「1日の法定時間外労働時間」等を把握・計算するためには、「重要な考え方」となりますので、今一度ご確認頂ますようお願い致します。
『「1週間の労働時間」の測定単位 』につきまして
「1週間の労働時間」等を把握・計算するためには、まず最初に『 その測定単位となる「1週間」』を決定しておくことが必要となり、
「 この1週間 」を「 何曜日から何曜日 」にするかは、「就業規則」等に記載することにより、会社独自で決定することができます。
従いまして、「1週間の労働時間」を把握・計算する場合には、上記Ⅲでご紹介させて頂きました内容も今一度ご確認頂ますようお願い致します。