ここでは、「標準報酬月額の定時決定」の際に、会社から保険者に届け出る「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方を、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。
なお、ここでご紹介させて頂きます書き方は、『「4月・5月・6月に支払われた報酬」に「3月以前分の報酬の遡及支払」が含まれている場合の「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方』及び『「4月・5月・6月に支払われるべき報酬」が「7月以降に遅延支払」された場合の「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方』となります。
Ⅰ:遡及支払がある場合の「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方
「4月・5月・6月の報酬支払額」に「3月分以前の遡及支払額」が含まれている場合には、
「4月・5月・6月の報酬支払合計額を平均した金額」は、「本来の4月・5月・6月の報酬支払合計額を平均した金額」よりも「高い金額」となってしまいます。
このため、上記のような場合には、
・『「算定基礎届」に記載された「4月・5月・6月の報酬支払合計額」』から ・「遡及支払額」を「差し引いた金額」を平均計算して、 『「本来の4月・5月・6月の報酬支払額」を反映した「報酬月額」』を算定することが必要となります。 |
以下では、このような『「4月・5月・6月の報酬支払額」に「3月以前分の遡及支払額」』が含まれる場合における『「被保険者報酬月額算定基礎届」の記載方法』をご紹介させて頂きます。
1、「被保険者報酬月額算定基礎届」の記載方法
「4月・5月・6月の報酬支払額」に「3月以前分の報酬額の遡及支払額」が含まれている場合の『「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方』は、以下のものとなります。
’ 1)「報酬支払基礎日数」の記入 ’
「給与計算の基礎日数」欄には、
4月・5月・6月の「報酬支払基礎日数」を記入します。 |
’ 2)「報酬支払額」の記入 ’
「通貨」欄及び「現物」欄には、
「金銭による報酬額」「現物による報酬額」を、それぞれ区分して記入します。 |
この場合の「報酬支払額」には、『「3月以前分の遡及支払額」も含めた金額』を記載します。 |
「合計」欄には、
「金銭による報酬」と「現物による報酬」の「合計額」を記入します。 |
’ 3)「総計」及び「平均額」の記入 ’
「総計」欄には、
「4月、5月、6月の報酬支払額」の「合計金額」を記入します。 ⇒なお、「総計額」は『「3月以前分の遡及支払額」を含んだ「総計」』となります。 |
「平均額」欄には、
上記の「合計金額」を「算定基礎月数」で「除した金額」を記入します。 ⇒なお、「平均額」は『「3月以前分の遡及支払額」を含んだ「平均額」』となります。 |
※ 「平均額」欄では、一旦『「3月以前分の遡及支払額」を含んだ「平均額」』を計算することが必要となります。
’ 4)「遡及支払額」の記入 ’
『「4月・5月・6月の報酬支払額」に含まれる「3月以前分の遡及支払額」』及び「遡及支払額が含まれている月」を
「報酬月額算定基礎届」の「⑧ 遡及支払額」欄に記入します。 |
’ 5)「修正平均額(報酬月額)」の記入 ’
上記3)の「平均額」は、「3月以前分の遡及支払額」を含めて計算されたものであることから、「本来の1ヶ月分の(平均)給与金額」よりも「高い平均額」となっています。
このため、「報酬月額」に「本来の1ヶ月分の(平均)給与金額」を反映させるため、
『「⑭ 平均額」から「⑧ 遡及支払額」を除外した「修正平均額」を計算し、 「⑯ 修正平均額」欄に当該「修正平均額」を記入します。 |
2、例示による解説
「4月・5月・6月の報酬支払額」に「3月以前分の報酬額の遡及支払額」が含まれている場合の『「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方』を、例示を用いてご紹介させて頂きます。
設 例 ’
【給与計算対象期間 と 給与支払日】 ・給与計算対象期間は、「21日 ~ 翌月20日」 ・給与支払日は、「翌月の末日」の場合 【報酬の支払状況 ( 日給月給制 )】 ・4月30日支払額: 【勤怠状況】 ・4月30日支払分⇒3月21日~4月20日(暦日数:31日、欠勤:0日、有給:0日) |
「被保険者報酬月額算定基礎届」の記載
【支払基礎日数】 ・4月30日支払分 ⇒ 暦日数:31日 【報酬の支払額 】 ・4月30日支払額:298,000円 ・5月31日支払額:260,000円 ・6月30日支払額:257,000円 【遡及支払額】 4月に「3月分の遡及支払額」が35,000円ある。 |
Ⅱ:遅延支払がある場合の「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方
「4月・5月・6月の報酬支払額」が「7月以降に支払われる」ような場合(遅延支払がある場合)には、
「4月・5月・6月の報酬支払合計額を平均した金額」は、「本来の4月・5月・6月の報酬支払合計額を平均した金額」よりも「低い金額」となってしまいます。
このため、上記のような場合には、
・『「算定基礎届」に記載された「4月・5月・6月の報酬支払合計額」』に ・「7月以降の遅延支払額」を「加えた金額」を平均計算して、 『「本来の4月・5月・6月の報酬支払額」を反映した「報酬月額」』を算定することが必要となります。 |
以下では、このような『「4月・5月・6月の報酬支払額」が「7月以降に遅延支払」される場合における『「被保険者報酬月額算定基礎届」の記載方法』をご紹介させて頂きます。
1、「被保険者報酬月額算定基礎届」の記載方法
「4月・5月・6月の報酬支払額」が「7月以降に遅延支払」される場合の『「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方』は、以下のものとなります。
’ 1)「報酬支払基礎日数」の記入 ’
「給与計算の基礎日数」欄には、
4月・5月・6月の「報酬支払基礎日数」を記入します。 |
’ 2)「報酬支払額」の記入 ’
「通貨」欄及び「現物」欄には、
「金銭による報酬額」「現物による報酬額」を、それぞれ区分して記入します。 |
この場合の「報酬支払額」には、「7月以降に遅延支払される報酬」は含めません。 |
「合計」欄には、
「金銭による報酬」と「現物による報酬」の「合計額」を記入します。 |
’ 3)「総計」及び「平均額」の記入 ’
「総計」欄には、
「4月、5月、6月の報酬支払額」の「合計金額」を記入します。 ⇒なお、「総計額」は『「7月以降に遅延支払される報酬額」は含まない「総計」』となります。 |
「平均額」欄には、
上記の「合計金額」を「算定基礎月数」で「除した金額」を記入します。 ⇒なお、「平均額」は『「7月以降に遅延支払される報酬額」は含まない「平均額」』となります。 |
※ 「平均額」欄では、一旦『「7月以降に遅延支払される報酬額」を含まない「平均額」』を計算することが必要となります。
’ 4)「修正平均額(報酬月額)」の記入 ’
上記3)の「平均額」は、「7月以降に遅延支払される報酬額」を含めず計算されたものであることから、「本来の1ヶ月分の(平均)給与金額」よりも「低い平均額」となっています。
このため、「報酬月額」に「本来の1ヶ月分の(平均)給与金額」を反映させるため、
『「⑭ 平均額」に「7月以降に遅延支払される報酬額」を加えて「修正平均額」を計算し、 「⑯ 修正平均額」欄に当該「修正平均額」を記入します。 |
’ 5)「備考」欄の記入 ’
「遅延支払される金額や内容」につきましては、「報酬月額算定基礎届」に特段の記載箇所が設けられていないために、
「 ⑱ 備考」欄に、「遅延支払となる月」や「遅延支払される金額・その内容」等を記入します。 |
2、例示による解説
「4月・5月・6月の報酬支払額」が「7月以降に遅延支払」される場合の『「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方』を、例示を用いてご紹介させて頂きます。
設 例 ’
【給与計算対象期間 と 給与支払日】 ・給与計算対象期間は、「21日 ~ 翌月20日」 ・給与支払日は、「翌月の末日」の場合 【報酬の支払状況 ( 日給月給制 )】 ・4月30日支払額:基本給:230,000円、資格手当:5,000円、通勤費:10,000円、残業代:18,000円 ⇒ 合計支払額:263,000円 【勤怠状況】 ・4月30日支払分⇒3月21日~4月20日(暦日数:31日、欠勤:0日、有給:0日) |
「被保険者報酬月額算定基礎届」の記載
【支払基礎日数】 ・4月30日支払分 ⇒ 暦日数:31日 【報酬の支払額 】 ・4月30日支払額:263,000円 ・5月31日支払額:260,000円 ・6月30日支払額:245,000円 【遅延支払額】 7月に「6月分の遅延支払額」が12,000円ある。 |
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、
- 「4月・5月・6月に支払われた報酬」に「3月以前分の遡及支払額」が含まれている場合の「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方
- 「4月・5月・6月に支払われるべき報酬」が「7月以降に遅延支払」された場合の「被保険者報酬月額算定基礎届」の書き方
をご紹介させて頂いております。
「遡及支払」がある場合
この場合に最も重要な事項は、「報酬月額」計算にあたり、「遡及支払額」を除いて平均計算することが必要となるという点であると考えます。
このため「報酬月額算定基礎届」の記入につきましては、「修正平均額」欄を使用して最終の「報酬月額」を計算することとなります。
「遅延支払」がある場合
この場合に最も重要な事項は、「報酬月額」計算にあたり、「遅延支払額」を含めて平均計算することが必要となるという点であると考えます。
このため、この場合におきましても「報酬月額算定基礎届」の記入につきましては、「修正平均額」欄を使用して最終の「報酬月額」を計算することとなります。