ここでは、「所定労働時間(1日の所定労働時間、1週間の所定労働時間、1週間の平均所定労働時間、1ヶ月の所定労働時間、1ヶ月の平均所定労働時間、年間の所定労働時間)」につき、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。

 

 

 

▶ 「 所定労働時間 」に係る全般的事項のご紹介

ここでは、まず「所定労働時間」に係る全般的事項をご紹介させて頂きます。

 

1、「所定労働時間」とは

「所定労働時間」とは、

労働契約」や「就業規則賃金規定)」等において、『 予め定められた労働時間」』のことをいい、

 

アクセント矢印(背景透明)1日を単位として決定・計算された「予定労働時間」のことを、「1日の所定労働時間」といい、

アクセント矢印(背景透明)1週間を単位として決定・計算された「予定労働時間」のことを「1週間の所定労働時間」といい、

アクセント矢印(背景透明)1ヶ月を単位として決定・計算された「予定労働時間」のことを「月間の所定労働時間」といい、

アクセント矢印(背景透明)1年間を単位として決定・計算された「予定労働時間」のことを「年間の所定労働時間」といいます。

 

2、「所定労働時間」の基本的な計算方法

◆ 「就業規則」や「雇用契約」における絶対記載事項 ◆

会社が従業員と雇用契約を締結する場合には、

始業及び終業の時刻   ② 休憩時間   ③ 休日休暇 に関する事項を

就業規則において明示しておかなければならないと規定されていますので、 ( 労働基準法89条1項

 

◆ 「所定労働時間」の基本的な計算方法 ◆

アクセント矢印(背景透明)1日の所定労働時間」につきましては、

「(就業規則等に記載された)始業時刻から終業時刻までの勤務時間 」から「(就業規則等に記載された)休憩時間 」を差引いて計算し、

 

アクセント矢印(背景透明)1週間の所定労働時間」「1ヶ月の所定労働時間」「1年間の所定労働時間」につきましては、

「(上記で算定された1日の所定労働時間 」 × 「(週単位月単位年単位の労働日数  」

という計算式で算定することになります。

 

◆ 「労働日数」のカウント方法と可変性 ◆

また、上記の「(週単位月単位年単位の労働日数」につきましては、基本的に

アクセント矢印(背景透明)「(週・月・年単位の)暦日数」から

アクセント矢印(背景透明)「(就業規則等に記載された)休日日数休暇日数」 を控除して算定することになりますが、

 

アクセント丸(小:背景透明)「週単位の労働日数」につきましては、

祝祭日を含めて休日・休暇を設定している場合には、「各週の労働日数」は一般的可変となり

アクセント丸(小:背景透明)「月単位の労働日数」につきましては、

休日・休暇のカレンダー」「1ヶ月の暦日数」などの関係で、「各月の労働日数」は一般的可変となり

アクセント丸(小:背景透明)「年単位の労働日数」につきましては、

休日・休暇のカレンダー」「1年間の暦日数」などの関係で、「各年の労働日数」は一般的可変となりますので、

基本的には、

アクセント丸(小:背景透明)1週間の所定労働時間」を計算することが必要となる場面では、

1週間ごとに「1週間の労働日数」を把握・算定することが必要となり、

アクセント丸(小:背景透明)1ヶ月の所定労働時間」を計算することが必要となる場面では、

1ヶ月ごとに「1ヶ月間の労働日数」を把握・算定することが必要となり、

アクセント丸(小:背景透明)1年間の所定労働時間」を計算することが必要となる場面では、

1年ごとに「1年間の労働日数」を把握・算定することが必要となります。

 

▶  『「労働日数」のカウント起算日 』につきまして        

 

3、『「所定労働時間」の決定 』と『「法定労働時間」による規制 』との関係

「所定労働時間」は、原則、会社と従業員との合意に基づいて決定されるものですが、

アクセント三角(小:背景透明)労働基準法」におきましては、「労働者保護」の観点から、

・「1日において労働させることができる労働時間の上限規制 1日単位の法定労働時間規制)」

・「1週間において労働させることができる労働時間の上限規制1週間単位の法定労働時間規制)」

が規定されており、( 労働基準法32条  、労働基準法施行規則25条の2

 

この「法定労働時間の規定(労働時間の上限規制)」は、

アクセント矢印(背景透明)本来的には、『「従業員に対して実際に労働させることができる時間実際労働時間)」を規制する 』規定となりますが、

アクセント矢印(背景透明)これと伴に、『「従業員に対して労働させることを予定している時間所定労働時間)」をも規制する 』規定となります。

 

アクセント三角(小:背景透明)このため、「就業規則」等において「所定労働時間」を規定する場合には、

「1日の所定労働時間」及び「1週間の所定労働時間」につき、

アクセント矢印(背景透明)「1日単位の法定労働時間」及び「1週間単位の法定労働時間を超えるような労働時間予定することはできず

アクセント矢印(背景透明)「それらの所定労働時間」が『 労働基準法で規定された「法定労働時間以内 に収まるように決定することが必要となります。

 

4、「所定労働時間」の使用場面

「所定労働時間」につきましては、以下でご紹介させて頂ますように、

アクセント丸(小:背景透明)法定手当の計算を行う場合の「1時間あたりの賃金額を計算する場合に使用され、

アクセント丸(小:背景透明)最低賃金の計算を行う場合の「1時間あたりの賃金額を計算する場合に使用されますので、

「給与計算を行う場合」や「最低賃金の確認計算」を行う場合には、「所定労働時間を事前に計算しておくことが必須となります。

 

◆ 「法定手当」の計算における使用場面 ◆         

 

◆ 「最低賃金」の確認計算における使用場面 ◆       

 

5、Ⅰ~Ⅵでご紹介させて頂きます内容

ここでは、『「所定労働時間」に係る全般的事項 』をご紹介させて頂きましたが、

 以下Ⅰ~Ⅵ   では、さらに、

 ・Ⅰ:「1日の所定労働時間」

 ・Ⅱ:「1週間の所定労働時間」

 ・Ⅲ:「1週間の平均所定労働時間」

 ・Ⅳ:「1ヶ月の所定労働時間」

 ・Ⅴ:「1ヶ月の平均所定労働時間」

 ・Ⅵ:「年間の所定労働時間」

ごとに、「それぞれの所定労働時間計算することが必要となる場合」や「それぞれの所定労働時間計算方法&算定例示」などをご紹介させて頂きます。

 

 

Ⅰ:1日の所定労働時間

1、『「1日の所定労働時間」の計算 』が必要となる場合

アクセント三角(小:背景透明)日給制」を採用している場合には、

『「日給制」が採用される従業員の「1時間あたりの賃金額」』を計算するために、「1日の所定労働時間」を予め計算しておくことが必要となります。

 

  また、「週給制」「月給制」「年俸制」を採用しているような場合であっても、

「1週間の所定労働時間」「1ヶ月の所定労働時間」「1年間の所定労働時間」は、

基本的に『「1日の所定労働時間×労働日数という計算式 』により算定されるため、
このような場合であっても「1日の所定労働時間」を予め計算しておくことが必要となります。

 

アクセント三角(小:背景透明)以上のことから、

1日の所定労働時間」につきましては、

「日給制」「週給制」「月給制」「年俸制」を採用しているすべての会社において計算しておくことが必要となります。

 

2、「1日の所定労働時間 」の定義 & 計算方法

◆ 「1日の所定労働時間 」の定義 ◆

1日の所定労働時間」とは、

労働契約」や「就労規則賃金規定)」等に基づいて、会社が定めた「1日予定就労時間」のことをいいますが、

 

◆ 「1日の所定労働時間 」の計算方法 ◆

アクセント三角(小:背景透明)当該「1日の所定労働時間」につきましては、

アクセント矢印(背景透明)所定の始業時刻」から「所定の終業時刻」までの「所定の勤務時間」から

アクセント矢印(背景透明)所定の休憩時間」を 差し引いて計算されるものとなります。

 

アクセント三角(小:背景透明)なお、「1日の所定労働時間」が「曜日等により異なるような場合には、

「就業規則」等において『「曜日等ごとに規定されている「始業時刻」「終業時刻」等 』に基づき、

曜日等ごとに1日の所定労働時間」を計算しておくことが必要となります。

 

法定手当の計算(所定労働時間):1日の所定労働時間

 

◆ 「1日の所定労働時間」の算定例示 ◆

  例示1  

・「就業規則」に、「始業時刻が9時」「終業時刻が18時」とする旨の規定があり、
・「就業規則」に、「1日の休憩時間を1時間」とする旨の規定があるような場合には、

「1日の所定労働時間」は、『 18:00 - 9:00 - 1時間 = 8時間 』となります。

 

  例示2  

・「就業規則」に、月曜日から金曜日は「始業時刻が9時」「終業時刻が17時」とする旨の規定があり、
・「就業規則」に、土曜日は「始業時刻が9時」「終業時刻が15時」とする旨の規定があり、
・「就業規則」に、「1日の休憩時間を1時間」とする旨の規定があるような場合には、

アクセント丸(小:背景透明)「(金曜日の)1日の所定労働時間」は、『 17:00 - 9:00 - 1時間 = 7時間 』となり、

アクセント丸(小:背景透明)「(土曜日の)1日の所定労働時間」は、『 15:00 - 9:00 - 1時間 = 5時間 』となります。

 

3、「1日の所定労働時間」の決定上の留意点

◆「1日の所定労働時間」に対する上限規制 ◆

上記「所定労働時間の全般的事項3」でもご紹介させて頂きましたが、

労働基準法32条 では、使用者は、休憩時間を除き1日について8時間を超えて労働させてはならない

という規定が設けられていることから、

 

アクセント三角(小:背景透明)「1日の所定労働時間」につきましては、

8時間以内の時間 」で設定することが必要となります。

 

◆ 「1日の所定労働時間」の設定例示 ◆

 

▶ 「1日の所定労働時間」が有効な場合       

 

▶ 「1日の所定労働時間」が無効な場合       

 

 

Ⅱ:1週間の所定労働時間

1、『「1週間の所定労働時間」の計算 』が必要となる場合

アクセント三角(小:背景透明)週給制」を採用している場合には、

『「週給制」が採用される従業員の「1時間あたりの賃金額」』を計算するために、「1週間の所定労働時間」を予め計算しておくことが必要となります。

 

  また、「日給制」「月給制」「年俸制」を採用しているような場合であっても、

それぞれの場合における「1週間の所定労働時間」が、

週単位の法定労働時間以内で設定されていることを確認するため、「1週間の所定労働時間」を予め計算しておくことが必要となります。

 

アクセント三角(小:背景透明)以上のことから、

・「週給制」を採用している会社におきましては、「1時間あたりの賃金額」を計算するために、

・「日給制」「月給制」「年俸制」を採用している会社におきましては、
 「1週間の所定労働時間」が「法定労働時間」以内に収まっていることを確認するために、

1週間の所定労働時間」を計算・把握しておくことが必要となります。

 

2、「1週間の所定労働時間 」の定義 & 計算方法

◆ 「1週間の所定労働時間 」の定義 ◆

1週間の所定労働時間」とは、

労働契約」や「就労規則賃金規定)」等の規定に基づいて、会社が定めた「1週間予定就労時間」のことをいいますが、

 

◆ 「1週間の所定労働時間 」の計算方法 ◆

アクセント三角(小:背景透明)当該「1週間の所定労働時間」につきましては、

アクセント矢印(背景透明)1日の所定労働時間」に

アクセント矢印(背景透明)1週間予定されている労働日数を 乗じて計算されるものとなります。

 

:「1週間の予定労働日数の算定

「1週間の予定労働日数」は、基本的に「(1週間の暦日数」から「(就業規則等に記載された)1週間における休日日数休暇日数」を控除して計算されます。

 

アクセント三角(小:背景透明)なお、「1日の所定労働時間」が「曜日等により異なるような場合には、

1日の所定労働時間を異にする曜日ごとに

  「1日の所定労働時間」 × 「(1週間における)その曜日等の労働日数」 を計算し、

 

『「上記①で計算された労働時間」を合計して計算する 』ことが必要となります。

 

◆ 「1週間の所定労働時間」の算定例示 ◆

  例示1   「1日の所定労働時間」が8時間で、「1週間の所定労働日数」を5日としている場合には、

「1週間の所定労働時間」は、『 8時間 × 5日 = 40時間 』となります。

 

  例示2   1週間のうち5日は「1日の所定労働時間」を7時間とし、1週間のうち1日は「1日の所定労働時間」を5時間としている場合には、

「1週間の所定労働時間」は、『 7時間 × 5日 + 5時間 × 1日 = 40時間 』となります。

 

3、「1週間の所定労働時間」の決定上の留意点

「1週間の所定労働時間」に対する上限規制

上記「所定労働時間の全般的事項3」でもご紹介させて頂きましたが、

アクセント矢印(背景透明)一般の会社(事業場)に対しては、労働基準法32条 で、

使用者は、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならない

アクセント矢印(背景透明)特例措置の適用会社(事業場)に対しては、労働基準法施行規則25条の2 で、

使用者は、休憩時間を除き1週間について44時間を超えて労働させてはならない

と規定していることから、

 

アクセント三角(小:背景透明)「1週間の所定労働時間」につきましては、

アクセント矢印(背景透明) 一般の会社(事業場)では、「40時間以内の時間」で設定することが必要となり、

アクセント矢印(背景透明)特例措置の適用会社(事業場)では、「44時間以内の時間」で設定することが必要となります。

 「特例措置適用会社(事業場)」につきましては、『「法定労働時間」と「法定時間外労働時間」のⅠ-2で別途詳しくご紹介させて頂いておりますので、必要がある場合には、上記リンクページを御覧下さい。

 

「1週間の所定労働時間」の設定例示

◆ 「1週間の所定労働時間」が有効な場合 ◆       

 

◆ 「1週間の所定労働時間」が無効な場合 ◆       

 

 

Ⅲ:1週間の平均所定労働時間

1、『「1週間の平均所定労働時間」の計算 』が必要となる場合

アクセント三角(小:背景透明)週給制」を採用している場合で、かつ週によって所定労働時間数が異なるような場合には、

「法定手当」や「最低賃金」計算における「1時間あたりの賃金額を計算するためには、

『「週給」 ÷ 「1週間の平均所定労働時間」 』という計算を行うことが必要となります。( 労働基準法施行規則19条1項3号 )

 

アクセント三角(小:背景透明)このことから、

週給制」を採用している場合で、かつ「1週間の所定労働時間数」が週によって異なるような場合には、

アクセント矢印(背景透明)上記Ⅱでご紹介させて頂きました「1週間の所定労働時間」を計算しておくとともに、

アクセント矢印(背景透明)「法定手当」や「最低賃金」の計算を行うために、別途、「1週間の平均所定労働時間」も予め計算しておくことが必要となります。

 

▶ 参考:「1週間の平均所定労働時間」を使用する理由       

 

2、「1週間の平均所定労働時間 」の定義 & 計算方法

◆ 「1週間の平均所定労働時間 」の定義 ◆

1週間の平均所定労働時間」とは、

「1週間の所定労働時間」が一律でない場合に計算される

『「4週間の所定労働時間」を「週平均した1週間の所定労働時間」』のことをいいます。

 

◆ 「1週間の平均所定労働時間 」の計算方法 ◆

当該「1週間の平均所定労働時間」につきましては、

アクセント矢印(背景透明)「(一律でない)1週間の所定労働時間」を4週間分合計し

アクセント矢印(背景透明)「上記で合計した4週間分の所定労働時間」を4週除して計算したものとなります。

 

◆ 「1週間の平均所定労働時間」の算定例示 ◆

・「就業規則」には、「土曜日、日曜日、祝日」を所定休日とする旨の記載があり、
・「2週目」及び「4週目」に「祝日」が存在するために、「4週間の所定労働時間」が以下のようになる場合には、
  「1週目の所定労働時間:20時間」「2週目の所定労働時間:16時間」「3週目の所定労働時間が20時間」
  「4週目の所定労働時間が8時間」の場合には、

「1週間の平均所定労働時間」は、『( 20時間 + 16時間 + 20時間 + 8時間 ) ÷  4週間  = 16時間  』となります。

 

 

Ⅳ:1ヶ月の所定労働時間

1、『「1ヶ月の所定労働時間」の計算 』が必要となる場合

アクセント三角(小:背景透明)月給制」を採用している場合で、かつ月によって所定労働時間数が一律である場合には、

「法定手当」や「最低賃金」計算における「1時間あたりの賃金額を計算するためには、

『「月給」 ÷ 「1ヶ月の所定労働時間」 』という計算を行うことが必要となります。( 労働基準法施行規則19条1項4号 )

 

アクセント三角(小:背景透明)このため、

月給制」を採用している場合で、かつ「1ヶ月の所定労働時間数」が毎月一律であるような場合には、

「法定手当」や「最低賃金」の計算を行うために、「1ヶ月の所定労働時間」を予め計算しておくことが必要となります。

 

2、「1ヶ月の所定労働時間 」の定義 & 計算方法

◆ 「1ヶ月の所定労働時間 」の定義 ◆

1ヶ月の所定労働時間」とは、

労働契約」や「就労規則賃金規定)」等の規定に基づいて、会社が定めた「1ヶ月予定就労時間」のことをいいますが、

 

◆ 「1ヶ月の所定労働時間 」の計算方法 ◆

当該「1ヶ月の所定労働時間」につきましては、

アクセント矢印(背景透明)1日の所定労働時間」に

アクセント矢印(背景透明)1ヶ月予定されている労働日数を 乗じて計算されるものとなります。

 

:「1ヶ月の予定労働日数の算定

「1ヶ月の予定労働日数」は、基本的に「(1ヶ月間の暦日数」から「(就業規則等に記載された)1ヶ月間における休日日数休暇日数」を控除して計算されます。

 

◆ 「1ヶ月の所定労働時間」の算定例示 ◆

・「1日の所定労働時間」は8時間であり、
・「就業規則」に、1ヶ月の労働日数一律20日となるような休日・休暇に関する規定がなされているような場合には、

「1ヶ月の所定労働時間」は、『 8時間 × 20日 = 160時間 』となります。

 

 

Ⅴ:1ヶ月の平均所定労働時間

1、『「1ヶ月の平均所定労働時間」の計算 』が必要となる場合

アクセント三角(小:背景透明)月給制」を採用している場合で、かつ月によって所定労働時間数が異なるような場合には、

「法定手当」や「最低賃金」計算における「1時間あたりの賃金額を計算するためには、

『「月給」 ÷ 「1ヶ月の平均所定労働時間」 』という計算を行うことが必要となります。( 労働基準法施行規則19条1項4号 )

 

アクセント三角(小:背景透明)このため、

月給制」を採用している場合で、かつ月により1ヶ月の所定労働時間数が異なるような場合には、

「法定手当」や「最低賃金」の計算を行うために、「1ヶ月の平均所定労働時間」を予め計算しておくことが必要となります。

 

▶ 参考:「1ヶ月の平均所定労働時間」を使用する理由       

 

2、「1ヶ月の平均所定労働時間 」の定義 & 計算方法

◆ 「1ヶ月の平均所定労働時間 」の定義 ◆

1ヶ月の平均所定労働時間」とは、

「1ヶ月の所定労働時間」が一律でない場合に計算される

『「年間の所定労働時間」を「月平均した1ヶ月の所定労働時間」』のことをいいますが、

 

◆ 「1ヶ月の平均所定労働時間 」の計算方法 ◆

当該「1ヶ月の平均所定労働時間」につきましては、

アクセント矢印(背景透明)下記Ⅵでご紹介させて頂く「年間の所定労働時間」を、

アクセント矢印(背景透明)12ヶ月で 除して計算されるものとなります。

 

◆ 「1ヶ月の平均所定労働時間」の算定例示 ◆

  例示1  「1日の所定労働時間」及び「休日・休暇日数」が「下記Ⅵ-3(1)」であるような場合には、

「1ヶ月の平均所定労働時間」は、『 年間所定労働時間:1,896時間 ÷ 12ヶ月 = 158時間 』となります。

 

  例示2  「1日の所定労働時間」及び「休日・休暇日数」が「下記Ⅵ-3(2)」であるような場合には、

「1ヶ月の平均所定労働時間」は、『 年間所定労働時間:2,112時間 ÷ 12ヶ月 = 176時間 』となります。

 

 

Ⅵ:年間の所定労働時間

1、『「年間の所定労働時間」の計算 』が必要となる場合

アクセント三角(小:背景透明)月給制」を採用している場合で、かつ月によって所定労働時間数が異なるような場合には、

アクセント矢印(背景透明)「法定手当」や「最低賃金」計算における「1時間あたりの賃金額を計算するためには、

  『「月給」 ÷ 「1ヶ月の平均所定労働時間」』という計算を行うことが必要となり、( 労働基準法施行規則19条1項4号

 

アクセント矢印(背景透明)この「1ヶ月の平均所定労働時間」を算定するためには、

  『「年間の所定労働時間」÷「12ヶ月」』という計算を行うことが必要となります。

 

  また、「年俸制」を採用している場合には、

「法定手当」や「最低賃金」計算における「1時間あたりの賃金額を計算するためには、

『「年俸」 ÷ 「年間の所定労働時間」 』という計算を行うことが必要となります。( 労働基準法施行規則19条1項5号 )

 

アクセント三角(小:背景透明)このため、

アクセント丸(小:背景透明)月給制」を採用している場合で、かつ月により1ヶ月の所定労働時間数が異なるような場合や、

アクセント丸(小:背景透明)年俸制」を採用しているような場合には、

「法定手当」や「最低賃金」の計算を行うために、「年間の所定労働時間」を予め計算しておくことが必要となります。

 

2、「年間の所定労働時間 」の定義 & 計算方法

◆ 「年間の所定労働時間 」の定義 ◆

年間の所定労働時間」とは、

労働契約」や「就業規則賃金規定)」等の規定に基づいて、会社が定めた「1年間予定就労時間」のことをいいますが、

 

◆ 「年間の所定労働時間 」の計算方法 ◆

アクセント三角(小:背景透明)当該「年間の所定労働時間」につきましては、

アクセント矢印(背景透明)1日の所定労働時間」に

アクセント矢印(背景透明)1年間予定されている労働日数を 乗じて計算されるものとなります。

 

:「1年間の予定労働日数の算定

「1年間の予定労働日数」は、基本的に「(1年間の暦日数」から「(就業規則等に記載された)1年間における休日日数休暇日数」を控除して計算されます。

 

アクセント三角(小:背景透明)なお、「1日の所定労働時間」が「曜日等により異なるような場合には、

1日の所定労働時間を異にする曜日ごとに

  「1日の所定労働時間」 × 「(1年間における)その曜日等の労働日数」 を計算し、

 

『「上記①で計算された労働時間」を合計して計算する 』ことが必要となります。

 

3、「年間の所定労働時間」の算定例示

1)「1日の所定労働時間」が一律である場合

◆ 「1日の所定労働時間」の規定

「1日の所定労働時間」:8時間

◆ 「年間の所定労働日数」の規定

・「土曜日日曜日祝日」は所定休日とし、
・この他、「年始年末休暇」として5日、「夏季休暇」として3日の所定休暇を付与する場合

矢印(赤)

① 年間の所定労働日数の算定

・対象年度の「年間の日数」が365日、「土曜日、日曜日、祝日の日数」が120日である場合には、

年間の所定労働日数」 = 「365日」 - ( 120日 + 5日 + 3日 ) = 237日 となります。

 

② 年間の所定労働時間の算定

「1日の所定労働時間」8時間 × 「年間の所定労働日数」237日 = 1,896時間 となります。

 

2)「1日の所定労働時間」が曜日等によって異なる場合

◆ 「1日の所定労働時間」の規定(特例措置対象事業場の場合)

「月曜日~金曜日」:8時間、「土曜日」:4時間 としている。

◆ 「年間の所定労働日数」の規定

・「日曜日祝日」は所定休日とし、
・この他、「年始年末休暇」として5日、「夏季休暇」として3日の所定休暇を付与する場合

矢印(赤)

① 年間の所定労働日数の算定

対象年度における『「1日の所定労働時間が8時間である曜日月曜日~金曜日)」の年間労働日数 』及び『「1日の所定労働時間が4時間である曜日土曜日)」の年間労働日数 』をカウントします。

 ・「所定労働時間が8時間の日(月曜日~金曜日)」の所定労働日数が「238日」、
 ・「所定労働時間が4時間の日(土曜日)」の所定労働日数が「52日」である場合

 

② 年間の所定労働時間の算定

『「1日の所定労働時間」が8時間である曜日 』『「1日の所定労働時間」が4時間である曜日 ごとに、「年間所定労働時間」を計算し、
それを合計することにより、対象となる従業員の「最終的な年間所定労働時間」を算定します。

 ・「1日の所定労働時間」8時間 × 「年間の所定労働日数」238日 = 1,904時間
 ・「1日の所定労働時間」4時間 × 「年間の所定労働日数」52日  = 208時間
 ⇒「合計の年間所定労働時間」=1,904時間 + 208時間 = 2,112時間

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

ここでは『 「法定手当の計算」や「最低賃金の確認計算」で用いられる「1時間あたりの賃金額」』を計算するために必要となる「所定労働時間(1日の所定労働時間、1週間の所定労働時間、1週間の平均所定労働時間、1ヶ月の所定労働時間、1ヶ月の平均所定労働時間、年間所定労働時間)」についてご紹介させて頂いております。

 

『「1時間あたりの賃金額」の計算基礎となる「所定労働時間」』に対する理解の重要性

『「法定手当」の計算を行う場合 』や『「最低賃金」の確認計算を行う場合 』には、

「1時間あたりの賃金額」を適切に計算することが必要となり、

当該「1時間あたりの賃金額」を適切に計算するためには、さらにその計算要素となる「各所定労働時間」を適法に決定し、適切に計算することが必要となります。

 

アクセント矢印(背景透明)この点、「法定手当」の計算を行う場合に、
仮に『「所定労働時間」の決定や計算 』に誤りがある場合(過大に計算されてしまっているような場合)には、
いくらその後の「法定手当」計算がすべて適切になされた場合であっても、
結果として「未払い残業代」が発生し、会社にとって「未払い残業代」等の潜在的なリスクを生んでしまうこととなります。

アクセント矢印(背景透明)また他方、「最低賃金」の確認を行う場合に、『「所定労働時間」の計算 』に誤りがある場合(過少に計算されてしまっているような場合)には、
適切な所定労働時間のもとでは、実は「1時間あたりの賃金額」が「最低賃金」を下回っており、
結果として「未払い賃金」が発生し、会社にとって「未払い賃金」等の潜在的なリスクを生んでしまうこととなります。

 

このため、「法定手当の計算」「最低賃金の確認計算」を行う場合には、

  • 『「1日あたりの所定労働時間」の決定 』は適法になされているか?
  • 『「1週間あたりの所定労働時間」の決定 』は適法になされているか?
  • 『「それぞれの所定労働時間」の計算 』は適切になされているか?

を今一度、十分にご確認頂ますようお願い致します。

 

「所定労働時間」の明示・決定時期につきまして

「労働基準法」におきましては、従業員を雇用する場合には、

「所定労働時間」の計算要素となる

  • 始業及び終業の時刻
  • 休憩時間
  • 休日、休暇 等

を事前に書面等により明示しなければならないとしています。

このため、「1日の所定労働時間」や「その他の所定労働時間」は、従業員を雇用する際に、既に決定されていることが前提となりますので、この点につきましては十分ご留意頂ますようお願い致します。