『「賃金台帳」から「給与手当・役員報酬の給与計算結果」を「会計帳簿(会計ソフト)」に入力する方法(「給与手当・役員報酬の計上取引」の「会計帳簿」への入力)』を、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。
なお、ここでのご紹介は、『「給与手当・役員報酬の計上取引」における「給与手当の金額」及び「役員報酬の金額」を「個人別」に「会計帳簿(会計ソフト)」に入力する方法』となります。
※ なお、『「給与手当・役員報酬の計上取引」を「全社一括」で「会計帳簿(会計ソフト)」に入力する方法』は、『「給与・役員報酬の計上取引」の「振替伝票入力」』をご覧下さい。
Ⅰ:「給与・役員報酬の計上取引」の「会計帳簿への入力概要」
ここでは、まず、「給与・役員報酬の計上取引」の「会計帳簿への入力方法の概要」として、以下の項目につき、ご説明させて頂きます。
- 「給与・役員報酬の計上取引」を『入力する「会計帳簿」』
- 「給与・役員報酬の計上取引」を会計帳簿に入力する場合における「入力基礎書類」
- 「給与・役員報酬の計上取引」に係る「仕訳」
1、入力する「会計帳簿」
「給与・役員報酬の計上取引」は、
- 「現金」の入出金を伴う取引でもなく、
- 「預金口座」への入出金を伴う取引でもありません。
このため、「給与・役員報酬の計上取引」につきましては、「現金出納帳」「預金出納帳」から入力することはできず、「振替伝票」から会計帳簿(会計ソフト)に入力することが必要となります。
2、「振替伝票」への入力基礎書類
『「給与・役員報酬の計上取引」の「振替伝票」への入力』では、
- 「役員報酬の支給額」「従業員給与の支給額」
を「個人別(各役員別、各従業員別)の金額」で入力することが必要となり、
- 「社会保険料(健康・介護保険料、厚生年金保険料)の控除金額」
- 「雇用保険料の控除金額」
- 「源泉徴収所得税の控除金額」
- 「特別徴収住民税の控除金額」
- 「給与・役員報酬の支払(予定)金額」
を「全社ベースの金額」で入力することが必要となります。
このため、『「給与・役員報酬の計上取引」の「振替伝票」への入力』は、
これら「個人別の金額」及び「全社ベースの金額」が記載されている「(月次の)賃金台帳」に基づいて入力することが必要となります。 |
※ なお、「賃金台帳」は「給与・役員報酬の計上取引」を会計帳簿に入力するために必須の会計帳簿となります。
「賃金台帳」を作成されていない会社様等は、弊会計事務所が配布させて頂いております「賃金台帳」等をご利用・ご参考に、是非「賃金台帳」の作成をして頂きますようお願い致します。
3、「給与・役員報酬の計上取引」に係る「仕訳」
「会社の取引」を「振替伝票」によって「会計帳簿(会計ソフト)」に入力する場合には、『「仕訳」の形』で入力することが必要となります。
このため、「給与・役員報酬の計上取引」を「振替伝票」に入力するためには、
『「給与・役員報酬の計上取引」に係る「仕訳」』を理解することが必要となりますが、『「給与・役員報酬の計上取引」に係る「仕訳」』は、以下のものとなります。
【借方】勘定 | 補助科目 | 金額 | 【貸方】勘定 | 補助科目 | 金額 |
役員報酬 | 個人名 | xxxxx円 | 法定福利費 | 社会保険料徴収額 | xxxxx円 |
役員報酬 | 個人名 | xxxxx円 | 法定福利費 | 雇用保険料徴収額 | xxxxx円 |
︙ | ︙ | ︙ | 預り金 | 所得税徴収額 | xxxxx円 |
給与手当 | 個人名 | xxxxx円 | 預り金 | 住民税徴収額 | xxxxx円 |
給与手当 | 個人名 | xxxxx円 | 未払費用 | 役員報酬・給与 | xxxxx円 |
︙ | ︙ | ︙ |
当該仕訳でのPoint! 「給与手当」「役員報酬」を、「各従業員・役員ごとの金額」で表示させる場合には、 |
※ なお、上記の『「給与・役員報酬の計上取引」に係る「仕訳」』につきましては、別途『「給与・役員報酬の計上取引」の「仕訳」』で詳細にご紹介させて頂いておりますので、必要がある場合には、上記のリンクページも御覧下さい。
Ⅱ:「振替伝票」への入力方法
「振替伝票」への入力にあたっては、以下の項目の入力が必要となります。
- 日付入力
- 仕訳入力(勘定科目、補助科目入力)
- 金額入力
- 摘要欄入力
以下、各項目別にご紹介させて頂きます。
1、「日付」の入力
「日付」の入力にあたっては、
「賃金(給与手当・役員報酬)の計算対象月の月末日」を入力します。 |
『「振替伝票」に入力する日付』は、「賃金の支払月」ではなく、「賃金の計算対象となった月(何月分の賃金か)」の「月末日」を入力します。
(ただし、従業員給与・役員報酬の計算が完了した日付で入力して頂いても結構です。)
例えば
- 4月分給与手当・役員報酬(5月25日支払)の場合には、「4月30日」で入力します。
- 4月分給与手当・役員報酬(4月30日支払)の場合には、「4月30日」で入力します。
2、「仕訳」の入力(「勘定科目」「補助科目」の入力)
「振替伝票の入力」では、上記Ⅰ-3でご紹介させて頂きました『「給与・役員報酬の計上取引」における「仕訳」』を入力することが必要となります。
「賃金台帳」と「勘定科目」「補助科目」の関係
『「給与・役員報酬の計上取引」の「振替伝票」への入力』は、「賃金台帳」に基づいて行われることになるため、『「賃金台帳」に記載される項目』と『「給与・役員報酬の計上取引」に係る「勘定科目」「補助科目」の関係』を把握しておくことが必要となりますが、
『「賃金台帳」に記載される項目』と『「給与・役員報酬の計上取引」に係る「勘定科目」「補助科目」の関係』は、以下のものとなります。
「賃金台帳」の項目 | 「勘定科目」 | 「補助科目」 |
役員報酬の個人別の支給合計 | 役員報酬 | 個人名※ |
従業員給与の個人別の支給合計 | 給与手当 | 個人名※ |
社会保険料の控除金額 | 法定福利費(マイナス) | 社会保険料徴収額 |
雇用保険料の控除金額 | 法定福利費(マイナス) | 雇用保険料徴収額 |
源泉徴収所得税の控除金額 | 預り金 | 所得税徴収額 |
特別徴収住民税の控除金額 | 預り金 | 住民税徴収額 |
各従業員・役員への支払(予定)金額 | 未払費用 | 役員報酬・給与 |
※ 「従業員給与」「役員報酬」という勘定科目につき「個人別の金額」で振替伝票に入力するため、『「個人別の内訳」を表現するための「補助科目」の設定・入力』が必要となります。
会計ソフト(弥生会計)での「補助科目」の設定
「会計ソフト(弥生会計)」の初期設定では、各「勘定科目」に対して「補助科目」は設定されていません。
このため、「振替伝票」で「補助科目」を入力する場合には、会社で「補助科目」を設定することが必要となります。
なお、弥生会計での「補助科目の設定方法」は、「弥生会計:補助科目の設定手順」を御覧ください。
「給与・役員報酬の計上取引」で設定する「補助科目」
「給与・役員報酬の計上取引」で設定しなければならない「補助科目」は、以下のものとなります。
- 「役員報酬」に対して「役員の個人名※」
- 「給与手当」に対して「従業員の個人名※」
- 「法定福利費」に対して「社会保険料徴収額」「雇用保険料徴収額」
- 「預り金」に対して「所得税徴収額」「住民税徴収額」
- 「未払費用」に対して「役員報酬・給与」となります。
※ 「給与手当」「役員報酬」を、「各従業員・役員ごとの金額」で表示させる場合には、「給与手当」「役員報酬」に、『個人別の内訳を示す「補助科目」』を付けることが必要となります。
3、「金額」の入力
「振替伝票の各勘定科目に入力する金額」は、「賃金台帳」の以下の金額となります。
勘定科目(補助科目) | 「賃金台帳」における入力箇所 |
役員報酬(個人名) | 「支給合計」の「役員個人別金額」※ |
給与手当(個人名) | 「支給合計」の「従業員個人別金額」※ |
法定福利費(社会保険料徴収額) | ・「健康・介護保険」の「月次合計金額」と ・「厚生年金保険」の「月次合計金額」との「合計金額」 |
法定福利費(雇用保険料徴収額) | 「雇用保険」の「月次合計金額」 |
預り金(所得税徴収額) | 「源泉徴収所得税」の「月次合計金額」 |
預り金(住民税徴収額) | 「特別徴収住民税」の「月次合計金額」 |
未払費用(役員報酬・給与) | 「支払金額」の「月次合計金額」 |
※ なお、当該『「振替伝票」の「役員報酬」「給与手当」への金額入力』にあたっては、『「賃金台帳」の「支給合計」の「役員・従業員ごとの金額」』を個人別に入力することが必要となります。
4、摘要欄の入力
摘要欄には、後日、「入力基書類」との照合を効率的に行うことができるように、「●月分 給与・役員報酬計上」というように備考記録(メモ書き)を記載しておくことをお勧め致します。
例示
- 「4月分の賃金台帳」から「4月分の給与手当・役員報酬」を入力した場合 ⇒「4月分 給与・役員報酬計上」
5、仕訳の「登録」
入力後に画面右上の「登録」ボタンを押します。 |
「振替伝票」におきましては、「登録」ボタンを押さないと入力内容が会計帳簿に反映されないため、必ず「登録」ボタンを押して下さい。
振替伝票入力時の留意点
振替伝票では、「借方(左側)の合計金額」と「貸方(右側)の合計金額」とが一致※しないと登録することができません。
※ 上記が一致することを「貸借バランスがゼロ」となるといいます。
振替伝票を登録する際に、「貸借バランスが合っていません」という表示が出てきた場合には、
「振替伝票(新規作成)」画面の下部に表示されている「借方合計」と「貸方合計」が一致しているか(「貸借バランス」=0)となっているかをご確認下さい。
Ⅲ:「振替伝票」への入力例示
以下の例示を使って、具体的に「振替伝票」に入力する方法をご紹介させて頂きます。
例示
4月度の役員報酬、従業員給与にかかる「賃金台帳」が以下のものであったとします。
「振替伝票」への入力例示
「振替伝票」への入力につきましては、以下のような入力となります。
Ⅳ:登録済みの振替伝票へのアクセス、修正・削除
『「給与・役員報酬の計上」に係る「振替伝票」』を「会計帳簿(会計ソフト)」に登録した後に、その振替伝票を修正したり、削除したりすることが必要となる場合があります。
このような場合には、まず「登録済みの振替伝票」にアクセスすることが必要となります。
この点、『「給与・役員報酬の計上取引」に係る「振替伝票」』は、
「現金の収入・支出」や「預金の預入・引出」を伴わないものであるために、「現金出納帳」や「預金出納帳」からアクセスすることはできません。
このような「現金の収入・支出」「預金の預入・引出」を伴わない「振替伝票」にアクセスするためには、
- 「仕訳日記帳」からアクセスする
- 又は、「総勘定元帳」からアクセスする
ことが必要となります。
この点につきましては、「登録済の振替伝票へのアクセス方法」及び「アクセス後における修正・削除方法」を
- 『Ⅰ-3:現金・預金の入出金を伴わない取引が入力されている「振替伝票」の場合』
- 『Ⅱ:登録済みの「振替伝票」の修正・削除』
で記載しておりますので、「登録済みの振替伝票」へのアクセス方法等がわからない方は、このリンクページを一読頂ますようお願い致します。
Ⅴ:「振替伝票への入力」に関連するページのご紹介
ここでは、「振替伝票への入力」に関連するページを、以下でご紹介させて頂きます。
「伝票辞書機能」を利用した「給与・役員報酬の計上取引」の入力
会計ソフト(弥生会計)におきましては、
- 「振替伝票」に入力する「仕訳(勘定科目、補助科目)」が定型的であり、
- 反復継続的に「振替伝票」への入力が必要となるものについては、
「伝票辞書」という機能を使って「定型的な振替伝票」を登録しておく機能があります。
「給与・役員報酬の計上取引」につきましては、
この「伝票辞書」機能を使って「振替伝票」に入力することにより、効率的な入力を行うことが可能となりますので、
是非『「伝票辞書」による「給与・役員報酬の計上取引」の入力』をご一読頂き、当該機能をご利用頂くことをお勧めします。
「給与・役員報酬の計上取引」の「振替伝票」入力後における確認
『「給与・役員報酬の計上取引」の「振替伝票」への入力』にあたって、入力漏れや二重計上があった場合には、
「給与手当・役員報酬の過少計上」や「給与手当・役員報酬の過大計上」となり、誤った決算書を作成してしまうことになります。
特に「給与手当や役員報酬の金額」は、金額が大きいものとなることから、これらの入力漏れや二重計上に対する『「給与・役員報酬の計上取引」の入力後における入力事項の確認』が必須となります。
この点、『「給与・役員報酬の計上取引」の会計帳簿入力後確認』におきまして、「給与・役員報酬の計上取引」の「振替伝票」への入力後における確認方法を記載しておりますので、是非当該リンクページをご一読頂き、入力後確認を行って頂きますようお願い致します。
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
「給与・役員報酬の計上取引」の「会計帳簿(会計ソフト)への入力」は、
- まず「賃金台帳」に基づき、「振替伝票」を通じて入力する点がPointとなります。
また、『「給与・役員報酬の計上取引」に係る「振替伝票」への入力』では、
- 『「給与・役員報酬の計上取引」に係る「仕訳」』の理解
- 『「賃金台帳」の金額』に基づく『「振替伝票」への金額入力』
がPointとなります。
『「給与・役員報酬の計上取引」に係る「仕訳」』のPoint!
『「給与・役員報酬の計上取引」に係る「仕訳」』は、「5種類の内容の異なる取引」が複合された仕訳となるため、
その理解は、厄介なものであると考えます。
ただ、「給与・役員報酬の計上取引」を「振替伝票」に入力するためには、
当該仕訳の理解は、必要なものとなりますので、上記Ⅰ-3でご紹介させて頂いておりますリンクページをご覧頂く等により、できる限りご理解して頂きますようお願い致します。
なお、当該仕訳におきましては、「従業員給与」「役員報酬」という勘定科目につき「個人別の金額」で振替伝票に入力するため、『「個人別の内訳」を表現するための「補助科目」を付ける』ことが必要となります。
『「賃金台帳」の金額』に基づく『「振替伝票」への金額入力』のPoint!
『「給与・役員報酬の計上取引」に係る「振替伝票」への金額入力』では、
『「賃金台帳」のどの金額』を『「振替伝票」のどの勘定科目に入力するか」』をご理解頂くことがとても重要なものとなります。
このため、上記Ⅱ-3でご紹介させて頂いた内容を参考に、適切に「振替伝票」に金額を入力して頂きますようお願い致します。
なお、当該入力におきましては、「従業員給与」「役員報酬」という勘定科目につき「個人別の金額」で入力することが必要となります。
『「給与・役員報酬の計上取引」への「振替伝票」入力』につきましては、
会計帳簿入力への入力に慣れていない場合には、正直、厄介な入力であるとは思いますが、
避けては通れない入力となりますので、この機会に是非ご理解頂き、適切に入力して頂きますようお願い致します。