年末調整の結果、税務署に支払う金額がゼロであり、かつ翌年度以降へ繰り越す過納付がある場合の「年末調整時の仕訳」及び「翌年度以降の納付税額との相殺時の仕訳」を「納期特例(年2回納付)の場合」と「原則納付(毎月納付)の場合」のそれぞれの場合に分けて、ご紹介致します。

 

年末調整の結果、

役員・従業員への還付金額が大きい場合には、年末調整に係る税務署への納付税額がゼロとなり、かつこれまで税務署に納付した源泉徴収額が過納付状態となることがあります。

上記の状況につきまして、

  • そもそも過納付となる状態はどのような場合に発生するのか?
  • その場合に年末調整では、どのような仕訳を入力すれば良いか?
  • 過納付が解消される時期はいつなのか?
  • 過納付が解消される時には、どのような仕訳を入力すれば良いのか?

を下記の場合に分けてご紹介致します。

Ⅰ:納期特例(年2回納付)の場合

Ⅱ:原則納付(毎月納付)の場合

 

 

 

Ⅰ:納期特例(年2回納付)の場合

納期特例の場合において、

  • 過納付が発生する理由(状態)
  • 過納付となった場合の年末調整での「仕訳入力の仕方」
  • 過納付が解消される時期
  • 過納付が解消される時の「仕訳入力の仕方」

について、以下で具体的な数値例を使用しながらご説明致します。

 

1、過納付が発生する理由

税務署への過納付は、下記のような状態になった場合に発生します。

C    A    B

A:「7月支給給与~12月支給給与」で源泉徴収した金額

B:年末調整における役員・従業員からの追加徴収金額

C:年末調整における役員・従業員への還付金額

 

Point !

納期特例の場合には、Aの金額が6カ月分の源泉徴収金額であるために、過納付となる場合は少ないと思いますが、

  • 住宅ローン控除がある役員・従業員が存在する。
  • 扶養親族が増加した。
  • 中途入社の方が多く存在する。
  • 小規模企業共済等掛金控除がある方がいる。etc

の場合には、還付金額が大きくなり、過納付状態となることがあります。

 

数値例を使用してのご説明

【設例1-①】

役員甲、従業員乙、従業員丙の3名が在職していると仮定します。

概算源泉徴収、年末調整での年間確定源泉徴収額、年末調整過不足金額は、それぞれ以下のような状況であると仮定します。

   年間
報酬額・給与額
 1月~6月
概算源泉徴収額
 7月~12月
概算源泉徴収額
 年間
確定源泉徴収額
 還付(+)
追加徴収(▲)
 甲役員  6,000,000円  140,000円  140,000円  100,000円  +180,000円
 乙従業員  2,500,000円  15,000円  15,000円  28,000円  +2,000円
 丙従業員  2,500,000円  15,000円  15,000円  32,000円  ▲2,000円
 合計    170,000円  170,000円  160,000円  +180,000円

 

【年末調整での税務署への納付金額】

設例の場合には、「1月20日までに年末調整の結果として税務署に納付しなければならない金額」は、下記の算式で計算されます。

①170,000 + ②2,000 - ③(180,000円+2,000円) = ▲10,000円

①7月支給給与~12月支給給与で源泉徴収(天引き)した金額

②年末調整による丙従業員からの追加徴収金額

③年末調整による甲役員、乙従業員への還付金額

  • 上記の納付金額がマイナス(▲10,000円)であるということは、「1月20日までに年末調整の結果として税務署に納付する金額」は「ゼロ」であり、かつ
  • 税務署に対して源泉徴収の過大納付(10,000円)があることを意味しています。

 

【過大納付の発生理由】

年末調整の結果から1月20日までに税務署へ納付しなければならない納付額は「ゼロ」であり、税務署への納付はないことから、「過納付が発生している」と言われても、一体どこから過納付が発生したのか?疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないかと思います。

この点、会社の源泉徴収税額について

  • 役員・従業員から「毎月源泉徴収(天引き)した金額」+「年末調整により還付・追加徴収した金額
    (=年間確定源泉徴収税額
  • 7月10日までに税務署に納付した金額

を整理すると、必然的に過納付金額が発生していることが理解できると思います。

これを表で整理しますと、以下のようになります。

   ①-1
1月~12月
源泉徴収額
 ①-2
年末調整での
還付・追加徴収
 ①
役員・従業員
から徴収合計
 ②
7月10日
税務署納付額
 ③差引金
(①-②)
 甲役員  280,000円 (還付)
▲180,000円
 100,000円  140,000円 (過大納付)
▲40,000円
 乙従業員  30,000円 (還付)
▲2,000円
 28,000円  15,000円  (税務署支払)
+13,000円
 丙従業員  30,000円 (追加徴収)
+2,000円
 32,000円  15,000円 (税務署支払)
 +17,000円
 合計  340,000円  ▲180,000円  160,000円  170,000円 (過大納付)
▲10,000円

 

 【役員・従業員からの徴収額合計】

①-1:毎月の給与支給時に、会社は340,000円を役員・従業員から源泉徴収(天引き)しています。

①-2:他方、年末調整により、会社は、差引180,000円(甲:18万支払、乙:2千円支払、丙:2千円徴収)を役員・従業員に返還しています。

①:結果、会社が役員・従業員から徴収した源泉徴収金額は、正味、340,000円-180,000円=160,000円となります。

⇒この金額は、「年間確定源泉徴収額」と同額となります。

 

【税務署への既納付額】

②:他方、会社は7月10日までに、「1月支給給与~6月支給給与」で徴収した源泉徴収金額170,000円を税務署に納付しています。

 

【年末調整に係る税務署への納付額(過大納付)】

③:この結果、会社は最終的に160,000円しか源泉徴収していない(税務署に対してこの金額を納付するだけで良い)にも関わらず、
税務署には既に170,000円を支払っており、税務署に対して10,000円過大に納付していることになります。

以上のことから、納期特例の場合には、結果的に下記の状況となると、過納付の状態になります。

  • 「7月10日までに税務署に納付した金額である170,000円」(既納付の源泉徴収税額)よりも
  • 「年末調整で計算された年間確定源泉徴収額である160,000円の方が

金額が少ない場合

 

2、年末調整時の仕訳

1)年末調整時の仕訳

過納付となった場合には、年末調整でどのような仕訳入力が必要となるのかを以下でご説明致します。

年末調整の仕訳は、

  1. 役員・従業員への還付・追加徴収時の仕訳
  2. 税務署への源泉徴収税の納付(支払)時の仕訳

が必要となります。(これについての詳細な説明は⇒コチラ

年末調整の結果、過納付の状態となった場合には、上記仕訳のうち「2.税務署への源泉徴収税の納付(支払)時の仕訳」は不要となります

①役員・従業員への還付時の仕訳

預り金  xxxx円   / 現金(預金)  xxxx円

②役員・従業員からの追加徴収時の仕訳

現金(預金)  xxxx円   /預り金  xxxx円

税務署への支払時の仕訳

                       なし※1

 

※1:「仕訳なし」の意味

・税務署への支払はないため、「税務署への支払仕訳」自体は、入力不要となります。
⇒すなわち勘定科目である「預り金」を増減させることは不要です。

・ただし、年末調整仕訳についても「預り金」に対して適切な「補助科目」を設定することが必要となります。この場合には「税務署への過納付」金額を把握するために「所得税過納付」という「補助科目」を使用します。
この「補助科目」を使用するため、年末調整終了後においては、「補助科目の切替仕訳」が必要となります。

年末調整仕訳に補助科目を設定する方法は、別途コチラで記載しております。
とりあえず、現段階では、補助科目のことは無視して、この記事を読み進めてください。

 

数値例を使用したご説明

【設例1-①】の場合の年末調整仕訳は以下のようになります。

【年末調整による仕訳】

①役員・従業員への還付時の仕訳 (甲役員、乙従業員)

預り金  182,000円   / 現金(預金)  182,000円

②役員・従業員からの追加徴収時の仕訳 (丙従業員)

現金(預金)  2,000円   /預り金  2,000円

税務署への支払時の仕訳

                         なし

 

2)年末調整の仕訳入力後の「預り金」残高

上記の「1)年末調整時の仕訳」では、税務署への支払額は「ゼロ」であるために、「税務署への支払仕訳」は入力しません。

また、下記3で記載しますように、過納付が清算(解消)されるのは、「翌年度の7月10日でに行う源泉徴収税の納付の時」であるため、「年末調整の仕訳」では、「過納付についての解消仕訳」等の特別な仕訳は行いません

この結果、年末調整仕訳終了後における『役員・従業員の源泉徴収税額に係る「預り金」』の残高は、「過納付を示すマイナス残高」となっています。

 

源泉徴収に係る「預り金」残高の数値例を使用したご説明

年末調整仕訳の入力後、過納付状態である場合の『源泉徴収に係る「預り金」残高』を【設例1-①】の場合を利用してご説明しますと、以下のような状態となっています。

①170,000円 :1月支給給与~6月支給給与からの源泉徴収(天引き)額

②▲170,000円:7月10日の税務署納付額

③170,000円 :7月支給給与~12月支給給与からの源泉徴収(天引き)額

④▲182,000円:甲役員、乙従業員への還付金額

2,000円  :丙従業員からの追加徴収額

▲10,000円 ⇐ 年末調整仕訳入力後「預り金」残高

 

3)マイナス「預り金」の決算振替仕訳

年末調整において、税務署への過納付が発生した結果、「預り金」がマイナス残高となり、当該マイナス残高が解消(清算)される前に決算を迎えた場合等、マイナスの「預り金」(マイナスの負債)を資産科目に振り替える必要がある場合には、以下のような仕訳を入力します。

立替金  xxxxx円 / 預り金  xxxx円 金額は預り金のマイナス金額です。

 

Point !

上記振替仕訳を行う場合、「未収入金」として振替える方もいらっしゃると思います。

私共は、以下の理由から、「未収入金」ではなく「立替金」として振り替えた方が良いと考えます。

源泉所得税の還付は、本来的には「税務署と役員・従業員との取引」であり、会社自身の収入としての性格はもたないこと。

「年末調整により会社から役員・従業員へ行う還付」は、本来的には「税務署が役員・従業員へ行う行為」を税務署に替わり会社が行っているにすぎず、会社にとって、年末調整の役員・従業員への還付は、税務署への立替を意味すると考えるためです。

 

3、過納付が解消される時期

税務署への源泉徴収の過納付がある場合、「一定の要件」を満たす場合には、税務署に対して還付請求をして、過納付部分の返還を受けることができます。

ただ、原則としては、「年末調整で発生した過納付金額」は、「翌年度の7月10日までに納付する源泉徴収税の納付金額」と相殺することにより清算(解消)されます。

 

4、翌年度7月10日の税務署へ納付時の仕訳

1)翌年度7月10日までに税務署に納付する納付額

翌年度の7月10日までに「税務署へ納付する源泉徴収税額」は、以下の金額となります。

  • 翌年度1月支給給与~翌年度6月支給給与」で役員・従業員から徴収(天引き)した源泉徴収金額から
  • 「年末調整の結果発生した過納付額」を控除した金額

 

2)翌年度7月10日までに税務署に源泉徴収税を納付した時の仕訳

上記の金額を税務署に支払った時に入力する仕訳は、以下のようになります。

預り金  xxxx円※1   / 現金(預金) xxxx円※2

                預り金    xxxx円※3

※1:翌年1月支給給与~翌年6月支給給与から源泉徴収(天引き)した金額

※2:翌年度7月10日までに税務署への納付金額

※3:年末調整で発生した過納付金額

この仕訳を入力することで『源泉徴収に係る「預り金」』残高はゼロとなります。

 

数値例を使用してのご説明

【設例1-①】から年末調整により、税務署への過納付10,000円が発生している。

【設例1-②】

翌年度の7月10日までの概算源泉徴収額は、それぞれ以下のような状況であると仮定します。

  翌1月~翌6月
給与合計額
翌1月~翌6月
概算源泉徴収額
年末調整での
過納付額
税務署への支払額
甲役員 3,000,000円 140,000円    
乙従業員 1,250,000円 15,000円    
丙従業員 1,250,000円 15,000円    
合計   170,000円 ▲10,000円 160,000円

 

【翌年度7月10日までに税務署に納付する納付額】

【設例1-②】の場合には、「翌年度7月10日までに税務署に納付しなければならない源泉徴収税の金額」は、下記の算式で計算されます。

①170,000 ― ②10,000円  = 160,000円

①翌年度1月支給給与~翌年度6月支給給与で源泉徴収(天引き)した金額

②年末調整において発生した過納付金額

 

【翌年度7月10日までに税務署に源泉徴収税を納付した時の仕訳】

上記の金額を税務署に支払った時に入力する仕訳は、以下のようになります。

預り金  170,000円   / 現金(預金) 160,000円

                   預り金    10,000円

この仕訳を入力することで『源泉徴収に係る「預り金」』残高はゼロとなります。

 

5、仕訳における「預り金」に対する補助科目

『給与の支給時に計上された「預り金」』や『源泉徴収所得税を税務署に支払った時に取り崩す「預り金」』につきましては、「預り金」という勘定項目の内訳項目としての「補助科目」を設定しました。

年末調整仕訳においても、

  • 役員・従業員に対する還付・追加徴収の仕訳
  • 税務署への源泉徴収所得税の支払の仕訳

において、「預り金」の取崩や計上等が行われるため、年末調整に係る上記の2種類の仕訳における「預り金」に対しても、適切な「補助科目」の設定が必要となります

これにつきましては、別途コチラで詳細を記載しておりますので、ご覧いただければと考えます。

 

 

Ⅱ:原則納付(毎月納付)の場合

原則納付の場合において、

  • 過納付が発生する理由(状態)
  • 過納付となった場合の年末調整での「仕訳入力の仕方」
  • 過納付が解消される時期
  • 過納付が解消される時の「仕訳入力の仕方」

について、以下で具体的な数値例を使用しながらご説明致します。

 

1、過納付が発生する理由

税務署への過納付は、下記のような状態になった場合に発生します。

C    A    B

A:「12月支給給与」で源泉徴収した金額

B:年末調整における役員・従業員からの追加徴収金額

C:年末調整における役員・従業員への還付金額

Point !

原則納付の場合には、Aの金額が12月の1カ月分の源泉徴収金額のみであるために、過納付となる場合が多くなると思います。

 

数値例を使用してのご説明

【設例2-①】

役員甲、従業員乙、従業員丙の3名が在職していると仮定します。

概算源泉徴収、年末調整での年間確定源泉徴収額、年末調整過不足金額は、それぞれ以下のような状況であると仮定します。

   年間
報酬額・給与額
 1月~11月
概算源泉徴収額
 12月
概算源泉徴収額
12月
納付額
 年間
確定源泉徴収額
 還付(+)
追加徴収(▲)
 甲役員  6,000,000円  256,000円  24,000円 24,000円  240,000円  +40,000円
 乙従業員  2,500,000円  27,500円  2,500円 2,500円  28,000円  +2,000円
 丙従業員  2,500,000円  27,500円  2,500円 2,500円  32,000円  ▲2,000円
 合計    311,000円  29,000円 29,000円  300,000円  +40,000円

 

【年末調整での税務署への納付金額】

設例の場合には、「1月10日までに年末調整の結果として税務署に納付しなければならない金額」は、下記の算式で計算されます。

①29,000 + ②2,000 - ③(40,000円+2,000円) = ▲11,000円

①12月支給給与で源泉徴収(天引き)した金額

②年末調整による丙従業員からの追加徴収金額

③年末調整による甲役員、乙従業員への還付金額

  • 上記の納付金額がマイナス(▲11,000円)であるということは、「1月10日までに年末調整の結果として税務署に納付する金額」は「ゼロ」であり、かつ
  • 税務署に対して源泉徴収の過大納付(11,000円)があることを意味しています。

 

【過大納付の発生理由】

年末調整の結果から1月10日までに税務署へ納付しなければならない納付額は「ゼロ」であり、税務署への納付はないことから、「過納付が発生している」と言われても、一体どこから過納付が発生したのか?疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないかと思います。

この点、会社の源泉徴収税額について

  • 役員・従業員から「毎月源泉徴収(天引き)した金額」+「年末調整により還付・追加徴収した金額
    (=年間確定源泉徴収税額
  • 徴収月の翌月10日(2月10日~12月10日)までに毎月、税務署に納付した金額の合計

を整理すると、必然的に過納付金額が発生していることが理解できると思います。

これを表で整理しますと、以下のようになります。

   ①-1
1月~12月
源泉徴収額
 ①-2
年末調整での
還付・追加徴収
 ①
役員・従業員
から徴収合計
 ②
2月~12月10日
の税務署納付額
 ③差引金
(①-②)
 甲役員  280,000円 (還付)
▲40,000円
 240,000円  256,000円 (過大納付)
▲16,000円
 乙従業員  30,000円 (還付)
▲2,000円
 28,000円  27,500円  (税務署支払)
+500円
 丙従業員  30,000円 (追加徴収)
+2,000円
 32,000円  27,500円 (税務署支払)
 +4,500円
 合計  340,000円  ▲40,000円  300,000円  311,000円 (過大納付)
▲11,000円

 

【役員・従業員からの徴収額合計】

①-1:毎月の給与支給時に、会社は340,000円を役員・従業員から源泉徴収(天引き)しています。

①-2:他方、年末調整により、会社は、差引40,000円(甲:4万支払、乙:2千円支払、丙:2千円徴収)を役員・従業員に返還しています。

①:結果、会社が役員・従業員から徴収した源泉徴収金額は、正味、340,000円-40,000円=300,000円となります。

⇒この金額は、「年間確定源泉徴収額」と同額となります。

 

【税務署への既納付額】

②:他方、会社は徴収月の翌月10日(2月10日~12月10日)までに、「1月支給給与~11月支給給与」で徴収した源泉徴収金額311,000円を税務署に納付しています。

 

【年末調整に係る税務署への納付額(過大納付)】

③:この結果、会社は最終的に役員・従業員から300,000円しか源泉徴収していない(税務署に対してこの金額を納付するだけで良い)にも関わらず、
税務署には既に311,000円を支払っており、税務署に対して11,000円過大に納付していることになります。

以上のことから、原則納付の場合には、結果的に下記の状況となると、過納付の状態になります。

  • 「徴収月の翌月(2月10日~12月10日)までに税務署に納付した金額である311,000円」(既納付の源泉徴収税額)よりも
  • 「年末調整で計算された年間確定源泉徴収額である300,000円の方が

金額が少ない場合

 

2、年末調整時の仕訳

1)年末調整時の仕訳

過納付となった場合には、年末調整でどのような仕訳入力が必要となるのかを以下でご説明致します。

年末調整の仕訳は、

  1. 役員・従業員への還付・追加徴収時の仕訳
  2. 税務署への源泉徴収税の納付(支払)時の仕訳

が必要となります。(これについての詳細な説明は⇒コチラ

年末調整の結果、過納付の状態となった場合には、上記仕訳のうち「2.税務署への源泉徴収税の納付(支払)時の仕訳」は不要となります

①役員・従業員への還付時の仕訳

預り金  xxxx円   / 現金(預金)  xxxx円

②役員・従業員からの追加徴収時の仕訳

現金(預金)  xxxx円   /預り金  xxxx円

税務署への支払時の仕訳

     なし※1

 

※1:「仕訳なし」の意味

・税務署への支払はないため、「税務署への支払仕訳」自体は、入力不要となります。
⇒すなわち勘定科目である「預り金」を増減させることは不要です。

・ただし、年末調整仕訳についても「預り金」に対して適切な「補助科目」を設定することが必要となります。この場合には「税務署への過納付」金額を把握するために「所得税過納付」という「補助科目」を使用します。
この「補助科目」を使用するため、年末調整終了後においては、「補助科目の切替仕訳」が必要となります。

年末調整仕訳に補助科目を設定する方法は、別途コチラで記載しております。
とりあえず、現段階では、補助科目のことは無視して、この記事を読み進めてください。

 

数値例を使用したご説明

【設例2-①】の場合の年末調整仕訳は以下のようになります。

【年末調整による仕訳】

①役員・従業員への還付時の仕訳 (甲役員、乙従業員)

預り金  42,000円   / 現金(預金)  42,000円

②役員・従業員からの追加徴収時の仕訳 (丙従業員)

現金(預金)  2,000円   /預り金  2,000円

税務署への支払時の仕訳

                       なし

 

2)年末調整の仕訳入力後の「預り金」残高

上記の「1)年末調整時の仕訳」では、税務署への支払額は「ゼロ」であるために、「税務署への支払仕訳」は入力しません。

また、下記3で記載しますように、過納付が清算(解消)されるのは、「翌年度の2月10日以降に行う源泉徴収税の納付の時」であるため、「年末調整の仕訳」では、「過納付についての解消仕訳」等の特別な仕訳は行いません

この結果、年末調整仕訳終了後における『役員・従業員の源泉徴収税額に係る「預り金」』の残高は、「過納付を示すマイナス残高」となっています。

 

源泉徴収に係る「預り金」残高の数値例を使用したご説明

年末調整仕訳の入力後、過納付状態である場合の『源泉徴収に係る「預り金」残高』を【設例2-①】の場合を利用してご説明しますと、以下のような状態となっています。

①311,000円 :1月支給給与~11月支給給与からの源泉徴収(天引き)額

②▲311,000円:2月10日~12月10日にかけての税務署納付額

③29,000円 :12月支給給与からの源泉徴収(天引き)額

④▲42,000円:甲役員、乙従業員への還付金額

2,000円  :丙従業員からの追加徴収額

▲11,000円 ⇐ 年末調整仕訳入力後「預り金」残高

 

3)マイナス「預り金」の決算振替仕訳

「Ⅰ:納期特例(年2回納付)の場合」と同じ内容です。

 

3、過納付が解消される時期

税務署への源泉徴収の過納付がある場合、「一定の要件」を満たす場合には、税務署に対して還付請求をして、過納付部分の返還を受けることができます。

ただ、原則としては、「年末調整で発生した過納付金額」は、「翌年度以降の2月10日から毎月、税務署に納付する源泉徴収税の納付金額」と相殺することにより清算(解消)されます。
(この相殺は、過納付金額が解消されるまで続きます。)

 

4、翌年度2月10日の税務署へ納付時の仕訳

1)翌年度2月10日までに税務署に納付する納付額

翌年度の2月10日までに「税務署へ納付する源泉徴収税額」は、以下の金額となります。

  • 翌年度1月支給給与」で役員・従業員から徴収(天引き)した源泉徴収金額
  • 「年末調整の結果発生した過納付額」を控除した金額

 

2)翌年度2月10日までに税務署に源泉徴収税を納付した時の仕訳

上記の金額を税務署に支払った時に入力する仕訳は、以下のようになります。

預り金  xxxx円※1   / 現金(預金) xxxx円※2

                預り金    xxxx円※3

※1:翌年1月支給給与から源泉徴収(天引き)した金額

※2:翌年度2月10日までに税務署への納付金額

※3:年末調整で発生した過納付金額

この仕訳を入力することで『源泉徴収に係る「預り金」』残高はゼロとなります。

 

数値例を使用してのご説明

【設例2-①】から年末調整により、税務署への過納付11,000円が発生している。

【設例2-②】

翌年度の2月10日までの概算源泉徴収額は、それぞれ以下のような状況であると仮定します。

  翌1月の
給与合計額
翌1月の
概算源泉徴収額
年末調整での
過納付額
税務署への支払額
甲役員 500,000円 24,000円    
乙従業員 205,000円 2,500円    
丙従業員 205,000円 2,500円    
合計   29,000円 ▲11,000円 18,000円

 

【翌年度2月10日までに税務署に納付する納付額】

【設例2-②】の場合には、「翌年度2月10日までに税務署に納付しなければならない源泉徴収税の金額」は、下記の算式で計算されます。

①29,000 ― ②11,000円  = 18,000円

①翌年度1月支給給与で源泉徴収(天引き)した金額

②年末調整において発生した過納付金額

 

【翌年度2月10日までに税務署に源泉徴収税を納付した時の仕訳】

上記の金額を税務署に支払った時に入力する仕訳は、以下のようになります。

預り金  29,000円   / 現金(預金) 18,000円

                   預り金    11,000円

この仕訳を入力することで『源泉徴収に係る「預り金」』残高はゼロとなります。

 

5、仕訳における「預り金」に対する補助科目

「Ⅰ:納期特例(年2回納付)の場合」と同じです。

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

年末調整の結果、税務署への過納付が発生している場合には、以下の2点についての理解が必要となりますので、通常(税務署への支払)の場合の年末調整に係る仕訳よりも、理解することが難しくなります。

1、年末調整の内容の理解が必要となります。

年末調整の内容自体を十分に理解し、なぜ過納付が発生しているのか?またその過納付は、いつ解消されるのか?などの点についていの理解が必要となります。

2、「年末調整時の仕訳のみ」でなく、「過納付が解消する時の仕訳」も理解しておく必要があります。

年末調整の仕訳は、年に1回入力するだけの仕訳であるため、1度理解しても忘れやすいと思いますので、忘れた時は、またこの記事を参考にして頂けますとありがたいです。

少し難解な内容ですが、決して理解できないものではないと思いますので、一読してみて下さい。