ここでは、「源泉控除対象配偶者」についての申告条件・申告上の注意点、扶養控除等申告書への記載方法などを、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。
Ⅰ:「源泉控除対象配偶者」の定義と条件
「扶養控除等申告書」において「配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告するためには、
「扶養控除等申告書を提出する本人の配偶者」が、
・所得税法で規定されている「源泉控除対象配偶者の要件」を満たしていることが必要となりますが、
・『「源泉控除対象配偶者」の定義・要件 』は、以下のものとなります。
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◆ 「源泉控除対象配偶者」の定義 ◆
「源泉控除対象配偶者」とは、
「申告者本人(その暦年度中の合計所得見積額が 900 万円以下に限ります)」と「生計を一にする民法上の配偶者」で、
「(その配偶者の)暦年度中の合計所得見積額」が 95 万円以下であり、
(配偶者が)「本人」又は「本人と生計を一にする者」の青色専従者として給与の支払を受けていない
「本人」又は「本人と生計を一にする者」の白色専従者でない者をいいます。
( 国税庁HP タックスアンサー 専門用語:「源泉控除対象配偶者」 )
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◆ 「源泉控除対象配偶者」の条件 ◆
すなわち、「扶養控除等申告書を提出する本人」が「その配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告するためには、
その年(申告書対象年度)の12月31日の現況で、「本人及び配偶者が以下の条件」をすべて満たしていることが必要となります。
1、「申告者本人」の要件 |
本人の合計所得見積金額が900万円以下である |
2、「 配偶者 」の要件 |
① 本人と生計を一にしている民法上の配偶者である |
② 配偶者の合計所得見積金額が95万円以下である |
③ ・「本人」又は「本人と生計を一にする者」の青色専従者として給与の支払を受けていない
・「本人」又は「本人と生計を一にする者」の白色専従者でない
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◆ 「要件判定基準日」につきまして ◆
「扶養控除等申告書」は、
・既存の給与所得者からは「前年度の年末調整時」に会社に提出され、
・途中入社・途中就任した給与所得者からは「当暦年度途中の入社・就任時」に会社に提出されることになりますが、
|
当該「申告書」は、
申告書対象年度の最初に行われる「給与計算」~その年度末に行われる「年末調整」にかけて使用されるものであるため、 |
『「源泉控除対象配偶者の要件」を判断する基準日 』は、
「その提出時点」ではなく、
あくまで、「申告書対象年度の年末時点(12月31日時点)」となります。
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従いまして、「申告書」提出時に「源泉控除対象配偶者の要件」をご判断頂く場合には、
「申告書対象年度の年末時点(12月31日時点)の現況」を(その提出時点で)見込んで、
「源泉控除対象配偶者の要件」をご判断頂くことが必要となりますので、この点につきましては十分ご注意下さい。
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なお、「扶養控除等申告書」提出後におきまして、上記の見込判断に異動が生じたような場合には、
下記Ⅵでご紹介させて頂きますように、
『「扶養控除等申告書」の修正申告 』を行うことが必要となりますので、この点につきましても併せてご注意下さい。
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Ⅱ:『「源泉控除対象配偶者」の条件 』の詳細検討
『「源泉控除対象配偶者」の定義・条件 』は、上記Ⅰでご紹介させて頂きましたものとなりますが、
ここでは、この定義・条件に基づき『「源泉控除対象配偶者」のそれぞれの条件 』をより詳しくご紹介させて頂きます。
条件1:「申告者本人の合計所得見積額」が900万円以下である条件
「配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告するためには、
「扶養控除等申告書を提出する本人」の「その暦年度における合計所得見積額」が900万円以下であることが必要となります。 |
なお、弊会計事務所におきましては、
「各種の収入金額」を入力することで「合計所得」を自動計算する「合計所得の自動計算機」へのリンクページを、
『『 各暦年度における「合計所得の自動計算機」』へのリンク紹介 』というページに作成しておりますので、
『 ご自身で算定した「合計所得」』を確認される場合などには、当該「自動計算機」をご利用下さい。
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◆ 「合計所得」とは ◆
「合計所得」とは、
「給与所得」「退職所得」「事業所得」「不動産所得」「利子所得」「配当所得」「雑所得(公的年金所得を含む)」
「一時所得」「譲渡所得」「山林所得」の10種類の所得を「合計した所得」をいうため、
( 国税庁HP:「合計所得金額」)
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『「給与所得」以外に「上記に該当する所得」』がある場合には、
『「給与所得」に「それらの所得」を合計した金額 』で、
『「申告者本人の合計所得見積額」が900万円以下であるか 』を判断することが必要となります。
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例 示
1)「給与所得:300万円」と「退職所得:200万円」がある場合
「合計所得」は「500万円(300万円+200万円)」となります。 |
2)「給与所得:300万円」と個人事業による「事業所得:300万円」がある場合
「合計所得」は「600万円(300万円+300万円)」となります。 |
3)「給与所得:400万円」と不動産賃貸事業による「不動産所得:200万円」がある場合
「合計所得」は「600万円(400万円+200万円)」となります。 |
4)「給与所得:400万円」と申告が必要な「株式配当所得:30万円」がある場合
「合計所得」は「430万円(400万円+30万円)」となります。 |
5-1)「給与所得:400万円」と「雑所得:(公的年金所得)60万円」がある場合
「合計所得」は「460万円(400万円+60万円)」となります。 |
5-2)「給与所得:400万円」と「雑所得:(私的年金所得)20万円」がある場合
「合計所得」は「420万円(400万円+20万円)」となります。 |
5-3)「給与所得:400万円」と「雑所得:(FXに係る所得)30万円」がある場合
「合計所得」は「430万円(400万円+30万円)」となります。 |
5-4)「給与所得:400万円」と事業的規模に至らない副業(いわゆる個人業務)による「雑所得:30万円」がある場合
「合計所得」は「430万円(400万円+30万円)」となります。 |
6)「給与所得:400万円」と「一時所得:(保険満期所得)20万円」がある場合
「合計所得」は「420万円(400万円+20万円)」となります。 |
7-1)「給与所得:400万円」と「不動産譲渡所得:300万円」がある場合
「合計所得」は「700万円(400万円+300万円)」となります。 |
7-2)「給与所得:400万円」と申告が必要な「株式譲渡所得:50万円」がある場合
「合計所得」は「450万円(400万円+50万円)」となります。 |
また、上記の「各所得」とは、
「収入金額」ではなく、
「収入金額」から
・「各種の控除金額(給与所得控除額、公的年金控除額等)」や
・「必要経費額」など を差引いた後の「所得金額」をいいますので、
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「各種の所得」を算定する場合には、
ご自身で『「各種の収入金額」から「上記の控除金額」を差引き計算する 』ことが必要となります。 |
例 示
1)「給与所得」に係る「給与収入」と「給与所得」
①「給与収入」が550,000円である場合、「給与所得」は「0円」となります。
②「給与収入」が3,000,000円である場合、「給与所得」は「2,020,000円」となります。
③「給与収入」が6,000,000円である場合、「給与所得」は「4,360,000円」となります。
④「給与収入」が9,000,000円である場合、「給与所得」は「7,050,000円」となります。
⑤「給与収入」が10,950,000円である場合、「給与所得」は「9,000,000円」となります。
( ⇒ 給与所得単独の場合における『「申告者本人」の所得要件 』の限界ラインとなります。)
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2-1)「公的年金所得(雑所得)」に係る「公的年金収入」と「公的年金所得」(「65歳以上」で「他の所得が1千万円以下」)
①「公的年金収入」が1,100,000円である場合、「公的年金所得」は「0円」となります。
②「公的年金収入」が2,500,000円である場合、「公的年金所得」は「1,400,000円」となります。
③「公的年金収入」が4,000,000円である場合、「公的年金所得」は「2,725,000円」となります。
④「公的年金収入」が10,955,000円である場合、「公的年金所得」は「9,000,000円」となります。
( ⇒ 公的年金所得単独の場合における『「申告者本人」の所得要件 』の限界ラインとなります。)
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2-2)「公的年金所得(雑所得)」に係る「公的年金収入」と「公的年金所得」(「65歳未満」で「他の所得が1千万円以下」)
①「公的年金収入」が600,000円である場合、「公的年金所得」は「0円」となります。
②「公的年金収入」が2,500,000円である場合、「公的年金所得」は「1,600,000円」となります。
③「公的年金収入」が4,000,000円である場合、「公的年金所得」は「2,725,000円」となります。
④「公的年金収入」が10,955,000円である場合、「公的年金所得」は「9,000,000円」となります。
( ⇒ 公的年金所得単独の場合における『「申告者本人」の所得要件 』の限界ラインとなります。)
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◆ 「見積金額」につきまして ◆
「扶養控除等申告書」は、
『 毎月の給与計算で「源泉所得税を控除する」』際に必要となる書類であるため、
・既存の給与所得者からは「前年度の年末調整時」に会社に提出され、
・途中入社・途中就任した給与所得者からは「当暦年度途中の入社・就任時」に会社に提出されることになります。
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従いまして、『「扶養控除等申告書」の提出時 』における「(本人の)合計所得」は、
「扶養控除等申告書」の提出時点における『「合計所得」の見積金額 』となります。 |
「年末調整時」に提出する場合の「合計所得見積額」の決定
基本的には、
『 提出年度の「合計所得実績額」』を「翌暦年度の合計所得見積額」として下さい。
ただし、「翌暦年度」において「合計所得に大幅な変動」が見込まれる場合には、
『 提出年度の「合計所得実績額」』に「大幅な変動」を加味して「翌年度の合計所得見積額」を決定して下さい。
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「暦年度中の入社・就任時」に提出する場合における「合計所得見積額」の決定
『 前暦年度の「合計所得実績額」』と『 入社年度の「合計所得見積金額」』に大きな変動がないと考える場合には、
『 前暦年度の「合計所得実績額」』を「入社年度の合計所得見積額」として下さい。
ただし、「入社年度」において「合計所得に大幅な変動」が見込まれる場合には、
『 前暦年度の「合計所得実績額」』に「大幅な変動」を加味して「入社年度の合計所得見積額」を決定して下さい。
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◆ 弊会計事務所の作成した「自動計算機」をご使用頂く場合 ◆
弊会計事務所の作成した「自動計算機」をご使用頂く場合、「合計所得」は以下の 箇所に表示されます。
条件2:「本人」と「生計を一にする民法上の配偶者」であるという条件
「配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告するためには、
「配偶者」が「申告者本人と生計を一にする民法上の配偶者」であることが条件となります。 |
なお、「配偶者」が「申告者本人」と同居していない(住所・居所が異なるなど)場合には、
・当該「生計を一にしている」という条件を満たすか?が重要となりますので、
・このような場合には、「申告者本人」が当該「配偶者」を扶養しているのか?を十分ご確認頂きますようお願いします。
(「申告者本人」から当該「配偶者」への送金等があるか否か?のご確認をお願い致します。)
|
◆ 「生計を一にする」とは ◆
「生計を一にする」とは、
日常の生活の資(日常の生活資金など)を共にすることをいうため、 |
「本人」と「配偶者」とが同居している場合には、
当該「配偶者」は、基本的に「本人と生計を一にしている」として取扱われます。 |
ただし、「勤務の都合により家族と別居している」又は「配偶者が療養などのために別居している」等の場合であっても、
・「本人」が「配偶者の生活費又は療養費」などを常に送金しているような場合や、
・日常の起居を共にしていないが、勤務の余暇には起居を共にしているような場合には、
当該「配偶者」は「本人と生計を一にしている」として取扱われます。
|
( 国税庁HP 所得税基本通達2-47 )
◆ 「民法上の配偶者」の条件 ◆
「配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告するためには、
「配偶者」が「民法の規定による配偶者」であることが必要となります。 |
このため、
「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様にあるような場合(内縁状態にある場合)」には、
・当該「配偶者」は「民法の規定による配偶者」という条件を満たさず、
・当該「配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することはできません。
|
( 国税庁HP 所得税基本通達2-46 )
条件3:「配偶者」の「合計所得の見積額」の条件
「配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告するためには、
「配偶者」の「その暦年度における合計所得見積金額」が95万円以下であることが必要となります。 |
なお、弊会計事務所におきましては、
「各種の収入金額」を入力することで「合計所得」を自動計算する「合計所得の自動計算機」へのリンクページを、
『『 各暦年度における「合計所得の自動計算機」』へのリンク紹介 』というページに作成しておりますので、
『 ご自身で算定した「合計所得」』を確認される場合などには、当該「自動計算機」をご利用下さい。
|
◆ 「合計所得」とは ◆
「合計所得」とは、
「給与所得」「退職所得」「事業所得」「不動産所得」「利子所得」「配当所得」「雑所得(公的年金所得を含む)」
「一時所得」「譲渡所得」「山林所得」の10種類の所得を「合計した所得」をいうため、
( 国税庁HP:「合計所得金額」)
|
『「給与所得」以外に「上記に該当する所得」』がある場合には、
『「給与所得」に「それらの所得」を合計した金額 』で、
『「配偶者の合計所得見積額」が95万円以下であるか 』を判断することが必要となります。
|
例 示
1)「給与所得:60万円」と「退職所得:30万円」がある場合
「合計所得」は「90万円(60万円+30万円)」となります。 |
2)個人事業による「事業所得:80万円」がある場合
3)不動産賃貸事業による「不動産所得:50万円」がある場合
4)「給与所得:50万円」と申告が必要な「株式配当所得:30万円」がある場合
「合計所得」は「80万円(50万円+30万円)」となります。 |
5-1)「雑所得:(公的年金所得)20万円」と「雑所得:(私的年金所得)20万円」とがある場合
「合計所得」は「40万円(20万円+20万円)」となります。 |
5-2)「雑所得:(FXに係る所得)60万円」がある場合
5-3)事業的規模に至らない個人事業(いわゆる個人業務)による「雑所得:30万円」がある場合
6)「雑所得:(公的年金所得)20万円」と「一時所得:(保険満期所得)20万円」がある場合
「合計所得」は「40万円(20万円+20万円)」となります。 |
7-1)「給与所得:10万円」と「不動産譲渡所得:30万円」がある場合
「合計所得」は「40万円(10万円+30万円)」となります。 |
7-2)「給与所得:50万円」と申告が必要な「株式譲渡所得:40万円」がある場合
「合計所得」は「90万円(50万円+40万円)」となります。 |
また、上記の「各所得」とは、
「収入金額」ではなく、
「収入金額」から
・「各種の控除金額(給与所得控除額、公的年金控除額等)」や
・「必要経費額」など を差引いた後の「所得金額」をいいますので、
|
「各種の所得」を算定する場合には、
ご自身で『「各種の収入金額」から「上記の控除金額」を差引き計算する 』ことが必要となります。 |
例 示
1)「給与所得」に係る「給与収入」と「給与所得」
①「給与収入」が550,000円である場合、「給与所得」は「0円」となります。
②「給与収入」が1,030,000円である場合、「給与所得」は「480,000円」となります。
③「給与収入」が1,500,000円である場合、「給与所得」は「950,000円」となります。
( ⇒ 給与所得単独の場合における『「源泉控除対象配偶者」の所得要件 』の限界ラインとなります。)
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2-1)「公的年金所得(雑所得)」に係る「公的年金収入」と「公的年金所得」(「65歳以上」で「他の所得が1千万円以下」)
①「公的年金収入」が1,100,000円である場合、「公的年金所得」は「0円」となります。
②「公的年金収入」が1,500,000円である場合、「公的年金所得」は「400,000円」となります。
③「公的年金収入」が2,050,000円である場合、「公的年金所得」は「950,000円」となります。
( ⇒ 公的年金所得単独の場合における『「源泉控除対象配偶者」の所得要件 』の限界ラインとなります。)
|
2-2)「公的年金所得(雑所得)」に係る「公的年金収入」と「公的年金所得」(「65歳未満」で「他の所得が1千万円以下」)
①「公的年金収入」が600,000円である場合、「公的年金所得」は「0円」となります。
②「公的年金収入」が1,500,000円である場合、「公的年金所得」は「850,000円」となります。
③「公的年金収入」が1,633,334円である場合、「公的年金所得」は「950,000円」となります。
( ⇒ 公的年金所得単独の場合における『「源泉控除対象配偶者」の所得要件 』の限界ラインとなります。)
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◆ 「見積金額」につきまして ◆
「扶養控除等申告書」は、
『 毎月の給与計算で「源泉所得税を控除する」』際に必要となる書類であるため、
・既存の給与所得者からは「前年度の年末調整時」に会社に提出され、
・途中入社・途中就任した給与所得者からは「当暦年度途中の入社・就任時」に会社に提出されることになります。
|
従いまして、「扶養控除等申告書」に記載する「(源泉控除対象配偶者の)合計所得」は、
「扶養控除等申告書」の提出時点における『「合計所得」の見積金額 』となります。 |
「年末調整時」に提出する場合の「合計所得見積額」の決定
基本的には、
『 提出年度の「合計所得実績額」』を「翌暦年度の合計所得見積額」として下さい。
ただし、「翌暦年度」において「合計所得に大幅な変動」が見込まれる場合には、
『 提出年度の「合計所得実績額」』に「大幅な変動」を加味して「翌年度の合計所得見積額」を決定して下さい。
|
「暦年度中の入社・就任時」に提出する場合における「合計所得見積額」の決定
『 前暦年度の「合計所得実績額」』と『 入社年度の「合計所得見積金額」』に大きな変動がないと考える場合には、
『 前暦年度の「合計所得実績額」』を「入社年度の合計所得見積額」として下さい。
ただし、「入社年度」において「合計所得に大幅な変動」が見込まれる場合には、
『 前暦年度の「合計所得実績額」』に「大幅な変動」を加味して「入社年度の合計所得見積額」を決定して下さい。
|
◆ 「配偶者の合計所得」の「扶養控除等申告書」への記載 ◆
「配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申請するためには、
「配偶者」の「その暦年度における合計所得見積金額」が95万円以下であることが要件となりますが、 |
「配偶者」が当該「所得要件」をクリアしていることを明示するために、
「扶養控除等申告書」には「源泉控除対象配偶者の合計所得見積額」を記載することが必須となります。 |
◆ 弊会計事務所の作成した「自動計算機」をご使用頂く場合 ◆
弊会計事務所の作成した「自動計算機」をご使用頂く場合、「合計所得」は以下の 箇所に表示されます。
条件4:「事業専従者」の制限
「配偶者」が「扶養控除等申告書を提出する本人」又は「本人と生計を一にする者」の
・「青色申告事業専従者」としてその年を通じて一度でも給与の支払を受けている場合や、
・(又は)「白色申告事業専従者」となっている場合には、
当該「配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することはできません。
|
◆ 「事業専従者」に対する規制範囲 ◆
上記の『「事業専従者」に対する規制 』は、
「配偶者」が、
「扶養控除等申告書を提出する本人」の「事業専従者」になっている場合のみならず、
「本人と生計を一にする者」の「事業専従者」となっている場合にも及ぶため、
|
「扶養控除等申告書を提出する本人」が会社に勤務する以外に自ら個人事業を営んでいる場合で、
「配偶者」がその「本人の個人事業」において、
・「本人」から『「青色事業専従者」としての給与 』の支払いを受けている場合や、
・「本人」の「白色事業専従者」となっている場合には、
「本人」は当該「配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することができなくなり、
|
更に、「本人と生計を一にする者」が個人事業を営んでいる場合で、
「配偶者」がその「(本人と)生計を一にする者の個人事業」において、
・「生計を一にする者」から『「青色事業専従者」としての給与 』の支払いを受けている場合や、
・「生計を一にする者」の「白色事業専従者」となっている場合にも、
「本人」は当該「配偶者」を「(自身の)源泉控除対象配偶者」として申告することはできなくなります。
|
他方、
「扶養控除等申告書を提出する本人」又は「本人と生計を一にする者」が営む個人事業において、
・「本人又は生計を一にする者」が「配偶者」を「青色事業専従者」として届け出ているが、
・「配偶者」に対して『「青色事業専従者」としての給与 』を一度も支払っていない場合には、
「本人」は当該「配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することができ、
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・「配偶者」が『「青色事業専従者」としての給与 』の支払いを受けているとしても、
・「配偶者」が「白色事業専従者」となっているとしても、
それが「本人と生計を一にしない者」が営む個人事業である場合には、
「本人」は当該「配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することができます。
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◆ 「例示」によるご紹介 ◆
1)「本人」の個人事業で「事業専従者」となっている場合
①「青色申告個人事業」の場合で「給与支払がある」場合
「A」が会社等に勤務するとともに、個人事業を営んでおり、
・当該事業につき「青色事業」の承認を受けており、かつ「Aの配偶者」を「事業専従者」として届け出ている。
・「A」は、申告書対象年度において「Aの配偶者」に「月5万円の給与」を支払う予定である又は支払っている。
・「Aの配偶者」は、『 上記以外の「源泉控除対象配偶者」の要件 』はすべて満たしている。
|
この場合におきましては、
「Aの配偶者」は『「源泉控除対象配偶者」に係る「専従者制限」』の対象となり、
「A」は、「Aの配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することはできません。
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②「青色申告個人事業」の場合で「給与支払がない」場合
「A」が会社等に勤務するとともに、個人事業を営んでおり、
・当該事業につき「青色事業」の承認を受けており、かつ「Aの配偶者」を「事業専従者」として届け出ているが、
・「A」は、申告書対象年度において「Aの配偶者」に「給与」を支払う予定はなく又は支払っていない。
・「Aの配偶者」は、『 上記以外の「源泉控除対象配偶者」の要件 』はすべて満たしている。
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この場合におきましては、
「Aの配偶者」は『「源泉控除対象配偶者」に係る「専従者制限」』の対象とはならず、
「A」は、「Aの配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することができます。
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③「白色申告個人事業」の場合で「専従者控除を受ける」場合
「A」が会社等に勤務するとともに、個人事業を営んでおり、
・当該事業につき「青色申告」の承認は受けていない。
・「Aの配偶者」は、この事業で「専従者」として働いており、
「A」は、申告書対象年度の確定申告において「Aの配偶者に係る専従者控除」を受ける予定である。
・「Aの配偶者」は、『 上記以外の「源泉控除対象配偶者」の要件 』はすべて満たしている。
|
この場合におきましては、
「Aの配偶者」は『「源泉控除対象配偶者」に係る「専従者制限」』の対象となり、
「A」は、「Aの配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することはできません。
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④「白色申告個人事業」の場合で「専従者控除を受けない」場合
「A」が会社等に勤務するとともに、個人事業を営んでおり、
・当該事業につき「青色申告」の承認は受けていない。
・「Aの配偶者」は、この事業で「専従者」として働いてるが、
「A」は、申告書対象年度の確定申告において「Aの配偶者に係る専従者控除」を受ける予定はない。
・「Aの配偶者」は、『 上記以外の「源泉控除対象配偶者」の要件 』はすべて満たしている。
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この場合におきましては、
「Aの配偶者」は『「源泉控除対象配偶者」に係る「専従者制限」』の対象とはならず、
「A」は、「Aの配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することができます。
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2)「生計を一にする者」の個人事業で「事業専従者」となっている場合
①「青色申告個人事業」の場合で「給与支払がある」場合
「Aの父親」が個人事業を営んでおり、
・当該事業につき「青色事業」の承認を受けており、かつ「Aの配偶者」を「事業専従者」として届け出ている。
・「Aの父親」は、申告書対象年度において「Aの配偶者」に「月5万円の給与」を支払う予定である又は支払っている。
・「Aの配偶者」は、『 上記以外の「源泉控除対象配偶者」の要件 』はすべて満たしている。
なお、「A」と「Aの父親」は同居しており生計は同じである。
|
この場合におきましては、
「Aの配偶者」は『「源泉控除対象配偶者」に係る「専従者制限」』の対象となり、
「A」は、「Aの配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することはできません。
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②「青色申告個人事業」の場合で「給与支払がない」場合
「Aの父親」が個人事業を営んでおり、
・当該事業につき「青色事業」の承認を受けており、かつ「Aの配偶者」を「事業専従者」として届け出ているが、
・「Aの父親」は、申告書対象年度において「Aの配偶者」に「給与」を支払う予定はなく又は支払っていない。
・「Aの配偶者」は、『 上記以外の「源泉控除対象配偶者」の要件 』はすべて満たしている。
なお、「A」と「Aの父親」は同居しており生計は同じである。
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この場合におきましては、
「Aの配偶者」は『「源泉控除対象配偶者」に係る「専従者制限」』の対象とはならず、
「A」は、「Aの配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することができます。
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③「白色申告個人事業」の場合で「専従者控除を受ける」場合
「Aの父親」が個人事業を営んでおり、
・当該事業につき「青色申告」の承認は受けていない。
・「Aの配偶者」は、この事業で「専従者」として働いており、
「Aの父親」は、申告書対象年度の確定申告において「Aの配偶者に係る専従者控除」を受ける予定である。
・「Aの配偶者」は、『 上記以外の「源泉控除対象配偶者」の要件 』はすべて満たしている。
なお、「A」と「Aの父親」は同居しており生計は同じである。
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この場合におきましては、
「Aの配偶者」は『「源泉控除対象配偶者」に係る「専従者制限」』の対象となり、
「A」は、「Aの配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することはできません。
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④「白色申告個人事業」の場合で「専従者控除を受けない」場合
「Aの父親」が個人事業を営んでおり、
・当該事業につき「青色申告」の承認は受けていない。
・「Aの配偶者」は、この事業で「専従者」として働いてるが、
「Aの父親」は、申告書対象年度の確定申告において「Aの配偶者に係る専従者控除」を受ける予定はない。
・「Aの配偶者」は、『 上記以外の「源泉控除対象配偶者」の要件 』はすべて満たしている。
なお、「A」と「Aの父親」は同居しており生計は同じである。
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この場合におきましては、
「Aの配偶者」は『「源泉控除対象配偶者」に係る「専従者制限」』の対象とはならず、
「A」は、「Aの配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することができます。
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3)「生計を一にしない者」の個人事業で「事業専従者」となっている場合
①「青色申告個人事業の場合」で「給与支払がある」場合
「Aの父親」が個人事業を営んでおり、
・当該事業につき「青色事業」の承認を受けており、かつ「Aの配偶者」を「事業専従者」として届け出ている。
・「Aの父親」は、申告書対象年度において「Aの配偶者」に「月5万円の給与」を支払う予定である又は支払っている。
・「Aの配偶者」は、『 上記以外の「源泉控除対象配偶者」の要件 』はすべて満たしている。
なお、「A」と「Aの父親」は同居しておらず生計は別である。
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この場合におきましては、
「Aの配偶者」は『「源泉控除対象配偶者」に係る「専従者制限」』の対象とはならず、
「A」は、「Aの配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することができます。
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②「白色申告個人事業の場合」で「専従者控除を受ける」場合
「Aの父親」が個人事業を営んでおり、
・当該事業につき「青色申告」の承認は受けていない。
・「Aの配偶者」は、この事業で「専従者」として働いており、
「Aの父親」は、申告書対象年度の確定申告において「Aの配偶者に係る専従者控除」を受ける予定である。
・「Aの配偶者」は、『 上記以外の「源泉控除対象配偶者」の要件 』はすべて満たしている。
なお、「A」と「Aの父親」は同居しておらず生計は別である。
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この場合におきましては、
「Aの配偶者」は『「源泉控除対象配偶者」に係る「専従者制限」』の対象とはならず、
「A」は、「Aの配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告することができます。
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Ⅲ:「源泉控除対象配偶者」に係る申告上の注意点
「源泉控除対象配偶者」の条件は、上記Ⅱでご紹介させて頂きましたものとなりますが、
「扶養控除等申告書」で「源泉控除対象配偶者」の申告を行う場合には、以下の注意点もご確認下さい。
1、「源泉控除対象配偶者」を「扶養控除等申告書」に記載する意味
「ご本人の扶養控除等申告書」に「源泉控除対象配偶者」を記載する目的は、
『 その暦年度中に行われる「源泉徴収」』において、
『「源泉控除対象配偶者」に係る「源泉所得税の減額計算」』を受けるためだけのものとなります。
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このため、年末調整において『 配偶者に係る「配偶者控除」や「配偶者特別控除」』を受けるためには、
その暦年度末の「年末調整時」に、
・「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に必要事項を記載して、
・ 別途、会社に申告することが必要となりますので、この点につきましてはご注意頂ますようお願い致します。
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2、夫婦共働きの場合の注意点
夫婦がともに上記Ⅱでご紹介させて頂きました「源泉控除対象配偶者の条件」を満たしている場合には、
「夫の扶養控除等申告書」で「妻」を「源泉控除対象配偶者」として申告するとともに、
「妻の扶養控除等申告書」で「夫」を「源泉控除対象配偶者」として申告するというように、
「夫婦互いに源泉控除対象配偶者となる」ような申告ができるのか?が問題となりますが、
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この点、
「現行の所得税法」におきましては、
「夫婦相互に源泉控除対象配偶者となる」ような申告自体は禁止されていませんが、
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・「夫婦がお互いに扶養しあっている(源泉控除対象配偶者となる)」という状態は原理的に考えずらく、
・また「(年末調整時の)配偶者特別控除の規定」におきましては、
「夫婦相互に配偶者特別控除を受けること」は禁止されていること(下記脚注を参照)を考慮すると、
暦年度中であっても、
「夫婦相互に源泉控除対象配偶者となる」ような申告は実質的に制限されるとお考え頂くことが必要であると思います。
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従いまして、夫婦がともに「源泉控除対象配偶者の条件」を満たしているような場合であっても、
「源泉控除対象配偶者」となれるのは、「夫」又は「妻」のいずれか一方のみであり、
「夫婦相互に源泉控除対象配偶者となる」ような申告は実質的に制限されるとお考え頂くことが必要であると思います。
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◆ 年末調整時における「配偶者特別控除」の規定 ◆
年末調整における「配偶者特別控除」の規定には、
従いまして、暦年度中に「夫婦相互を源泉控除対象配偶者とする」ような申告をした場合であっても、
年間ベースでは、
・「暦年度中に受けた(源泉控除対象配偶者の)源泉所得税減額効果」は、「夫婦の一方」のみしか受けることができず、
・「夫婦の他方」では、「暦年度中に受けた源泉所得税の減額部分」を年末調整で精算納付しなければならなくなります。
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⇒この点の詳しい内容は、『「配偶者控除・配偶者特別控除」の申告条件&配偶者控除等申告書の記載方法 』の
『 Ⅲ:2-2)「配偶者特別控除」の夫婦相互申告につきまして 』をご参照下さい。
更に、年末調整における「配偶者特別控除」の規定には、
従いまして、暦年度中に「夫婦相互を源泉控除対象配偶者とする」ような申告をした場合であっても、
(最悪の場合、上記規定が適用され)年末調整時には夫婦ともに「配偶者特別控除」を受けることができなくなり、
結果、夫婦共に「暦年度中に受けた源泉所得税の減額部分」を年末調整で精算納付しなければならなくなってしまいます。
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⇒この点の詳しい内容は、『「配偶者控除・配偶者特別控除」の申告条件&配偶者控除等申告書の記載方法 』の
『 Ⅲ:2-3)「申告者本人」が「配偶者の源泉控除対象配偶者」とされている場合 』をご参照下さい。
◆ 例 示 ◆
同一生計内に「夫」「妻」がおり、
・「夫」「妻」が「所得者(共働き)」であり、
・「夫」が『「妻」の「源泉控除対象配偶者」となる要件 』を満たしているとともに、
「妻」が『「夫」の「源泉控除対象配偶者」となる要件 』も満たしているような場合、
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「夫」「妻」の所得の多寡に関係なく、
・「妻の扶養控除等申告書」において、「夫を源泉控除対象配偶者」として申告すること、
又は
・「夫の扶養控除等申告書」において、「妻を源泉控除対象配偶者」として申告することができますが、
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・「妻の扶養控除等申告書」において、「夫を源泉控除対象配偶者」として申告するとともに、
・「夫の扶養控除等申告書」において、「妻を源泉控除対象配偶者」として申告することは実質的に制限されます。
|
Ⅳ:「源泉控除対象配偶者」に係る「扶養控除等申告書」の書き方
「申告者本人の配偶者」が「源泉控除対象配偶者」に該当する場合には、
以下の「源泉控除対象配偶者に係る情報」を「扶養控除等申告書」に記載して、会社に申告することが必要となります。
① 氏名 ② マイナンバー ③ 生年月日
④ 当該「源泉控除対象配偶者」の『 その暦年度に受けると見込まれる「合計所得見積金額」』
(「合計所得見積額」がゼロ円である場合には、0円と明記して下さい。)
⑤ 当該「源泉控除対象配偶者」が「非居住者」に該当する場合には、「その旨(「○」の記載)」
⑥ 住所又は居所
(「住所」が「申告者本人」と同じである場合には、「本人と同じ」と記載して下さい。)
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◆ ④ の 記 載:『 源泉控除対象配偶者の「合計所得見積額」』の記載 ◆
上記④「合計所得見積金額」欄には、
「源泉控除対象配偶者」が『 その暦年度に受けると見込まれる「合計所得見積金額」』を記載して下さい。 |
この点、「扶養控除等申告書」の提出時点における記載につきましては、
Ⅱの条件3でご紹介させて頂きました事項に留意して記入して下さい。 |
また、「合計所得見積金額」が「提出時点」から「年末」までの間に大きく変動した場合には、
「当該箇所に記載した金額」を修正することが必要となりますので、この点につきましてはご注意下さい。
( この点につきましては、下記Ⅵの『「合計所得見積額」に異動がある場合 』ご参照下さい。)
|
なお、上記④に記載する「合計所得見積額」は、
「配偶者が源泉控除対象配偶者の要件を満たしていること」を証明するための必須記載であるため、
当該箇所への記載がない場合には、
・「配偶者が源泉控除対象配偶者に該当するか」が不明となり、
・ 結果、「(当該配偶者に係る)源泉所得税の減額」を受けることができなくなってしまいますのでご注意下さい。
|
例 示
①「源泉控除対象配偶者」で、給与収入が1,000,000円ある。
②「源泉控除対象配偶者」が65歳以上であり、公的年金収入が2,000,000円ある。
③「源泉控除対象配偶者」が65歳以上であり、給与収入が1,000,000円あり、公的年金収入が1,500,000円ある。
◆ 「合計所得見積額」が「0円」となる場合の記載 ◆
上記④「合計所得見積額」欄が空欄である場合には、
『「合計所得見積額」の記載漏れであるのか?』又は『「合計所得見積額」が0円であるのか?』が判断できないため、 |
「合計所得見積額」が「0円」となる場合には、
上記④「合計所得見積額」欄には、「0円」と明記して頂きますようお願い致します。 |
例 示
「源泉控除対象配偶者」で、給与収入が550,000円ある。
◆ ⑤ の 記 載:『 「源泉控除対象配偶者」が「非居住者である旨」』の記載 ◆
「源泉控除対象配偶者」が「非居住者」である場合には、
上記⑤の「非居住者である親族」欄に「 〇 」を記載して下さい。 |
◆ 「 非 居 住 者 」とは ◆
「非居住者」とは、
「国内に住所を有せず」かつ「現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有しない者」をいいます。 |
例 示
「源泉控除対象配偶者」で、非居住者である。
Ⅴ:「源泉控除対象配偶者」に係る申告書提出時の「添付書類」
「扶養控除等申告書」に「源泉控除対象配偶者」を記載する場合には、
原則、当該『「源泉控除対象配偶者」に係る記載事項 』を証明するための添付書類等は必要ありません。 |
ただし、「源泉控除対象配偶者」が「非居住者」である場合※には、
『「源泉控除対象配偶者」が「扶養控除等申告書を提出する本人の配偶者」であること』を証明するために、
「以下1又は2の親族関係書類」を「扶養控除等申告書」に添付し会社に提出することが必要となります。
1、「戸籍の附票の写し」等及び「パスポートの写し」
2、「外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類」(配偶者の氏名、生年月日及び住所の記載があるものに限る。)
⇒ 例えば、戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書などの書類が該当します。
※なお「親族関係書類」が外国語により作成されている場合には「訳文」の提出も必要となります。
( 国税庁HP リーフレット:「非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ」 )
|
◆ ※「 非 居 住 者 」とは ◆
「非居住者」とは、
「国内に住所を有せず」かつ「現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有しない者」をいいます。 |
Ⅵ:「源泉控除対象配偶者の記載内容」に異動があった場合の対応
「扶養控除等申告書」は、
『 毎月の給与計算で「源泉所得税を控除する」』際に必要になる書類であるため、
・既存の給与所得者からは「前年度の年末調整時」に会社に提出され、
・途中入社・途中就任した給与所得者からは「当暦年度途中の入社・就任時」に会社に提出されることになりますが、
|
上記の時期に提出された『「当暦年度の扶養控除等申告書」における「源泉控除対象配偶者」の記載 』は、
当暦年度の最初に行われる「給与計算」~当暦年度の最後に行われる「給与計算」にわたって使用されます。 |
⇒ なお、この点の詳しい内容は、『「扶養控除等申告書」の意義 ~ 給与所得者編 ~ 』にご紹介させております。
このため、暦年度の途中に、
『「源泉控除対象配偶者」について記載した事項 』に異動があるような場合には、
・「(提出している)扶養控除等申告書」に「記載されている事項」を修正し、
・「修正後の扶養控除等申告書」を会社に提出し直すことが必要となります。
|
また、暦年度の途中に、
『「源泉控除対象配偶者」に係る要件 』を満たさなくなるような異動がある場合には、
・「(提出している)扶養控除等申告書」に記載されている「源泉控除対象配偶者」を撤回修正し、
・「修正後の扶養控除等申告書」を会社に提出し直すことや、
『「源泉控除対象配偶者」に係る要件 』を新たに満たすような異動がある場合には、
・「(提出している)扶養控除等申告書」に「源泉控除対象配偶者」を追加記載し、
・「修正後の扶養控除等申告書」を会社に提出し直すことが必要となります。
|
◆ 「源泉控除対象配偶者に関する情報」に異動がある場合 ◆
「氏名」 「住所」 「非居住配偶者である旨」 などの
「源泉控除対象配偶者に関する情報」に異動がある場合には、
・「A:源泉控除対象配偶者」箇所に記載されている「情報」を修正し、
・「修正後の扶養控除等申告書」を会社に再提出することが必要となります。
|
例 示
「源泉控除対象配偶者」の住所が変更となった。
◆ 「合計所得見積額」に異動がある場合 ◆
「配偶者」が「源泉控除対象配偶者」となるための条件である「合計所得額」につきましては、
・「扶養控除等申告書」の提出時点では、
上記Ⅱの条件3でご紹介させて頂きましたように「見積金額」で判断することになりますが、
・「暦年度の途中」では、
「より確定金額に近い見積額」で判断することとなります。
|
このため、『「年度当初や入社時・就任時」に見積もられた「所得見積金額」』が暦年度中に大きく変動した場合には、
・「A:源泉控除対象配偶者」箇所に記載されている「合計所得見積額」を修正し、
・「修正後の扶養控除等申告書」を会社に再提出することが必要となります。
|
例 示
「源泉控除対象配偶者」の合計所得見積額が0円から950,000円に大きく変動した。
◆ 「源泉控除対象配偶者の申告自体」に異動がある場合 ◆
『「源泉控除対象配偶者」の要件となる事項 』に異動が生じた結果、
『「源泉控除対象配偶者」の申告自体 』に異動が生じた場合には、
・「A:源泉控除対象配偶者」箇所に記載されている「申告」 を修正し、
・「修正後の扶養控除等申告書」を会社に再提出することが必要となります。
|
◆ 「源泉控除対象配偶者」自体の撤回修正 ◆
「配偶者」が「源泉控除対象配偶者の要件」を満たさなくなったため、「源泉控除対象配偶者の申告」を撤回修正する。
◆ 「源泉控除対象配偶者」自体の年度途中での申告 ◆
「配偶者」が年度途中で「源泉控除対象配偶者の要件」を満たすことになったため、「源泉控除対象配偶者の追加申告」を行う。
Ⅶ:所得税法における『 配偶者に係る「その他の概念」』
所得税法で使われる『「配偶者」に対する概念 』には、
当該ページでご紹介させて頂いております『「源泉控除対象配偶者」という概念 』の他、
源泉所得税計算や年末調整において使用する
障害者控除の対象となる『「同一生計配偶者」という概念 』や、
年末調整において使用する
配偶者控除や配偶者特別控除の対象となる『「控除対象配偶者」「配偶者特別控除対象者」という概念 』があり、
|
上記の『「同一生計配偶者」「控除対象配偶者・配偶者特別控除対象者」の定義・条件 』は、
『「源泉控除対象配偶者」の定義・条件 』とは異なったものとなりますので、この点につきましては十分ご注意下さい。 |
なお、
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、「源泉控除対象配偶者」についての申告条件・申告上の注意点、扶養控除等申告書への記載方法などをご紹介させて頂いております。
『「源泉控除対象配偶者」の定義・条件 』につきまして
「扶養控除等申告書」に「源泉控除対象配偶者」を記載するためには、
「配偶者」が『 所得税法で規定されている「源泉控除対象配偶者の要件」』を満たしていることが必要となります。
従いまして、「扶養控除等申告書」に「源泉控除対象配偶者」を記載される場合には、
当該ページのⅠやⅡでご紹介させて頂いております
『「源泉控除対象配偶者」の定義や要件 』を十分にご確認頂きますようお願い致します。
「源泉控除対象配偶者」に係る申告上の注意点
・「扶養控除等申告書」に「源泉控除対象配偶者」を記載する目的は、
『「源泉控除対象配偶者」に係る「源泉所得税の減額計算」』を受けるためだけのものとなり、
・「年末調整」において、『「配偶者」について「配偶者控除」や「配偶者特別控除」』を受けるためには、
「年末調整時」に別途「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を提出することが
必要となりますので、この点につきましては十分ご注意頂きますようお願い致します。
「夫婦共働き」で「夫婦がともに源泉控除対象配偶者となる要件」を満たしている場合には、
・ 夫・妻の所得金額の多寡に関係なく、「いずれか」を「源泉控除対象配偶者」として申告することはできますが、
・「夫」と「妻」がともに「お互いの源泉控除対象配偶者となる」ような重複申告は実質的にできませんのでご注意下さい。
『「源泉控除対象配偶者」の「扶養控除等申告書」への記載方法 』につきまして
「扶養控除等申告書」に「源泉控除対象配偶者」を記載する場合には、
『「扶養控除等申告書」に記載することが必要となる事項 』が、所得税法上で決められておりますので、
「本人の配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として申告される場合には、「上記Ⅳに記載している事項」をご確認下さい。
なお、『「扶養控除等申告書」に記載が要求される「源泉控除対象配偶者に関する事項」』につきましては、
「配偶者」が「源泉控除対象配偶者に該当することを証明するための記載」となりますので、
これらの記載につきましては、適切にご記入頂きますようお願い致します。
(「必要記載事項」が記載されていない場合には、
原則「源泉控除対象配偶者に係る源泉所得税の減額」を適用できないルールになっております。)
「源泉控除対象配偶者」に係る『「扶養控除等申告書」の添付書類 』につきまして
「扶養控除等申告書」に「源泉控除対象配偶者」を記載する場合には、
原則、『 当該「源泉控除対象配偶者」に係る記載事項 』を証明するための添付書類等は必要ありません。
ただし、「源泉控除対象配偶者」が「非居住者」である場合には、
「源泉控除対象配偶者」が「申告者本人の配偶者であること」を証明するための書類添付が必要となりますので、
このような場合には、「上記Ⅴに記載している事項」を十分にご確認頂きますようお願い致します。
『「源泉控除対象配偶者」の記載事項 』の異動時対応
・「扶養控除等申告書」は、「前年度の年末調整時」や「当暦年度の入社時」に提出されますが、
・「扶養控除等申告書」により行われる『「源泉控除対象配偶者」の申告 』は、
当暦年度の最初に行われる「給与計算」~当暦年度末までの「給与計算」にかけての申告となるため、
「年度途中」において、
「扶養控除等申告書」に記載した『「源泉控除対象配偶者」の記載事項 』に異動が生じた場合には、
異動が生じた時点で、適時に修正申告して頂ますようお願い致します。
特に、「年度途中」において、
「配偶者」が「源泉控除対象配偶者でなくなってしまう」ような異動が生じた場合には、
異動が生じた時点で、「源泉控除対象配偶者の撤回申告」を適時に行って頂きますようお願い致します。
所得税法における『 配偶者に係る「その他の概念」』
配偶者に対して「源泉控除対象配偶者の定義」を使うのは、
「扶養控除等申告書」に『「配偶者」を「源泉控除対象配偶者」として記載するか否か 』の判断を行う場合であり、
・「扶養控除等申告書」において『「配偶者」を「障害者控除対象者」として記載する 』場合には、
「源泉控除対象配偶者」とは異なる『「同一生計配偶者」という概念 』が用いられることになり、
・「配偶者控除等申告書」において『「配偶者」を「控除対象配偶者・配偶者特別控除対象者」として記載する 』場合には、
「源泉控除対象配偶者」とは異なる『「控除・特別控除対象配偶者」という概念 』が用いられることになり、
同じ「配偶者に係る控除」であっても、「それぞれの控除」に対して「設定される条件」は異なりますのでご注意下さい。