「報酬・料金に対する所得税の源泉徴収」につきまして、「源泉徴収が必要となる報酬・料金」「それぞれの報酬・料金に対する源泉徴収金額」につきまして、以下の項目に従い、ご説明させて頂きます。

 

 

 

Ⅰ:第204条第1項第1号の報酬・料金(原稿料、講演料等)

1、源泉徴収の金額

報酬・料金の額 × 10.21
ただし、同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、

100万円 × 10.21% + (報酬・料金の額 ‐ 100万円) × 20.42

 

2、源泉徴収の対象となる業務報酬

報酬の内容

具体的報酬内容

講演の報酬・料金 講演を依頼した場合の講師に支払う謝金

【類似するが該当しないもの】

  • ラジオ、テレビジョンその他のモニターに対する報酬
  • 放送謝金に該当するは、放送謝金として源泉徴収を行います。
技芸スポーツ知識等の
教授指導
技芸、スポーツその他これらに類するもの(実技指導等)の教授若しくは指導又は知識の教授の報酬・料金

【次に掲げるものも含まれます。】

  1. 生け花、茶の湯、舞踊、囲碁、将棋等の遊芸師匠に対し実技指導の対価として支払う謝金等
  2. 編物、ペン習字、着付、料理、ダンス、カラオケ、民謡、語学、短歌、俳句等の教授・指導料
  3. 各種資格取得講座の講師謝金等
【類似するが該当しないもの】

  • 一般の講演料に該当するものは、「講演の報酬・料金」として源泉徴収を行います。
  • プロスポーツ選手に支払うものは、「第204条第1項第4号の報酬・料金」として源泉徴収を行います。
原稿の報酬
  1. 原稿料
  2. 演劇、演芸の台本の報酬
  3. 口述の報酬
  4. 映画の筋書料
  5. 文、詩、歌、標語等の懸賞の入賞金
  6. 書籍等の編さん料又は監修料
【類似するが該当しないもの】

  • 懸賞応募作品の選稿料又は審査料
  • 試験問題の出題料又は各種答案の採点料
  • クイズ等の問題又は解答の投書に対する賞金等
    ⇒広告宣伝のための賞金に該当するものは、「第204条第1項第8号の賞金」に該当するものとして源泉徴収を行います。
  • ラジオ、テレビジョンその他のモニターに対する報酬
  • 鑑定料
    ⇒不動産鑑定士等の業務に関する報酬・料金に該当するものは、「第204条第1項第2号の報酬・料金」に該当するものとして源泉徴収を行います。
  • 直木賞、芥川賞、野間賞、菊池賞等としての賞金品
挿絵の報酬 書籍、新聞、雑誌等の挿絵の料金
写真の報酬 雑誌、広告、その他の印刷物に掲載するための写真の報酬・料金
作曲の報酬 作曲、編曲の報酬
レコードテープ又はワイヤー
吹き込みの報酬
  1. レコード、テープ、ワイヤーの吹込料
  2. 映画フィルムのナレーションの吹き込みの報酬
デザインの報酬
  1. 工業デザイン
  2. 自動車、オートバイ、テレビジョン受像機、工作機械、カメラ、家具等のデザイン及び織物に関するデザイン
  3. クラフトデザイン
    茶わん、灰皿、テーブルマットのようないわゆる雑貨のデザイン
  4. グラフィックデザイン
    広告、ポスター、包装紙等のデザイン
  5. パッケージデザイン
    化粧品、薬品、食料品等の容器のデザイン
  6. 広告デザイン
    ネオンサイン、イルミネーション、広告塔等のデザイン
  7. インテリアデザイン
    航空機、列車、船舶の客室等の内部装飾、その他の室内装飾
  8. ディスプレイ
    ショーウィンドー、陳列棚、商品展示会場等の展示装飾
  9. 服飾デザイン
    衣服、装身具等のデザイン
  10. ゴルフ場、庭園、遊園地等のデザイン
  11. 映画関係の原画料、線画料又はタイトル料
  12. テレビジョン放送のパターン製作料
  13. 標章の懸賞の入賞金

 ネオンサイン、広告塔、ショーウィンドー、陳列棚、商品展示会場又は庭園等のデザインとその施工とを併せて請け負った者にその対価を一括して支払うような場合には、その対価の総額をデザインの報酬・料金と施工の対価とに区分し、デザインの報酬・料金について源泉徴収を行いますが、そのデザインの報酬・料金の部分が極めて少額であると認められるときは、源泉徴収をしなくて差し支えありません。

【類似するが該当しないもの】

  • 織物業者が支払ういわゆる意匠料(図案を基に織原版を作成するのに必要な下画の写調料)又は紋切料(下画を基にする織原版の作成料)
  • 字又は絵等の看板書き料
脚本の報酬・料金 映画、演劇、演芸等の脚本料
脚色の報酬・料金
  1. 潤色料(脚本の修正、補正料)
  2. プロット料(粗筋、構想料)等
翻訳の報酬・料金 翻訳の料金
通訳の報酬・料金 通訳の料金

【類似するが該当しないもの】

手話通訳の報酬・料金

校正の報酬・料金 書籍・雑誌等の校正の料金
書籍の装丁の報酬・料金 書籍の装丁(表紙,カバー,外箱,タイトル・ページのデザイン)料

【類似するが該当しないもの】

製本の料金

速記の報酬・料金 速記料
版下の報酬・料金
  1. 原画又は原図から直ちに凸版、凹版、平版等を製版することが困難である場合に、その原画又は原図を基として製版に適する下画又は下図を写調する報酬・料金
  2. 原画又は原図を基として直接亜鉛版(ジンク版)に写調する報酬・料金
  3. 活字の母型下を作成する報酬・料金
  4. 写真製版用写真原版の修整料
【類似するが該当しないもの】

  • 図案等のプレス型の彫刻料
  • 織物業者が支払う意匠料又は紋切料
  • 写真植字料
放送謝金 ラジオ放送、テレビジョン放送等の謝金等

【類似するが該当しないもの】

  • 放送演技者に支払うものは、「第204条第1項第5号の報酬・料金」に該当します。
  • いわゆる素人のど自慢放送、素人クイズ放送の出演者の受けるものは、「第204条第1項第8号の賞金」に該当します。
著作権の使用料
  1. 書籍の印税
  2. 映画、演劇又は演芸の原作料
  3. 上演料等
  4. 著作物の複製、上演、演奏、放送、展示、上映、翻訳、編曲、脚色、映画化その他著作物の利用又は出版権の設定の対価
著作隣接権の使用料
  1. レコードの吹き込みによる印税等
  2. 俳優、舞踊家、演奏家、歌手等が実演を録音し、録画し、又は放送する権利の使用料
  3. レコード製作者が製作したレコードを複製する権利の使用料
  4. 放送事業者が放送に係る音又は映像を録音し、録画し、又は写真その他により複製する権利の使用料
【類似するが該当しないもの】

商業用レコードの二次使用料

工業所有権等の使用料 工業所有権、技術に関する権利、特別の技術による生産方式又はこれらに準ずるものの使用料
 投資助言業務に係る報酬・料金  金融商品取引法第28条第6項に規定する投資助言業務に係る報酬・料金

 

 

Ⅱ:第204条第1項第2号の報酬・料金(専門職業等)

1、弁護士、税理士、経営コンサルタント、建築士、不動産鑑定士、等

1)源泉徴収の金額

報酬・料金の額 × 10.21
ただし、同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、

100万円 × 10.21% + (報酬・料金の額 ‐ 100万円) × 20.42

 

2)源泉徴収の対象となる業務報酬

報酬の内容 具体的報酬内容
弁護士外国法事務弁護士公認会計士税理士計理士会計士補社会保険労務士又は弁理士の業務に関する報酬・料金 弁護料、監査料その他名義のいかんを問わず、その業務に関する一切の報酬・料金
企業診断員の業務に関する報酬・料金
  1. 中小企業診断士の業務に関する報酬・料金
  2. 企業の求めに応じてその企業の状況について調査及び診断を行い、又は企業経営の改善及び向上のための指導を行う人(経営士、経営コンサルタント、労務管理士等と称されているもの)のその業務に関する報酬・料金
測量士又は測量士補の業務に関する報酬・料金 測量に関する計画の作成、その計画の実施その他の業務に関する報酬・料金
建築士の業務に関する報酬・料金
  1. 建築物の設計、工事監理を行ったことに対して支払う報酬・料金
  2. 建築工事の指導監督を行ったことに対して支払う報酬・料金
  3. 建築工事契約に関する事務を行ったことに対して支払う報酬・料金
  4. 建築物に関する調査又は鑑定を行ったことに対して支払う報酬・料金
  5. 建築に関する法令又は条例に基づく手続の代理を行ったことに対して支払う報酬・料金

 建築士には、建築士法第23条に規定する建築士事務所の登録を受けていない人含まれます

 建築士の業務建築の請負とを併せて行っている人に設計等とその施工とを併せて請け負わせ対価を一括して支払うような場合には、その対価の総額を建築士の業務に関する報酬・料金と建築の対価とに区分し、建築士の業務に関する報酬・料金について源泉徴収を行うのが建前ですが、建築士の業務に関する報酬・料金の部分が極めて少額であると認められるときは、源泉徴収をしなくて差し支えありません。

建築代理士の業務に関する報酬・料金 建築代理士(建築代理士以外の人で、建築に関する申請や届出の書類を作成し、又はこれらの手続の代理をすることを業とする人を含みます。)の業務に関する報酬・料金
不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の業務に関する報酬・料金 不動産の鑑定評価その他の業務に関する報酬・料金
技術士又は技術士補の業務に関する報酬・料金 技術士又は技術士補のその業務に関する報酬・料金のほか、技術士又は技術士補の資格を有しないで科学技術(人文科学だけを対象とするものを除きます。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項について計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除きます。)を行う人のその業務に関する報酬・料金

 上記の「他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務」には、次のようなものがあります。

  1. 電気事業法第43条((主任技術者))に規定する主任技術者の業務
  2. ガス事業法第31条((ガス主任技術者))に規定するガス主任技術者の業務
  3. 医師法第17条((非医師の医業禁止))に規定する医師の業務
  4. 薬事法第7条((薬局の管理))又は第17条((総括製造販売責任者等の設置))の規定により薬剤師等が行うべき管理の業務
  5. 電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)第47条各号((エックス線作業主任者の職務))に規定するエックス線作業主任者の業務
  6. 食品衛生法第48条第1項((食品衛生管理者))に規定する食品衛生管理者の業務
火災損害鑑定人又は自動車等損害鑑定人の業務に関する報酬・料金 社団法人日本損害保険協会に火災損害登録鑑定人若しくは火災損害登録鑑定人補又は自動車等損害鑑定人(自動車又は建設機械の保険事故に関して損害額の算定又は調査を行うことを業とするいわゆるアジャスターをいいます。)として登録された人に対する報酬・料金でその業務に関するもの

【類似するが該当しないもの】

損害保険会社(損害保険に類する共済の事業を行う法人を含みます。)以外の者が支払う報酬・料金

 

2、司法書士、土地家屋調査士、海事代理士、等

1)源泉徴収の金額

(報酬・料金の額 - 1回の支払につき1万円) × 10.21

 

2)源泉徴収の対象となる業務報酬

報酬の内容 具体的報酬内容
司法書士の業務に関する報酬・料金 裁判所、検察庁、法務局又は地方法務局に提出する書類の作成その他の業務に関する報酬・料金
土地家屋調査士の業務に関する報酬・料金 不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査、測量又は官公庁に対する申請手続その他の業務に関する報酬・料金
海事代理士の業務に関する報酬・料金 船舶法、船舶安全法、船員法、海上運送法又は港湾運送事業法の規定に基づく申請、届出、登記その他の手続又はこれらの手続に関する書類の作成その他の業務に関する報酬・料金

 

 

Ⅲ:第204条第1項第4号の報酬・料金(モデル、プロ選手、外交員等)

1、モデル、プロ選手等

1)源泉徴収の金額

報酬・料金の額 × 10.21
ただし、同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、

100万円 × 10.21% + (報酬・料金の額 ‐ 100万円) × 20.42

 

2)源泉徴収の対象となる業務報酬

報酬内容 具体的報酬内容
モデルの業務に関する報酬・料金
  1. ファッションモデル等の報酬・料金
  2. 雑誌、広告その他の印刷物にその容姿を掲載させることにより支払われる報酬・料金
職業野球の選手の業務に関する報酬・料金 選手、監督、コーチャー、トレーナー又はマネージャーに対し選手契約に定めるところにより支払われるすべての手当、賞金品等
プロサッカーの選手の業務に関する報酬・料金 プロサッカーの選手に支払われる定期報酬、出場料、成功報酬その他その業務に関する報酬・料金
プロテニスの選手の業務に関する報酬・料金 プロテニスの選手に支払われる専属契約料、入賞賞金、出場料その他その業務に関する報酬・料金
プロレスラーの業務に関する報酬・料金 プロレスラーに支払われるファイトマネー、賞金品その他その業務に関する報酬・料金
プロゴルファーの業務に関する報酬・料金 プロゴルファーに支払われるその業務に関する賞金品、手当その他の報酬・料金
プロボウラーの業務に関する報酬・料金 プロボウラーに支払われるその業務に関する賞金品、手当その他の報酬・料金
自動車のレーサーの業務に関する報酬・料金 サーキット場で行われるレース、ラリー、モトクロス、トライアル等の自動車(原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車をいいます。)の競走・競技に出場するドライバー、ライダー等に支払われる賞金品その他その業務に関する報酬・料金
自転車競技の選手、小型自動車競走の選手又はモーターボート競走の選手の業務に関する報酬・料金 普通賞金、特別賞金、寄贈賞、特別賞(先頭賞、記録賞、敢闘賞、副賞)、参加賞その他競技に出場することによって支払われるすべてのもの

※ 小型自動車競走の選手とは、小型自動車競走法第11条第1項《小型自動車競走の審判員等の登録》に規定する選手をいいます。

競馬の騎手の業務に関する報酬・料金 競馬の騎手に支払われるその業務に関する報酬・料金

 

2、外交員、集金人又は電力量計の検針人

1)源泉徴収の金額

(報酬・料金の額 - 控除金額) × 10.21

 控除金額:同一人に対してその月中に支払われる金額について、12万円
(ただし、別に給与の支払があるときは、12万円からその月中に支払われる給与の金額控除した残額

 

2)源泉徴収の対象となる業務報酬

報酬内容

具体的報酬内容

外交員集金人又は電力量計の検針人の業務に関する報酬・料金
  1. 外交員、集金人又は電力量計の検針人にその地位に基づいて保険会社等から支払われる報酬・料金
  2. 製造業者又は卸売業者等が、特約店等に専属するセールスマン又は専ら自己の製品等を取り扱う特約店等の従業員等に対し、取扱数量又は取扱金額に応じてあらかじめ定められているところにより交付する金員
【類似するが該当しないもの】

  • 保険会社が団体の代表者に対して支払う団体扱いに係る保険料の集金手数料
  • 保険会社が代理店に対して支払う集金手数料
    ⇒ただし、生命保険会社が代理店に対し生命保険契約の募集に関して支払うものは、「外交員の業務に関する報酬・料金」に該当します
  • 製造業者又は卸売業者等が、特約店等に専属するセールスマン又は専ら自己の製品等を取り扱う特約店等の従業員等のために次に掲げる費用を支出することにより、そのセールスマン又は従業員等が受ける経済的利益については、課税しなくて差し支えありません。
    ①セールスマン又は従業員等の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
    ② セールスマン若しくは従業員等又はこれらの者の親族等の慶弔、禍福に際し一定の基準に従って交付する金品の費用

 

3、プロボクサー

1)源泉徴収の金額

(報酬・料金の額 - 1回の支払につき5万円) × 10.21

 

2)源泉徴収の対象となる業務報酬

報酬内容 具体的報酬内容
職業拳闘家の業務に関する報酬・料金 プロボクサーに支払われるファイトマネー、賞金品その他その業務に関する報酬・料金

 

 

Ⅳ:第204条第1項第5号の報酬・料金(芸能人、芸能プロダクション等)

1、源泉徴収の金額

報酬・料金の額 × 10.21
ただし、同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、

100万円 × 10.21% + (報酬・料金の額 ‐ 100万円) × 20.42

 

2、源泉徴収の対象となる業務報酬

報酬内容

具体的報酬内容

映画演劇その他芸能又はラジオ放送テレビジョン放送出演演出又は企画の報酬・料金 映画、演劇、音楽、音曲、舞踊、講談、落語、浪曲、漫談、漫才、腹話術、歌唱、奇術、曲芸や物まね又はラジオ放送やテレビジョン放送の出演や演出又は企画の報酬・料金

【以下のものも含まれます】

  1. 「演出の報酬・料金」には、指揮、監督、映画や演劇の製作、振付け(剣技指導その他これに類するものを含みます。)、舞台装置、照明、撮影、演奏、録音(擬音効果を含みます。)、編集、美粧又は考証の報酬・料金が含まれます。
  2. 「ラジオ放送やテレビジョン放送の出演の報酬・料金」には、クイズ放送又はいわゆるのど自慢放送の審査員に対する報酬・料金も含まれます。
  3. 「映画や演劇の製作、編集の報酬・料金」には、映画又は演劇関係の監修料(カット料)又は選曲料が含まれます
【類似するが該当しないもの】

  • いわゆる素人のど自慢放送、クイズ放送の出演者に対し放送のスポンサー等から支払われる賞金品等は、「第204条第1項第8号のの賞金品等」に該当します。
  • 料理屋、旅館等において特定の客(団体客を含みます。)の求めに応じ日本舞踊、三味線等の伎芸をもって客に接し酒興を添えるために軽易な芸を披露した者(料理屋旅館等に専属して芸を披露している人又は常時出演している人など専ら客に対して芸能の提供を行う人を除きます。)に対し、その客が直接に又はその料理屋、旅館等を通じて支払う報酬・料金
芸能人の役務の提供を内容とする事業を行う者のその役務提供に関する報酬・料金 映画や演劇の俳優、映画監督や舞台監督(プロジューサーを含みます。)、演出家、放送演技者、音楽指揮者、楽士、舞踊家、講談師、落語家、浪曲師、漫談家、漫才家、腹話術師、歌手、奇術師、曲芸師又は物まね師の役務の提供を内容とする事業を行う者のその役務提供に関する報酬・料金

【以下のものも含まれます】

「役務提供に関する報酬・料金」とは、不特定多数の人から支払われるものを除き、芸能人の役務の提供の対価たる性質を有する一切のものをいいますから、その報酬・料金には、演劇を製作して提供する対価や芸能人を他の劇団、楽団等に供給したり、芸能人の出演をあっせんしたりすることにより支払われる対価はもちろん、次のようなものも含まれます(なお、脚本、楽曲等を提供することにより支払われる対価のように著作権の対価に該当するものは、上記の報酬・料金には含まれません。)。

  1. テレビジョンやラジオの放送中継料又は雑誌、カレンダー等にその容姿を掲載させるなどのために芸能人を供給したり、あっせんすることにより支払われる対価
  2. 芸能人の実演の録音、録画、放送又は有線放送につき著作隣接権の対価として支払われるもの(実演についての録音物の増製又は著作権法第94条第1項各号に掲げる放送につき支払われるもので、その実演による役務の提供に対する対価と併せて支払われるもの以外のものを除きます。)。
  3. 大道具、小道具、衣装、かつら等の使用による損耗の補てんに充てるための道具代、衣装代等又は犬、猿等の動物の出演料等として支払われるもの(これらの物だけを貸与したり、これらの動物だけを出演させることにより支払われる対価を除きます。)

 なお、事業を営む個人が特定の要件に該当するものとして所轄税務署長から源泉徴収を要しないことの証明書の交付を受け、その証明書を提示して支払を受けるものについては、源泉徴収をする必要はありません。

【類似するが該当しないもの】

自ら主催して演劇の公演を行うことにより、観客等から受ける入場料不特定多数の人から受けるもの(公演に伴い客席等の全部又は一部の貸切契約を締結することにより支払を受ける対価は、不特定多数の人から受けるものに該当するものとして取り扱われます。)

 

 

Ⅴ:第204条第1項第6号の報酬・料金(ホステス、コンパニオン等)

1、源泉徴収の金額

(報酬・料金の額 - 控除金額) × 10.21

  控除金額:同一人に対し1回に支払われる金額について、5,000円×「支払金額の計算期間の日数
(ただし、別に給与の支払をする場合には、「その計算した金額」から「その計算期間の給与の額」を控除した残額)

 

2、源泉徴収の対象となる業務報酬

報酬内容

具体的報酬内容

ホステスバンケットホステスコンパニオン等の業務に関する報酬・料金
  1. キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設でフロアにおいて客にダンスをさせ、又は客に接待をして遊興や飲食をさせるものにおいて、客に侍してその接待をすることを業務とするホステスその他の人のその業務に関する報酬・料金
  2. ホテル、旅館、飲食店その他飲食をする場所(臨時に設けられたものを含みます。)で行われる飲食を伴うパーティー等の会合において、専ら接待等の役務の提供を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオン等のその業務に関する報酬・料金
【類似するが該当しないもの】

  • 芸妓の業務に関する報酬・料金
  • 配ぜん人及びバーテンダーの報酬・料金

 

 

Ⅵ:第204条第1項第7号の契約金(契約金等)

1、源泉徴収の金額

報酬・料金の額 × 10.21
ただし、同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、

100万円 × 10.21% + (報酬・料金の額 - 100万円) × 20.42

 

2、源泉徴収の対象となる業務報酬

報酬内容

具体的報酬内容

役務の提供を約すること等により一時に支払われる契約金 職業野球の選手、その他一定の者に専属して役務を提供する人が、その一定の者のために役務を提供し、又はそれ以外の者のために役務を提供しないことを約することにより一時に支払われる契約金

 契約金には、雇用契約等を締結することにより支払われる支度金、移転料等も含まれます。ただし、就職に伴う転居のための旅費に該当するものは、これに当たりません。

 

 

Ⅶ:第204条第1項第8号の賞金(広告宣伝の賞金、競馬の賞金等)

1、広告宣伝のための賞金

1)源泉徴収の金額

(賞金品の額 - 控除金額) × 10.21

 控除金額:同一人に対し1回に支払われる賞金品の額について、50万円

 

2)源泉徴収の対象となる業務報酬

報酬内容

具体的報酬内容

事業の広告宣伝のための賞金 事業の広告宣伝のために賞として支払う金品その他の経済上の利益

(例)いわゆる素人のど自慢放送、クイズ放送の出演者に対し、番組のスポンサー等から支払われる賞金品等

【以下のものが含まれます】

「事業の広告宣伝のために賞として支払う金品その他の経済上の利益」とは、事業を営む者が商品又は事業の内容等を広く一般に知らせ顧客を誘引するために支払う賞金品等をいい、事業を営む者が自己の事業の広告宣伝のために直接支払うもののほか、次に掲げるものもこれに含まれます。

  1. 商店会、同業組合等の業者団体がその所属する事業者の営む事業の広告宣伝のために支払う賞金品等
  2. 事業を営む者又は事業を営む者の組織する団体から寄贈(低額譲渡を含みます。)を受けた者が支払う賞金品等で、その寄贈者等の事業の広告宣伝のために支払うものと認められるもの

賞金品が物品で支払われる場合の評価は、次によります(所基通205-9)

  1. 公社債券、株券又は貸付信託、投資信託若しくは特定目的信託の受益証券:支払われることとなった日の価額
  2. 商品券:券面額
  3. 貴石、貴金属、真珠、さんご等やこれらの製品又は書画、骨とう、美術工芸品:支払われることとなった日の価額
  4. 土地又は建物:支払われることとなった日の価額
  5. 定期金に関する権利又は信託の受益権:相続税法又は財産評価基本通達(昭39直資56)に定めるところに準じて評価した価額
  6. 生命保険契約に関する権利:支払われることとなった日においてその契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料、剰余金の分配等がある場合には、これらの金額との合計額)。ただし、その契約の保険料でその後に支払うこととなっているものをその権利の支払者において負担する条件が付けられている場合には、その負担することとなっている金額につき5に準じて評価した金額を加算した金額
  7. その他のもの:通常の小売価額(現金正価)の60%相当額
【類似するが該当しないもの】

  • 旅行その他の役務の提供を内容とする経済上の利益で金品との選択をすることができないもの
  • 次に掲げる賞金品等で、その寄贈者等の事業の広告宣伝のための賞金品等であると認められるもの以外のもの
    ①社会的に顕彰される行為、業績等を表彰するために支払う賞金品等で、社会通念上それが支払者の営む収益事業と密接な関連があると認められないもの
    ②使用者が自己の使用人等を対象とし、又は団体が自己の構成員を対象として、その使用人等又は構成員の勤務、業務、競技、演技等の成績を表彰するために支払う賞金品等
    ③行政官庁又はその協力団体が行政上の広報を目的として支払う賞金品等

 

2、馬主に対しての競馬の賞金

1)源泉徴収の金額

(賞金の額 - 控除金額 )  × 10.21

  控除金額:同一人に対し1回に支払われる賞金の金額について、
その賞金の額」 × 20% + 60万円

 

2)源泉徴収の対象となる業務報酬

報酬内容

具体的報酬内容

馬主に支払われる競馬の賞金 馬主に対し競馬の賞として支払われる金品のうち、金銭で支払われるもの

【類似するが該当しないもの】

副賞として交付される賞品

 

 

Ⅷ:報酬・料金に対する源泉徴収の留意点

1、源泉徴収の対象となる報酬・料金

「源泉徴収の対象となる報酬・料金」は、上記のⅠ~Ⅶに記載した業務に対する報酬・料金のうち、

個人事業者」や「個人」に対して支払ったもののみになります。

このため、「会社」や「その他法人」に対して支払った報酬・料金につきましては、源泉徴収の対象とはなりません

 

2、源泉徴収義務者

  1. 会社」や「その他の法人」が、上記Ⅰ~Ⅶに該当する報酬・料金を支払った場合には、源泉徴収をしなければならない源泉徴収義務者」となります。
  2. また、「個人事業者」や「個人」であっても、給与を支払っている場合※1には、上記Ⅰ~Ⅶに該当する報酬・料金を支払った場合には、源泉徴収をしなければならない源泉徴収義務者」となります。

 

※1 「給与の支払がない個人事業者」や「常時2人以下家事使用人(家政婦)のみに対して給与を支払う個人事業者」は、「源泉徴収義務者とはなりません

 上記Ⅴの「ホステスコンパニオン等の報酬・料金(第204条第1項第6号)」を支払った場合には、「給与を支払っていない個人事業者等」も「源泉徴収義務者」となります。

上記のような場合には、「会社」「その他の法人」「個人事業主」「個人」は、「源泉徴収義務者」となります。

これらの「報酬・料金に対する源泉税」は、「報酬・料金の支払先である個人事業者等の所得税」ですので、本来的には、「報酬・料金の支払先である個人事業者」が税務署等に支払うものでありますが、税務署に代わって「源泉徴収義務者」が徴収しなければならない制度になっています。
このため、税務調査等において、「本来源泉徴収をしなければならない報酬・料金」に対して、源泉徴収がなされていないこと(源泉徴収漏れ)が指摘された場合には、「源泉徴収義務者」に対して「源泉税の納付が求められます

 

請求書で源泉徴収金額が控除されていない場合

本来は、報酬・料金に対して源泉徴収が必要な場合には、個人事業者から送付される「請求書」で、「源泉徴収金額」が控除されていることが必要となります。

ただし、個人事業者の中には、「源泉徴収金額」を控除せず「請求書」が発行される場合があります。

このような場合であっても、源泉徴収を行う責任は、「源泉徴収義務者」となってしまいます。

このため、「個人事業者に支払った報酬・料金」が「上記Ⅰ~Ⅶに該当する報酬・料金」に該当する場合には、報酬・料金の支払にあたって、個人事業者にご確認して頂きますようお願い致します

 

3、源泉徴収の納付時期

1)毎月納付(原則納付)の場合

「従業員給与」や「役員報酬」に対する源泉徴収税を、「毎月納付原則納付)」により、税務署に納付している場合には、

「上記Ⅰ~Ⅶに該当する報酬・料金に対して徴収した源泉税」も、

  • 「従業員給与や役員報酬に対して徴収した源泉税」と同様に、
  • 報酬・料金を支払った月翌月10日」までに納付しなければなりません。

 

2)納期特例の場合

「従業員給与」や「役員報酬」に対する源泉徴収税を、「納期特例年間2回)」により、税務署に納付している場合には、

上記Ⅱに記載した「専門職業者への報酬・料金に係る源泉徴収税(第204条第1項第2号)」は、

  • 「従業員給与や役員報酬に対して徴収した源泉税」と同様に、
  • 納期特例年間2回)」に従い、「7月10日1月20日」に納付することができます。
上記以外の報酬・料金に係る源泉徴収税」は、

  • 納期特例の適用を受けている場合であっても、
  • 報酬・料金を支払った月翌月10日」までに納付しなければなりません。