ここでは、「勤労学生」について、「その概要」を以下の事項に従いご紹介させて頂きます。
Ⅰ:「勤労学生」とは
「勤労学生」とは、
給与等所得者が「本人が勤労学生である旨」を「扶養控除等申告書」に記載し会社に申告することで、
給与計算時に行われる「源泉徴収」において、
『「源泉所得税の減額効果」を受けることができる者 』であり、
年末調整時に行われる「年間課税所得計算」において、
『「勤労学生控除という人的所得控除」を受けることができる者 』のことをいいます。 |
【 給与計算時の「源泉所得税の減額効果」 】
【 年末調整時の「勤労学生控除」 】
Ⅱ:「勤労学生」を申告した場合の効果
1、給与計算時における「源泉所得税の減額」効果
上記Ⅰでご紹介させて頂きましたように、
「申告者本人」を「勤労学生」として申告した場合には、 申告者本人の給与等から控除される「源泉所得税」が「勤労学生分」だけ減額されることになります。 |
◆ 設例によるご紹介 ◆
例示1
・「源泉徴収税額表」が下記のような場合であり、
・ 給与等所得者が受ける「社会保険料等控除後の給与等の金額」が90,000円/月であるような給与等所得者が、
・「扶養控除等申告書」に「本人が勤労学生である旨」を記載して会社に申告する場合には、
例示2
・「源泉徴収税額表」が下記のような場合であり、
・ 給与等所得者が受ける「社会保険料等控除後の給与等の金額」が100,000円/月であるような給与等所得者が、
・「扶養控除等申告書」に「本人が勤労学生である旨」を記載して会社に申告する場合には、
2、年末調整時における「人的所得控除」効果
上記Ⅰでご紹介させて頂きましたように、
「申告者本人」を「勤労学生」として申告した場合には、 年末調整の申告者本人の課税所得計算において「27万円の勤労学生控除」を受けることができます。 |
◆ 設例によるご紹介 ◆
例示1
・「給与収入の金額」が1,080,000円/年(給与所得控除額:550,000円)であり、
・「年間社会保険料控除額」は0円、「基礎控除額」は48万円であるような給与等所得者が、
・「扶養控除等申告書」に「本人が勤労学生である旨」を記載して会社に申告する場合には、
例示2
・「給与収入の金額」が1,300,000円/年(給与所得控除額:550,000円)であり、
・「年間社会保険料控除額」は0円、「基礎控除額」は48万円であるような給与等所得者が、
・「扶養控除等申告書」に「本人が勤労学生である旨」を記載して会社に申告する場合には、
Ⅲ:「勤労学生の記載」の利用期間
「扶養控除等申告書」は、
『 毎月の給与計算で「源泉所得税を控除する」』際に必要になる書類であるため、
・既存の給与等所得者からは「前年度の年末調整時」に会社に提出され、 ・途中入社・途中就任した給与等所得者からは「当暦年度途中の入社・就任時」に会社に提出されることになりますが、 |
上記の時期に提出された『「当暦年度の扶養控除等申告書」における「勤労学生」の記載 』は、
「既存の給与等所得者」の場合
当暦年度の最初に行われる「給与計算」~当暦年度の年末に行われる「年末調整」にわたって利用され、
「途中入社・就任の給与等所得者」の場合
入社・就任後の最初に行われる「給与計算」~当暦年度の年末に行われる「年末調整」にわたって利用されます。 |
◆ 「既存の給与等所得者」の提出時期と利用開始時期 ◆
◆ 「暦年度の途中に入社・就任した給与等所得者」の提出時期と利用開始時期 ◆
Ⅳ:「勤労学生」の条件
「勤労学生」とは、「申告者本人」がその年(申告書対象年度)の12月31日の現況で、以下の要件すべてを満たす人をいいます。
「申告者本人」の要件 |
① A 「大学、高等学校などの学生や生徒」若しくは
① B 「一定の要件を備えた専修学校、各種学校の生徒」又は
① C 「職業訓練法人の行う一定の要件を備えた職業訓練(認定職業訓練)を受ける訓練生」であること |
② 申告者本人の勤労によって得た「給与所得」「事業所得」「退職所得」又は「雑所得」があること
⇒「勤労所得(本人の勤労に基づく給与所得等)」があること |
③ 申告者本人の暦年度中の「合計所得(見積)金額」が75万円以下であること |
④ 申告者本人の暦年度中の「勤労所得以外の所得 (見積)金額」が10万円以下であること
⇒「不労所得(見積)金額」が10万円以下であること |
◆ 「勤労学生の要件」についての詳細説明ページ ◆
上記『 勤労学生の「各要件内容」』につきましては、
別途『「勤労学生控除」の申告条件&扶養控除等申告書への記載方法 』というページの
『 Ⅱ:『「勤労学生」の条件 』の詳細検討 』で詳しくご紹介させて頂いておりますので、
「勤労学生控除」を申告される場合には、是非当該リンクページをご確認下さい。
Ⅴ:「勤労学生」に係る「扶養控除等申告書」の書き方
「扶養控除等申告書」で「勤労学生」の申告を行う場合には、
以下1~3で記載する事項を「C:障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」箇所に記載することが必要となります。 |
1、『「勤労学生」に該当する旨 』の記載
「申告者本人」が「勤労学生」に該当する場合には、
「勤労学生に該当する旨(✓)」を 「扶養控除等申告書」の「C:障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」箇所の「勤労学生」欄に記載して下さい。 |
2、「在籍する学校名、職業訓練法人名」や「入学年月日」の記載
「申告者本人」が「勤労学生」に該当するためには、
「申告者本人」が
①「大学、高等学校などの学生や生徒」若しくは
②「一定の要件を備えた専修学校、各種学校の生徒」又は
③「職業訓練法人の行う一定の要件を備えた職業訓練(認定職業訓練)を受ける訓練生」であることが要件となっているため、 |
『「勤労学生」の申告 』を行う場合には、
「申告者本人」が上記の「在籍要件」をクリアしていることを明示するために、
「扶養控除等申告書」における「C:障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」箇所の「障害者又は勤労学生の内容」欄には、 ・「学校の名称」又は「職業訓練法人の名称」及び ・「入学年月日」を記載することが必須となります。 |
3、「申告者本人」の「合計所得金額」や「所得種類ごとの所得金額」の記載
「申告者本人」が「勤労学生」に該当するためには、
「申告者本人の所得」につき、
その暦年度における「合計所得(見積)金額」が「75万円以下」であることや、
「本人の勤労による給与所得等(勤労所得)」があることや、
その暦年度における「不労所得(見積)金額」が「10万円以下」であることが要件となっているため、 |
『「勤労学生」の申告 』を行う場合には、
「申告者本人」が上記の「所得要件」をクリアしていることを明示するために、
「扶養控除等申告書」における「C:障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」箇所の「障害者又は勤労学生の内容」欄には、 ・ 申告者本人のその暦年度における「合計所得(見積)金額」及び ・ 申告者本人のその暦年度における「所得種類ごとの各所得(見積)金額」を記載することが必須となります。 |
記載例示 1 :給与所得60万円(給与収入115万円)のみがある場合
記載例示 2 :給与所得:30万円、個人業務による雑所得:10万円がある場合
記載例示 3 :給与所得:30万円、FXによる雑所得:10万円がある場合
Ⅵ:「勤労学生」に係る申告書提出時の「添付書類」
「勤労学生控除」を申告する場合には、
「申告者本人」が通う「学校等の種別」によっては、 「扶養控除等申告書」の提出とともに「添付書類」の提出が必要となる場合があります。 |
従いまして、「勤労学生である旨」の申告を行う場合には、
「下記1、2でご紹介させて頂く事項」をご一読頂き、 『「添付書類」の提出が必要となるか否か 』を事前にご確認頂きますようお願い致します。 |
1、「申告者本人」が「大学、高等学校などの学生や生徒」の場合
「大学、高等学校などの学生や生徒」が「勤労学生控除」を申告する場合には、
原則、当該『「勤労学生」である旨 』を証明するための添付書類等は必要ありません。 |
2、「申告者本人」が「専修学校、各種学校の生徒」又は「職業訓練を受ける訓練生」の場合
他方、「専修学校や各種学校の生徒」又は「職業訓練を受ける訓練生」につきましては、
「その学校の設置者」や「履修課程」によっては、「勤労学生控除の対象者」とはならないこともあるため、 |
「専修学校や各種学校の生徒」が「勤労学生控除」を申告する場合には、
「専修学校や各種学校が発行する証明書(勤労学生控除を受けることができる生徒に該当する証明書)」を 「扶養控除等申告書」に添付して、 会社に提出又は提示することが必要となり、
|
「認定職業訓練を受ける訓練生」が「勤労学生控除」を申告する場合には、
「職業訓練法人が発行する証明書(勤労学生控除を受けることができる訓練生に該当する証明書)」を 「扶養控除等申告書」に添付して、会社に提出又は提示することが必要となります。
|
従いまして、「申告者本人」が「専修学校や各種学校の生徒」や「認定職業訓練を受ける訓練生」である場合には、
所属する「専修学校・各種学校」や「職業訓練法人」から、 事前に「勤労学生控除を受けることができる学生・訓練生である旨の証明書」を入手しておいて頂きますようお願い致します。 |
Ⅶ:「勤労学生である旨」に異動があった場合の対応
「扶養控除等申告書」は、
『 毎月の給与計算で「源泉所得税を控除する」』際に必要となる書類であるため、
・既存の給与所得者からは「前年度の年末調整時」に会社に提出され、 ・途中入社・途中就任した給与所得者からは「当暦年度途中の入社・就任時」に会社に提出されることになりますが、 |
上記の時期に提出された「当暦年度の扶養控除等申告書」は、
当暦年度の最初に行われる「給与計算」~当暦年度末に行われる「年末調整」にわたって使用されます。 |
このため、暦年度の途中や年末調整時に、
『「勤労学生」である旨 』に異動があるような場合には、 ・「(提出している)扶養控除等申告書」に記載されている『「勤労学生」である旨 』の記載を撤回修正し、 ・「修正後の扶養控除等申告書」を会社に提出し直すことが必要となります。 |
◆ 『「勤労学生である旨」に異動があった場合の対応 』についての詳細説明ページ ◆
上記『「勤労学生に係る扶養控除等申告書」の具体的な修正方法 』につきましては、
別途『「勤労学生控除」の申告条件&扶養控除等申告書への記載方法 』というページの
『 Ⅴ:「勤労学生である旨」に異動があった場合の対応 』で修正例示等ご紹介させて頂いておりますので、
「(勤労学生に係る)扶養控除等申告書の修正」を行う場合には、是非当該リンクページをご一読下さい。
税理士事務所・会計事務所からのPOINT
ここでは、『「勤労学生」の概要 』として、
・「勤労学生」の定義
・「勤労学生」を申告した場合の効果
・「勤労学生の記載」の利用期間
・「勤労学生」の条件
・「勤労学生」に係る「扶養控除等申告書」の書き方
・「勤労学生」に係る申告書提出時の「添付書類」
・「勤労学生である旨」に異動があった場合の対応
の「概要」をご紹介させて頂いております。
◆ 「勤労学生」の定義 ◆
『「勤労学生」の定義 』につきましては、
・『「勤労学生」の要件 』を『「勤労学生」の定義 』とする
・『「勤労学生」の申告効果 』を『「勤労学生」の定義 』とすることなどが考えられますが、
ここでは、「後者の考え方」から「勤労学生」を定義させて頂いております。
◆ 『「勤労学生」を申告した場合の効果 』につきまして ◆
「扶養控除等申告書」における『「勤労学生」の申告 』は、
・給与計算時において『「勤労学生」に係る「源泉所得税の減額」』を受けるとともに、
・年末調整時において『「勤労学生控除」という所得控除 』を受けるための申告となりますが、
「それぞれの具体的な効果」につきましては、本文Ⅱに記載した設例をご参照下さい。
◆ 「勤労学生の記載」の利用期間 ◆
≫「扶養控除等申告書」は年末調整時に提出される書類となりますが、
≫「扶養控除等申告書」で申告する『「勤労学生」である旨の記載 』は、
・提出した年度の年末調整時から使用されるのではなく、
・あくまで、提出した年度の翌年度にかけて使用されるものとなりますので、この点につきましてはご注意下さい。
◆ 「勤労学生」を申告するための条件 ◆
≫ 当該ページにおきましては、
「勤労学生の要件」を簡潔にご紹介しているのみとなりますので、
≫ 実際に「勤労学生」の申告を行われる場合には、
是非本文リンクページでご紹介している「各要件の内容」も併せてご確認頂きますようお願い致します。
◆ 「勤労学生」に係る「扶養控除等申告書」の書き方 ◆
「勤労学生」の申告を行われる場合には、
本文Ⅴでご紹介させて頂いております「記載内容」や「記載例」を是非ご一読頂き、記載漏れ等のないようご注意下さい。
◆ 「勤労学生」に係る「申告書提出時」&「年末調整時」の添付書類 ◆
≫「扶養控除等申告書」により「勤労学生」の申告を行う場合には、
「申告者本人」が通う「学校等の種別」によっては、「添付書類」の提出が必要となる場合がありますので、
≫「申告者本人」が「専修学校や各種学校の生徒」や「認定職業訓練を受ける訓練生」である場合には、
上記Ⅵでご紹介させて頂きました「証明書」を事前にご用意頂きますようお願い致します。
◆ 『「勤労学生」である旨の記載 』に異動があった場合の対応 ◆
≫『「勤労学生」である旨の申告 』につきましては、
基本的に『 申告対象年度の「前年の年末調整時」』に行われることになるため、
申告対象年度中におきましては、
「扶養控除等申告書」に記載した『「勤労学生」である旨の記載 』に異動が生じることが想定されます。
≫ 従いまして、実際に『「勤労学生」である旨の記載 』に異動が生じたような場合には、
本文Ⅶでご紹介させて頂きましたようなご対応を取って頂きますようお願い致します。
≫ なお、本文Ⅶで記載させて頂きましたリンクページには、「具体的な修正例」もご紹介させて頂いておりますので、
実際に『「勤労学生」である旨の記載 』を修正する場合には、是非当該ページもご確認頂きますようお願い致します。