ここでは、「勤労学生控除」についての申告条件、扶養控除等申告書への記載方法などを、以下の事項に従い、ご紹介させて頂きます。

 

 

 

Ⅰ:「勤労学生」の定義・条件

所得税法で規定されている「勤労学生控除を受けるためには、

「扶養控除等申告書を提出する本人」が「勤労学生」に該当することが必要となりますが、

勤労学生」とは、以下の者をいいます。

 

◆ 「勤労学生」の定義 ◆

「勤労学生」とは、

アクセント丸(小:背景透明) ・「大学高等学校などの学生や生徒」若しくは

 

  ・「一定の要件を備えた専修学校各種学校の生徒」又は

 

  ・「職業訓練法人の行う一定の要件を備えた職業訓練認定職業訓練)を受ける訓練生」であり、

 

アクセント丸(小:背景透明)  申告者本人の勤労に基づく給与所得事業所得」「退職所得」又は「雑所得があり

 

   ( 以下では「勤労所得本人の勤労に基づく給与所得等)」といいます )

 

アクセント丸(小:背景透明)  申告者本人暦年度中の「合計所得見積金額」が75万円以下であり、

 

アクセント丸(小:背景透明)  申告者本人暦年度中の「勤労所得以外の所得 見積金額」が10万円以下である人をいいます。

 

   ( 以下では「不労所得勤労所得以外所得)」といいます )

   ( 国税庁 タックスアンサー  N01175 勤労学生控除:勤労学生控除の対象となる人の範囲 )

 

◆ 「勤労学生」の条件 ◆

『「勤労学生」の定義 』が上記のものであるため、

 

「勤労学生」とは、「申告者本人」がその年申告書対象年度)の12月31日の現況で、以下の要件すべてを満たす人をいいます。

 

申告者本人」の要件

① A 大学高等学校などの学生や生徒」若しくは

 

① B 一定の要件を備えた専修学校各種学校の生徒」又は

 

① C 職業訓練法人の行う一定の要件を備えた職業訓練認定職業訓練)を受ける訓練生」であること

    申告者本人の勤労によって得た「給与所得」「事業所得退職所得」又は「雑所得があること

 

    ⇒「勤労所得本人の勤労に基づく給与所得等)」があること

   申告者本人暦年度中の「合計所得見積金額」が75万円以下であること

④   申告者本人暦年度中の「勤労所得以外の所得 見積金額」が10万円以下であること

 

    ⇒「不労所得見積金額」が10万円以下であること

 

◆ 「要件判定基準日」につきまして ◆                                   

 

 

Ⅱ:『「勤労学生」の条件 』の詳細検討

『「勤労学生」の定義・条件 』は、上記Ⅰでご紹介させて頂きましたものとなりますが、

ここでは、この定義・条件に基づき『「勤労学生」のそれぞれの条件をより詳しくご紹介させて頂きます。

 

条件1:「申告者本人」が「学生等である」ことの条件

勤労学生に該当するためには、

「申告者本人」が

 

大学高等学校などの学生や生徒」若しくは

 

一定の要件を備えた専修学校各種学校の生徒」又は

 

職業訓練法人の行う一定の要件を備えた職業訓練認定職業訓練)を受ける訓練生」であることが必要となります。

 

◆ 「専修学校や各種学校の生徒」に該当する場合 ◆                        

 

◆ 「職業訓練法人の行う職業訓練を受ける訓練生」に該当する場合 ◆                      

 

◆ 「在籍する学校名」や「入学年月日」の「扶養控除等申告書」への記載 ◆                   

 

条件2:「申告者本人」に「勤労所得(本人の勤労に基づく給与所得等)がある」ことの条件

アクセント三角(小:背景透明)勤労学生に該当するためには、

申告者本人の勤労による「給与所得」「事業所得退職所得」又は「雑所得があることが必要となります。

 

⇒「勤労所得本人の勤労に基づく給与所得等)」があることが必要となります。 ( 所得税法 2条 1項 32号 )

 

アクセント三角(小:背景透明) 従いまして、

アクセント矢印(背景透明)勤労所得本人の勤労に基づく給与所得等)」が1円でもある場合には、

  「勤労学生控除を受けることができますが、

 

アクセント矢印(背景透明)勤労所得以外の所得はあるが、「勤労所得本人の勤労に基づく給与所得等)」が0円となるような場合には、

 

  (「勤労学生控除」が「勤労所得以外の所得のみ減額する結果となるような場合には、)

  「勤労学生控除を受けることはできませんので、この点ご注意下さい。

 

◆ 「勤労所得」とは ◆                                         

 

◆ 複数の会社等から「給与等」を受けている場合につきまして ◆                           

 

◆ 申告者本人の勤労に基づいて得た「雑所得」とは ◆                           

 

◆ 「見積金額」につきまして ◆                           

 

◆ 「所得種類ごとの所得(見積)金額」の「扶養控除等申告書」への記載 ◆         

 

◆ 弊会計事務所の作成した「自動計算機」をご使用の場合 ◆                         

 

条件3:「申告者本人」の「合計所得(見積)金額」の条件

アクセント三角(小:背景透明)勤労学生に該当するためには、

申告者本人その暦年度における合計所得見積金額」が「75万円以下」であることが必要となります。

 

アクセント三角(小:背景透明) なお、弊会計事務所におきましては、

各種の収入金額を入力することで合計所得を自動計算する合計所得の自動計算機へのリンクページを、

『 各暦年度における「合計所得の自動計算機」』へのリンク紹介 』というページに作成しておりますので、

『 ご自身で算定した「合計所得」』を確認される場合などには、当該「自動計算機」をご利用下さい。

 

◆ 「合計所得」とは ◆                                      

 

◆ 「見積金額」につきまして ◆                             

 

◆ 「合計所得」の「扶養控除等申告書」への記載 ◆                           

 

◆ 弊会計事務所の作成した「自動計算機」をご使用頂く場合 ◆                                

 

条件4:「申告者本人」の「不労所得(見積)金額」の条件

アクセント三角(小:背景透明)勤労学生に該当するためには、

申告者本人その暦年度における不労所得見積金額」が「10万円以下」であることが必要となります。

なお、上記の不労所得」とは、

アクセント丸(小:背景透明)勤労所得以外の所得給与所得等以外の所得)」をいい、

 

アクセント丸(小:背景透明)不動産所得」「利子所得」「配当所得」「(申告者本人勤労に基づかない雑所得
   「一時所得」「譲渡所得」「山林所得」の「各所得の合計金額」をいいます。

 

◆ 「所得金額」とは ◆                                         

 

◆ 「雑所得」につきまして ◆                                      

 

◆ 「見積金額」につきまして ◆                             

 

◆ 「所得種類ごとの所得(見積)金額」の「扶養控除等申告書」への記載 ◆         

 

◆ 弊会計事務所の作成した「自動計算機」をご使用頂く場合 ◆                                

 

 

Ⅲ:「勤労学生」に係る「扶養控除等申告書」の書き方

1、『「勤労学生」に該当する旨 』の記載

アクセント三角(小:背景透明)申告者本人」が「勤労学生に該当する場合には、

勤労学生に該当する)」を

「扶養控除等申告書」の「C障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生箇所の「勤労学生に記載して下さい。

 

勤労学生控除:申告書の記載(勤労学生の旨)

 

2、「在籍する学校名、職業訓練法人名」や「入学年月日」の記載

アクセント三角(小:背景透明)申告者本人」が「勤労学生に該当するためには、

「申告者本人」が

 

大学高等学校などの学生や生徒」若しくは

 

一定の要件を備えた専修学校各種学校の生徒」又は

 

職業訓練法人の行う一定の要件を備えた職業訓練認定職業訓練)を受ける訓練生」であることが要件となっているため、

 

アクセント三角(小:背景透明)『「勤労学生の申告を行う場合には、

アクセント矢印(背景透明)「申告者本人」が上記の在籍要件をクリアしていることを明示するために、

 

アクセント矢印(背景透明)「扶養控除等申告書」における「C:障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生箇所の「障害者又は勤労学生の内容には、

  ・「学校名称」又は「職業訓練法人名称」及び

  ・「入学年月日を記載することが必須となります

 

勤労学生控除:申告書の記載(学校名等)

 

3、「申告者本人」の「合計所得金額」や「所得種類ごとの所得金額」の記載

アクセント三角(小:背景透明)申告者本人」が「勤労学生に該当するためには、

「申告者本人の所得」につき、

 

アクセント丸(小:背景透明)  その暦年度における「合計所得見積金額」が「75万円以下」であることや、

 

アクセント丸(小:背景透明)本人の勤労による給与所得等勤労所得)」があることや、

 

アクセント丸(小:背景透明)  その暦年度における「不労所得見積金額」が「10万円以下」であることが要件となっているため、

 

アクセント三角(小:背景透明)『「勤労学生の申告を行う場合には、

アクセント矢印(背景透明)「申告者本人」が上記の所得要件をクリアしていることを明示するために、

 

アクセント矢印(背景透明)「扶養控除等申告書」における「C:障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生箇所の「障害者又は勤労学生の内容には、

  ・ 申告者本人のその暦年度における「合計所得見積金額」及び

  ・ 申告者本人のその暦年度における「所得種類ごと各所得見積金額を記載することが必須となります

 

   記載例示 1  給与所得60万円給与収入115万円)のみがある場合

勤労学生控除:申告書の記載(所得金額例示1)

 

   記載例示 2  給与所得30万円個人業務による雑所得10万円がある場合

勤労学生控除:申告書の記載(所得金額例示2)

 

   記載例示 3  給与所得30万円FXによる雑所得10万円がある場合

勤労学生控除:申告書の記載(所得金額3)

 

 

Ⅳ:「勤労学生」に係る申告書提出時の「添付書類」

アクセント三角(小:背景透明) 上記Ⅰの脚注でもご紹介させて頂きましたが、

「申告者本人」が

 アクセント丸(小:背景透明)専修学校各種学校生徒」である場合や

 アクセント丸(小:背景透明)「職業訓練法人が行う職業訓練を受ける訓練生」である場合には、

  「その学校の設置者」や「履修課程」によっては、「勤労学生控除対象者とはならないこともあるため、

 

アクセント矢印(背景透明)専修学校各種学校の生徒」が、年末調整において勤労学生控除を受ける場合には、

専修学校各種学校発行する証明書勤労学生控除を受けることができる生徒該当する証明書)」を

「扶養控除等申告書」に添付して 会社提出又は提示することが必要となり、

 

 ( 国税庁 タックスアンサー  N01175 勤労学生控除:手続-申告等の方法 )

 

アクセント矢印(背景透明)認定職業訓練を受ける訓練生」が、年末調整において勤労学生控除を受ける場合には、

職業訓練法人発行する証明書勤労学生控除を受けることができる訓練生該当する証明書)」を

「扶養控除等申告書」に添付して会社提出又は提示することが必要となります。

 

 ( 国税庁 タックスアンサー  N01175 勤労学生控除:手続-申告等の方法 )

 

 

Ⅴ:「勤労学生である旨」に異動があった場合の対応

アクセント三角(小:背景透明)「扶養控除等申告書」は、

毎月の給与計算で「源泉所得税を控除する」』際に必要となる書類であるため、

 

 ・既存の給与所得者からは「前年度の年末調整時」に会社に提出され、

 ・途中入社・途中就任した給与所得者からは「当暦年度途中の入社・就任時」に会社に提出されることになりますが、

 

上記の時期に提出された「当暦年度の扶養控除等申告書」は、

当暦年度の最初に行われる給与計算」~当暦年度末に行われる年末調整」にわたって使用されます。

 

源泉所得税控除:扶養控除等申告書の提出時期

 

⇒ なお、この点の詳しい内容は、『「扶養控除等申告書」の意義 ~ 給与所得者編 ~ 』にご紹介させております。

 

アクセント三角(小:背景透明) このため、暦年度の途中年末調整時に、

『「勤労学生である旨 』に異動があるような場合には、

 ・「(提出している)扶養控除等申告書」に記載されている『「勤労学生である旨 』の記載を撤回修正し、

 ・「修正後の扶養控除等申告書」を会社に提出し直すことが必要となります。

 

源泉所得税控除:扶養控除等申告書の修正提出

 

◆ 『「勤労学生」である旨 』に異動がある場合の修正撤回例示 ◆

 

   例示1  

当暦年度中に「申告者本人」が在籍していた大学を退学した結果、「勤労学生控除の適用外となった。

勤労学生控除:修正申告(例示1)

 

   例示2  

当暦年度途中に「本人の合計所得金額」が75万円を超えることが確実となった結果、「勤労学生控除の適用外となった。

勤労学生控除:修正申告(例示2)

 

   例示3  

当暦年度末に「本人の勤労所得」が0円となった結果、「勤労学生控除の適用外となった。

勤労学生控除:修正申告(例示3)

 

   例示4  

当暦年度末に「本人の不労所得」が10万円を超えた結果、「勤労学生控除の適用外となった。

勤労学生控除:修正申告(例示4)

 

 

税理士事務所・会計事務所からのPOINT

ここでは、「勤労学生控除」についての申告条件、扶養控除等申告書への記載方法などをご紹介させて頂いております。

 

「勤労学生控除を受けるための条件 」につきまして 

 

アクセント矢印(背景透明)「扶養控除等申告書」で「ご本人」を「勤労学生」として申告するためには、

  「申告者本人」が「満たさなければならない条件」が規定されていますので、

    先ずは、本文のⅠ及びⅡでご紹介させて頂いております『「勤労学生」の定義と条件 』をご確認下さい。

 

アクセント矢印(背景透明)なお、『「勤労学生」の条件 』では「申告者本人の所得要件」につき、

 ・申告者本人の『「合計所得(見積)金額」の要件 』のみならず、

 ・申告者本人の『「勤労所得(見積)金額」の要件 』や『「不労所得(見積)金額」の要件 』が設けられていますので、

   本文Ⅱの「条件2~条件4の内容」につきましては十分ご確認頂きますようお願い致します。

  (この点、『「勤労学生」の所得要件 』につきましては、若干煩雑になっておりますのでご注意下さい。)

 

『「勤労学生控除」の「扶養控除等申告書」への記載方法 』につきまして 

 

アクセント矢印(背景透明)「扶養控除等申告書」で「勤労学生控除」を申告する場合には、

  『「扶養控除等申告書」に記載することが必要となる事項 』が、所得税法上で決められておりますので、

  「勤労学生控除」を申告される場合には、「上記Ⅲに記載している事項」をご確認頂きますようお願い致します。

 

アクセント矢印(背景透明)なお、『「勤労学生」の条件 』につきましては、

 「申告者本人の所得要件」に対して「3つの所得要件」が設けられておりますので、

 

 「扶養控除等申告書」には、

 ・申告者本人の「合計所得(見積)金額」を記載することの他、

 ・申告者本人の「各種の所得(見積)金額」の記載も必要となりますので、この点につきましては十分ご注意下さい。

 

「勤労学生控除の申告」に係る『「扶養控除等申告書」の添付書類 』につきまして 

 

アクセント矢印(背景透明)「申告者本人」が、

  ・「専修学校や各種学校の生徒」である場合や

  ・「職業訓練法人が行う職業訓練を受ける訓練生」である場合には、

  「専修学校等や職業訓練法人が発行する証明書(勤労学生控除を受けることができる生徒・訓練生に該当する証明書)」を

 

  「扶養控除等申告書」に添付して、会社に提出又は提示することが必要となりますので、

 

アクセント矢印(背景透明) ご自身が「専修学校や各種学校の生徒」や「職業訓練法人が行う職業訓練を受ける訓練生」に該当する場合には、

  「上記Ⅳに記載している事項」をご確認頂きますようお願い致します。

 

「勤労学生である旨」に異動があった場合の対応 

 

アクセント矢印(背景透明)・「扶養控除等申告書」は、「前年度の年末調整時」や「当暦年度の入社時」に提出されますが、

  ・「扶養控除等申告書」により行われる『「勤労学生控除」の申告 』は、

   『 当暦年度の最初に行われる「給与計算」』~『 当暦年度末に行われる「年末調整」』にかけての申告となるため、

 

アクセント矢印(背景透明)「年度途中」や「年末調整時点」において、

  『「勤労学生」である旨 』に異動があるような場合には、適時に修正申告して頂ますようお願い致します。